2026年6月19日
今月台北にて開催されたNVIDIA社が主催する「GTC Taipei 2026」と、アジア最大級のIT・テクノロジーの展示会「COMPUTEX TAIPEI 2026」を現地視察してきました。NVIDIAが示した未来像や、会場で感じた熱気、注目展示の数々を、社員ならではの視点でイベントレポート形式でお届けします。
こんにちは。アステリアのフィジカルAI事業部に所属している阿部です。
この度、2026年6月1〜5日の期間で、台北にて開催された「GTC Taipei 2026」と「COMPUTEX TAIPEI 2026」に参加してきました!
本記事では、このイベントに参加した感想や現地で感じたことなどを、ゆるめの雰囲気でレポートをさせていただきます!
私の所属するフィジカルAI事業部では、現場(エッジ)におけるデータ収集・処理・活用のシステムをノーコードで構築出来るプラットフォームである「Gravio(グラビオ)」を提供しています。
サービスの技術要素としては、画像認識AI(カメラ)、IoTセンサー、エッジゲートウェイ、LLM・VLM連携、様々なクラウドプラットフォーム、直近ではロボットと多岐に渡り、ソフトウェアのみならずハードウェアやネットワーク構成も含めたご提案を日々行っています。(私自身は技術職ではないのですが、日々勉強してキャッチアップに努めています…!)
そんなフィジカルAI事業部が、今回台北で参加した2つの展示会。
一つはNVIDIA社が主催する展示会・カンファレンスである「GTC Taipei 2026」です。毎年カリフォルニアのサンノゼで開催されていますが、2025年からは台北でも開催され始めました。最新の製品発表や、実現場におけるユースケース紹介、様々なソリューションの実機展示や体験、ワークショップなどが行われます。
そしてもう一つ、同じタイミングで開催されたのが、「COMPUTEX TAIPEI 2026」という展示会です。これはアジア最大級のIT・テクノロジーの展示会で、AI、半導体、サーバー、エッジゲートウェイ、パソコンやスマホなど、最新のテクノロジーが一堂に集まるイベントです。世界中のメーカーや企業が、新製品・新技術を発表する場として知られています。
2026年はこの「GTC Taipei」と「COMPUTEX TAIPEI」が同時期開催となっており、最先端の情報をキャッチアップできる場として世界中から注目を集めていたのでした。
台湾にはTSMCをはじめとする多数のハードウェアベンダーが集まっているという点から、台北での同時開催というのは納得ができます。とりわけサイズが大きいものも地の利を活かして展示・実演できるのも当地ならでは、と感じました。
というわけで、我々も台北へ!
最新のテクノロジーに関する情報収集はもちろん、現地でしか感じられない熱気やトレンドを体感してきました。
NVIDIA社が主催する「GTC Taipei」は規模が大きいため、複数の会場で開催されていました。
初日の 6月1日(月)にTaipei Music Centerで開催されたのは、NVIDIA社CEOであるJensen Huang氏による基調講演です。来場者が多いことが予想されていたので、講演開始の11時の2時間前には現地に到着。
会場周辺は「GTC Taipei」装飾で仕上がっており、思わずテンションが上がります。屋外の屋根付きスペースで1時間ほど待機しましたが、入場待機列ではPre Sessionがライブ配信されていたりと、飽きさせない演出でした(英語ではなく現地の言葉だったので内容はあまり理解できず……)。
入場待機列横で開催されているPre Sessionの様子
いよいよ、会場へ入場! 5〜6,000名規模のコンサートホールでしたが、見事に満席でした。2階席ながら比較的近く、全体を見渡せる良い席を確保することができました!ちなみに、海外あるあるですが施設内はエアコンが効きすぎているのでジャケット必須です(笑)。
そしてついに、講演開始の11時! Jensen Huang氏が壇上に登場すると、会場は大盛り上がり。講演は2時間ノンストップ、立ちっぱなしでお話されていましたが、コンテンツが濃厚であっという間でした。
技術的な詳細はさまざまなメディアでも紹介されているので簡潔にまとめると、
・AIエージェント NemoClawによるエージェントのセキュアな活用
・データセンター向け次世代システム「Vera Rubin」
・AIファクトリー構築用プラットフォーム「DSX」
・新設計のWindows on ARM PC「RTX Spark」
・自動運転車向け開発プラットフォーム「Alpamayo 2」
・ロボット開発プラットフォーム「NVIDIA Isaac GR00T」
などが、プレゼンテーションのハイライト。
特に強調されていたのはAIエージェントの文脈で、冒頭で大きく扱われており、NVIDIA社が今最も注力している領域だと感じました。
また個人的に注目していたのが「RTX Spark」です。
DGX Sparkと同じ統合型(一体型)のメモリを積んだARMアーキテクチャのWindows PCで、NVIDIA社がMicrosoft社をはじめPCメーカー各社と連携して、AIエージェント時代のノートPCを開発・販売するというもの。
アステリアのビジネスと紐づけると、RTX Sparkが、ローカルLLMをハイパフォーマンスに動かしつつ、Gravioのソフトウェアも安定動作する基盤となるなら、非常に魅力的です。が、価格が気になるところ……。
そして「NVIDIA Isaac GR00T」にも注目。アステリアはロボティクス事業部を立ち上げたばかりなので、このタイミングでキャッチアップできたのは大きな収穫でした。
最後に2時間の講演内容をまとめたRecap映像が流され終了。
短時間で良い感じにまとまっているので、興味のある方はぜひご覧ください。
会場内のNVIDIA公式ショップ「NVIDIA GEAR SHOP」では様々なグッズが買えました。
私も例に漏れずTシャツ、バッグ、靴下などを購入
さらに1回1,000円の通称「1000円ガチャ」が設置されていて、軽い気持ちで回したらなんと大当たり! 景品は Jensen Huang CEO直筆サイン入りのYETIタンブラーでした!
なんと全体で3個しかない大当たり賞だそうで、現地スタッフも大盛り上がり!
本物のサインで消えそうなのが怖いので、保護塗装でもしようかと考え中です(笑)
ちなみに、夕食は関係者と一緒に「上海極品軒餐廳」へ。
トンポーローが有名なレストランですが、とろとろの角煮を饅頭に挟んで食べるのが絶品でした。オススメです!
映画『千と千尋の神隠し』に出てきそうな見た目
2日目は「COMPUTEX TAIPEI 2026」に参加しました。先にも触れましたがアジア最大規模のハードウェアに特化したITの展示会です。
1,500社以上の出展、6,000を超えるブースが4会場で展開される構成で、メイン会場である南港区の「南港展覧館(TaiNEX 1 & 2)」に加え、信義区の「世界貿易センター(TWTC Hall 1)」、「台北国際会議センター(TICC)」の4箇所に分散しての開催でした。展示総面積は東京ビッグサイト全館を上回る規模感だとか。
来場者は世界152カ国以上から集まり、3万5,000人を超えるバイヤーが台北を訪れます。つまり、この時期の台北には、世界中のサプライチェーン関係者やテクノロジー企業が一堂に会するということ。「CES」に次ぐ世界第2位のIT展示会と称されるのも納得の規模と存在感です。
まず感じたのは、その圧倒的なスケールです。日本でも「Japan IT Week」をはじめとする大規模なIT展示会は開催されていますが、ハードウェアに特化した展示会として、これほどの規模は、今の日本ではなかなか目にする機会がありません。
また会場を回って印象的だったのは、ハードウェアサプライチェーンのほぼ全レイヤーが一堂に会していたことです。
具体的には、
・半導体・チップメーカー
・AIサーバー・データセンターODM
・PCメーカー
・産業用IoT・組み込み
・マシンビジョン・ロボティクス
・ストレージ・ネットワーク機器
・電源・冷却・筐体
・EMS・受託製造
など。つまり、シリコンから完成品、そして産業応用まで、ハードウェア産業の縦のライン全部が見渡せる場でもありました。これは台湾という地理的・産業的な集積があってこそ実現できる構成で、日本国内では再現が難しい性質のイベントだと感じました。
ただ、ここで一点正直にお伝えしておくと、「COMPUTEX TAIPEI」は日本の Japan IT Week のように「買えばすぐに業務に使える SaaS や業務ソリューションが並んでいる場」ではありません。会場に並ぶのはチップや基板、完成ハードウェア、開発キット、そしてそれらを組み合わせたリファレンス実装が中心です。どちらかというと「これらの技術を活用して、どのような製品やサービスを生み出せるか」を考える企業や開発者向けの展示会という印象を受けました。
一方で、Gravioのようにハードウェアと連携したソリューションを提供する私たちにとっては、最新の半導体・エッジ機器・ロボティクスを実機で見ながら、現場での活用法や次のソリューションを考えられる、貴重な現場でした。
また、前日行われていた「GTC Taipei」で発表された新製品が、パートナー各社のブースに製品形態として並んでいる、というスピード感も非常に印象的でした。
前日に発表されたばかりの 「RTX Spark」搭載PCが各PCメーカーのブースで一斉展示されていたり、「GTC Taipei」で「コンセプト」として発表されたものが、「COMPUTEX TAIPEI」で「製品形態」として既に並んでいたりと、台湾のサプライチェーンの強さを象徴しているようでした。
アステリアの Gravio 事業という視点で見ると、Edge AI ゲートウェイの次世代ハード候補、マシンビジョンのパートナー候補、新規産業用センサーの候補など、収穫もたくさんありました。
3日目は再び「GTC Taipei」の会場へ。NVIDIA独自の展示エリアでは、基調講演で発表された新製品のデモと、NVIDIAのソリューション展示が行われていました。
1日目にも強く感じたことですが、やはり “AIエージェント推し” です。「Build-a-Claw」と題して、多くの面積を割いてOpenClawとNemoClawを用いたデモや体験ブースが用意されており、NVIDIA社としてエージェントの普及を本気で推進していることが伝わってきました。
デモでは、ユーザーが自然言語を入力するだけで、AIエージェントが複数のツールを横断的に操作してタスクを完了させる様子が体験できました。
また、実業務にAIエージェントを組み込んで自動化している事例を見せるブースも複数あり、コンセプトから実装への移行が確実に進んでいる手応えが見て取れました。
その他、新型アーキテクチャの「Vera Rubinサーバー」や、「RTX Spark」搭載PC、ロボット活用、自動運転などの実機展示やソリューション紹介ブースがありました。
Vera Rubinサーバーは荘厳さすら感じさせる金色の筐体がずらりと並ぶ様は圧巻で、思わず欲しくなりました(が、買えません!笑)。
セッションも終日開催されており、特に印象に残ったのが以下の2つです。
ここでは、NVIDIAが提唱するフィジカルAIが、学習・シミュレーション・推論の3つのハードウェア層の上に、Cosmos、Omniverse、Isaac GR00T、Metropolis、Holoscanといったプラットフォームを乗せたフルスタック構成として整理されていました。
また、新しいモデルである「NVIDIA Cosmos 3」は、フィジカルAI向けの基盤モデルで、世界の理解・シミュレーション・データ生成・行動方針生成までを統合的に扱えるものです。フィジカルAI領域でNVIDIAが一気にリードを取りに来ている印象を受けました。
Gravioは現場でのデータ収集・処理を担う領域なので、フィジカルAI全体の中では「現実世界からのデータ収集と連携、現場制御」のレイヤーに位置すると改めて整理することができ、自社の立ち位置を俯瞰する良い機会になりました。
GravioではすでにVLMとの連携機能を提供しており、現場の画像をAIで解析・判断する領域は弊社としても力を入れて取り組んでいます。「産業向けのビジュアルAIエージェント」セッションでは、ビジュアルAIエージェントを「部品レベルの検査」「生産ラインの作業監視と作業員ガイダンス」「工場全体の安全監視」という3つのレベルで整理するアプローチが紹介されており、Gravioの提案文脈にも応用できる切り口だと感じました。
特に注目したのが、「VSS(Video Search and Summarization)」と「合成データ生成(SDG)」の2つです。
VSSは大量のカメラ映像をリアルタイムで解析し、自然言語で検索・要約できる仕組みで、Gravioが扱うカメラデータの活用範囲を広げる重要な技術です。SDGは「学習データが足りない」というAI現場の永続的な課題に対する解で、「たった8枚の欠陥画像から実用モデルを開発」といった具体的な成果も紹介されていました。
これらは弊社としても積極的に取り込んでいきたい技術であり、Gravioのセンサー・カメラ基盤と組み合わせることで、現場での予知保全のみならず様々な用途での提案幅が大きく広がる手応えを得たセッションでした。
ところで、今回のイベントは台湾開催ということで、パートナー企業のセッションは中国語のものも多くありましたが、録音したものをAIで日本語に翻訳・要約という流れで内容を追っていました。海外カンファレンスに参加する障壁が、AIによって一段下がったなと実感した瞬間でしたね(笑)。
帰国前のお土産といえば「ChiaTe Bakery(佳德鳳梨酥)」のパイナップルケーキ、というのは台湾通の定番だと思いますが、せっかくなら本店に行ってみようと足を運びました。
本店ではパイナップル以外のフレーバー(クランベリー、くるみ、ロンガンなど)も売っており、これがまた美味しいのでオススメです。
お土産として日本のオフィスに持って帰った分はあっという間に消えました(笑)
台北で開催された「GTC Taipei 2026」「COMPUTEX TAIPEI 2026」への参加は、私にとって初めての海外展示会でした。フィジカルAIを推進する当事業部にとって、まさに今押さえておくべき技術や市場を直接体感できる機会となり、非常に有意義な出張となりました。
台北の街にそびえ立つランドマーク「台北101」
個人的に印象に残ったのは、AIエージェント・フィジカルAI・WoA PCといった「PCの使い方そのものを変える可能性のある技術」が、コンセプトの段階を越え、着実に実装フェーズへと進んでいることでした。GravioはAI/IoTに特化した現場のデータを扱うプラットフォームとして、こうした流れにどう接続していくか、考えさせられる3日間でもありました。
アステリアはシンガポール拠点とも連携しながら、日本国内だけではなく、海外の状況も日々情報共有しています。引き続き、世界のトレンドをキャッチアップしつつ、お客様の課題解決につながる新たなソリューションづくりに取り組んでいきたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!