2024年4月1日

【イベントレポート】4年ぶりのリアル開催! ブロックチェーン推進協会「第7回 BCCC Collaborative Day」

ブロックチェーン技術の幅広い普及推進をおこなうブロックチェーン推進協会、通称「BCCC」。本記事では、2024年3月4日に開催された「第7回 BCCC Collaborative Day」の様子をダイジェストでお届けします。


「あらゆるビジネスにブロックチェーンの力を」というコンセプトのもと、ブロックチェーン技術の幅広い普及推進をおこなうブロックチェーン推進協会、通称「BCCC」。アステリアCEOの平野氏が代表理事を務めるBCCCでは、年に一度「Collaborative Day(コラボレーティブ・デー)」と題したイベントを開催しています。

ここ数年はコロナ禍の影響でオンラインでの開催をしていましたが、今年は2020年以来、なんと4年ぶりにリアルでの開催が実現しました! ゲストスピーカーを含む多彩な登壇者によるプログラムが用意され、BCCC会員以外も含め、約60名の参加者が集まりました。

本記事では、2024年3月4日(月)に開催された「第7回 BCCC Collaborative Day」のイベントの様子をダイジェストでお届けします。

基調講演「Web3事業運営の理想と現実から見えてきた本質と可能性」

第一部では、株式会社スクウェア・エニックスのブロックチェーン・エンターテインメント事業部事業部長を務める畑圭輔氏が「Web3事業運営の理想と現実から見えてきた本質と可能性」について基調講演を行いました。畑氏は同社が早期からNFT事業に取り組んできた経験を踏まえ、その本質的な可能性について語りました。

NFTはユーザーが保有できるため、売買や譲渡することでユーザーが参加できるようになり、企業方針によってはサービスの運営にもユーザーが介入できるようになったのが大きなポイントだと説明。また、NFTを通じてコミュニティが生まれていますが、そのコミュニティをファシリテートする役割が重要であり、NFTのコンセプトへの共感を得ることが不可欠だと強調しました。さらに、デジタルサービスだけでなく、リアルなグッズなども提供することで、NFTサービスへの入り口を増やすことを提案。早期からNFT事業に取り組んできた経験から、企業内横断的な連携によりノウハウを共有し、事業を発展させていく考えを示しました。

パネルディスカッション「NFTの一般市民への普及の展望」

第一部では「NFTの一般市民への普及の展望」と題したパネルディスカッションが行われました。PwCコンサルティングの丸山智浩氏、スクウェア・エニックスの畑圭輔氏、N.Avenueの神本侑季氏が登壇し、ゲームやデジタルコンテンツ分野におけるNFTの可能性と課題について議論を交わしました。

NFTはゲームや電子コンテンツの新たな価値創出の手段として、大きな期待が寄せられています。しかし一方で、一般市民への普及に向けた課題は山積している状態です。

PwCコンサルティングの丸山智浩氏は「日本ではクールなコンテンツ分野でNFTが有望視されているが、提供される体験やコミュニティづくりが重要になる」と語り、スクウェア・エニックスの畑圭輔氏も、スクウェア・エニックスの畑圭輔氏も、「法的リスクへの対応は避けられないものの、新しい体験を提供することでユーザー参加を促せる」と補足しました。

NFTビジネスが直面する大きな壁は、顧客獲得とマーケットの流動性の確保です。畑氏は「売上を立てるのが想定以上に難しく、マーケットづくりが課題」と実感を口にしました。

またN.Avenue CEOの神本氏は「NFTを含むWeb3分野の発展には、インフラ整備と新しいユーザー体験の創出の両輪が必要不可欠。また法規制の動きが本格化する中で、NFTを活用した新たなサービスの創出に期待したい」と語りました。

講演「ステーブルコイン元年2024 ~課題と展望~」

第2部では、JPYC株式会社の代表でBCCCの理事も務める岡部典孝氏が、ステーブルコインの現状と課題について講演を行いました。

法定通貨の価値と連動し、同額で払い戻しを約束する性質を持つステーブルコインについて説明しつつ、会計基準委員会の報告では、ステーブルコインは要求払預金や現金に類似した資産として位置づけられていると述べました。

日本では2023年6月に銀行法と資金決済法の改正により、ステーブルコイン発行の環境が整備されつつあります。自民党のWeb3.0プロジェクトチームも、ステーブルコインの活用を提言している現状です。

JPYCでは、資金移動業の免許を取得し、1回100万円までのステーブルコイン発行を計画。また、三菱UFJ信託銀行と協業し、1回1億円以上にも対応する高額送金向けの信託型ステーブルコインの発行も予定していることを説明しました。

投資会社Bernsteinの調査報告書によると、ステーブルコインの市場規模は現在の20兆円から、5年後には420兆円にまで達するとのこと。岡部氏の試算によると日本国内の市場だけでも40兆円に膨らむ可能性があると見込んでいます。今後は健全な競争を行いながら、ステーブルコインビジネスの収益モデルを各社で磨いていく必要があると締めくくりました。

パネルディスカッション「ステーブルコインの現状・課題と展望」

第二部のパネルディスカッション「ステーブルコインの現状・課題と展望」では、Progmatの齊藤氏、北國銀行の今津氏、そしてJPYCの岡部氏による活発な議論が交わされました。

齊藤氏は、ステーブルコインの普及には、例えば銀行のデジタルウォレットが仲介チャネルとなり、給与振込から一定額をステーブルコインへ自動で振り替えるような取り組みが最適だと語りました。いちいちステーブルコインを購入する手間が省けるため一般ユーザーの利便性が大幅に向上し、銀行にとってもステーブルコインは脅威ではなく、むしろ新たなビジネスに繋がる良い話に転換できるのではないかと考えを述べました。

北國銀行の今津氏は、地域のキャッシュレス化を目指して2016年のカード事業開始。直近ではブロックチェーンに取り組んできた経緯を説明。また、4月からは預金型ステーブルコインのサービスを開始することも発表しました。

岡部氏は、ステーブルコインの社会実装に向けて、北國銀行や齊藤氏らの取り組みを高く評価。お互いの強みを生かしてコラボレーションすることで、ステーブルコインのユースケースがさらに広がることに期待を寄せました。

全てのイベント終了後は、同会場にて懇親会を開催。参加者同士でも今後のブロックチェーン業界について意見交換をし、非常に有意義な懇親会になりました。


BCCCの今後の活動はBCCCの公式サイトからもご覧いただけます。ぜひ今後ともご注目ください!

関連リンク

BCCC公式サイト 
BCCC X(元Twitter) 

この記事がよかったら「いいね!」
この記事を書いた人
成瀬夏実 フリーランスのWEBライター。2014年に独立し、観光・店舗記事のほか、人物インタビュー、企業の採用サイトの社員インタビューも執筆。個人の活動では、縁側だけに特化したWEBメディア「縁側なび」を運営。