2025年5月7日

台湾のテクノロジーが集結! 大阪・関西万博「TECH WORLD館」体験レポート

2025年4月に開幕した「大阪・関西万博」に、台湾の最先端技術が集まった「TECH WORLD館」なるパビリオンが出展しているのをご存知ですか? 本記事では、TECH WORLD のパビリオンの詳細と、台湾発のIT企業 玉山デジタルテック名誉会長が登壇した開館式の様子をご紹介します!


2025年4月に開幕を迎えた「大阪・関西万博」。
約160ヶ国の国や地域による海外パビリオンや、テーマ館・企業館など、多様な展示が展開され、国内外から訪れる多くの人々で連日賑わっています!

今回 in. LIVE では、世界随一の半導体技術を誇る台湾発のIT企業である玉山デジタルテック株式会社が率いる民間パビリオン「TECH WORLD(テックワールド)館」に注目。もともと台湾は BIE(博覧会国際事務局)に加盟していないため国際パビリオンとしての出展はできないのですが、本パビリオン内には台湾の食雑貨を扱うショップなどもオープンしており、実質の ”台湾パビリオン” としてメディアからも報道されています。

今回の記事では、AIやレーザープロジェクター、ロボットアーム、8K技術など、台湾の最先端技術が集結した TECH WORLD館で実際に体験したパビリオンの詳細や、台湾テックの現在地、さらにパビリオンの開幕式の様子などをまとめてご紹介します。

※本記事の内容は2025年4月22日時点での情報です

生命・自然・未来が調和する、台湾が描くIT社会

それではいざ! 大屋根リングの下を通り、台湾の最先端技術が集結したTECH WORLD館 へ。

現在(2025年4月22日時点)は事前予約制が導入されていますが、予約なしでも30分ほどの待ち時間で入場することができます。

近代的な雰囲気が漂うパビリオンの外観。高くそびえる群山から着想を得た “心の山” をコンセプトにしており、建物はリサイクル可能な金属素材で作られているそう

ワクワクしながら館内に入ると、まずは一人ひとつずつ、リストバンドが配布されます。このリストバンドをつけながら体験することで、心拍数をリアルタイムに記録してくれるようで、パビリオンの体験後は記録された ”心が動いた瞬間” をもとに「あなたにおすすめの台湾旅行先」をサジェストしてくれるのだそう。

本パビリオンは「LIFE(生命)」「NATURE(自然)」「FUTURE(未来)」をテーマに構成されています。まずはスタッフさんの案内のもと、プロジェクション、電子スクリーン、光と影の変化を組み合わせた「ライフ劇場」のパフォーマンスからスタート。

こちらは大きな円柱型の電子スクリーンと、その周囲に設置されたタブレット端末(ASUS社のChromebook)に同時に映像が映し出されるのですが、この Chromebookが自由自在に動きます……! 複数のモニターに表示させる画面を同期させて、風に触れる花びらや跳躍する魚の群れを作り出しているのですが、その数、なんと 560台!

音や映像にあわせたなめらかな動きで来場者を驚かせるタブレット端末ですが、これには台湾の機械メーカーが設計・製造するロボットアーム(HIWIN)の技術が使われているのだとか。これまで味わったことのない映像体験です。

大地と生命を生き生きと描き、まさに ”マルチメディアパフォーマンス” と呼ぶにふさわしい演出でした。

映像終了後にタブレットに映し出されていたのは、華麗な蝶たち。
こちらは来場者が指で触れてスワイプすることで、円柱状のスクリーンに蝶を飛ばすことができます。

そしてエレベーターを使って、2階へと上がっていきます。
ここで体験するテーマは「自然(Nature)」ということで、「ネイチャー劇場:六感の旅」を鑑賞します。

高画質4Kレーザープロジェクターを使用して、アーチ型の壁にさまざまな大自然の映像が投影されます。フロアをぐるりと囲むように設置されている没入型シアターなので、どの場所からも臨場感のある映像を観ることができるのが嬉しいですね。

海、山、森と、生命力の溢れる大自然の映像を臨場感たっぷりのスクリーンで観ることができました。

さらにその先には「ランの道:蝶とランの花によるバーチャルとリアルの共演」という展示もありました。実は台湾は世界有数のランの生産地で、世界のランの約1/3が、台湾から出荷されているのだとか。

こちらのランの花びらには「TECH WORLD」のロゴが印刷されていますが、こちらもナノスプレーという台湾の技術が使われているのだそう。

またランの花(実物)と、透明マイクロLEDディスプレイを組み合わせることで、実物のランの花の上をバーチャルの蝶が飛び交うという演出もありました。リアルとバーチャルの融合、とっても芸術的です。

そして、次に訪れたのは、「都市の絵巻」と名付けられたAIギャラリー。
こちらは、8K技術を使った世界最高峰のアートディスプレイで、まるで本物の美術館のようなアート空間を演出してくれます。先進反射防止技術に、画像色統合技術、さらに高強度画像暗号化技術により、アートワークの真正性まで確保されているのだそう。

これらはすべて静止しているかのような絵画作品ですが、時間とともにゆっくりと変化し、都市から田園まで、美しい景色を観ることができます。いずれも有名画家の作品をAIに学習させたもので、AIの学習内容をもとに、過去の実際の作品と、現代の台湾での都市生活を融合させた映像が生成されているんですって!

続いてのコーナーは「FUTURE(未来)」
”未来のより良い暮らしはテクノロジーの上に築かれる” をテーマにした映像の展示です。

たくさんの半導体が映し出された巨大スクリーンに手を触れると、半導体の下に、私たちの未来の暮らしが見えます。ダイナミックなインタラクティブセンサーと立体映像技術が使われているとのこと。

私たちは一日の生活の中で、一体どれくらいの半導体を使っているのか考えてみたことはありますか? 正解は、一日4000個以上。台湾で生まれた ”テクノロジーの心臓” である半導体技術が世界をつなぎ、より良い未来の暮らしを作るのだと示していました。

没入感のある映像コンテンツがたっぷりだった TECH WORLD館。
いよいよ最後のコーナーでは、配布されたリストバンドで集めた情報が表示されます。

実際に体験した私の心が一番動いていたのは “FUTURE(未来)” だったようで、その情報を元におすすめの台湾旅行での体験を提案してくれました。

こちらにも、ASUS社製のProArtスクリーンが24台設置されており、広視野角178°IPSパネルを搭載したHDRモニターを使用。来場者の心拍数曲線に従い、搭載されたAIテクノロジーが動画を作成して、個人向けにカスタマイズされた旅行スケジュールが出力されます。スマホから見ることができるのですが、動画は記念にダウンロードすることもできました。

「台湾にこんな面白い施設があるんだ!」と、新たな発見にも繋がります。
パビリオンの体験後は、万博でおなじみのスタンプを押すのも忘れずに♪

パビリオンの開幕式には、玉山デジタルテック名誉会長が登壇

さて、そんな TECH WORLD館ですが、2025年4月22日には開幕式が開催され、今回のパビリオンを率いる台湾のIT企業「玉山デジタルテック株式会社」の名誉会長である黄志芳氏が来日。会場には多くの来賓と日台のメディアが訪れ、盛大なパフォーマンスとともに、パビリオンに込めた想いやコンセプトを発表しました。

開幕式で黄志芳氏は「より良い未来を追求する道において、TECH WORLDパビリオンは世界と共に前進している。私たちはこの美しい景色と人文風情を世界と共有し、この科学技術についてパートナーと協力していきたい」とコメント。

会見後の囲み取材では、日本の多くのメディアからも、玉山デジタルテックの黄会長に対して、 ”台湾という名前で出られないことについて” の想いを聞かれていましたが「万博というのは、国境や人と人の壁を超える場所。今回こうして出展できたのが、本当に光栄なことです」と話す黄会長のコメントが心に深く残りました。

ちなみに、こちらはTECH WORLD館を案内してくれるスタッフの皆さんのユニフォーム。
台湾杉がモチーフになったおしゃれなデザインなのですが、なんと記事の素材にはトウモロコシの繊維と、嘉義産のカキ殻から作られた再生糸が使われているんですって! 

台湾が以前より力を入れている、サステナブルな環境への配慮があちこちに感じられました。

大阪・関西万博|TECH WORLD館の基本情報

2025年4月13日(日)〜10月13日(月)の185日間限定で開催される、大阪・関西万博。
TECH WORLD館の出展場所は、「グランドリング」外周エリアとなる「W02」。東ゲート(夢洲駅側)からの所要時間は10分程度です。あちこち眺めながら入口から楽しく歩くので、実際はそこまで遠くは感じませんでした。

西ゲート(駐車場側)から入った方が近いので、シャトルバスや車を利用する場合はそちらもオススメです。詳しい位置は公式マップを参照してくださいね!​

Expo 2025 Osaka, Kansai, Japan 公式会場マップ(PDF)

取材後記

最後におまけ情報ですが、TECH WORLD館の出口付近には、台湾の食雑貨などを扱う「神農生活」というショップが期間限定でオープンしています!

こちらでは、台湾で広く愛されるスナックやドリンクが販売されています。万博限定のオリジナル雑貨もあるので、ぜひチェックしてみてくださいね♪

以上、台湾の最先端テクノロジーと「世界とつながる」未来が体感できる TECH WORLD館をご紹介させていただきました。万博は2025年10月まで開幕中! 興味のある方はぜひ実際に現地で体験してみてくださいね♪

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この記事を書いた人
田中 伶 アステリア株式会社 コミュニケーション本部・メディアプランナー。 教育系のスタートアップでPRや法人向けの新規事業立ち上げを経験。話題のビジネス書や経営学書を初心者向けにやさしく紹介するオンラインサロンを約5年運営するなど、難しいことをやわらかく、平たく解説するのが得意。台湾情報ウェブメディア編集長も務める。