イベント・セミナー


【日経コンピュータ 主催】
MDM & Data Governance Summit Tokyo 2012[東京]


去る2012年6月14日に、日経コンピュータ主催の日本最大級のMDMのイベント『MDM & Data Governance Summit Tokyo 2012』が開催されました。本イベントの中で日本データマネジメントコンソーシアム(以下、JDMC)浜口会長(NTTデータ相談役)、リアライズ大西社長、インフォテリア油野執行役員を交え鼎談「ビッグデータ時代の今、グローバル競争に勝ち抜くため経営者がITに求めることは?」が行われました。

当日は300名の会場が満席になる熱気で、本テーマに対する期待の高さがうかがえました。グローバルでの競争の激化、ビッグデータ等のテクノロジーの進化が進む今、ITには一体何が求められるのか?レポート致します。

鼎談風景

 

経営者のスピードに答えるITが求められている

JDMC浜口会長(NTTデータ相談役)

(油野執行役員)JDMCは設立から1年経ち、データのマネジメントの分野は、ユーザー企業を中心に100社近い企業が集まるという盛り上がりを示しています。経営から見たITに求めている課題は何で、その中のデータマネジメントはどのような役割を果たすのでしょうか?

(大西社長)従来は個々の業務処理を効率化するITが求められていましたが、昨今の経営者のITに対する期待感は大きく変わって来ています。海外を含めて散在しているデータを掌握してビジネスにどのように活用するのかといった点に、経営者の関心が大きく移ってきているように思われます。アプリケーションはクラウドなどで代替が効きますが、データは代替の効かない自社の資産という点の認識がされてきています。こういった状況であるものの、住基台帳上実在しえない高齢の住民が存在した問題のように、システムは作ったものの、データ品質が維持できていないことからデータ活用ができないケースが散見されます。この課題を解決するためには、システム化だけでなくデータの投入ルールや運用の見直しといった、地道なデータマネジメントの取り組みが必要になってきます。

(浜口会長)経営者は何よりも早くといった要請が高く、せっかちだと感じています。とにかくITの仕組みを早く変えたい、データを見たいといったことにIT側は応えて行かなければいけないと思います。トップの考えを素早く理解して、散在したデータの整理・統合やファンクションの変更を行い、インストールしていくという意思決定を支援する力が求められています。そのためにはユーザー企業側のIT構築・運用の体制が必要であり、プロジェクト単位での雇用をする欧米のように、ベンダーからユーザー側に要員を派遣するといったことも今後求められてくると考えています。

(油野執行役員)経営者はせっかちとのことですが、経営者が欲しいデータが早く見られない理由は何なのでしょうか?

(大西社長)同じ意味にそろえる読み替えといったことが集計段階で行われることがその一因です。「受注日付」といったカラムを、ある子会社では「発注書を受け取った日付」、別の子会社では「営業が受注手続きをした日付」のように、異なる意味でデータが投入されてしまうため、集計段階でのデータ整理、読み替えが必要になってしまうのです。結果レポートを出すために1週間たってしまい、データ活用のタイミングと合わないことが起こっています。

(浜口会長)システムは個別システムから作られ、そこから部門、全社、連結会社と少しずつ結びついています。この最後までデータの結びつきができている会社は少ないと思っています。更にその先にはグローバルといったものがあり、今度は各国のデータの結び付けが必要です。そのためには各所で保有するマスタデータの意味、粒度、鮮度といったものを定義し、マネージしなければいけません。ただこれは一筋縄ではいかないため、全てを対象とするのではなく、基本的な部分から実施していくことが大切と考えています。

(油野執行役員)データマネジメントにはどんな地道な活動が必要なのでしょうか?

(大西社長)リアライズはある商品を「クッキー」なのか「ビスケット」なのかといったことを定義付け、分類付けを行うなどのビジネスを行っており、このような地道な活動をすることで正しいマーケット分析ができるようになります。こういった、データをマネージする担当者を重要な役割と会社の中で位置づけることも今後企業に求められてくると思います。

日本企業のグローバル化には世界規模のITを視野に入れる発想の転換が必要

インフォテリア油野執行役員

(油野執行役員)日本企業がグローバル化をするためにITに何が求められるのでしょうか?

(浜口会長)製造業はグローバル化が進んできていますが、IT企業は遅まきながらグローバル化が始まってきています。それには段階があり、1段階目はオフショア、2段階目は海外進出日本企業のITサポート、3段階目はグローバルな海外企業のサポートといったような具合です。特に3段階目についてはオファーの機会が多々あるものの、例えば50カ国でサポートできることが応札条件といったようなことがあり、何よりも各国に拠点を作ることが必要です。ただ、そのためにも各国拠点でビジネスが成り立ち、その上でグローバルなビジネスをしていくということがステップかなと考えています。

また、何か新しいITサービスを考える場合、日本から考えるのではなく、最初から世界規模で考える発想の転換が必要と考えています。あるアプリケーションを作るにしても、各国の違いを鑑み最初から階層構造で作る必要があります。財務パッケージを例に取ってみると、同じEUであっても法制度などからオランダ、ベルギーなど各国で異なる仕様が要求され、そのためには、各国仕様としてアプライできるようなモジュール化が必要になります。

(大西社長)何よりもビジネス側面からデータを読み解く力が求められていると考えています。あるネット企業において悪意をもったカスタマーを発見するために、データを活用している事例を聞きました。グローバルという視点になると、データは更に膨大になっていくわけで、そのためにも目的をもってデータを読み解く力が求められてくるのではないでしょうか。

(浜口会長)先日韓国に行ってきました。ITと言えば欧米が進んでいると感じていたのですが、韓国は更にIT化が進んでいるように思えます。特に電子政府・電子行政が進んでいると感じました。日本と何が違うかというと、韓国は行政のシステム化をする前にBPRをしています。例えば、日本で言う公的年金、国民健康保険、労働保険、雇用保険について、半官半民の第3セクターを作り一体徴収を実現しています。こういったBPRは政治家がリードしています。また韓国政府のCIOが最初に取り組みを始めたことがDBの統合ということです。同じように米国においても、民間から政府のCIOに転身した人から聞いたのですが、就任の際に自身の名前を20回も書かなければならないことに疑問を感じDBの統合を進めて行ったそうです。地道なのですが、こういったことからスタートしていかなければデータ活用は進みません。

ときめかないデータは捨てたほうがいい

リアライズ大西社長

(油野執行役員)最後に、これからのデータマネジメントに対する展望は?

(大西社長)リアルからネットの取引が進化するにつれ、データが持つ力が益々重要になってくると感じています。データが商品の魅力を伝え、それが企業の売上につながってくるという世界観を作っていきたいと考えています。

(浜口会長)データについては時系列も考えて行ったほうがいいです。アメリカ人は役割の終わったものはどんどんアーカイブをする、捨てるということがうまいと感じています。日本人でも先日ベストセラーになった近藤麻理恵さんの「ときめきの整理学」が参考になります。彼女の整理学というのは捨てるということ。データについても同じで、ときめかないデータは捨てたほうがいいと思います。

(油野執行役員)ありがとうございました。


■インフォテリア×リアライズによる共同商品ASTERIA MDM One GT発表

5月29日にインフォテリア×リアライズによる共同商品ASTERIA MDM One GTを発表しました。本サービスは、企業のデータ管理における現状分析と、マスタデータ管理への投資対効果の明確化を行うサービスです。 サービス名にある”GT”は”Generic Template”の略であり、リアライズが培った分析ノウハウをテンプレート化することにより、より迅速に効果の透明性を高めることが可能となります。

ASTERIA MDM One GTサイト

https://www.infoteria.com/jp/mdm/lineup/gt/

■日本データマネジメントコンソーシアム

http://japan-dmc.org/

 


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