2019年8月19日

女性エンジニアならではのキャリアの壁ってホントにあるの? 女性×エンジニアの仕事の魅力と悩みを聞いてみた(後編)

Arm社で働く女性エンジニアの皆さんにご協力いただき、「女性 × エンジニア」をテーマに座談会を行いました。女性のITエンジニアとして苦労したことや良かったこと、そしてこれからITエンジニアを目指す女性たちへのメッセージなど、ざっくばらんにお伺いしました。


先日公開していた「女性エンジニアならではのキャリアの壁ってホントにあるの? 女性×エンジニアの仕事の魅力と悩みを聞いてみた(前編)」に続き、今回はArmの皆さんに協力いただいた「女性 × エンジニア」をテーマとした座談会の内容をレポートいたします。

座談会に参加してくださったのは、現在アーム株式会社で活躍する2人の女性エンジニア、岡本さんと常盤さん、そして今回の勉強会を企画された管理部の高倉さんとの座談会です。

アステリアの松浦がモデレーターとなり、女性のITエンジニアとして苦労したことや、女性エンジニアで良かった!と感じたこと、さらにこれからITエンジニアを目指す後進の女性たちへのメッセージなど、in.LIVE編集部の田中も交じってざっくばらんにお伺いしました。


まずお二人のことを教えていただけますか。
いまはどういったお仕事をメインに担当されているのでしょうか?
私はArm社に入って3年目に入ったところなのですが、もともとソフトウェアエンジニアだったので、入社してからハードウェアのことをゼロから勉強しはじめました。やはり壁はありましたが、入社してから長い間トレーニングを受けて、仕事をしながら徐々にキャッチアップしていきました。

Armで女性エンジニアとして働く岡本さん

私も社歴は同じぐらいでフィールドアプリケーションエンジニアとして働いているのですが、基本的にずっと外資系のIT企業に勤めてます。もともと大学では電気電子を学んでいて、半導体の設計、アプリケーションエンジニア、開発の方から営業に移ったという経緯です。

ちょうど昨年出産をして、今年の4月に育休から明けて、フルタイムで復帰しました。

Armで女性エンジニアとして働く常盤さん

エンジニアとして働くとなると、少し休んだりすると、その間に技術が進歩して、最新の技術に追いつけなくなるということはどうしてもありますよね。育休を取られていたとのことですが、その点はどうでしたか?
そうですね。育休を取っている間に、正直、エンジニアとしての技術については、かなり遠ざかったように感じました。私の場合は焦りよりも「仕事をすることで自分の時間やペースを取り戻したい」というような気持ちが強かったように感じます。

育児で赤ちゃんと向き合っていると感情的な気持ちになることが多いですが、本来自分が得意としているエンジニアの仕事って、冷静で、理路整然としているものなので(笑)。そういった理由で、産後3ヶ月後ぐらいには時々会社にやってきてメンバーと状況を共有したりするようにしていましたね。
母としての顔と、仕事をしているときの顔って、全然違いますもんね(笑)。 ちなみに今日の講演の率直な感想があれば教えていただけますか?
私がまず最初に思ったのは、やっぱり松浦さんもパートナーにすごく支えられてるんだな!と(笑)。長く働けるかどうかってパートナー選びも影響しているんだな、とも感じましたね。
私も思いました、我が家もパートナーは私の仕事に対してかなり理解がある方です。出張で1〜2週間、家をあけるということがあっても特に問題はないですし、家のこともしっかりやってくれます。パートナー次第で働き方も変わるのかなと…。
それは確かに大事ですよね。
でもそれって、結婚する前からそういった理解があるタイプだったのか、それとも「自分はこれからも長く働いていきたい」ということを伝えた上で、協力的な姿勢になったのかどちらなんでしょうか?
うーん、我が家の場合は後者ですね(笑)。 そこは結婚後に意見の食い違いが起こらないようにはっきりと伝えていたポイントでもあったので、理解してくれてとても助かりました。私の主人はエンジニアではないし、働く業界も違ったので、エンジニア特有の働き方なども知ってもらうようにしました。

今は子供はいないのですが、どちらかが男性の仕事・女性の仕事と分けるのは不本意かも…。今後子供が生まれたら、パートナーにも育休を取得してもらって、積極的に育児参加してほしいと思いますね。
子育ては共同作業ですもんね。ちなみに常盤さんは育休を取られていたとのことですが、旦那さんはどうだったのでしょうか?
いま日本の男性の取得率はまだ6%と言われていますが…

うちは主人がフリーランスなので育休の制度は利用しなかったです。 ただ自由に働ける分、自分の責任で調整もできますし、時間など融通が効くので良かったです。こちらが頼めばやってくれるという状況にはできたので。
それは頼もしい…! アーム社さんの方針としては、育児休暇に関しても期間やタイミングなど柔軟に対応されているのでしょうか? このあたりは今回の勉強会を企画された管理部の高倉さんからお話が伺えたら嬉しいです。
はい。一口に育休といっても、復帰のタイミングが読めなかったり、本格的な復帰の前に一時期だけ職場に戻りたいとか… 状況によってニーズは異なるので、チームのリーダーと日頃からコミュニケーションをとりやすい環境を作っておく事が大事だと思います。8割強男性が占めているオフィスなので、男性社員の理解なしには、女性が出産後も以前と変わらずに業務を続けていくのはしんどいでしょうから。現状、会社としてはかなりフレキシブルに対応できていると思いますよ。

今回の講演のベースになっているINWEDは、結婚、出産というイベントで仕事に影響を受けたり、自分のキャリアについて自信をそがれがちになる女性たちの職業支援を目的とした活動です。女性をとりまく問題を解決するには、シニアの女性社員のリーダーシップや、男性社員のサポート、“特定の人たちが抱える問題”という意識を取り払うことが大切です

今日お話いただいた内容は、家庭を持ち子育て経験のある男性社員には、比較的容易に共感できたのではと感じます。そのような経験のない男性社員も含めて社員全員で女性をとりまく環境について理解を深める事は大変意義のあることですよね。グローバルでみても男性社員の割合が圧倒的な会社だからこそ、彼らも巻き込んで一緒に考えていけたらそれはすごいパワーになるかと。今回の講演はそのためのきっかけ作りというか、はじめの一歩になってくれたかな… なんて思ってます。

Armの管理部で働く高倉さん

よく女性社員同士のネットワーキングみたいなものは見かけますが、男性社員を巻き込んで取組みをされている会社は少ないのではないかなと思います。

ではここから「女性 × ITエンジニア」のお話に戻りたいのですが、これまで女性エンジニアとして働いていて困ったことや、逆に得した!と感じたことはありますか?
得したエピソードはやっぱり顔を覚えてもらいやすいということですね。 職業として「女性だから」とマイナスを感じたことはほとんどなくて、これまでの職場も男性も女性も ”エンジニア” として同じ目線で働いていた感覚です。

ただ管理職となるとやはり男性の方が多いですし、育休をとった女性エンジニアがそのまま退職してしまうというケースも周りで見てきました。仕事の時間が読めないので、時短で働きづらい環境だったのかも知れません。今やらなきゃいけない仕事があるけれど、どうしても早く帰らないといけないとか…。 その状況を仕方ないと分かっていながらも、自分自身が不自由を感じてしまうからと辞めていく人もいました。

ワークライフバランス、時間の使い方は私も悩むことはあります…。
エンジニアって、集中力を求められる仕事なので、時間を忘れて没頭することがあるんですよね。家庭を持ったことで、そうした没頭する時間があまり取れなくなって、それに自分でフラストレーションを感じてしまうというのは私もよくあります。保育園のお迎えの時間とか、そういった制約で自分の求めるところまでいけないということはよくあって。
テレワークを活用するという手もありますが、それでは対応できないというのはエンジニアのお仕事としてよくあることなんでしょうか?
うーん、そうですね。
例えば、技術文書を読んで、なにかの解決方法を探さなければいけないとき、論文を読んでいたけれどタイムリミットが来てしまい、そこで強制終了しなくちゃいけないというようなシチュエーションとか。翌日に持ち越してまた最初から読まなければいけないのが大変で…。自分が集中して進めたいことが思い通りにいかないことに歯がゆさを感じることはやっぱりあります。
なるほどなあ。確かにそれは他の職種とはまた違った悩みかもしれませんね。
あとは飲み会とかでも女性エンジニアの悩みを感じることがあります。 例えば、会社や事業部の飲み会なんかも、参加してみると女性は自分ひとり、というのはこの業界で働いているとよくある話です。ただそれを旦那さんやパートナーがあまりよく思わなくて気が引けてしまう… とか。

でも個人的には違和感がありますよね。女性の多い職場だったらきっとそうした遠慮はしなくて済むのにって。あまり気にしないようにはしていますけど(笑)。

うーん、わかるわかる。お酒の席だからこそできる話とか、カジュアルな情報交換の側面もありますもんね。今日の講演でも触れていましたが、性差ではなく、個人差と捉えられるようになると変わりそうですよね。
性別は関係なく、上司やチームのメンバーと常に良好な関係を保つことは難しいですよね。今回は「INWED 2019」という活動の周知と女性のキャリアパスや女性エンジニア職にフォーカスした勉強会になりましたが、今後も多様な価値観や発想を認めあえる、ダイバーシティに焦点をあてたテーマについて皆で考える機会を作っていきたいですね。
会社をあげてそうした取組みをされるのは素晴らしいと思います。
それでは座談会の最後に、後進の女性エンジニアのみなさんになにかメッセージがあれば教えていただけますか?
そうですね。私は高校生の頃からリケジョなのですが、その時も不思議だったのは、英語をやりたいからって言って文系に行く人が多かったことです。でも理系である私の方がよっぽど英語使っていると思いますよ(笑)。

結局、英語が好きで文系に行ったけれど、社会人になって英語を使うことは全然ないって話もよく聞きます。英語を使って国際的に働きたいという人には、外資系のエンジニアになることを勧めたいですね。バリバリ英語使いますよ!
うんうん、共感です。 あとは、理系の方が文系よりも地味なイメージがある?とか、人からどう見られるか?じゃなくて「自分がどうしたいか」で決めるのが一番だなと思いますね。自分の周りの人に対しても、やってみたい・興味があるという方向に背中を押してあげられるといいなと思います。

いまアーム社ではキッズプログラミングスクールもやっているんですけど、そこに参加している子どもたちも男女比は半々ぐらいなんですよ。それこそ「リケジョ」みたいな言葉の意味も、子どもたちはほとんど意識していないんじゃないかなと思いますね。

趣味でもスポーツでも、親が子どもの興味関心を尊重してあげる事が大事ですよね。有難い事に、プログラミングスクールに関しては、募集をすると毎回キャンセル待ちが出てしまうほどの盛況です。参加の機会があったとしても、引率される親御さんが「なんか難しそうだから」としりごみせずに、「とりあえず連れいってみようか!」とチャレンジしていただければ、それが、お子さんの将来の職業選択につながる可能性だってありますよね。

こうした小さなきっかけ作りや技術との接点の場を設ける事は、会社としても重要な取組みだと考えています。Arm全体の話でいえば、最近とくに力を入れている、女子学生対象のプログラミング教室や、ベテラン女性エンジニアによる講演会などすべてボランティアとしての活動が日常的に行われてます。一企業として若い力を育てて、社会に貢献できるのは大変素晴らしい事ですし、そのサポーターの一員としてもやりがいを感じますね。

素敵だなあ。 私も以前、アーム社さんのキッズプログラミングスクールに子供と一緒に参加させていただいたのですが「楽しかったからまた行きたい!」とよく話してますよ。そうした活動によって「女性 × エンジニア」という職業選択のチャンスもどんどん広がっていくと良いですよね。

知られていない女性エンジニアの魅力、まだまだ沢山ありそうです。もっともっと世に伝えていかなければ!と考えさせられた座談会でした。有り難うございました。

まとめ【編集後記】

以上、いかがでしたか? 前編・後編を通して、これまで知らなかったITエンジニアという仕事の “女性視点” での魅力、そして実際に働くリアルを学ぶ貴重な場となりました。

先日公開していた「女性エンジニアならではのキャリアの壁ってホントにあるの? 女性×エンジニアの仕事の魅力と悩みを聞いてみた(前編)」での講演内容に続き、今回もエネルギッシュに働く女性の皆さんとお話をさせていただくことで、女性ならではのキャリアの壁について理解し社会をあげて応援してあげられることこそが、国全体の生産力を上げることになるのでは? と感じずにいられませんでした。

女性×ITエンジニア のお仕事の魅力、少しでも伝わっていれば嬉しいです。
取材にご協力いただいたアーム社の皆さま、有難うございました!

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この記事を書いた人
田中 伶
田中 伶 アステリア株式会社 広報・IR室。メディアプランナー。 大学在学中に人材育成会社を立ち上げ、その後はスタートアップでPRや法人向けの新規事業立ち上げなどを経験。話題のビジネス書や経営学書の解説をするオンラインサロンを約5年間運営。難しいことをやわらかく、平たく解説するのが得意。