2022年1月24日

ミス・ビットコイン藤本真衣氏に訊く、仮想通貨との出会いとNFTの未来像【前編】

ビットコインを始め、ブロックチェーン業界を常に牽引し続けてきたミス・ビットコインこと藤本真衣氏は、今、NFTのブームをどう見ているのか。インタビュー前編では、仮想通貨との出会いと現在の藤本さんの活動について迫りました。


ビットコインをはじめ、ブロックチェーン業界を常に牽引し続けてきた”ミス・ビットコイン”こと藤本真衣氏は、最近のNFTのブームをどう見ているのか。

”NFTに参入しないことがリスク” とまで語る藤本氏の視点から見た、テクノロジーが生かされた世界はどのようなものか。その未来像も併せて、NFTについて想うことを率直に聞きました。前編では、仮想通貨との出会いと現在の藤本さんの活動について迫ります。

株式会社グラコネ 代表取締役|藤本 真衣(ふじもと・まい)氏
2011年にビットコインと出会って以来、国内外でビットコイン・ブロックチェーンの普及に邁進。海外の専門家と親交が深く「MissBitcoin」と呼ばれ親しまれている。自身は日本初の暗号通貨による寄付サイト「KIZUNA」やブロックチェーン領域に特化した就職・転職支援会社「withB」ブロックチェーン領域に特化したコンサルティング会社「グラコネ(Gracone)」などを立ち上げる。 NFT領域に関しては、2018年よりNFTに特化した大型イベントを毎年主催している他、Animoca Brands等の、国内外プロジェクトのアドバイザーも多数務める。2020年以降は、事業投資にも力を入れており、NFTを使った人気ゲーム「Axie Infinity」を開発したSky Mavis、Yield Guild GamesAnique等に出資している。

聞き手・アステリア株式会社 ブロックチェーンエバンジェリスト 奥達男

※本インタビューは2021年11月に行われました。掲載している内容は、2021年11月時点での情報をもとに執筆された内容です

2011年 ”とある外国人” と知り合ったことがビットコインとの出会いに

本日は宜しくお願いします!
”ミスビットコイン” という愛称でも国内外に知られる藤本さんですが、改めて、暗号資産(仮想通貨)との出会いについて伺えますか。
Facebookに投稿をしているので日にちまで覚えています。ビットコインとの出会いは2011年12月15日でした。レストランで知人の方と夕食を食べていたら、その知人の友人の方が途中から参加され「ビットコインを知っているか?」と聞かれました。すごく熱狂的に一方的にビットコインについて話されたのが印象的でした。

その当時、私は「bijin-tokei(美人時計)」のキッズバージョンの「キッズ時計」というコンテンツを展開しているアイキッズ株式会社と、寄付で海外の子供たちに直接お金を届けるプロジェクトを企画していたところでした。団体などを通さず個人個人に直接届けたかったのですが、実際には海外送金の手数料が高くて難しいと悩んでいたところだったんですね。

そんなときに、ビットコインは手数料がそれほどかからずに世界中の人に直接送金ができるというコンセプトを聞いて。たまたまそれが響いて興味を持つようになりました。
そのときはまだビットコインについて全く知らないという状況だったんですよね。なんだか怪しいというか、懐疑的な気持ちにはなりませんでしたか?
可能性は感じましたが、しっかりと自分で調べてからじゃないと怖いなと思いました。ただインターネットで調べても、その頃はまだ英語の技術的な記事がいくつか出る程度で、あまり情報を得ることもできませんでした。

イノベーティブだとは感じるけども、これが本物なのか詐欺まがいのものなのかを判断するのは大変でしたね。
かなり時間をかけて調べられたんですか?
そうですね。自分の知識も足りなかったので、そのロジャー・バーを私が信頼する社会経験の豊富な大人たちに何人も引き合わせました。そこで彼と大人たちが対話する言葉の中から、自分も知識としてビットコインを吸収し、理解を深めていきました。
え!!! ちょっと待ってください、知人の方とお話されていたときに来られた方は、ロジャー・バー(※1)さんなんですか?

※編集部注釈
(※1)ロジャー・バー(Roger Ver)氏
シリコンバレーで多くの企業を立ち上げ成功させたのち、2011年2月という早い時期から仮想通貨ビットコイン世界に身を投じたエンジェル投資家。ビットコインなどの仮想通貨フィンテック関連の新興企業への投資を行った世界最初の人物として知られている。


そうです。
それはすごいお話ですね。
2011年当時、ロジャー・バーさんはビットコインを広めていたんですね。
はい、最初はそうでしたね。話を戻すと、ロジャーの話を聞いたほとんどの大人は、当時、ほぼ全員と言ってよいほど否定的な意見でした。実はそれも参考になって。

「どうやってそれを実現させるの?」「国家の裏付けがないから信用できない」「ネズミ講じゃないの?」等など… 否定的な大人の意見を聞くことができました。皆さんの否定ポイントを参考にしながら、ビットコインの知識を蓄積していきました。
否定的な意見が多い中で、なぜ藤本さんはビットコインを信じられたんですか?
当時のビットコインには、今までの固定観念が崩された「中央に管理者がいない」「国家に操作されないお金」というような話がありました。ロジャー自身にも世の中をフラットにしたいという思いがあって、自分のお金がどうして勝手に戦争に使われなきゃいけないんだ、なぜ国が決めるんだ、俺はそんなところにお金を落としたくないんだ、という考え方も単純に響きました。

そんなふうにお金に対して疑問に思っている人もいるんだということに、自分も考えて行動したいと感銘を受けて、ビットコインに関わりたいと思ったんですよね。

みんなに否定される中でも、ロジャーが問いかける本質的なポイントやマインドに共感できる部分が多々あったのと、お金に対して真剣に考えた事すらなかったので、もっと深入りして勉強したいと思いました。きっと、あの時の私は、自分も関わりたいと思っていたので誰かに背中を押してもらいたかったんだと思います。

そんな否定的な意見の中で、一人だけ「これは将来、10年後には絶対にみんながビットコインって言っているから、興味があるならちゃんと勉強をして、そのポジジョンで仕事ができるように準備したほうがいいよ」って言ってくれた人がいたんですね。実は、今年がその10年後にあたるんですよね。まさにその通りになっているんですが……。

それまであまりお金というものについて意識したことがなかったからこそ、興味をひかれたんでしょうね。背中を押してくれた唯一の意見をくれたという方の先見の明にも驚かされます。

テクノロジーを活用して「つながるをつくる。」

今はグラコネという会社の代表を務める藤本さんですが、具体的な活動内容を教えていただけますか?
はい。グラコネは、グラビテーションとコネクトの造語ですが「つながるをつくる。」という活動をしています。この業界に10年いるので、そのつながりを生かして、国内の企業の海外進出、海外の企業の日本進出という部分で、ハブとなるお仕事をメインにやらせていただいています。さらに2020年からは自分でエンジェル投資家として出資にも力を入れています。

日本では、Anique(アニーク)という「進撃の巨人」や「攻殻機動隊」などのNFTを作っている会社に、エンジェルとして出資させていただいています。また海外では、Axie Infinity(※2)やYield Guild Games(※3)など、主にNFTプロジェクトに出資をしています。

※編集部注釈
(※2) Axie Infinity(アクシー・インフィニティ)
Axie Infinityは、ベトナムのSky Mavis社が開発したブロックチェーンゲーム。ゲームをすることで収益が得られ、コロナ禍で不況に喘ぐフィリピンの国民の生活の糧となった事で話題になったゲーム

※編集部注釈
(※3)Yield Guild Games(YGG、イールド・ギルド・ゲームズ)
Yield Guild Games は、メタバースやゲームへ投資する組織。ユーザにNFTをレンタルし、Axie Infinityなどのゲームを始めやすくすることにより、拡大に寄与している面も持つ


もちろんお金だけではなく、活動のリソースも提供していくことで、自分が可能性を感じているエコシステムの成長に貢献できたらいいなと考えています。
チャリティー活動にも力を入れていらっしゃいますよね。
はい。今は「NFTチャリティープロジェクト」というプロジェクトをやっています。
もともと2017年頃、仮想通貨による寄付プラットフォームを作って運営していたんですが、なかなか使ってもらえないんですよね。それと同時に、私がビットコインに出会ったころは、海外送金手数料がすごく安いというのが仮想通貨のメリットだったんですが、今は仮想通貨の人気が高まったことで、逆に銀行送金よりも手数料が高くなることもあります。メリットとして「手数料が安い」とは言えなくなってしまったんです。

もちろん、Lightning Network(ライトニングネットワーク)みたいなものが出てきているので、ビットコインのスケーラビリティ(拡張性)も解決されていて、手数料も安くなってきてはいるので今後はLightning Networkでの寄付もやりたいなと思っていますが、2020年の段階では、直接の仮想通貨による寄付ではなく、NFTによるチャリティープロジェクトに着手することになりました。

私自身は、それをアレンジしているだけで、協力していただけるアーティストがいないと成立しないんですが、たとえば、ライゾマティクスの真鍋大度さんといった著名な方や、ケビン・アボッシュさんというクリプトアートのレジェンドのような方に共感していただいて、アート作品を提供してもらってオークションにかけて、落札されたお金をすべてチャリティーとして寄付してもらうというようなことをやっています。
NFTを活用したチャリティーは、寄付する側もNFTが寄付した証明になるので安心できますよね。その証として作品も残りますし。

その通りなんです!それもNFTをチャリティーに使う1つの大きな利点ですよね。参加していただいたアーティストの方にもチャリティーに貢献できて嬉しいと言っていただけます。

単純にアート作品がほしいファンに対しても、作品を購入することで社会貢献ができるという設計もできるので、NFTはチャリティーにぴったりだなと感じていて、日本で初めてとなるNFTチャリティー「kizuna NFTチャリティープロジェクト」を立ち上げました。嬉しいことにNFTチャリティーをされる方が増えてきていて、多くのNPOやNGO団体さんのチャリティーをお手伝いさせてもらいました。仮想通貨による寄付を始めたときは、ほとんどどこもやっていなかったんですが、今ではユニセフなど国連機関などいろいろなところが採用しています。

私は、自分のプロジェクトを大きくしたいというよりも、こういうことができますよ、という事例を沢山の人に見せて、真似をしてもらえるとうれしいんですよね。そういった意味では、自分もNFTチャリティープロジェクトをやっていますが、周りの方がその実績を参考に、NFTチャリティーが増えていくのはいい広がりだと思って見ています。

藤本さんがNFTチャリティーを始められたは2021年4月でしたが、それが日本発の先駆的な試みだったんですよね。
日本でもやろうと思えば誰でもできたと思いますが、実際にやった人はそれまでいなかったですね。

すでにアメリカには、NFTチャリティーに特化したCryptograph(クリプトグラフ)というプラットフォームがあります。世界的に有名なモデルのパリス・ヒルトンさんや俳優のアシュトン・カッチャーさん、ジェイソン・モモアさんらがNFTをチャリティーオークションで販売していたりして、NFTにはそういう使い道があるということは海外では話題になっていたんですよ。

本記事は後編に続きます。
後編記事では話題のNFTについて、その価値や未来像も併せて、藤本真衣さんが想うことを率直に聞いてみました。


ミス・ビットコイン藤本真衣氏に訊く、仮想通貨との出会いとNFTの未来像【後編】

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この記事を書いた人
高橋ピョン太 ゲーム開発者から、アスキー(現・アスキードワンゴ)のパソコンゲーム総合雑誌『LOGiN(ログイン)』編集者・ライターに転向。『ログイン』6代目編集長を経て、ネットワークコンテンツ事業を立ち上げ、以来、PC、コンシューマ向けのネットワークコンテンツ開発、運営に携わる。ドワンゴに転職後、モバイル中心のコミュニケーションサービス、Webメデイア事業に従事。現在は、フリーライターとして、ゲーム、VR、IT系分野、近年は暗号資産メディアを中心にブロックチェーン・仮想通貨関連のライターとして執筆活動中。