2026年7月28日

約250社の頂点に選ばれたのはカウシェ! 「スタートアップワールドカップ2026 東京予選」をレポート

世界最大級のピッチコンテスト「スタートアップワールドカップ 2026」。7月に東京予選が開催され、約250社から選ばれた10社が世界への切符をかけて熱戦を展開しました。AI、医療、金融、農業、製造など多彩な挑戦が集うなか、優勝したのはカウシェ。ユースピッチやパネルディスカッション、総額1億円の特別賞まで、会場を包んだ熱気をダイジェストでお届けします。


世界各地のスタートアップが頂点を目指す、世界最大級のピッチコンテスト「Startup World Cup」。in.LIVEでは、日本予選が初開催された2017年から、その挑戦の軌跡を継続してお伝えしてきました。

その最新大会となる「Startup World Cup 2026 東京予選」が7月17日(金)、東京都港区のグランドハイアット東京で開催されました! 会場では、東京予選のファイナリストに選ばれた10社によるピッチコンテストをはじめ、次世代を担う小中高生によるユースピッチ、政界・経済界の有識者を迎えたパネルディスカッションなど、多彩なプログラムが展開されました。

アステリアからは、代表取締役社長/CEOの平野洋一郎が東京予選の審査委員長として参加。総務大臣 衆議院議員の林 芳正氏や、財務大臣の片山さつき氏も駆けつけ、次世代の挑戦者たちを応援する熱気に包まれました。

世界大会への切符をかけた本イベントの様子をダイジェストでレポートします!

世界へ挑戦する「Startup World Cup」とは?

Startup World Cup」は、米国のベンチャーキャピタルPegasus Tech Venturesが主催する、世界最大級のスタートアップ・ピッチコンテストです。

◆ スタートアップワールドカップ公式サイト
https://www.startupworldcup.io/

世界各地で予選が行われ、各地域を勝ち抜いた企業がサンフランシスコで開催される世界決勝に進出します。2026年は初めての名古屋予選が行われるなど、年々勢いを増すピッチコンテスト。過去のレポート記事は、以下をご参照ください。

◆ 優勝企業はリィ! スタートアップワールドカップ2026、初開催の名古屋予選をレポート
https://www.asteria.com/jp/inlive/startup/8255/

◆ 優勝企業は「Acompany」! 世界最大級のピッチコンテスト『スタートアップワールドカップ2025』東京予選の様子をレポート
https://www.asteria.com/jp/inlive/startup/7726/

東京予選の会場内では展示エリアも設けられ、アステリアもブースを出展しました。スタートアップ企業はもちろんのこと、新規事業やスタートアップとの共創に取り組む大企業の方々など、多くの来場者で賑わっていました。

若い世代が社会課題の解決策を提案「ユースピッチ」

東京予選にて、メインのピッチコンテストに先立って行われたのが、今回が東京で初めての開催となる小中高生による「ユースピッチコンテスト」。

登壇したのは4チームで、農家の人手不足や高齢化を解決する米づくりのプラットフォーム、AI時代の子どもたちの学びと挑戦を支援する教育事業、地方移住希望者と地域をつなぐサービス、学生の心の不調を早期に発見する対話型AIなど、それぞれが身近な経験から見つけた社会課題と、その解決策を発表しました。

単にアイデアを発表するだけでなく、当事者へのヒアリングやアンケート、実証実験などをもとに、具体的なサービスや収益モデルまで提案。審査員からの質問にも、自分の言葉で堂々と答える姿が印象的でした。

審査の結果、優勝したのは、市川学園 市川高等学校の「m.k.」さん。
地方移住を希望する人と地域をつなぐプラットフォームを提案した m.k. さんは、地域で暮らす人のリアルな声やAIによる移住先の提案、自治体への問い合わせ機能などを通じて、移住後の生活を具体的にイメージできる仕組みを発表しました。

見事優勝した m.k. さんは、11月6日にサンフランシスコで開催される世界決勝の舞台に挑戦する予定です。

パネルディスカッション:大企業とスタートアップは、どうすれば共に成長できるのか

会場では、政界・経済界の有識者によるパネルディスカッションも行われました。テーマの一つとなったのは、大企業とスタートアップの協業です。

初代デジタル大臣の平井卓也氏は、スタートアップ支援について、研究開発への補助だけでなく、政府や自治体がサービスを直接調達する仕組みへと転換していく必要性を指摘しました。スタートアップに対して仕事を発注し、社会実装まで伴走する。こうした流れが広がれば、スタートアップにとって実績や成長機会を得る大きな後押しになります。

一方、KDDI株式会社 代表取締役会長の髙橋誠氏は、大企業とスタートアップを無理に同じ組織文化の中で動かすのではなく、新規事業を別組織としてスピンアウトさせることも有効だと語りました。

また、オリックス株式会社 シニア・チェアマンの宮内義彦氏は、大企業の官僚的な組織や、失敗を避けようとする文化が、スタートアップとの協業を阻む場合があると指摘。スタートアップが持つ新たな価値観やスピード感を取り入れ、企業文化そのものを変えていく重要性を訴えました。

登壇者の意見に共通していたのは、スタートアップと大企業のどちらか一方だけでなく、双方がそれぞれの強みを生かす仕組みが必要だということです。
議論はAIにも及び、AIそのものの基盤モデルを開発するだけでなく、農業、製造、医療などの現場に、安全で信頼できるAIを実装していくことに、日本企業の勝機があるのではないかーー。そんな期待も語られました。

審査委員長の平野が、審査方法を説明

ユースピッチの終了後、いよいよ東京予選のメインピッチがスタート。

まずは審査委員長を務めたアステリアの平野から、審査方法について説明が行われます。各社のピッチは、30秒間の紹介映像、3分30秒間のプレゼンテーション、審査員との質疑応答で構成。審査員は事業内容を複数の評価項目から採点します。

さらに、会場やオンラインから参加できるSNS投票の結果も得点に加算されました。平野は、東京予選を勝ち抜いた企業を、今度は参加者全員で応援してほしいと会場に呼びかけました。

社会課題に挑む10社がファイナルピッチへ

東京予選のファイナリストに選ばれたのは、以下の10社。

・株式会社アリススタイル
・株式会社エンジニアのミカタ
・株式会社ファームノート
・Global Mobility Service株式会社
・豊実精工株式会社
・JPYC株式会社
・株式会社カウシェ
・株式会社LIFESCAPES
・ナッジ株式会社
・株式会社Zehitomo

ピッチでは、AI、金融、農業、医療、EC、製造業など、幅広い分野の事業が発表されました。

AIで日本のシステム開発を変える|「エンジニアのミカタ」

トップバッターを務めた株式会社エンジニアのミカタは、AIエージェントとエンジニアを組み合わせた、AI駆動型のシステムエンジニアリングサービスを紹介しました。

多重下請け構造や生成AIの活用の遅れによって、生産性が伸び悩む日本のIT業界。AIエージェントによって周辺業務を自動化し、エンジニアがより価値の高い仕事に集中できる環境を目指します。

信用を可視化し、働くための車を届ける|「Global Mobility Service」

Global Mobility Service株式会社は、独自の車両遠隔制御技術とモビリティデータを活用し、従来の信用情報ではローンを利用できなかった人にも、自動車を利用する機会を提供しています。

金融機関、車両販売店、利用者を結ぶ仕組みによって、新たな信用を創造。車を手にすることで就業機会を生み出し、生活の向上につなげる事業です。

「所有」から「利用」へ。製品を循環させる|「アリススタイル」

株式会社アリススタイルは、家具や家電、ベビー用品、美容機器などを購入せずに利用できるサブスクリプション型のレンタルサービスを展開しています。

一つの商品を複数の利用者が順番に使うことで、メーカーの在庫や高額商品の有効活用を促進。利用履歴や商品の状態などのデータを蓄積し、商品の価値を可視化する仕組みも紹介されました。

ゲームと買い物を融合する|「カウシェ」

株式会社カウシェは、アプリの中で野菜を育て、収穫すると実際の商品が届く「カウシェファーム」など、ゲーム性を取り入れたショッピング体験を紹介しました。

利用者は商品の獲得を目指してアプリを訪れ、買い物や友人招待などを行います。買い物を単なる購買行動ではなく、毎日参加したくなるエンターテインメントに変えることで、高い利用頻度を生み出しています。

脳卒中後の重度麻痺に新たな治療法を|「LIFESCAPES」

株式会社LIFESCAPESは、脳波、AI、ロボット、電気刺激を組み合わせたブレイン・マシン・インターフェースを発表しました。

患者が手を動かそうとした際の脳活動を読み取り、その動きをロボットや電気刺激によって支援。手術を必要としない非侵襲型の技術によって、これまで回復が難しいとされてきた重度の麻痺に対する新たなリハビリテーションの可能性を示しました。

データとAIで「儲かる農業」へ|「ファームノート」

株式会社ファームノートは、酪農・畜産業界に向けたクラウドサービスやIoT機器、自社牧場の運営から得られたデータを活用し、農業経営の生産性向上に取り組んでいます。

家畜の状態、遺伝情報、従業員の行動、経営情報などを統合し、AIがより良い経営判断を支援。将来的には、AIが牧場運営を自律的に管理する「オートファーミング」を目指します。

日本円のデジタル通貨を世界へ|「JPYC」

JPYC株式会社は、日本円と1対1で交換可能な円建てステーブルコイン「JPYC」を紹介しました。

ブロックチェーン上で24時間動き続け、決済や送金に利用できるほか、AIエージェントが直接扱える「プログラマブルマネー」としての可能性もあります。金融規制に向き合いながら、日本円建てステーブルコインの社会実装を進めてきた経験を強みに、世界で日本円が利用される未来を目指します。

AIと人の力で、地域のプロを支える|「Zehitomo」

株式会社Zehitomoは、リフォームや修理、習い事などを依頼したい消費者と、地域の事業者をつなぐマッチングプラットフォームを展開しています。

現場作業に追われ、営業や事務作業に十分な時間を割けない職人や事業者に代わり、AIが顧客とのマッチングやコミュニケーションを支援。コールセンターによる人的なサポートも組み合わせ、地域のサービス事業者が本業に集中できる環境をつくります。

推し活を金融サービスにつなげる|「ナッジ」

ナッジ株式会社は、アーティストやスポーツチームなどの「推し」を応援できるクレジットカードを提供しています。

カードの利用に応じて推しの活動を支援でき、利用者には限定コンテンツや特別な体験が還元されます。同じ仕組みをさまざまな提携先に提供することで、ファンとアーティストの新たな接点を生み出しています。

有害なクロムを使わない表面処理技術|「豊実精工」

豊実精工株式会社は、有害物質であるクロムを使用しない独自の金属表面処理技術を発表しました。

自動車、半導体、医療、宇宙、ロボットなど、幅広い産業で利用されているクロムメッキ。一方で、作業者の健康や環境への影響が課題となっています。同社は、クロムを使わず、耐久性にも優れた表面処理技術を開発。世界的に環境規制が強まるなか、日本発の技術としてグローバル市場への展開を目指します。

世界大会への切符を手にしたのはカウシェ!東京予選の受賞企業が決定

白熱したピッチコンテスト ーー 約250社の応募の中から選ばれたファイナリスト10社による熱戦の結果、東京予選の受賞企業は以下のとおりです!

第1位:株式会社カウシェ
第2位:Global Mobility Service株式会社
第3位:豊実精工株式会社

優勝した株式会社カウシェは、ゲームとEコマースを融合させた新しい買い物体験を提供するスタートアップです。ゲームで育てた作物が実際に届く体験や投稿機能を取り入れたショッピングアプリを開発・運営しており、その独創的なサービスが高く評価され、11月6日に米国・サンフランシスコで開催される世界決勝戦への出場権を獲得しました。

さらに本予選では、総額1億円に及ぶスポンサー賞をはじめとする特別賞も発表されました。
JPYC株式会社は、日本円建てステーブルコインの社会実装を推進する取り組みが評価され、「ALDH賞」を受賞。賞金5,000万円を獲得しました。

また、脳科学とAIが融合したBMIを使って脳と機械をつなぐことで、脳卒中後の重度麻痺のリハビリの可能性を拡げ、患者の希望の実現をサポートする株式会社LIFESCAPESは、「ジャパネットグループ賞」を受賞し、5,000万円の投資賞金を獲得しました

世界大会では、株式会社カウシェとm.k.が日本代表として、世界各国の予選を勝ち抜いた挑戦者たちとの戦いに臨みます。

日本発スタートアップの挑戦は続く

東京予選では、AI、医療、金融、農業、製造業など幅広い分野のスタートアップが、社会課題の解決に向けた革新的なアイデアや技術を披露しました。会場には挑戦を後押しする熱気があふれ、日本のスタートアップエコシステムのさらなる成長を感じさせる一日となりました。

なお、「Startup World Cup 2026」は今後も国内予選が続き、次回は8月26日(水)に熊本城ホールで九州予選が開催されます。各地域からどのような挑戦者が現れるのか、今後の展開にも注目です。

世界の舞台を目指す挑戦者たちの歩みを、in.LIVEではこれからも追い続けていきます。11月に行われるグランドフィナーレの結果も含めて、ぜひ皆さまご注目ください! 最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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この記事を書いた人
田中 伶 アステリア株式会社 コミュニケーション本部・メディアプランナー。 教育系のスタートアップでPRや法人向けの新規事業立ち上げを経験。話題のビジネス書や経営学書を初心者向けにやさしく紹介するオンラインサロンを約5年運営するなど、難しいことをやわらかく、平たく解説するのが得意。台湾情報ウェブメディア編集長も務める。