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創業者の二人がインフォテリアの 過去から未来を語る

平野 洋一郎 x 北原淑行

「創業者の二人がインフォテリアの
過去から未来を語る」北原淑行x平野 洋一郎

― 創業当初のエピソード

IoT Future Lab.イメージスタートアップ支援 パンゲアで利用される
IoT Future Lab.(略称:イフラボ)

平野洋一郎(以下:平野):会社がスタートしたのは1998年、東京都大田区沼部にある6畳一間のアパートで、「世界に通用する製品を開発しよう」「日本をソフトウェア輸出国にしよう」という念いを胸に北原と会社を立ち上げました。たった二人しか居ませんから、北原は製品を作る担当、私はそれ以外全てという役割分担でした(笑)。

前職でグループウェアを手がけていた関係から「組織を超えるソフトウェア」を作ることを目指していました。私は、20世紀型の組織は「規律・統制・階層」によって成り立っているが、21世紀は「自律・分散・協調」が基調になると考えていました。当時は“クラウド”のような言葉はありません。しかし、そのうちインターネット上にシステムが載り、さらにそのさきにはモバイル機器がつながっていく。これらのつながりを作るためのソフトウェアを開発する企業、それがインフォテリアです。

代表取締役社長/CEO 平野 洋一郎代表取締役社長/CEO 平野 洋一郎

創業直後は退職した会社からのご好意でミーティングルームやセミナールームを貸してもらうことができ、とても助かりました。メディアの方に取材に来ていただくにしても、面接ひとつするにしても、起業直後というのは苦労しますが、そういうところではありがたかったです。その時の感謝が今のベンチャー支援のひとつである「パンゲア」にもつながっています。

また起業のための資金調達にあたっては、当時の主流であった「融資」ではなく、アメリカ型の「投資」で事業を立ち上げるモデルを考えていました。ただ、その頃の日本にはベンチャー企業への投資がまだ普及していませんでした。門を叩いたベンチャーキャピタルには、すべて出資を断られ、知人に出資してもらうことから始めざるを得ませんでした。しかし、株主に有力な外資系企業の経営者の名前が連なり始めると、ベンチャーキャピタルからは掌を返したように「出資したい」という連絡が増え、創業から1年を待たない1999年の8月には、ベンチャーキャピタル向けの事業説明会を開きました。

XMLのもたらすもの当時の説明会で使われていたスライド

北原淑行(以下:北原):いざ、出資を受けることができるとなると、作る側にもプレッシャーがかかりました。もともとXMLをベースとし、そして企業間通信可能なプラットホームとなるサーバというのをベースに考えていたので、企業の規模に関係なく使えるようなソフトウェアを作ろうというのはありました。機能的にも豊富で、技術的にも新しいというものをできるだけ取り入れようと考えていましたが、全部が新しいと扱いにくいものにもなってしまいますし、最初のリリースでどこまで自分たちがやりたいことを落とし込むのかというバランスにも悩みました。また、本当にこれで受け入れられるのかわからないという葛藤や、今でこそメジャーになりましたが当時の時点でJavaScriptをユーザが使える言語として用意したのは、20年前の段階ではやりすぎではないかとも思いました。

This Place社のDusan氏と英国からのビデオ対談の様子今でも変わらないフットワークの軽さ

平野:私がボストンの郊外まで行って、JavaScriptエンジンの交渉をしました。日本からは問い合わせが入ることはあっても、人が来ることはないので、とてもめずらしく映ったでしょうね。やはり最初は直接会って顔を見て、話をすることが大切だというのは今でも変わりませんね。

― 一部へ市場変更した感想

平野:多くの人達に出資をしてもらうわけですから、創業当時からIPOは目指していました。ただ、東証一部を意識したのはマザーズに上場してからで、その前は、世界市場を目指すということで、次は香港市場やNASDAQを意識していました。マザーズ上場後は、海外で株式交換を前提とした買収提案をいくつも行いましたが、マザーズの株式では相手にしてもらえませんでした。そこで、まずは優遇措置もある一部に行こうと決めました。そして今、マザーズ上場から10年、当初の考えより時間がかかってしまいましたが、東証一部に上場できたことは素直にうれしいです。

北原:やはり東証一部となると信用力も上がっていくと思っています。我々のソフトウェアはB to Bを想定したものですから、規模の大きな企業のお客様に向けても信用力が上がることはプラスに働くでしょう。また、東証一部に上場して、これからもっと海外向けにも発信していくことができると思っています。

祝市場第一部上場 インフォテリア株式会社上場セレモニーの様子

平野:東証一部に上がると「もうベンチャーではないですね」とか、「大人の会社になりましたね」と言っていただいて、一般的には落ち着くようなイメージがあるらしいのです。ただ、私としては、まったく落ち着く気はなく、さらに積極的にいきたいと考えています。これからも、経営理念の最初に掲げている「発想と挑戦」に基づいてベンチャー企業の精神を忘れず、新しいことにどんどん挑戦していきたいですね。

― 新製品Platio、Handbooks、Gravioについて

北原:これらの製品はまだバージョン1です。これまでのインフォテリアの製品全てがそうですが、バージョン1というのは自分たちだけの思いで作っている部分がほとんどです。これからは、いかにさまざまなお客様のニーズや状況に合わせてアップデートしていけるかが勝負だと考えています。

どんなソフトウェアもバージョン3までは製品としても事業としてもなかなか安定しないというのが私の持論です。バージョン1では未来志向で基本形を創り、2でお客様の要望を盛り込み、それをさらに練り上げてバージョン3になるわけです。この段階まで来ると安定性や製品に対する信頼性が増してくるので、ソフトウェア的にも長く使ってもらえる製品になると考えています。今はこれらの製品を半年とか1年くらいの間隔で、バージョン2から3にしていくということを次のステップと考えています。

― 「働き方改革」への取り組みや考え方

「ふるさとテレワーク」の様子「ふるさとテレワーク」を開始するなど、帰省などの個々の事情に合わせたテレワークも推進

平野:今言われているようなモバイルとかテレワーク、リモートワークについて、当社は2011年の東日本大震災の際にすでに全社で取り組んでいました。その頃まだ「働き方改革」は話題にも上っていません。「働き方改革」とは、“どうやったら個々の事情に合わせて快適かつ成果のでる働き方ができるのか”を考え、実行していくものです。当社では社員にとって、その人の環境や状況、仕事の内容に適した働き方をする、ということを目指しています。

また女性活躍推進やダイバーシティについては、創業前に勤めていた外資系の会社の文化もあって当たり前だと思っていたのですが、あとから日本では普通ではないことに気がつきました。ですので、当社の取り組みをアピールすることで、他の企業の皆様も気がついて少しずつでも社会に広がっていけばと考えています。また3年前からはさらに一歩踏み込んで、LGBTの方々が働き易い会社を目指しています。具体的には社内制度の見直し、いわゆる同性パートナーでも結婚のお祝い金が出たり、必要に応じて休暇を取れたりできるようにしました。

北原:日本のソフトウェア産業においてプログラマは長時間労働というイメージがありましたが、30年以上プログラムに携わってきて近年のプログラマは以前よりも時間が使える、余裕があると感じています。その原因は、ひとつには通信技術の進化があります。いつでも話ができ、いつでも物書きができる世界になりました。もうひとつはマシンの性能が上がったことです。ソフトウェアを作るにあたって、ハードウェアの性能が上がることで、コーディングからテストするまでの時間が短くなりました。ITの環境がよくなったことが、結果的にプログラマのプログラミングの質や思考を上げる方向に向かっていると思います。

むしろ働き方として変わってきているのは、国が違う人たちと働くことが増えて、タイムゾーンを意識しなければいけなくなっていることです。誰のタイムゾーンに合わせて話をするのかというのが一番のポイントです。アジアのチームでは1時間くらいしか時差がないので問題ないですが、当社は日本とアメリカ、イギリスにも拠点あり、それぞれの国の働き方にあわせることにも気をつけなければいけません。

― 社会や環境への貢献、可能性

北原:今現在も皆さんさまざまなソフトウェアをお使いだと思いますが、購入して何年か使ったあとに、途中で気づいた機能があって、これを最初から使っていればよかったのにと思うことはありませんか? 私達はできるだけ早くその機能に気づくことができるようなソフトウェアを作っていきたいと思っています。当社のソフトウェアを使うことによって、働く人々にいろんな改良や改善を促す。それは我々ができる社会への貢献のひとつだと考えます。

平野:インフォテリアのベースは「つなぐ」です。「つなぐ」ことで今までと違う形や価値を創っていきたいと考えます。それは、今までは企業内の特定の人たちでしかできなかったことが、外の人ともつながることができたり、さらに地球の反対側にいる人ともつながることができる。環境というところでは、たとえばアメリカからわざわざやってきて会議をしなくても、紙を使わずソフトウェアで資料を共有し、テレビ会議なども利用して仕事ができます。ソフトウェアを作っている会社は、より社会を効率的にするという点で、地球環境にも貢献ができているのではないかと考えています。

― インフォテリアの10年後、20年後のビジョンについて

平野:ソフトウェアはものすごい爆発力をもっています。Googleのように世に出てから5年の間に世界中で使われているようなことが可能なのがソフトウェアというものなのです。インフォテリアも既存の製品やサービスを育てつつ、世界中で使われるような爆発力のあるソフトウェアを開発し提供したい。10年後ではちょっと遅いかな。もっと早い段階でそれが実現できればと考えています。

副社長/最高技術責任者 北原 淑行副社長/最高技術責任者 北原 淑行

北原:ITやAI(人工知能)がはやり始めていて、いろいろなことが人間なしでできるようになっていると皆さん思っていらっしゃるんじゃないでしょうか。しかしよく考えると、現在でも人間の「腕」ひとつちゃんとしたものは作れてはいません。少なくてもそういうところの一部にしっかり貢献できるようなソフトウェアを、この10年20年で開発したいと思います。また、今のソフトウェアは生活スタイルを楽にするものが主になっていますが、これからはもっと様々なインフラなどを支えていくでしょう。ソフトウェアとハードウェアも、もっと密接になって、ITそのものがひとつになっていく。そういうものをインフォテリアでも作っていきたいと思っています。

― 株主の皆様へのメッセージ

北原:株主になっていただくということは、当社の未来に投資をしていただくことだと思います。私たちはそれに応えられるようなソフトウェアを作っていきますので、投資家の皆様には私たちの考え方を理解していただき、当社の未来に永く株主として参加していただければと思います。

平野:インフォテリアでは今必要なものを今提供するのではなくて、先に必要になりそうなものに対して投資をしていくことを続けます。その未来を一緒に作っていくような意識とご理解のある投資家の皆様にぜひ株主になってほしい、応援してほしいと考えています。これからも、どうぞよろしくお願いいたします。

以上
日時:2018年06月24日 10:00