2026年5月11日

優勝企業はリィ! スタートアップワールドカップ2026、初開催の名古屋予選をレポート

世界最大級のグローバルピッチコンテスト『スタートアップワールドカップ2026名古屋予選』が2026年4月23日、STATION Ai、名古屋公会堂にて開催されました。白熱したイベントのハイライトをレポート形式でお届けします。


アステリアの社外取締役でもあるアニス・ウッザマン氏が創業者兼CEOを務める、米 ペガサス・テック・ベンチャーズが主催する「STRATUP WORLD CUP スタートアップワールドカップ」。

2026年4月23日、中部地方では初開催となる名古屋予選会が行われました。
優勝投資賞金100万ドル(約1億5000万円)をかけてシリコンバレーで行われる世界大会への出場権を目指し、約120社の応募から選ばれた精鋭10社が、その技術とビジョンをぶつけ合いました。

モノづくりの聖地とも呼ばれる名古屋で、日本代表の切符を手にしたのは果たして――?
熱戦の模様をレポートします!

開催直前に行われた記者発表会をレポートした、こちらの記事もあわせてチェック!

▼ スタートアップワールドカップ2026がいよいよ開幕! 初の名古屋予選、その見どころは?
https://www.asteria.com/jp/inlive/startup/8173/

小中高・高専生の挑戦者による白熱した「ユースピッチコンテスト」

今回の名古屋予選にて最も注目されていたと言っても過言ではないのが、本ピッチに先立ち行われた、日本では初の試みとなる小中高・高専生を対象とした「ユースピッチコンテスト」。

書類審査を勝ち抜いた4チームの若き挑戦者たちが、世界決勝戦への出場権をかけ、独自の視点とアントレプレナーシップを披露しました。

トップバッターとして登壇したのは河合塾学園ドルトンスクール東京の志方嶺太さんです。お母さんが小麦製品で体調を崩していた際、米粉のパンケーキを手作りして喜んでもらった原体験を語り、誰もが安心して食事を選べる社会を目指すグルテンフリー認証アプリを提案。

「たとえ少数派であっても、決して無視してはいけない問題がある」と、食の多様性への想いを訴えました。

さらに続く、河合塾学園ドルトンスクール東京の「チーム☆キッズ選挙」は、子供の意見を政策や企業の商品開発に反映させるオンラインプラットフォームの案を披露。「大人が作る社会に対し、どうすれば子供の意見を届けられるのか」という問いかけから、政治離れを防ぎ、社会と子供を直接つなぐ、新しい仕組みを提案しました。

3番手には、伝統文化「和」の機能を現代のライフスタイルに再定義するプロジェクト「WAlivA」を掲げた愛知県立小牧高等学校の生徒が登壇。和太鼓や空手の経験、保護猫との生活から着想を得た、静電気を防ぐ上質なペット用ブランケットを提案し、「日常から遠ざかりつつある『和』の文化をもっと身近なものにしたい」と、職人の技術継承を見据えたビジョンを明かしました。

ラストを飾ったのは、神山まるごと高等専門学校の「隣の高専生」です。
高専生の卓越した技術力が社会で生かしきれていないという課題を指摘。「高専生は日本の財産である」と高専生とクライアントをつなぐマッチングプラットフォームの構築を提案しました。

大舞台のピッチで緊張もあったはずですが、皆さん、審査員からの質疑応答にも堂々と答えている姿が印象的でした。

審査の結果、見事優勝を勝ち取り、シリコンバレーへの切符を手にしたのは、グルテンフリー認証アプリを提案した志方嶺太さん!

「世界大会に向けて、さらにサービスをパワーアップさせたい」と語る彼の瞳には、すでに世界を見据えた挑戦心が宿っていました。ちなみに河合塾学園ドルトンスクール東京のnoteでは、この大会の裏側にあった出場者たちの成長の記録も綴られています。あわせて読むと、思わず胸が熱くなりますね……!

▼【速報】ドルトンの子どもたちが世界へ!! ~スタートアップワールドカップ ユースピッチ優勝の瞬間に立ち会って~ https://note.com/dalton_school/n/ne7afa75da2e4

地元企業を含む10社による白熱したピッチバトルがスタート

そして、ユースたちの熱いバトンを受け取り、いよいよ本ピッチが幕を開けました!

審査員長を務めるアステリア株式会社社長の平野洋一郎による「名古屋から世界一のチャンピオンを」という号令のもと、地元・愛知発の企業を含む10社が、それぞれの課題に対するアプローチや事業展望を披露しました。

最初に登壇したのは、株式会社FLIGHTSです。
取締役CFOの芳賀英樹さんは、建設業界はマーケットが拡大する一方、人手不足が深刻化し、建設の白紙化や遅延が頻発している課題を指摘。同社が提供する、特殊技能なしで高精度な3D計測を可能にする「ラクソク」の有用性を強調しました。芳賀氏は「日本の優れた土木技術を世界へ展開していく」とグローバル展開への意欲を語りました。

続いて登壇したのは、代表取締役CEOの小尾一介氏率いるLocation AI株式会社です。
小尾氏は、Google在籍時、AndroidやGoogleマップのナビゲーションに関する業務に携わった経験から「スマートフォンの位置情報は巨大な資産になる」と確信。

アプリ会社から提供を受けた国内9300万、世界42億台の位置情報データを、生成AIを用いて分析できる人流分析プラットフォームを立ち上げました。

続いて、株式会社リィの代表取締役CEO、廣瀬あゆみ氏が登壇。
発達障がいのある子どもは運動機会が失われがちだという課題を指摘。そこで同社では、AIが2000種以上の運動プログラムの中から、本人の発達や運動レベル、興味関心などに応じた最適なメニューを自動生成する支援プログラムを開発しました。

「子供たちが『楽しいからできた、もっとやりたい』と感じ、無意識のうちに課題をクリアできる環境を作りたい」と、子供の主体性を引き出す療育の仕組みを訴えました。

続く代表取締役の松岡広明氏が登壇した株式会社レボーンは、中学時代にロボカップの世界大会に出場した際、「カメラやマイクなど、人間で言う目と耳に代わる技術があるが『鼻』はない」という原体験を語りました。

においを感知するセンシングデバイスや、においを再現するデバイスなどを開発し、これまで人力に頼らざるを得ず、高コストだった食品の腐敗チェックなどを自動化できると強調しました。

続いて登壇したのは、AstroX株式会社の代表取締役CEO、小田翔武氏です。世界的なロケット不足という課題に対し、気球でロケットを成層圏まで運び、そこから空中発射する「ロックーン(Rockoon)」方式を開発。

世界初の空中発射を成功させました。小田氏は「成層圏からの空中発射により、宇宙輸送コストを劇的に引き下げる」と、地上設備に依存せず、低コストで高頻度な打ち上げが可能になると強調しました。

熱の入ったピッチも後半戦に突入。
代表取締役社長の高田智泰氏率いるディーツフードプランニング株式会社は、おからとこんにゃくを独自製法でアップサイクルした「ディーツ(Deats)」を開発。

ディーツは、肉や魚介類など様々な食感の代用食品として使用することが可能で、学校給食や航空会社の機内食として活用されているほか、海外展開もスタートしています。高田氏は「廃棄される運命にあったおからに、高付加価値を与える。それが我々の技術だ」と、環境負荷低減と食の満足度を両立させる役割を示しました。

続いて登壇した株式会社マップフォーの代表取締役CEO、田中一喜氏は、同社が開発した高度な空間認識技術により、自動運転やインフラ点検の生産性を向上させるソリューションを提示。「人間の知覚を超えたレベルで3次元空間を認識し、産業構造の変革を導きたい」と訴えました。

代表取締役CEOの真鍋拓也氏が登壇したゲシピ株式会社は、人気ゲームの世界で実践的な英語を学ぶeスポーツ英会話の実績を紹介。「講師と生徒が同じゲームの世界にログインし、プレイを通じて英会話レッスンを完結させる」と、新しい形の教育サービスを日本から世界へ展開する狙いを語りました。

続いては、株式会社iBodyの代表取締役CEO、天草陽氏が登壇。
これまで長期間かかっていた抗体発見にかかる時間を大幅に短縮する技術を開発。「年単位を要していたプロセスを数ヶ月へ。この圧倒的な時間短縮こそが、我々の提供価値だ」と、名古屋発のバイオテックが医療の進展に貢献する決意を語りました。

最後の登壇となったのは、京大発のスタートアップ、メトロウェザー株式会社の代表取締役CEO、古本淳一氏です。

赤外線レーザーを用いて大気の流れを可視化するドップラー・ライダーを活用し、風況の観測やドローンの検知などに活用できるシステムを開発。「AI全盛の今だからこそ、精緻な気象データがなければ確かな未来を予測することはできない」と、防衛やインフラを支えるデータホルダーとしての意義を力説しました。

AI時代におけるスタートアップと大企業の協業とは?

会場では、「AI時代の勝ち筋 スタートアップと大企業の本当に機能する協業とは」をテーマにしたパネルディスカッションも行われました。

砂金信一郎氏(Gen-AX)、森川亮氏(C Channel)、大櫃直人氏(ミダスキャピタル)を迎え、高野真氏(D4V Founder & GPリンクタイズホールディングス)の進行で議論が行われました。

森川氏は「AIが苦手とする感情やエンタメ領域こそ勝機がある」と言及。大櫃氏は、大企業からスタートアップへの人材流動が、両者の共通言語を作る「通訳」として不可欠であると指摘しました。また、砂金氏は「AIで一瞬で答えが出る時代だからこそ、成功するまで辛抱強くやり続けることが勝ち筋となる」と会場のスタートアップにエールを送りました。

厳正な審査の結果、優勝に選ばれたのは…

さて、パネルディスカッション後は、いよいよ審査結果の発表です…! 審査の結果、第3位には株式会社iBody、第2位にはAstroX株式会社が選ばれました。そして、栄えある名古屋予選の優勝に輝いたのは……、

株式会社リィ です!

代表の廣瀬氏は、名前を呼ばれた瞬間は驚きを見せつつも、「自分たちのエネルギーとパワーを世界中の子供たちだけでなく、たくさんの人を運動させ、幸せな世の中にすることに使いたい」と喜びを語りました。

リィは、2026年11月にシリコンバレーで開催される世界決勝大会に、日本代表として出場します。優勝投資賞金100万米ドルを目指し、名古屋から世界へ。地域の期待を背負った彼女たちの挑戦は、ここからが本番です。

▼ STARTUP WORLD CUP GRAND FINALE https://www.startupworldcup.io/grand-finale

スタートアップワールドカップ名古屋予選レポまとめ

初開催となった名古屋予選では、ものづくりの街ならではのディープテック企業から、教育・福祉・宇宙・AI領域まで、多彩なスタートアップが集結。さらにユースピッチコンテストでは、小中高・高専生たちが堂々と世界を見据えた挑戦を披露し、“次の世代”の熱量も強く感じられる一日となりました。

スタートアップワールドカップ2026は、このあと東京予選、九州予選へと続いていきます。次に世界への切符を掴むのはどの企業なのか――? in.LIVEでも引き続き、その挑戦の行方を追っていきます! どうぞお楽しみに。

スタートアップワールドカップ2026 東京予選情報

日時:2026年7月17日(金)
会場:グランドハイアット東京
観戦チケットはこちらからご購入いただけます

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この記事を書いた人
in.LIVE 編集部 アステリア株式会社が運営するオウンドメディア「in.LIVE(インライブ)」の編集部です。”人を感じるテクノロジー”をテーマに、最新の技術の裏側を様々な切り口でご紹介します。