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金融分野への参入
新たな挑戦を支える攻めのガバナンス

平野 洋一郎 x 五味 廣文

「金融分野への参入 新たな挑戦を支える攻めのガバナンス」平野 洋一郎x五味 廣文

― 五味さんがインフォテリアの社外取締役に就任した経緯を教えてください。

平野洋一郎(以下:平野) : 近年「フィンテック」が注目されるようになり、金融分野でも新しい技術を取り入れて革新的なサービスの提供を考える企業が増えています。ビットコインなどの仮想通貨を支えるしくみである「ブロックチェーン技術」に取り組んでいる私たちにとって、これはとても大きなチャンスです。
しかし、これまでインフォテリアの製品は金融業界での採用は少なく、あまり得意としていませんでした。やはり本格的に金融分野に参入するには、関連する法令や業界特有のレギュレーションに強い専門家をチームに迎える必要があると感じ、長年金融行政の中心で活躍されていた五味社外取締役の力をぜひともインフォテリアに貸していただきたいとお願いしました。

五味廣文(以下:五味): 最初にお話をいただいた時には、 少し戸惑いました。IT関連企業でも取締役を務めたことはありましたが、財務会計のソフトウェア開発など比較的これまでの経験に近い内容でした。しかし、インフォテリアは極めて高度な技術に取り組んでいることから「、自分は先進的な技術にあまり詳しくないが大丈夫だろうか…」と考えました。
その後、詳しく話を伺ってみると、社外取締役として経営管理が正しく行われているかなど、さまざまなステークホルダー の視点からアドバイスするという役割を求められていると 知って、それならば、とお引き受けしました。

― 実際に就任してみて、インフォテリアの印象はいかがですか。

五味 廣文 インフォテリア社外取締役

五味: 高い技術力で先進的な製品を開発し、機動力もある ダイナミックな企業だと思っています。ただ、少数精鋭で発展してきたため、経営管理へのリソースの割り当てに苦労して いる印象がありました。
管理部門のような間接部門は、直接利益を上げるわけではありません。企業が成長してその価値を高める、あるいは企業価値を損なわないためには、ガバナンスを強化し、コンプライアンスを徹底させ、利益管理を行う必要があります。新しいことにチャレンジする時こそ、押さえるべきところは押さえなければならないのです。
企業が急速に成長している時、特に新しい分野に踏み出そうとしている時には、どうしても意識やリソースがそちらに集中しがちです。たとえば1997年のアジア通貨危機や、2008年のリーマンショックなどは、爆発的に成長したビジネスに経営管理が追い付かなかったために発生しました。会社経営でも同じことが起きる可能性があります。チャレンジには、 ガバナンスの強化やコンプライアンスの徹底が不可欠なのです。私は金融行政を監督していた経験から社外取締役として参画することになった立場ですから、新しいことにチャ レンジするインフォテリアを見守り、経営の足元を固めるアンカー(錨)として応援していかなければならないと強く感じています。

― 就任されて一年半になりますが、五味さんは インフォテリアでどのように活躍していらっしゃいますか。

平野: 私たちにとって新しいビジネス領域である金融分野において、金融業界の関係者とのコミュニケーションを通じて製品を成長させる一方、企業が成長するためにやるべきこと、気を付けるべきことなどについてアドバイスをいただいています。インフォテリアは4月にM&A(企業合併/買収)を発表しましたが、実現に至るまで1年近く取締役会で議論を重ねました。 五味社外取締役には企業経営に対するM&Aの位置づけ、 コンプライアンスやガバナンスをどのように進めていくのかといった点で真摯なご意見をたくさんいただき、とてもよい形で関与していただいたなと感じています。今後もインフォ テリアはM&Aを積極的に行っていくことを表明していますが、今回の経験でその基礎ができたと言えるでしょう。

五味: 今回インフォテリアは、企業規模から見れば大型のM&Aを行ったわけですが、これを機に企業が最低限やるべき経営管理について意見したことは、社外取締役に就任してから今までで最も大きな仕事でした。かつて私は金融庁長官として、金融行政を監督する行政官でした。その経験から、金融機関を管理するスタンダード、つまり最も信頼度の高いガバナンスが要求され、強い規制がある金融機関を管理する視点で、企業に必要なことは何かというお話をさせていただきました。内容的にはかなり厳しいスタンダードと言えますが、関係者の皆さんはとても頑張ってくれました。

平野: これまでインフォテリアはさまざまなチャレンジを経て成長してきましたが、事業が大きくなるにつれてチャレンジの度合いも大きくなっています。もちろん今後さらに大海原へ出航していかなければなりません。そんな中で五味社外取締役に別の視点からの貴重な意見をいただき、危険な部分を指摘していただけることは大きな安心感につながっています。また取締役会でも五味社外取締役は積極的に発言してくださるので、ガバナンスの視点で活発な議論が交わされるようになりました。

五味: 確かに取締役会の雰囲気は変わりましたね。収益を上げる部分にだけ着目するのではなく、その裏側にあるリスクをどのように管理していくかについて分析や論点整理が行われるようになりました。「やれば儲かるに決まっている」といった乱暴な決議がなされることはなく、きちんと検討事項が上程され、何か漏れていることがないか、リスクが潜んでいないか、他にも調べておくべきことがあるのではないかといった意見が交わされるようになりました。普段からリスクベースでの経営管理が行われているからこそこのような議論が可能になっているのだと思います。
また私は社外取締役としてテクノロジーからではない第三者的な視点で意見を述べることができます。新しいチャレンジによってステークホルダーはどのようなメリットを受けられるのか、門外漢であるがゆえに遠慮なく思ったことを言える、これは重要なことだと考えています。

― 「リスクベースでの経営管理」とはどのようなものでしょうか。また新たなチャレンジのために必要なガバナンスについて教えてください。

五味: チャレンジするということはリスクを取りに行くということでもあります。チャレンジすることは悪いことではありません。むしろ何もせずただ守っていても企業価値は向上しません。ここで重要なのはリスクの取り方であり、取ったリスクをきちんと管理するということです。
金融機関の監督では常にリスクベースで経営の先行きをチェックします。経営上のリスクがどこにあるかを見極めて分析し、そのリスクが顕在化した場合には経営にどの程度のインパクトを与えるのかをあらかじめ把握しておくのです。次にそのリスクにどのように備えておけばいいのかを検討します。インパクトがあまりにも大きいのであれば、取締役会などで慎重に検討をすすめ、場合によっては取りやめてしまうこともあるかもしれません。
一言で「ガバナンス」と言っても、企業の特性や規模、グローバルな業務を行っているか否かなどによって、求められる内容は大きく異なります。あらゆるステークホルダーにとって企業価値が高まっていくという確信を与えられるような企業行動をとることが重要です。いまインフォテリアに求められているのは「攻めのガバナンス」です。企業価値を高めるためにリスクを取るのであれば、その一方で企業価値を損なわないために最低限守るべきものがあります。つまり攻めるためにガバナンスが必要だということです。

平野: インフォテリアの経営理念の第一は「発想と挑戦」です。つまり積極的にリスクを取りに行くことを経営理念としているわけですが、そのリスクはどういうもので、どこにあるのか、そしてどのように管理していけばいいのかを考えながらチャレンジを続けていかなければなりません。そのためにもガバナンスの強化は非常に重要だと考えていて、社外取締役を過半数としているのもその一環です。

― 株主や投資家に向け、今後のインフォテリアの展望を お聞かせください。

平野 洋一郎 インフォテリア代表取締役社長/CEO

五味: 金融機能を提供する新しいテクノロジーは、これから 爆発的に成長する分野であることは間違いありません。これまで金融機関が提供するものであった金融機能を、金融機関ではないところが提供しようとする潮流が生まれています。 インフォテリアはブロックチェーンなどの技術によって、この金融機能を実現するためのベースとなる先進技術を提供できる企業です。
これまでの実績から技術力もあることも証明されていますし、これらの技術に商品性の高い付加価値を与えるための思い切ったM&Aも行っています。これらのことを考えると、インフォテリアには将来性が大いにあると言えるでしょう。投資家の方にもぜひ注目してほしい企業です。
しかし、将来性のある企業であるからこそ、金融行政に長年携わった経験を持った社外取締役として参画した責任は大きいと感じています。爆発的に成長する企業は、足元を踏み外すと大きく崩れてしまう可能性もあります。そうなることがない ように、しっかり役割を果たしていきたいと考えています。

平野: これまでインフォテリアは、フィンテックの「テック(Tech)」の部分をやってきました。つまりブロックチェーンなどの基礎技術です。株主や投資家の方々も、テクノロジーの将来性で注目してくださっていたかと思います。しかし、これから応用する段階に入ります。私たちはテクノロジーばかり見てしまいがちですが、五味社外取締役の知見や、異なる視点からの意見は非常に貴重です。これからも、よろしくお願いします。

以上
日時:2017年12月09日 9:00