2018年7月9日

仮想通貨と電子マネーの違いは?|マンガでわかるブロックチェーン【第2回】

主人公・仲元サラが派遣会社を通じてやってきたのはブロックチェーンを主な事業とする会社。ITにも疎く、ブロックチェーンの「ぶ」の字も分からないサラは、果たしてこの会社で生き残れるのか!?話題のブロックチェーン技術を漫画で解説します。


(企画・原作:森一弥 作画:佐倉イサミ

◀一つ前のお話「マンガでわかるブロックチェーン【第1回】ブロックチェーンってなに?」はこちら

仮想通貨と電子マネーの違いは?



〜 ブロックチェーン推進室にて 〜


ふんぐるいむぐるうなふくとぅるうるるいえうがふなぐるふたぐん…
またなんか呪文っぽいものとなえてる…… あのー…
また君か。なに?
すいません…。さっきの話は”ブロックチェーン”だったんですけど、私が電車に乗ったりコンビニで使ったりしているコレって、仮想通貨なんでしょうか? 仮想の通貨って言うぐらいだし、実際にお金のやり取りをしなくてもこれで物が買えちゃうわけだし…。
君が持っているそれは、仮想通貨じゃなくて「電子マネー」って言われることが多いかな。
あっ、電子マネー!聞いたことあります。仮想通貨とは違うものなんですね?
そう。電子マネーはチャージした金額がその金額と対等の価値で使えるものがほとんどだし、利用できる有効期限が設定されている場合もある。その電子マネーを発行している会社がそれぞれに決めたルールの中で使えるものでしょ?
うーん、確かに。仮想通貨の場合は、誰かに決められたルールはないんですか?
「改正資金決済法」っていう日本の法律でちゃんと定義は決まっているよ。仮想通貨は電子マネーと違って、あくまで「通貨」なので、ドルとかの外国為替みたいに、常に価値が変動してる。
なるほど… 仮想通貨の場合はちゃんと日本の法律で決められているんですね。
でも、為替みたいに変動!? …ってことは、さっき電子マネーで買ったジュース、もし仮想通貨で買っていたら、今日は100円だけど、明日は200円かもしれないし、50円になる日もあるかもしれないってことですか…?

いつ買えば安いのか分からないなんて、不便じゃないですか?
そう。でもそれって、海外へ行ってお金を両替するときも同じじゃない?
あれ、そっか。
ってことは仮想通貨も、海外のお金みたいに、どこかで両替するんですか?
仮想通貨交換業の登録を許可された会社、つまり「仮想通貨の交換業者」が運営するWebサイトだな。
そこで両替したら私でも使えるんですね!
まぁそうだな。でもまぁ、まずはそのWebサイトで口座を作るために本人確認があったりするので、今すぐ両替できるわけではない。確認の手続きで少し待つ必要があるし、そもそも多くの人は「日常で使う」ことを目的に買ってない。
えっ?日常で使わないのに買ってるんですか?
最近はいろんな仮想通貨があるけど、投資目的の金融商品として、その価値が今後値上がりすることを期待して買っている人が現時点ではほとんど。
うーん、仮想通貨って名前だけど、日常で使うお金とはちょっと違うんですね。
家電量販店とか、仮想通貨で商品が買える店も一部ではあるけどね。
今世界には何千種類もブロックチェーンで作られた通貨があって、日本国内で「仮想通貨」として認められているものだけでも十種類ぐらいある。中には価値が変動しないものを目指した仮想通貨もある。
世界に何千種類も!?へぇー。それだけみんなが注目して、作ったり、買ったりしているわけですね。電子マネーとの違いはわかったぞ!ありがとうございました。
あと、もし仮想通貨を買うつもりなら、ちゃんと「登録業者」として国に認められている業者で買うように。ところで、その頭に乗ってるやつだけど、、、もしかしてそれ、ヒ…
にゃーん♪
……いや、まぁいいや。。
(しゃべらないんだ…)

〜 自席にて 〜


日本では仮想通貨は法律で取扱いが決まっておるのか。交換業者の登録も許可制のようじゃの。
そうだねー…日本では?って他の国は違うのかな?
わしが見てきた限りそんな国はなかったのぉ。
じゃぁ日本が初めてなんだね!すごい!
・・・ふむ。たぶんな。
あれ、でもいろんな国に行ったことあるの?
む・・・、お。あのクマのような男が戻ってきたようじゃぞ。
あ、ながくまさーん、仮想通貨についてわかりましたよー!


次回 ブロックチェーンって儲かるの!?〜ハッシュとマイニング につづく!

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仮想通貨を理解する上で重要な用語解説

漫画の原作者である、アステリア株式会社 ブロックチェーン推進室長の森が、今回のお話の概要や会話に登場したキーワードについて簡単に解説します!

仮想通貨(暗号資産)


海外では暗号通貨(Crypto Currency)と呼ばれることが多い。日本では後述の改正資金決済法で定義されている。 仮想通貨はその設計によって「1号仮想通貨」と「2号仮想通貨」に分かれる。1号仮想通貨は、電子的な方法で不特定の相手に対して使用、もしくは法定通貨に交換できる、円やドルの法定通貨ではないものという定義がされている。2号仮想通貨は法定通貨との交換ではなく、1号仮想通貨と交換できるものを言う。

電子マネー


交通系のものや、店舗などで発行されている形式のもの。ポイントと呼ばれることも多い。多くのものは換金できず、1ポイント=1円と定義されており、価格に変動もない。

改正資金決済法


2017年4月から施行されている、仮想通貨についての取扱を含んでいる法律。このため、俗に「仮想通貨法」と呼ばれることもある。 仮想通貨関連では、仮想通貨の定義と、仮想通貨交換業について記載がある。

仮想通貨交換業


仮想通貨を法定通貨で売買したり他の通貨と交換したりするサービスのこと。日本では登録業者のみが行うことができる。

本人確認(KYC:Know Your Customer)


今回のお話の中では仮想通貨交換業者にて口座を作る際に行う手続きのこと。パスポートや運転免許書等の本人確認書類をもって行うのが一般的。ブロックチェーンの世界では、ブロックチェーンを使って本人確認を迅速・確実に行う方法が検討されている。

仮想通貨を使える店


ビットコインが使える店として、ビックカメラなど実店舗で使えるところも存在している。
cf. https://www.biccamera.com/bc/c/info/payment/bitcoin.jsp

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この記事を書いた人
森 一弥 アステリア株式会社 ノーコード変革推進室 エバンジェリスト。 2012年よりインフォテリア(現アステリア)勤務。2017年3月までは主力製品「ASTERIA WARP」のシニアプロダクトマネージャーとしてデータ連携製品の普及に務め、特に新技術との連携に力を入れる。 ブロックチェーン技術推進の一環として実証実験やコンサルティングなどを実施。ブロックチェーンを活用した株主投票では特許を取得。またブロックチェーン推進協会(BCCC)では技術応用部会を立ち上げ、技術者へブロックチェーンアプリケーションの作り方を啓発している。現在はAIやIoTなど先端技術の調査、普及啓発に努めている。