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ブイキューブ × アステリア によるハイブリッド型バーチャル株主総会が
コロナ禍における株主総会の開催を強力プッシュ

ブイキューブCEO 間下 直晃 × アステリアCEO 平野 洋一郎

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― バーチャル株主総会とはどういったものですか

間下直晃(以下:間下):通常の株主総会は株主に会場まで来てもらって実施します。バーチャル株主総会は、株主が来場することなくオンラインで開催するものです。バーチャル株主総会には「参加型」「出席型」の2種類があり、参加型ではライブ中継の視聴のみが可能。出席型になると視聴に加え議案への投票(議決権行使)や質問をリアルタイムで行うことができて、オンライン参加でも株主として会場にいる時と同じような振る舞いが可能となります。ハイブリッド型バーチャル株主総会は両者を組み合わせたもので、会場で行う株主総会とオンラインのライブ中継を同時に行います。株主は会場とオンラインのどちらにも参加できるのです。

― なぜバーチャル株主総会が行われるようになったのでしょうか

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平野洋一郎(以下:平野):経済産業省では以前から企業と株主の対話促進を行っており、株主総会のあり方としてバーチャル株主総会を検討していました。新型コロナウイルスの感染が拡大したことで株主総会による3密を回避する観点から、2020年の2月下旬に「ハイブリッド型バーチャル株主総会実施ガイド」が公表されました。日本では、オンラインだけで行う完全なバーチャル株主総会はまだ法的に認められていませんが、ガイドが策定されたことでハイブリッド型での開催方法について初めて示されたのです。

― 2社は協業でハイブリッド型バーチャル株主総会をサービス提供しています。協業の経緯を教えてください

間下:まず、ブイキューブでは新型コロナウイルス感染が問題視される前から株主総会のライブ配信サービスを提供していました。コロナ禍は長期化する可能性もあり、そうなれば各社の株主総会の開催が危ぶまれます。そこで、コロナ禍における株主総会の開催と参加を手助けするために、配信システムのみならず、配信機材やスタッフの手配と派遣、配信サポートまでをパッケージにした「SCP(Shareholders meeting Contingency Plan)」の提供を2月18日に発表しました。

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平野:アステリアでは、3年前からブロックチェーンのテクノロジーを使って株主総会における議決権行使のシステム開発を進めていました。初年はシステム自体の実証実験、2年目は実際の株主にIDとパスワードを配布して議案への投票をしていただき、議決権行使の実証実験を行いました。そして、3年目となる昨年、議決権を伴う投票にまで進展させ、実サービスの運用開始となったわけです。
 いざサービスを本格的に運用しようとした矢先、新型コロナウイルスの感染拡大が日本国内でも勃発しました。3密の回避に向けてテレワークなどさまざまな取り組みが展開されるなかで、バーチャル株主総会への関心も高まりました。こうした状況下で、アステリアはバーチャル株主総会のシステムを提供して社会課題の解決に貢献したいと考えました。その時にブイキューブさんのSCPが登場。ブイキューブの安心安全なライブ中継システムとアステリアの投票システムを組み合わせれば、新型コロナウイルスの感染拡大対策が必要とされる中で企業と株主の双方にとって、非常に大きなメリットになると考えました。そこで、当方からブイキューブさんに声をかけさせていただきました。

― 6月の株主総会のピークを焦点にサービス提供できるように準備されたとのことですが、かなりのスピードを感じます

間下:すでに確立していた当社の独自技術をベースにしているためスピーディーな開発を実現し、コロナ禍に伴い急激に高まるニーズにお応えすることができました。なによりも、コロナ禍を受けてなんとかしなければ、と切迫感をもって動いたことが早期のサービス立ち上げにつながったと思います。(コロナ禍がない)通常の状況であれば、6月の株主総会ピーク時には到底間に合わなかったと思います。

平野:私もバーチャル株主総会におけるリアルタイムの議決権行使や株主質問サービスの普及には、数年かかるだろうと思っていたところコロナ禍が発生。理解するのに難解なブロックチェーン技術の付加価値はこういう時にこそより多くの方に伝わりやすいとも考え、3年間にわたる実証実験で培った技術を社外に提供することを決断しました。技術的な問題はあまりなかったのですが、運用上の問題をクリアするために証券代行会社である三菱UFJ信託銀行とのすり合わせには充分な時間をかけました。

― 今後行う予定のシステムの改良点などがあれば教えてください

間下:現在、数多くの企業と総会の準備を進めています。その中で出てくる要望は、情報登録の方法や画面上の表記の仕方など各企業の要望に合わせた小さな改良です。いずれにしても、システムの主要な部分はすでに完成していますので、根本的な変更はありません。現在は企業と株主の双方にとって、使い勝手の向上に関わる改善を進めています。

平野:弊社側では、配信サービスとの連携や委任状機能に取り組んでいきます。委任状については現状、証券会社を通して紙による手続きが義務付けられています。これをブロックチェーンを活用して、迅速かつ間違いなく執行できるように改良していきたい。また、議決権行使内容についてのアドバイスを行う企業があり、ブロックチェーンで実装されていることで、その助言をスマートコントラクトで自動化することも可能になると考えて検討を進めています。

― 御社以外に、バーチャル株主総会の市場に参入する企業も想定されますが、競合優位性についてはいかがですか

間下:いずれは競合相手も出てくると思います。ただし、現状で株主総会のライブ配信のオペレーションに関してブイキューブほど実績のある会社は見当たりません。さまざまなリスクを考慮すると、この市場への参入ハードルは高いと思います。ブイキューブでは株主総会も含めてイベントのライブ配信を年間約3千件手掛けていますが、ライブ配信はどれだけ準備をしていても、インターネット回線が瞬断してしまう、音声が途切れる等、一定の確率で事故が起きてしまう。そうしたトラブル発生時に、いかに素早く確実にリカバリーできるかが企業価値につながる世界です。

平野:ブロックチェーンを使った議決権行使についても競合相手が出てくるでしょう。しかし、私たちはすでに3年間の実績とノウハウがあり、そう簡単に追いつくことはできないと考えています。

― バーチャル株主総会の市場について、今後の展望をお聞かせください

間下:需要はかなり期待できると思います。企業が一度バーチャル株主総会を開催したら、株主から継続の要望が必ず出てくると思います。また、バーチャル株主総会がある程度普及していけば、導入していない会社には株主から開催の要請があるでしょう。

平野:同感です。株主総会は上場企業だけが行うものではなく、非上場の会社でも簡易的な株主総会を行っているケースは多々あります。上場企業でバーチャル株主総会が定着すれば、裾野はどんどん広がっていくのではないでしょうか。実は、ブイキューブとの協業の発表をしてからのお引き合いは企業だけではありませんでした。業界団体の総会や学会など、オフィシャルな会合をバーチャル株主総会と同じような形で行いたいという要望を複数いただいています。

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間下:ブイキューブでは、当社の第20回株主総会を、バーチャル株主総会の実現に向けた実証実験も兼ねて3月25日に開催しました。これまでやってきたことを経済産業省のガイドラインに当てはめて、その確認を行ったわけです。参加者の反応、コメントに対するオペレーション対応、その他にも実サービスの提供に向けた知見の集積はかなり進んだと思います。今回の株主総会で驚いたのが、参加者とその内訳です。例年だと会場とオンライン、それぞれ30名程度の参加者なのですが、今回は会場約10名、オンライン約120名の方に参加していただきました。まさにコロナ禍を反映した結果だったと思います。

平野:バーチャル株主総会を行えば、出席に必要な時間と距離のハードルをグッと下げられる。ブイキューブさんの事例は導入の追い風になってくれると思います。コロナ対策という面だけではなく、幅広い株主の参加や企業ガバナンスの向上という点から考えると、今後はバーチャル株主総会は上場企業に100%の普及が必要だと考えています。

間下:そうですね。バーチャル株主総会が常識になる世界にしていきたいし、半ばそうなるだろうと思っています。技術面の課題はほぼクリアできていますし、制度面でも進展している。普及の障壁となっているのは、人々の心理的なハードルだけではないでしょうか。

― バーチャル株主総会のサービスは、両社にとってのコア技術の具現化だと思います。このコア技術を今後どのように展開されていきますか

間下:ブイキューブは「Evenな社会の実現」、つまり「すべての人が平等に機会を得られる社会の実現」を目指して事業を展開しています。このミッションに沿って、今後は医療や教育、金融、行政など、様々な分野に技術を応用していきたいと思っています。
 株主総会に限らず、そこに行かなければできない、実際に会わなければ叶わない機会は数多くあります。しかし、参加できずにチャンスを失ってしまうケースは多い。機会の不平等は、大都市への一極集中や少子高齢化、教育や医療の格差など、世間で取り沙汰されている問題を引き起こしている元凶ではないでしょうか。映像コミュニケーションを活用すれば、距離や時間の壁を取り払い、社会に鬱積する問題の解決につながると思っています。
 今般のコロナ禍をきっかけに、これまで当たり前だったことを見つめ直してみようという動きが出ています。株主総会についても、バーチャルな形態でも実現できることに気付いていただき、バーチャルを新たなスタンダードにしていきたい。

平野:アステリアは「つなぐ」をテーマに、非中央集権型の社会を目指した取り組みを行ってきました。大都市にいるから恩恵がある、そこに行けるから優遇される社会ではなく、フラットにつながっていける社会の実現です。そのためのキーとなる技術がブロックチェーンです。仮想通貨を連想される方も多いかもしれませんが、それは応用法のひとつでしかありません。ブロックチェーンの根本的な価値は信頼性を強力に担保することです。このテクノロジーを活用することによって、どこにいても安心・安全につながって権利を行使することができます。
 間下社長がおっしゃられたことは、コロナ禍を受けて今、取り沙汰されているニューノーマル(新常態)に通じるお話です。ニューノーマルでは、「クラウド化」「遠隔化」「自動化」といったIT技術が急速に普及します。この3つを、信頼性を担保しながら具現化するための技術として有効なのが、ブロックチェーンだと考えています。

以上
日時:2020年06月25日 10:00