2025年10月27日

日本初の ”JPYC払い” にも対応! 次世代クレカ「Nudge」体験会へ行ってきた

JPYC発行のニュースが発表されたわずか一ヶ月後に、次世代クレカ「Nudge(ナッジ)」は、JPYC払いの受付をスタートすることを発表。そんなナッジが開催した、オリジナルクレカ作成のサービス体験会をダイジェストでまとめました。 一般社団法人Fintech協会の代表理事も務める、同社代表の沖田貴史氏によるプレゼンテーションも。


2025年8月、JPYC株式会社が金融庁から資金移動業者として承認を受け、日本初のステーブルコイン「JPYC」を発行するというニュースが業界内外に大きなインパクトを与えました。金融業界では新しいお金のあり方をめぐる議論やトピックスが相次いでいますが、その流れの中で先週注目を集めたのが「次世代クレジットカード」を発行するナッジ株式会社です。

◆「Nudge」公式サイト
https://nudge.cards/

JPYC発行のニュースが発表されたわずか一ヶ月後に、次世代クレカ「Nudge(ナッジ)」において、JPYC払いの受付をスタートすることを発表。Visaの対応店舗でステーブルコインによる支払いができるようになるということで、クリプト界隈を大いに盛り上げました。

◆ 次世代クレカ「Nudge」、国内初 (※1) となるステーブルコイン「JPYC」払いの受付をスタート
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000257.000073456.html

そんなナッジ株式会社が、2025年9月17日(水)、世界で一枚だけのオリジナルクレカ作成のサービス体験会を実施するということで、in.LIVE編集部も現地に駆けつけてきました! ナッジ代表であり、一般社団法人Fintech協会の代表理事も務める沖田貴史氏が登壇するということで、このJPYC払いに関するニュースについても色々と聞くことができるはず…! 

会場となった、「FINOLAB」@大手町

誕生から4年を迎えた、次世代クレカ「Nudge」

サービス体験会は、代表の沖田貴史氏によるプレゼンからスタート。

2020年に創業したナッジですが、サービス開始までの準備期間はおよそ1年半。オープンイノベーションを体現しながら開発されてきた「Nudge」は、大掛かりな金融システムを開発するのではなく、ユーザーの反応を見ながら随時サービスを改善させていくアジャイル型のシステム開発を採用し、 “クレジットカード×スタートアップ” という独自のポジショニングを確立してきました。

同社のミッションは「ひとりひとりのアクションで未来の金融体験を創る」ということ。金融サービスを通じて日常生活のフリクション(不便・不安・不満)をなくすだけではなく、その先にある ”自然と使いたくなる楽しい金融体験” の創出を目指しています。 日本のキャッシュレスによる決済比率は約40%。東京都では50%を超えているようですが、世界的に見るとまだ低い水準にあります。現状としては、若い世代ほどキャッシュレス比率が高い傾向があるとされていますが、そのほとんどはQR決済なんだとか。

“Z世代に人気のクレカ” の特徴

Nudgeのユーザーの7割はZ世代ということで、イベントではZ世代が決済に求めることや、それを受けて開発されたサービスの特徴についても語られました。

1.スマホアプリを中心にサービスを設計
Nudgeは、アプリから最短3分で簡単に申し込み可能。一般的な審査はありますが、申請時の印鑑や口座情報、勤務先や収入の情報も不要です。TIKTOKなどを中心とした広告展開で若い世代の認知を広めています。

2.好きなタイミングで返済が可能
Z世代の「口座引き落としに抵抗がある」というニーズに応える「いつでも好きなだけ返済できる」仕組み。現金・デビットカードの感覚で利用ができるのはもちろん、スキマバイトとの相性も良いとのこと。通常のクレカは月に一度の引き落としですが、Nudgeのユーザーは、2回以上に分けて返済する人が全体の3割を占めるそうです。

3.オリジナルも作成可能、豊富なカードデザイン
一枚から発行できる提携カードが人気で、アーティストやスポーツチームのオリジナルデザインのクレジットカードを「公式グッズ」のような感覚で所有するケースも増えているそう。実際にカードを使うと、ポイント相当がアーティストや応援しているチームなどに還元(応援)される仕組みもあり、 ”推し活” の一環として、一人で複数枚のデザインのクレカを持つ人も多いそうです。

また特許出願中の機能として、推しのカードを使って決済すると、推しの声でサウンドが鳴る仕組みも紹介されていました( ”ペイペイ!” のサウンドようなもの)。実はこれは、有名YouTuberとのコラボカードをリリースした際に、ユーザーからSNSで「◯◯ちゃんの声が鳴ったら面白いかも」といった声があり、すぐに機能として開発したとのこと。前段のアジャイル開発の話にもあったように、スピーディーにユーザーの声に応えられる開発体制を実感しました。

プレゼンの中で「Z世代へアプローチするのは儲からないのでは? と思われがち」という話がありましたが、沖田氏はこれに対して「ファーストカードがメインカードになる傾向がある」と強調しています。また、アプリからチャットなどテキストで気軽に問い合わせできる仕組みにすることで、金融企業としてコストがかかりがちなコールセンターを強化する必要なく、ユーザーのサービス体験の向上とコストの削減を、同時に実現していると発表しました。

新サービス「JPYC払い」の発表の裏側

そして続いては、いよいよ! 新サービスとして9月に発表されたばかりの「ステーブルコイン『JPYC』払い」に関する発表。この日駆けつけたメディアの多くはこのニュースに関心があったのではないでしょうか。

ナッジでは、JPYC株式会社が発行予定のステーブルコイン「JPYC」での返済受付を2025年10月を目処に開始するとのこと。これにより、コンビニやレストラン、ネット上のサブスクリプションサービス、公共料金など、世界約1億5000万店舗のVISA加盟店において、JPYCでのお買い物が可能になります。

実はこのサービスの開発の裏側にあったのは、8月に行われたJPYCの記者会見。金融庁から承認を受けた翌日に行われた会見には、オンラインも含めて1万人を超える視聴者が集まるほど大きな話題となっていましたが、このとき記者から寄せられていたのが「JPYCがコンビニ決済で使えるようになるんですか?」という質問。沖田氏はここに着目し、その場でJPYCの岡部代表と議論をした後、わずか3日間の開発期間で「JPYC払い」の仕組みを完成させたのだとか。

現時点ではまだJPYC自体が発行されていないので、今年JPYCが発行されたあとに今一度実験をしたうえで正式にローンチされるとのことです。すでに先行申込を受付中ですが、想像を超える申込みがあったこともあわせて発表しました。

”JPYC払い” といっても、決済自体は通常のVisaカードと同様で、最終的な利用額の返済をユーザーがステーブルコインで行うことができるという仕組みなので、店舗側のシステムの変更や対応は一切不要です。

ナッジカードの返済は、月1回銀行口座からの自動引き落としの他、任意のタイミング・金額で返済できる「いつでも好きなだけ返済」をご用意していますが、これまでの「セブン銀行ATM払い」および「銀行振込」に、新たな返済方法として「ステーブルコイン払い」が加わります。これにより、カード利用代金をJPYCでの支払いが可能となります。

プレスリリースより

ステーブルコインによる支払いについて、まずはJPYCからスタートしますが、将来的には幅広いステーブルコインやトークン化預金、CBDCにも対象を広げつつ、オンチェーン完結できる技術面での可能性にも挑戦していくとのこと。web3分野の再強化に伴う、ナッジの今後の動きに注目です!

オリジナルの「次世代クレカ」をつくってみる?

さて、今回はサービス体験会ということで、自分の撮影した写真などを使って世界で一枚だけのオリジナルデザインのクレジットカード(カスタムクレカ)が作成できるコーナーも用意されました。

Nudgeのアプリを作成して、カスタムクレカを作成できる

自分が撮影した家族やペット、風景など、お気に入りの写真のクレジットカードを持てるのは嬉しいですよね。決済のたびにテンションが上がりそう! 「これどこで作ったの?」と、周りからも一目置かれそうです。

従来のクレジットカードの売りポイントとはひと味違う、Z世代に明確にターゲットを絞った独自の機能で、今後もサービスの拡大を狙います。

Nudgeサービス体験会|レポまとめ

この日のプレゼンテーションでは、沖田氏が、ナッジを創業した際に立てた初期の仮説を振り返りながら、ナッジの現在地と、今後について説明する場面もありました。

JPYC払いについての取り組みは、暗号資産を「投資」や「実験」から「生活のインフラ」へと近づける大きな一歩になります。ナッジが切り拓く道が今後のフィンテック業界に新しい風を吹き込むことになるかもしれません。

以上、Nudgeサービス体験会のレポートをお届けしました。最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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この記事を書いた人
in.LIVE 編集部 アステリア株式会社が運営するオウンドメディア「in.LIVE(インライブ)」の編集部です。”人を感じるテクノロジー”をテーマに、最新の技術の裏側を様々な切り口でご紹介します。