2017年9月22日

身近な「あったらいいな」を実現可能に! 誰でもカンタンにIoTのしかけがつくれる『MESH』を使ってみた

IoT入門機器として人気を誇る「MESH」をご存知でしょうか?今回は、「こんな〇〇があったらいいな」という日常の小さなアイデアがノンプログラミングでできる「MESH」に初挑戦!本当に素人でも簡単に使えるのか?実際に体験してきました!


こんにちは!in.Live編集部の石川です。
in.Live読者のみなさんは、2015年にソニーの新規事業として誕生して話題となったIoT製品 「MESH」をご存知の方も多いのではないでしょうか。

IoT入門機器として人気を誇る「MESH」は、「こんな〇〇があったらいいな」という日常の小さなアイデアがノンプログラミングで実現可能できるアイテム。お菓子箱のようにかわいらしいパッケージにカラフルで小さな電子タグ。これらのタグを専用アプリ上で、指先を使って組み合わせる、直感的な操作により連携させるだけで無限に活用方法が広がると言われています。

実はアステリア本社にあるイフラボにも「MESH」が設置されているのですが、本当に素人でも簡単に使えるのか?実際に体験してみたい!… というわけで、今回は「MESH」の生みの親であり、製品のプロジェクトリーダーを務めるソニー株式会社の萩原氏に、具体的にどんなことができるのかを聞いてきました。

萩原丈博(はぎわら・たけひろ)さん

ソニー株式会社 新規事業創出部 I事業室 統括課長

学生時代、コンピュータサイエンスとアート、デザインに関する分野で活動。2003年ソニー株式会社入社。So-net(現ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社)などでネットワークサービスの企画・開発に従事。2011年-2012年、スタンフォード大学訪問研究員。米国・西海岸シリコンバレーでの滞在経験を経て、2012年に社内スタートアップMESHプロジェクトをスタート。MESHはMake、Experience、Shareの略で、プログラミングや電子工作の知識がなくても誰でも簡単に楽しく「あったらいいな」を形にできる世界を目指している。

                        

日常の身近なものがインターネットにつながる暮らし

本日はよろしくお願いいたします!まずはじめに、MESHプロジェクトの皆さんが考えられているIoTの未来についてお伺いしてみたいです。IoTが当たり前になる未来では、わたしたちはどのようなことができるようになるのでしょうか。
IoTって”モノのインターネット”と言われていますが、モノがインターネットに繋がってなにができるのか?というのはまだよくわからないのが正直なところですよね。

かつてインターネットが登場したときに、インターネットでなにができるのか?と問われても、「なんでもできる」ゆえ、何ができるのかを理解しにくかったと思うんです。実はIoTも同じで、「なんでもできる」技術なんですね。なので、なにができるのか?ではなく、IoTを日常生活の中でどのように使っていくのか?というところから発想が広がるのではないかとと思います。

なるほど。確かにこれまでin.LIVEで紹介してきたIoT製品って、どれも「アイデア次第でなんでもできる」と言われてきたものが多いように感じます。
でも、萩原さんが考える「日常的に使えるIoT」とは具体的にどのようなものなのでしょうか。
例えばオフィスという空間で考えると、受付に人が来たときに自動的に音声メッセージを再生できるようにしたり、家という空間では、留守中のペットがトイレに行く時間を記録したり。場所やシチュエーション問わず、日常生活の中でこうした「あったらいいな」と思えるものを実現するときに、この「IoT」というモノをインターネットにつなぐ技術が活かされるんですよね。

これまで見えなかったものを見える化したり、自動的になにかを作動させたたり、こうした仕組みを自分でつくることができるツールが「MESH」なんです。

なるほど…!「こんなものがあったらいいな」という自分のアイデアを形にするためのツールとして、MESHが使えるということなんですね。自分の家や職場など、色々なところに活用アイデアが隠れていそう。

ただ自分でつくるといっても難しそう…なんとなく技術的なハードルを感じてしまいます。このカラフルなMESHの電子タグを使うということなんでしょうか?
はい。これらのタグの使用方法は、スマホやタブレット用の専用アプリを使って、画面上で機能が異なる各MESHタグ、動かしたい機器やロジックのアイコンを指でつなぐだけのシンプルな仕組みになっています。特にプログラミングについての技術や知識も必要がないので、IoTやITに詳しくない初心者の方にも気軽に体感していただくことができると思いますよ!
たったそれだけなんですね!実際に試してみることはできますか?
もちろんです!では、実際にやってみましょう。 現在MESHは全部で7種類あり、それぞれ色によって下記の機能に分かれています。

左から、

【ボタン】…1回押されたら〇〇、長押しされたら〇〇、2連続で押されたら〇〇が起こるなどボタンスイッチを使った仕組みがつくれる。
【LED】…いろいろな色にLEDライトを光らせたり、点滅させたりすることができる。
【動き】…タグが振られたら〇〇、ひっくり返されたら〇〇、振動したら〇〇、向きが変わったら〇〇など、動きをスイッチとして使う仕組みがつくれる。
【人感】…人の動きを検知し、それをスイッチとして使う仕組みがつくれる。
【明るさ】…周りの明るさの変化をスイッチとして使う仕組みがつくれる。
【温度・湿度】…温度や湿度が設定した数値に変化したときに通知がきたり、周りの温湿度の変化をスイッチとして使う仕組みがつくれる。
【GPIO】…上級者向け。電子工作と他の電子工作の部品とつなげたり、タッチセンサーにも利用できる。

なるほど!それぞれの色で違ったセンサーがついているのですね。 自分のアイデア次第でIoTのしかけがつくれるということの意味が、だんだん分かってきました。

そうなんです。では実際に手を動かしてツールを作成してみましょう!もっとイメージがしやすくなると思いますよ。

MESHを使って、特定の場所に人がいるかどうかが分かるツールを作ってみた!

今回は「人感」センサーを使用して、会社のオープンスペースに人がいるかどうかがわかるツールを作ってみましょう!
私にもできるかな… ちょっと不安ですががんばります!

オフィス内のオープンスペースって、その場所まで行かないと使用中の人がいるのかを確認できないことが多いですよね。部屋を使用している人がいるかどうかを一瞬で判断できるようにしたいと思います。
はい!先ほどの「人感」センサーを使えば、そこに人がいるかどうかを認知して、何かアクションを起こさせることができるんですね。
そのとおり!タブレットをタッチしてタグのアイコンを繋げながら、使用者がいたら赤のランプ、いなかったら青のランプがつくように作成します。

タブレットの画面右側でMESHの電子タグが選択できるようになっているので、ここで人を感知するための「人感」センサーをタッチし、画面に二つ並べて置いてみてください。

続いて、「人感」センサーのアイコンをクリックすると、「感知したら」と「感知しなくなったら」が選択できるようになっているので、それぞれクリックして動作を選択しましょう。

へええ!これで「感知したとき」と「しないとき」、それぞれの場合に自動的に起こる動作を設定するんですね!思ってた以上に簡単でわかりやすい!
そうなんです。今回は人を感知したときに赤色、人を感知しなかったときに青色のライトが光るように設定したいので、画面右側にあるライトのボタンをクリックして色を選択します。 動作の設定ができたら、最後に、先ほどの「人感」センサーのタグとライトのタグを画面上でつないでみてください。
おおお〜!画面をタッチしたままの指を、つなげたいアイコンに移動させるだけで、簡単につなぐことができるのですね!これなら誰でも視覚的に操作できそう。
これでできあがり!では、実際に設置して試してみましょう!

センサーの前に現れると…本当だ!白だったライトが赤く光りましたね! 今度は人感センサーから離れてみると…こちらも青にライトが変化しました!これは面白い!

こんなに簡単につくれるなんて!と驚いてくれる方も多いんです。一度体験されると、アイデアも浮かんでくるのではないでしょうか。
IoTってプログラミングを学ばないと手をつけられない印象だったのですが、これならITの知識も必要ないので、わたしのような初心者や子どもでも工作感覚で楽しめますね!組み合わせも無限にあるので、アイデア次第でなんでも作れそうな気がします。

まさにそうなんです。アイデア次第で活用方法も広がりますし、みなさんのライフスタイルに合わせて使っていただけるのではないかと思っています。子どもや初心者の方にも利用していただけるようワークショップを開催したりもしているんです。
あとはFacebook、LINE、Twitter、Evernote、Slackなどとも連携ができるので、例えばMESHの「温度」センサーを使って、温度がある一定以上になったらLINEで通知が来るように設定することも可能です。SNSと連携することで遠隔でもアラートを受け取ることができますし、日常的に使用しているツールで気軽に利用できるのも特徴ですね。
普段使っているSNSでも!一気にIoTを身近に感じることができますね。IoTと構えることなく、いつの間にかIoTの恩恵を受けていた!みたいなことが日常的に起こりそうですね。

『MESH』を使ってみた!まとめ

以上、いかがでしたか?
意外と身近なところにIoTを感じることができたのではないでしょうか。アイデア次第では今よりももっと日常の暮らしが豊かになるIoTツールMESHをみなさんも体感してみてください。

後編の記事では、MESHがどんな背景で生まれたのか?という開発秘話と、こうしたIoT製品がどんな未来をもたらすのかを、アステリアR&Dセンター センター長の田村との対談形式でお送りします。

どうぞ後編もお楽しみに!


「Creative Lounge」


今回はソニー本社ビルの1階にある「Creative Lounge」にてお話をお伺いしました。デスクや黒板、3Dプリンタなどの電子工作用の機材が並び、ソニーの関係者や社員の紹介者であれば自由に利用ができるメイカースペース。ここでは、新規事業に向けたアイデアを自由に試作することができ、『MESH』などの既存の製品を体験することも可能です。


◎関連リンク

・MESH 製品サイト http://meshprj.com/jp/
・ソニーマーケティング株式会社 http://www.sony.jp/
・Creative Lounge   https://www.facebook.com/sapcreativelounge/

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この記事を書いた人
石川妙子 アステリア株式会社 広報・IR室。in.Live編集部。 大学卒業後、大手銀行にて勤務。その後、自由大学の運営を経て、2015年より世界一周の新婚旅行へ。帰国後は、編集者として活動。インバウンドや農業メディアにも所属。2018年より長野を拠点に移し、東京との二拠点生活中。