2019年9月3日
世間を騒がせた“漫画村問題”から2年。問題発覚から著作権法改正案の見送りにいたる一連の騒動を振り返りつつ、デジタル時代に身に付けるべき著作権の在りかたを考えます。
違法アップロードされた数々の漫画を無料で読めるウェブサイト『漫画村』は、法曹界、出版業界のみならず、プロバイダ業界までをも巻き込む大きな社会問題になりました。政府は、著作権法改正に向け舵を切りましたが、「ダウンロード、スクリーンショットの全てを違法にする」という専門家主体の極端な議論に、漫画家をはじめとする多くのクリエイターが違和感を表したことは、記憶に新しいでしょう。
結果、ゼロか百かのような法改正は水際で免れました。しかし、「いまはストップウォッチが止まった状態。いつ議論が再燃してもおかしくありません」と話すのは、特許業務法人 JAZY国際特許事務所 代表であり、弁理士の永沼よう子先生です。
アナログの媒体が鳴りを潜め、デジタルコンテンツが続々と生まれるこの時代、私たちが身に付けておくべき著作権の知識、そしてデジタル時代の著作権の在りかたとは何でしょう。専門家から、お話を伺います。
お話を伺ったのは…
永沼 よう子 先生
弁理士/知的財産アナリスト
世界最大手ストックフォト企業でデジタルコンテンツのコンサルテーションに従事。国内、外資など様々な企業や法律事務所で現場に即した著作権や肖像権・種々の知的財産権の知見を幅広く蓄積し、2016年に特許業務法人JAZY国際特許事務所に参画。ビジネス経験と商標・著作権関係の専門知識を活かし、現在、同事務所のパートナー弁理士として企業の知的財産戦略をサポートしている。TV番組、講演活動などで「知的財産権についてわかりやすく伝える」ことに定評がある。
“漫画村問題”から私たち学ぶこと — 文化の発展のためにあるべきデジタル時代の著作権の在りかた【後編】では、今回の取材で触れていた「パロディ」の扱いや、こうした著作権について学ぶ、教育機会の問題についても触れていきます。
なお、最新の著作権法を知るにあたっては、「文化庁のウェブサイトで確認するのが最適」と、永沼先生。検索して最初に出てきたニュース記事を鵜呑みにするのではなく、掲載時期と現時点のタイムラグに注意してほしいとおっしゃっていました。
情報リテラシーを磨き、正しい情報を得る。これもまた、デジタル時代を生きる、私たちにとって必要なスキルの一つと感じずにはいられません。
以上、まずは前編をご覧いただきましてありがとうございました。後半もお楽しみに!