2017年3月23日

「VR SPACE」で体験する究極の没入感! 創業者に聞く “そう遠くない未来” にできるようになること

VR(バーチャル・リアリティ)が話題になって久しいですが、なかなか自分で体験できる機会は少ないもの。そこで今回は誰でも気軽に最新のVRコンテンツを楽しめる、体験型VRアミューズメントスペース「VR SPACE」を取材してきました!


in.LIVE読者の皆さんにとって、「VR(バーチャル・リアリティ)」というのは聞き馴染みのあるキーワードなのではないでしょうか。最近はVRを活用したエンターテイメントがメディアなどで取り上げられる機会も増え、以前よりもぐっと身近になっています。

でもこの「仮想現実」って、言葉で聞いてもなかなかイメージができないもの。
そこで今回は最新のVRコンテンツに触れられる、体験型VRアミューズメントスペース「VR SPACEにて、実際に体験をしてきました!

渋谷のビルで瞬間トリップ!?「VR SPACE」にやってきた

アミューズメントスペースと聞いてかなり大規模なものを想像していましたが、実際にやってきたのは、渋谷駅から徒歩7分ほどの場所にあるビルの一室。まさにこの場所が、「VR」を通じて無限の世界と繋がることのできる入り口です。

ようこそ!と笑顔で歓迎してくれたのは、VR SPACEの共同創業者であり、エグゼクティブプロデューサーの二宮明仁さんです。


二宮明仁さん:VR SPACE エグゼクティブプロデューサー

2005年にサイバーエージェントに新卒入社した後、2006年からグリー株式会社に19番目の社員として入社。プロダクトマネージャーとして様々なヒットプロダクトの開発をリードし、それらをヒットさせた後にアメリカ子会社GREE Internationalの立ち上げに参加。Director of Productとして買収したFunzio会社のプロダクト改善にも携わりアメリカ子会社の黒字化を推進。
国内外のProduct Teamの採用や人材育成に関わった経験からHRをBigdata, Technologyで変えるハッチ株式会社を創業し、2015年、売却。現在は、最新のVRコンテンツが体験できる体験型VRアミューズメントスペース VR SPACEのExecutive ProducerとしてVRの魅力を発信中。

初めてのVRを早速体験!その先に見えた景色は…

パーテーションで仕切られた各ブースでは、様々なコンテンツが体験できるようになっています。早速、VR専用のアイマスク(その名もVRマスク!)を装着して、二宮さんから簡単なレクチャーを受けます。

VR SPACEで使われているヘッドマウントディスプレイ(HMD)は、htc社製の「VIVE」という機器。最近では家庭ゲーム感覚で楽しめる「PS VR」など手軽な機種も続々登場していますが、リッチな体験と抜群の没入感を楽しむにはこの機器が一番オススメとのこと。

こちらが、HMDと両手に持つコントローラーのセットです。見た目もカッコイイ!

VR SPACEでは、今回の二宮さんのように、必ず ”キャスト”と呼ばれるガイド役の方が各ブースにつきます。コンテンツのレクチャーをするだけではなく、体験そのものを盛り上げてくれたりと非常に重要な役目!

HMDをつけた後は、イヤホンを装着。
自分の視覚・聴覚が、完全に現実世界からシャットアウトされるような感覚です。

当たり前ですが、出口も逃げ場もない!ビビリな私は、もうすでにこの段階で怖い…(笑)

ビルの一室が海の底に!想像以上の没頭感に感動!

私がまず最初に体験したのは、「theBlu」という海の中を体験できるコンテンツ。
はたから見るとビルの一室ですが、私、いま、海の底におります…!

360度、美しい青い海に囲まれ、頭上を泳ぐ小魚の群れ、背後には沈没船…

周りに一体なにがあるんだろうと思わずキョロキョロしていると、「ゴゴゴゴ…」とただならぬ音が背後から聞こえ、ヒッと思って振り返ると、もう視界には収まらないほどの大きな生き物が!!

クジラ!クジラだー!!!でかい!!見てる!!!こっち見てるよ!!!!!


…と、もうしょっぱなから大騒ぎ(はたから見ると、なんてマヌケな姿…)。

目の前をゆっくりと泳ぎ去っていく巨大クジラ、その大きさを腕で表現するとこれぐらい!
視界には収まりきらないはずなのに、360度見渡せば、頭から尻尾まで見える不思議!

初めてのVR体験。正直、いきなり想像以上でした。

これまでテレビなどで体験者の方のコメントを見ていて「とはいえ架空の映像でしょ?」なんて思っていたのですが、思った以上にリアルな画質とイヤホンから聞こえる壮大な音の効果が相まって、そこは完全に別世界…。

見上げても、振り返っても、360度どこを見ても海の底。
まるで夢の中に存在しているような感覚です。

定番のホラーコンテンツ、映像と音の効果で止まらない悲鳴…

海の底の癒やしの空間を楽しんだあとは、お決まりの「ホラー」コンテンツ。
ホラー系がとんでもなく苦手な私ですが、貴重なVR体験を読者の皆さまにお届けするべく、身体を張って頑張ってきましたよ…

こちらのゲームではコントローラーの左手が懐中電灯、右手が銃に。
こんな場所に来たはずはないのに、真っ暗な野原に佇んでいます… 怖い。もう怖い。

※まだ何も始まっていません

このコンテンツでは、全方位、あらゆる方角から迫ってくるゾンビを撃ち殺すというもの。
勇敢に立ち向かって戦えるはずもなく、不気味な足音とうめき声に「ぎゃあああ!」「来ないでー!!!」と叫ぶ…

目の前に来たゾンビをなんとか殺したと思ったら、足元にも!!(泣)
はあああ!背後にも!!!容赦なく襲ってくるゾンビの群れ…

※ 私の視界に映し出されている映像はこんな感じ

全身使って戦いましたが、騒ぐだけ騒いで、わずか数秒でやられました…
私がウォーキング・デッドの登場人物だったら、第一話でゾンビの餌食になるんだろうな…

コントローラーを通じて「触れる」リアリティも

恐ろしいホラーの世界から抜け出し、続いてやってきたのは壮大な山の上。どこでもドアで瞬間移動してきたような感覚です。

こちらはアメリカに実際に存在する高山を360度撮影したものが元のデータになっているようで、高さ、岩の質感、天気、どれも実際にその場にいるかのようにリアル!

ここでキャストの二宮さんに「田中さん、足元に何かいませんか?」と言われて、下を見ると、ロボット犬のような生き物が、尻尾を振りながらこちらを見ている…!可愛い!
手元のコントローラーを使ってなでたり、棒を投げて取りに行かせたり、戯れることもできるんです。なでるとお腹を見せて喜んだり、ひゃ〜〜!可愛い!!!

はたから見るとまたも怪しいですが、ただいま犬を抱きしめてます。

「あ〜幸せ。犬が大好きなんですが、家では飼えなくて…(泣)」と嘆く私に、
「現実ではできなくても、仮想現実の中で飼えばいいんですよ」と二宮さん。確かに。すごい未来だ…。

VRといえば、ただ見たり、その世界に存在できる感覚を味わえるイメージだったけれど、こうしてコントローラーを通じて実際に「触れる」ということもできるようになると、一気にリアリティが増しますよね。

あまりにもリアルなので、こんな風に、谷から落ちそうなギリギリの場所まで行って「ウワッ!」と二宮さんに後ろから驚かされると…

「危ないでしょ!!!!」と本気で怒ってる自分がいます。(汗)

このあと、洞窟の中で風船を飛ばすことのできるコンテンツも体験したのですが、こちらも風船にコントローラーを通じて触れると「ぽんっ」と、実際の風船に触れるかのように、ふわふわと空へ飛んでいくというものでした。こちらもかなりリアル。

360度の空間がキャンバスに!魔法使いになれるペイントツール

最後に体験したのは、Google社が開発した「Tilt Brush」というペイントツール。
このコンテンツでは、手元のコントローラーを筆に見立てて、目の前の空間に絵を描くことができます。面白いのは「立体的な」絵を描けるということ。

いわゆる平面の◯だけじゃなく、その◯を手前から奥に突き刺す立体的な棒が描けたり、その描いた絵を、真横から見たり、逆方向に回り込んで見たりということができるのです。
なんて不思議なの…!

自分の頭の上に星を描いたり、足元には火を描いたり… 腕を大きく動かしながら描いていると、なんだか魔法使いになった気分。全身でクリエイティブを体感できるこのコンテンツは、女性には特に人気だそうです。

こうして約1時間にわたってたっぷり楽しみ、ようやく私の初めてのVR体験が終了しました。ここで初めて、HMDを外します。数々の大冒険から、1時間前にいたはずのビルの一室という現実世界に戻り、なんとも変な感じ!

二宮さんいわく、こんな風にHMDをつけたまま、複数のコンテンツを体験できたり、毎回はずして別の場所に移動する必要がないというのも、より没入感を得るための工夫だそう。
訪れた人たちの体験を最大化するために、見えないところにも沢山の仕掛けがあるようです。

創業者に聞く、エンタメやビジネスでのVRの可能性とは?

実際にVR SPACEのコンテンツをたっぷり楽しませてもらったあと、創業者の二宮さんにお話を伺いました。


本日はありがとうございました!
正直、めちゃくちゃ楽しかったですし、どの体験も想像以上でした。こうしたVRの楽しさや可能性を沢山の人に知ってもらいたいという想いで、VR SPACEをオープンされたのでしょうか?
まさにそうですね。もともとVRの領域は前職時代からとても興味がありました。
昔からウォルト・ディズニーの会社や考え方がすごく好きで「いつかディズニーランドのようなアミューズメントパークを作りたい」という野望を持っていたのですが、そうしたものもVRを使えば実現できるんじゃないか?と。

ゲームやテクノロジーが好きな人だけではなく、そうした技術的なことに興味の無い人たちにもまずは楽しく体験してもらえる施設にしたいと考えて、あえて渋谷にオープンしました。

ディズニーランド!
確かに今日実際に体感してみて、あれだけ大きな規模はなくとも、VRの画面の向こうに無限の可能性が広がっているのを感じました。
ちなみにオープン以後は、どういった方たちが遊びに来られているんですか?
意外なことに、今一番来る層はカップルですね。
テレビなどのメディアで取り上げられたこともあり、友達同士や家族で来られることも多いです。
デートでVRですか…!二人でいつもとはちょっと違う体験ができるというのは、刺激を求めるカップルにはぴったりですね(笑)。来店した方の反応はいかがですか?
今日の田中さんと同じく、「思ったよりも全然凄い!」「やらないと分からなかった!」という反応が一番多いですね。そういう意味でも、やっぱり「まずは体験してもらう」ということを一番大事にしています。

VRってこんなに面白いということを知ってもらいたいんです。
確かに「実際に体験する」というのは、話を聞くのとは全く違う…
今日改めて実感しました。会社の人たちと一緒に来たりしても面白そうですよね。
そうですね!実際、企業の福利厚生の一環で、最先端の技術に触れようという目的で来られることもありますよ。社内のメンバー同士で、自社のビジネスに活かせるポイントは無いか?と考えてもらうきっかけにもなっているみたいです。
今後、VR SPACEを通じてチャレンジしていきたいことはありますか?
まずは、もっと新しいコンテンツの拡充をしていきたいと思っています。
今回体験してもらったのは一番スタンダードなものですが、他にもボクシングや360度の壁打ちができる「VRエクササイズ」と呼ばれるコンテンツや、複数の参加者が同じ空間に行って戦える「マルチプレイ」ができるようなものとか…

VRエクササイズなんてものがあるのですか!
ちなみに、今日遊んだコンテンツは「エンターテイメント」的な要素が強いですが、ビジネスシーンでの需要もあるのでしょうか?
かなりありますね。
現在は、企業と一緒にVRのコンテンツ開発を進めたりもしています。
企業の広告ツールの一つとして、商品の原産地にVRを通じて行くことができるコンテンツを使ったり、ブランディングの一環として、バーチャル・オフィスツアーができるものだったり。

ビジネスツールとしてのVRの活用は、今後もかなり可能性があると思いますよ。

未来はもうすぐそこ!注目の新技術と「当たり前」の変化


様々な技術が驚くほどのスピードで進化していく中で、二宮さんが注目されているテクノロジーはありますか?
VR(仮想現実)はもちろんですが、これからもっと面白くなるなと思っているのはAR(拡張現実)の分野ですね。VRの場合は、視界を100%仮想のものに変えますが、ARは眼鏡などのデバイスを通じて、現実に映像を重ねられますよね。

「ポケモンGO」の記憶が新しいですが、レアなポケモンが出るからという理由で、皆がこれまで行かなかった場所に行くというムーブメントが起こった。ARの面白さは、今ある現実を違った見え方に変えられる点にあると思います。

最近は、ARの派生版とも言える、MR(Mixed Reality)という技術を使った「ホロレンズ」という製品もマイクロソフトから発表されているので、その辺りの技術には今注目していますね。
今見ているのが現実か仮想か、その判別すらつかない世界が近い将来待っているのかも…VRに関しては、近い将来で考えられる進化ってあるのでしょうか?
分かりやすい点では、より高画質になったり、小型化、ケーブルの無線化、さらに廉価になっていく、というのは想像以上に早いスピードで進んでいくでしょうね。

そうして皆が当たり前のようにVRデバイスを持てるようになったときに、初めて働き方や生活が変わるということが起きていくと思います。
仮想現実の中で、その場にいない人とも打ち合わせができたり…?
そうですね、ホワイトボードだって仮想現実の中で使えますよ(笑)。今日は気分を変えてハワイで打ち合わせしよう、なんてことも。

さらに3Dスキャンの技術が進んでいる今だと、実在の人の顔をスキャンして、声のピッチや発言の内容を、AI(人工知能)でディープラーニングさせ、本人が喋っているように発言させるということもできるわけです。

色々な技術が組み合わさることで、どんどん新たな進化を遂げていくわけですね…
「実在の人の顔を使って別の人が喋る」ということができるなら、もしかして、亡くなった大切な人に会えたり…
そういうことです。
家族や友達が元気なうちにスキャンをとっておけば、今後はVRを使って「亡くなった人に会いに行く」なんてこともできるんじゃないかと思います。
そういうことが出来たとき、技術が本当に人の心に触れる瞬間が訪れますよね。
今の当たり前が、当たり前じゃなくなる時代がすぐそこに…
少し話は脱線しますが、2020年に生まれた子供が二十歳になったとき、時代は2040年なんですよ。そのときには「人」という存在も、実在している人だけでなく、限りなく人に近いロボットや、その場にいないけど拡張現実でその場にいるように見える人だって当たり前に存在しているわけですよね。

数年後には、今の仕事の大半がなくなっていると言われることもありますが、職種云々だけでなく、そもそも「稼ぐ」ということがどこまで必要なのか?と問われることもあるはず。
仕事の意義も含め、「生き抜くための力として、何を教えてあげればいいんだろう?」と思わず考えてしまいますよね。
うんうん…. (ただひたすら頷く、もうすぐ母になる予定の田中)

ちなみに二宮さんは、こうした最先端のテクノロジーがもたらす変化について、普段どんなふうに情報収集されているんですか?
海外のニュースや、海外の研究者のリサーチ内容をチェックすることが多いですね。
あと実はすごくヒントだらけなのが「SF」の作品。
例えば、マトリックスとかマイノリティ・リポートだとか。そういったビジョナリーなSF作品って、あの時代に、すでにあんな未来を描いていたんだ!という発見もあります。

テックの先端ってすごくかけ離れたイメージだったのですが、話を聞いていると、もうすでに起きているようにも感じさせられますね。
そうですね。飛躍しているように聞こえるかもしれませんが、僕らの運営しているVR SPACEも、そうした未来の第一歩なんです。

まずは皆さんの身をもって、この「仮想空間」を体験してみてほしい。未来はすでに起きているということを、きっと感じてもらえると思います。

未来を自分の目で確かめる「VR SPACE」に行ってきた!まとめ


今回、VR SPACEで初めて体験してみたVR。
想像以上の没頭感と、「未来はもうすぐそこにある!」と感じずにはいられない体験に感動しました。

ただ楽しいアミューズメントスペースとしてだけではなく、こうした技術を使えば、こんなこともできるのでは?と新たな可能性を感じることも。

今回の取材を通じて、こうした分野についてさらに学んでみたい!と思った私。
インタビューの最後に、二宮さんのお薦め書籍として「シンギュラリティは近い」という一冊をご紹介いただき、早速読み始めています。「シンギュラリティ」とは人工知能が人間の脳を超越するタイミング(技術的特異点)のこと。

今回二宮さんのお話を聞いて、そうした未来を予測する面白さや、人がこれまでの限界を超えて進化していこうとする強さも感じさせられました。

VR SPACEでは、30分3,000円から最新のVRコンテンツを体験することができます!
週末やグループでの利用は予約必須ですので、公式サイトからご確認ください。

百聞は一見に如かず!興味のある方は、ぜひ!実際に体験しに来てくださいね。


参考リンク

VR SPACE : 渋谷初のVR体験型アミューズメントスペース
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この記事を書いた人
田中 伶 アステリア株式会社 コミュニケーション本部・メディアプランナー。 教育系のスタートアップでPRや法人向けの新規事業立ち上げを経験。話題のビジネス書や経営学書を初心者向けにやさしく紹介するオンラインサロンを約5年運営するなど、難しいことをやわらかく、平たく解説するのが得意。台湾情報ウェブメディア編集長も務める。