2016年11月30日
2016年10月3日より開幕された「CEATEC JAPAN 2016」、IoT関連の各企業による出展や有識者によるカンファレンスが行われるということで突撃してきました。CEATECの展示会場の様子と、カンファレンスの内容をレポートします。
こんにちは! in.LIVE編集長の田中です。
少し前のことになりますが、2016年10月3日より開幕された「CEATEC JAPAN 2016」、IoT関連の各企業による出展や有識者によるカンファレンスが行われるということで私も突撃してきました。
今回は2016年CEATECでの展示会場の様子と、参加したカンファレンス内容をダイジェストでレポートいたします。
CEATECとは「Combined Exhibition of Advanced Technologies」の略で、IT・エレクトロニクス分野の企業・団体が参加し、最先端の技術や製品を発表する国際展示会。毎年10月に幕張メッセで開催されます。
今年は10月4日〜7日の4日間にわたって開催。IoTに関わる多くの企業や一般参加者が集まりました。
実はCEATECはこれまで「IT・エレクトロニクス総合展」とあるとおり、液晶テレビやDVDなどのデジタル家電が中心だったそうですが、時代と共に出展者数/来場者数ともに伸び悩み、昨年度は過去最低数に。これを受けて運営側も方針を変え、今年からは「CPS(サイバーフィジカルシステム/IoT(モノのインターネット)の展示会」と、位置づけを新たに開催されることになったそう。
そんな節目でもあることから、今年は特に各社より最新のテクノロジーが集まることで注目されていました。
会場は「社会」「家」「街」「CPS/IoTを支えるテクノロジ・ソフトウェア」の4エリアと各種特別企画エリアで構成され、こうした技術がどのように私たちのライフスタイルを変えていくのか?をリアルに感じられる展示が目立っていました。
そんな2016年のCEATEC。出展企業はなんと500社を超え、目標来場者数は4日間の累計で15万人。東京ドーム約5つ分もある巨大なスペースに所狭しと並ぶブースへ、最先端技術の今をその目に焼き付けたい!という来場者たちが集まりました。
今回目玉となっていた「IoTタウン」には、セコムや三菱UFJファイナンシャルグループ、JTBやタカラトミーなど、異業種10社が合同出展し、それぞれのIoTソリューションによって私達の生活がどのように豊かに、快適になるのか?ということがリアルに体感できるような展示がありました。
例えばこちらは、家族の安心・安全を守る、自律型小型飛行監視ロボット「セコムドローン」。
ドローン本体に監視カメラとライトが付いていて、監視エリアで不審な人物や車両の侵入を発見すると、上空から人物の顔や、車に接近!顔やナンバー、車種、ボディカラーなどを撮影するんですって!
まるで映画の世界。可愛い顔して、、なかなかやるな、、、。
さらに三菱UFJ銀行からは、流行りのFinTechを活用したサービス。AI(人工知能)によって、その人に合った資産運用をアドバイスしてくれる新しい技術の紹介も。
さらに三菱UFJ銀行からは、流行りのFinTechを活用したサービス。AI(人工知能)によって、その人に合った資産運用をアドバイスしてくれる新しい技術の紹介もありました。さらに、こうした私達の生活をより便利にするテクノロジーはもちろん、タカラトミーからは「JOY!VR」という可愛いプロダクトが。
これは、コントローラーを使って宇宙空間を360度自由に移動する”宇宙旅行”が楽しめるというもの!なんてロマンチックなんだ!宇宙浮遊してみたい!癒されたーい!
ちなみにこちらは既に商品化されていて、9,800円(税込)で発売されているそう。思ったよりも安くて驚き。
ほかにも、loftworkからは「IoT×森」というテーマで、飛騨の林業が抱える課題を解決するテクノロジーを発表。伝承されてきた稀少な「組木」の技術を、3Dデータにしてオープンソース化し、組木に3Dプリントしたパーツを組み合わせ、使い方を拡張できるモジュールなどを紹介していました。
その場で、「どうすればテクノロジーで森を守ることができると思う?」ということを来場者に問いかけ、その答えやアイデアを元に全体像を描いていくというパフォーマンス!想像が膨らむ!
他にも、注目されていた展示としては、FinTechスタンプラリー(FinTech関連のブースを回って電子チェックインすると仮想通貨を体験できるというもの)や、TOYOTAが開発した手乗りサイズのロボット「KIROBO」、さらに昨年秋にシャープから発表され、その実写と見分けがつかないリアルさで話題を呼んだCG女子高生「Saya」などなど。
見どころたっぷりのCEATEC、私が個人的に興味を持ったのは、CEREVO社が提案していた「RIDE-1」というツーリング用の自転車に取り付けるデバイス。
ロードバイクでの走行に応じたセンサーの数値を見ながら、ライダーにペース配分の指示を出したり、グループでのツーリングで、集団から一定距離遅れてしまった仲間がいた際に先頭をはしるライダーに自動で通知がきたり。更には、他のユーザーから得た走行ログ情報をもとに自転車事故多発情報などを受取ることができるというもの!
これは後にも書く「インターネットのようにモノをつなぐ」という言葉を体現したようなもの。私達の生活とIoTが近い距離にあることを感じるアイデアでした。
さて、そんな興味深い展示が多々あったCEATEC2016ですが、今回の目玉はカンファレンス!
今回のカンファレンスは二部構成となっており、一部では日本のIoTを牽引してきた、東京大学大学院情報学環教授の坂村健教授による基調講演、そしてその後に、アステリアの平野洋一郎社長の講演が続くかたちでした。
坂村健教授といえば、1984年(なんと今から32年前!)から「TRON」というスマートハウス建設プロジェクトを六本木にて始めるなど、IoT領域では先駆者的な存在。コンピュータ・アーキテクチャーとして多数の本も出版してきました。
坂村教授によると、これまでも「IoT」という言葉自体、「ユビキタス・コンピューティング」や「O2O」「M2M」といった言葉で表現されていましたが、最近になってようやく世界全体的に「IoT」という呼称に修練されてきたといいます。
その理由は、人々が「モノをインターネットにつなぐ」ということではなく「インターネットのようにモノをつなぐ」ことが可能になったからだそう。
この微妙なニュアンスの違い、伝わりますでしょうか?
坂村教授によると、この後者の「インターネットのようにモノをつなぐ」ということを明確に言い表した言葉こそが「Internet of Things」だというのです。
これまで世界に誇る技術を誕生させてきた日本は、何十年も前から「モノをインターネットにつなぐ」ことは出来たのだと主張する坂村教授。しかし問題は、日本の企業やテクノロジーには「オープン性」がなく、いずれも各社ごとに技術を抱え込もうとしたため、ほかのサービスや会社を繋いだり転用が出来ずにイノベーションを起こせなかったこと。
インターネットの特徴というのは、まさに”オープンであること”ですから、この「オープン性がない」ということは、先の「インターネットのようにモノをつなぐ」ということとはかけ離れているわけです。
坂村教授のお話では、その後も海外で生まれているIoTサービスやロボット技術を紹介しながら、日本でのIoTの課題や、今後必要とされる「IoTのガバナンス」についての考え方など、今後このIoTを拡げていくために必要なことを解説していました。
短い時間でぎゅっと詰まったプレゼンテーション。
IoTの理想図だけではなく、あらゆる面での課題が浮き彫りになる講演でした。
そして続いては、アステリアの平野社長による講演。
前段の坂村教授のお話で「オープンでなければ(他社同士が繋がらなければ)意味をなさない」といったことを強く主張されていたこともあり、まさにアステリアが大事にしてきた「つなぐ」という技術がなぜそこまで重要なのか?ということが、しっかりと伝わる内容でした。
仕事の仕方も、20世紀の規律型から、21誠意の自律・分散・強調型へ。
そうした時代の変化に「ノンプログラミング」でシステムの設計ができる、アステリアのツールを活用することで、ビジネスの現場がどう変わるのか?ということについても言及されていました。
講演後の質疑応答では「災害時におけるセキュリティはどう考えるべきか」「具体的にどういう思考プロセスで、事業体での活用を考えれば良いのか」といった、実用にまで踏み込んだ質問が参加者たちからも寄せられていました。
いかがでしたか?
CEATEC2016の雰囲気や、実際のカンファレンスの盛り上がりが少しでも皆さまにお届けできていれば幸いです。
今回ご紹介したカンファレンス内容は、ダイヤモンド社の記事としても公開されています。
“ネットのようにモノをつなぐ” 「オープンIoTの時代」がやって来る
ー CEATEC JAPAN 2016『DIAMOND online forum 2016』講演報告
以上、アステリア メディア編集部の田中がお届けいたしました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!