2026年3月4日
JPYC株式会社が、資金移動業者の登録を取得し、日本初の「日本円建ステーブルコイン」を発行できることになったのは、2025年8月。あれから約半年の間に「JPYC」の利用動向や事業環境はどのように変化してきたのでしょうか? こ …
JPYC株式会社が、資金移動業者の登録を取得し、日本初の「日本円建ステーブルコイン」を発行できることになったのは、2025年8月。あれから約半年の間に「JPYC」の利用動向や事業環境はどのように変化してきたのでしょうか?
こうしたステーブルコインの現在地と展望を分かりやすく解説すべく、アステリアでは2026年2月17日に「ステーブルコインフォーラム」をオンラインにて開催。
JPYC社 の岡部典孝代表をゲストに迎え、登録後の半年間で明らかになった日本円建ステーブルコイン「JPYC」をとりまく現状についてお話ししました。また、アステリア社長の平野洋一郎から、リリースを発表したばかりの「JPYCゲートウェイ」をはじめとする各種取り組みを通じて見えてきた、実社会におけるステーブルコイン活用の可能性について紹介しています。
今後のステーブルコイン市場の展望や、注目すべき論点とは? また参加者から寄せられた率直な質問に対する回答についても、内容とあわせてダイジェストでまとめました。
◆ 動画アーカイブ(約60分)も公開中です。興味のある方はぜひこちらからご覧ください。
イベントの冒頭ではJPYC代表の岡部氏が登壇。JPYCが日本円のステーブルコイン唯一のライセンスを取得して発行している会社であることを改めて強調しながら、2026年10月27日の発行開始から約3ヶ月、どのような推移があったかを振り返りました。
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2026年2月15日現在の実績としては、口座開設をして本人確認をした方が1万3000人、JPYCホルダーが8万2000人、総発行量12.8億円という数字を発表。1日あたりのトランザクションは、多い日で4億円以上に達しているとのことで、いずれも予想を大きく上回る数字を記録しています。
日本円ステーブルコインを支えていく上では、どれだけ多くの方に使ってもらえるか? ということが重要になりますが、JPYCの活用事例として、本フォーラムでは以下のような協業や実証実験が紹介されました。
– 「LINE NEXT」との協業により、LINEアプリでの活用に向けた取り組み
– 「Bリーグ」の会場でマイナンバーカードによるJPYCタッチ決済の実証実験
– 「Visa」クレジットカードでの利用(Nudgeカード)
– 国内のWeb3ウォレットである「HashPort Wallet」での手数料・ガス代無料での利用
– 「JCB」と「りそなホールディングス」「デジタルガレージ」による加盟店での実証実験
– 「チェンジホールディングス」によるふるさと納税での活用 など
上記は一例ですが、クラウドファンディングやAIエージェントとの連携など、JPYC決済を後押しするさまざまな取り組みが自律的に展開しはじめているとのこと。さらに、現在は海外での展開も積極的に進めており、海外クレジットカードの「Tria」カードでのJPYCによるデポジット対応や、「Uniswap」や「Morpho」などのDeFi分散型金融での利用拡大について紹介しました。
短い期間の中で、驚くほど多くの事例展開が進んでいますが、岡部氏は、JPYCの大きな特色として、企業が自社のサービスにJPYCを組み込む際に当社の許可が不要(Permissionless)であることを強調しました。
こうした仕組みを採用することで、JPYC社が直接関与しない場所においても自立的・自律的に組み込まれており、想定を超えるスピードで、発行体の意思に関係なく多様なサービスに広がっているとのことです。
続いて登壇したのは、アステリア社長の平野。ステーブルコインの価値が安定しているということはもちろん、他の決済手段と違って、365日24時間動作、リアルタイム着金、マイクロ決済対応、プログラム可能、ボーダーレス性、AIエージェントへの適正度など、さまざまな可能性があることに触れました。
そしてここからは、アステリアのJPYCへの取り組みの歴史について。
– 2016年:ブロックチェーン推進協会(BCCC)立ち上げ
– 2017年:Zenプロジェクトでアルゴリズム型ステーブルコインJPYZ発行
– 2020年:ステーブルコイン部会設立
– 2021年:JPYCに出資(株主)
– 2023年:「ステーブルコインの日」制定
と、JPYCが資本移動業者に登録される約10年前からさまざまな取組みを行ってきたアステリア。さらに直近半年間の取り組みとしては、アステリアの主力製品である「ASTERIA Warp」とJPYCが接続可能になる「JPYCゲートウェイ」を発表したことにも触れました。
JPYCゲートウェイを通すことで、JPYCが企業のあらゆるシステムと接続することができるようになります。ステーブルコインを活用することで即時決済ができることになり、「ASTERIA Warp」を利用している1万社以上の顧客の経済速度が上がっていくことにも繋がるのです。
また、2026年1月には、JPYCへの5億円の追加出資/資本業務提携を発表しました。
平野はプレゼンの最後で「AI経済においてはステーブルコインが重要な役割を果たす」ということを強調。AIエージェントによるリアルタイム従量課金、マイクロ決済、自動化された精密な決済などが可能になると説明しました。
アステリアでは本フォーラムの後、2026年2月27日に、日本初の企業向けJPYC入出金管理サービス「JPYC Gateway」を4月1日より提供開始すること、また送金手数料を1件8円とすることを発表しました。
引き続きアステリアは、JPYCと相互に協力関係を強めながら、ステーブルコイン事業の成長・関連ビジネス創出を加速させてまいります。
両社のプレゼンテーションが終了したあとは、参加者からリアルタイムで寄せられた質問に回答していきました。以下、質疑応答の一部を抜粋してご紹介します。
ー 最近は閣僚の方々ともお会いされているとうかがっていますが、政財界での温度感はいかがでしょうか?
(岡部氏)非常に熱が高まってきていると感じています。日本は国家戦略としてステーブルコインを本格的に打ち出していくのだろうと思わせる閣僚の発言も相次いでいます。先週は韓国に出張しましたが、銀行や政府関係者の間でも、日本以上ではないかと思うほどの盛り上がりを感じました。今後さらに加速していくのではないかと思っています。
ー アステリアはJPYCとの連携でどのような恩恵を受けられますか?
(平野)JPYCとの連携による恩恵という点では、まず未来の経済づくりに貢献できること自体が大きな喜びです。これまで積み重ねてきた取り組みが形になり、私たちの存在意義や価値がより高まると考えています。
業績面で申し上げると、説明した通り「JPYCゲートウェイ」を提供していきます。企業で導入いただければ利用料という形で売上につながります。さらに、現在すでに1万社以上に利用いただいている「ASTERIA Warp」の販売拡大にもつながる可能性がありますし、ノーコードアプリ開発ツール「Click(クリック)」の需要増加も期待しています。
もちろん、これで終わりではありません。今後もソフトウェアやサービスを開発し、JPYCやステーブルコイン全体の普及を支えていきます。その価値向上が、結果として私たちのリターンにもつながると考えています。
ー JPYCトラストの発行時期について
(岡部氏)JPYCトラストについては、三菱UFJ信託銀行様やProgmat様と共同検討を進めていることを発表しています。一方で、現在は資金移動業として発行しているJPYCの拡大に注力している段階です。
JPYCトラストの具体的な時期については、三菱UFJ信託銀行様側の進捗にもよりますので、現時点では未定となっています。
ー JPYCに利回りはありますか?
(岡部氏)私たちは銀行業ではありませんので、利回りを約束して支払うことは認められていません。ただし、JPYCを活用した貸借サービスは当社以外の事業者によって提供されています。金利はサービスごとに異なりますが、一般的には国債より高い水準になる可能性はあります。ただし、これは当社が提供するものではなく、市場原理で決まるものです。
JPYC自体に金利がないという誤解もありますが、貸し借りの段階では日本円と同様、市場で金利が発生します。私たちが利息を提供しているわけではありませんが、今後もさまざまなサービスが生まれてくると思います。
ー JPYCの利用拡大の進捗とトリガーは?
(岡部氏)発行量については概ね想定通りです。一方で、償還(払い戻し)が想定よりやや多い印象があります。今後はJPYCを利用する企業やサービスを増やし、経済圏を広げることが重要です。たとえば、国内外の取引所で現地通貨とスムーズに交換できるようになることは、大きな転機になるでしょう。
LINE NEXTとの共同検討も非常に期待しています。LINEアプリ上で決済やポイント付与に活用されれば、一気にユーザーが拡大する可能性があります。海外では、特に韓国での評価が非常に高いと感じています。日本の厳格な規制のもとで発行された信頼性の高い日本円ステーブルコインとして認識されています。
ー 2030年への展望について
(岡部氏)2030年の世界でのステーブルコイン発行量については、400兆円〜600兆円(現在の8倍から12倍)と予想されています。企業がステーブルコインを使わないということは、≒(ニアリーイコール)AI経済圏から取り残される可能性があるともいえます。
ステーブルコインを使うかどうかというのは、今後、企業としてAIをどう使うかどうか? という判断にも直結する部分だと考えています。そういった意味で、AIとステーブルコインがセットで使われるというようなシナリオを描いているところです。
沢山の質問が寄せられ、多くの人の関心を集めていること、またJPYCが日本初かつ唯一のライセンスを持つ日本円ステーブルコインとして、順調に成長していることを実感できた本イベント。フォーラムの最後には、岡部氏から「JPYCを通じて、日本円ステーブルコインの世界シェアを最低でも10%、できれば25%まで広げたい。それが実現しなければ、日本円の存在感が未来のデジタル金融で失われてしまう可能性がある」と強いコメントが寄せられました。
また平野は「アステリアはこれまでも未来にコミットしてきた。Warpも、ノーコードも、ブロックチェーンも、最初は理解されにくいものでしたが、今では重要な柱になっている。ステーブルコインも同様で、実証実験から8年かけてここまで来た。簡単な挑戦ではないが、日本企業の競争力向上、日本経済への貢献に必ずつながると信じている」とまとめました。
AI時代の新しい経済インフラとしての役割が期待されるステーブルコイン。今後もアステリアではさまざまな関連事業の展開や、勉強会などのイベントを行っていく予定です。ぜひSNSなどのアカウントもフォローいただき、動向をチェックしてみてくださいね。
最後までご覧いただき、ありがとうございました!