2023年10月19日

東京予選の様子をレポート! 世界最大級のグローバルピッチコンテスト『スタートアップワールドカップ2023』

世界最大級のグローバルピッチコンテストとして知られる『スタートアップワールドカップ2023』。2023年9月8日に行われた東京予選では、スタートアップ10社による白熱のピッチや、ゲストスピーカーによるパネルディスカッションなどが行われ、会場は終始熱気に包まれていました。イベントの様子をレポート形式で詳しくお届けします!


アステリアの社外取締役でもあるアニス・ウッザマン氏が創業者兼CEOを務める 米 ペガサス・テック・ベンチャーズ が主催する、スタートアップ・ワールドカップ。2017年より開催されている本大会は ”世界最大級のグローバルピッチコンテスト・カンファレンス” として知られています。
今年もサンフランシスコで行われるグランドフィナーレ出場権を競って、世界50以上の国と地域で予選が行われており、毎年恒例の東京予選が 2023年9月8日、グランドハイアット東京にて開催されました!

本記事では、当日行われたパネルディスカッションやスタートアップ10社によるピッチ大会など、イベントの様子をレポート形式で詳しくご紹介します。

主催のアニス・ウッザマン氏に、スタートアップワールドカップの概要や、世界のスタートアップの近況、さらに日本のスタートアップ企業の可能性などについて聞いたスペシャルインタビュー記事も公開中。ぜひあわせてご覧ください。

https://www.asteria.com/jp/inlive/startup/6251/

会場は満席! 入場無料のスタートアップ展示会も同時開催

東京予選の会場となったのは、六本木にあるグランドハイアット東京。
メインイベントの開場時間を前に、今年から新たな取り組みとして始まった「スタートアップ展示会」が先行してオープンしており、多くの起業家や投資家、業界関係者などが、交流やビジネスの機会を提供するためのネットワーキングの場として活用していました。

約40のスタートアップが最新技術や製品を披露していた展示会。入場無料で誰でも自由に出入りができるということもあり、多くの人で賑わっていました。

そして17時、同時にメインイベントの受付も開始。今回のメイン会場は、立ち見客が出るほどの大盛況…!  それもそのはず、アニス氏によると、現地への来場者は1,500名以上、オンラインでの視聴者は2,000名以上、ゲストスピーカーとスタートアップの代表は40名以上集まっていたのだとか…!

来場者には、アニス・ウッザマン氏と、一橋大学経営管理研究科経営管理専攻 名誉教授 米倉誠一郎氏による共著『 シリコンバレーは日本企業を求めている 世界が羨む最強のパートナーシップ 』も配布されていました。

スティーブ・ウォズニアック氏や小池百合子氏など、スペシャルゲストからのメッセージ

そしていよいよ「スタートアップワールドカップ2023 東京予選」が開幕…!
大迫力のダンスパフォーマンスに始まり、今回のイベントのために撮影された、Apple共同創業者 スティーブ・ウォズニアック氏による対談映像が大画面で流れました。

対談では、友人や家族、先生からの影響で電子工学が好きになり、エンジニアを志した経験を振り返りながら、若いスタートアップ組織として重要な3つのスキルを語りました。

まず1つ目に「ビジネス思考」があること。成功し生き残り、かつ儲けることができる思考。次に「マーケティング」、世の中にどんな製品があるのかを見る力。そして最後に「エンジニアリング」。このエンジニアリングが優れていれば、非常にシンプルなもので説得力があるものを生み出せるそう。もちろん一人ですべてのスキルを持っている必要はありません。Appleではそれぞれのスキルを持った3人で協力して製品を生み出していたことを振り返り、傲慢にならずに相手を尊重することの大切さも語っていました。

重要なのは、適切なスキルセットだけを見て人材を採用するのは成功には繋がらないということ。スティーブ氏は、似たようなことが好きな人たち、とにかくいつも一緒にいたいと思える人と働くべきだという点もあわせて強調していました。

ビデオメッセージのあとは、スペシャルゲストによる挨拶。
この日のイベントのために会場に駆けつけた東京都知事の小池百合子氏からは、日本のスタートアップがより世界で花開くように、と期待を込めたメッセージが贈られました。


パネルディスカッション「日本が世界でもう一度輝くために、すべきこと」

ゲストスピーカーによる挨拶後は、ゲスト登壇者によるパネルディスカッションが行われました。

リラックスした雰囲気の中、「日本が世界でもう一度輝くために、すべきこと」をテーマに議論を交わしたのは、セガサミーホールディングス株式会社 代表取締役社長グループ CEO 里見治紀氏、​株式会社ジャパネットホールディングス 代表取締役社長兼CEO 髙田旭人氏、​株式会社メルカリ 取締役会長 小泉文明氏のお三方。

モデレーターを務めたのは、一橋大学経営管理研究科経営管理専攻 名誉教授 米倉誠一郎氏です。

里見氏が、セガサミー社が1060億円で買収を行った「アングリーバード」の舞台裏や、買収の狙いなどについて触れると、各社のグローバルな展開についても話題が挙がりました。

メルカリ社では新たな開発拠点をインドに立ち上げており、社員を50カ国以上から採用、エンジニアの半数以上は外国籍の方なのだそう。海外企業と人材を取り合わなくてはいけない中で、小泉氏は「この人に投資するという意味合いでインセンティブを設計し、良い人材をグローバルで追い続けることが重要」と語りました。

エンジニアの採用はグローバルで戦う上で欠かせないテーマです。
里見氏は「現在は円安だが、これはグローバルで戦う上でチャンスになるという見方もある。いま日本は世界的に見ると物価も低いので、同じ給与でも日本に住む方がQOLがあげられる、ということを外国の方にアピールできる」というお話も。

一方、通販を主力事業とするジャパネットホールディングスは、最近はスポーツにも力を入れており、長崎にスタジアムを作ったり、ジャパネットアメリカを立ち上げてクルーズ船で日本に来る旅行プランを販売したりと新たな展開も行っています。

「地方創生は行政の仕事だと思われているが、VIPルームをとことん豪華にして他は安くしたりと民間企業だからこそできることに挑戦している。年間通して20試合しかないので、試合がない日にどうするか? が肝になる。スタジアムの上にジップラインを引いたり、温泉を掘ったり、細かい工夫を色々としている」と語りました。

同じく、鹿島アントラーズのスタジアムを設立中のメルカリ社の小泉氏からは「街というプラットフォームをソフトウェアの視点で書き換える。メルカリ式に経営を変えていく」というお話も。

三社とも、スタートアップ企業との協業については、前向きな姿勢を示していました。
若い世代が新しいことを仕掛けながら、リーダーシップを取っていってほしいと、米倉氏がまとめてパネルディスカッションは終了。非常に内容の濃い対談となりました!

審査員チームによる、◯✕クイズ方式のクロストーク

さらにその後は、今回のスタートアップワールドカップ2023 東京予選の審査員を務める方々によるクロストーク。アニス氏が事前にピックアップした10の質問に「◯か✕か」で答えてコメントする、という面白い企画が用意されていました。

「5年後には女性経営者が半数以上になっている」など、これからの未来を予想するさまざまなトピックに対して、どう見るか? ということをコメントしました。

審査員として登壇したのは、以下の方々です。

・Forbes Japan発行人 高野真
・MPower Partners Fund L.Pゼネラルパートナー キャシー松井氏
・大和企業投資株式会社 代表取締役社長 平野清久氏
・株式会社NTTドコモ アライアンス推進室 室長 忍足大介氏
・株式会社DGインキュベーション マネージングディレクター 前川雅彦氏
・千葉道場ファンド共同パートナー 石井貴基氏
・アステリア株式会社 代表取締役社長/CEO 平野洋一郎氏
・デトロイト トーマツ ベンチャーサポート株式会社 代表取締役社長 斎藤祐馬氏

短い時間だったのがとても残念…! 皆さんそれぞれの考え方にも違いがあったりと興味深く、もっと聞いてみたかった! と思うトピックが多かったです。

いよいよ開幕! 10社による白熱のピッチ大会!

そしていよいよイベントのメインコンテンツでもある、スタートアップ10社によるピッチ大会! 今回の東京予選から選出された一社が、今年12月にサンフランシスコで行われるグランドフィナーレへの出場権を得ることができます。

会場の熱気は最高潮…! 各社の応援に駆けつけている関係者の方々も多く、勝敗の行方をリアル会場とオンライン会場の両方から見守りました。

冒頭では各社のイメージ動画が流れ、その後3分30秒のピッチの中で、自社の事業概要や競争優位性について語りました。

さすがはグローバルな舞台を目指したイベントということで、どの企業も自社の今後の海外での展開や、自社がどれほどグローバルに強いチームなのかを強調。国内のピッチイベントとは少し違った視点が印象的でした。


今回出場した企業は、以下のとおり。

・アイリス株式会社
咽頭の画像と問診情報等をAI解析し、インフルエンザに特徴的な所見等を検出することでインフルエンザの診断の補助ができるAI搭載の咽頭内視鏡システム「nodoca」を開発
https://aillis.jp/

・株式会社Another works
正社員市場にはいないあらゆる業種の即戦力人材が数多く登録され、人材の能力・スキルが見える化されたSaaS型の複業マッチングプラットフォーム「複業クラウド」を提供
https://anotherworks.co.jp/

・株式会社AirX
遊休ヘリと着陸地の独自データベースに基づくヘリ手配オンデマンドシステムを構築し、ヘリコプターのチャーター予約サービスなど空の交通デジタルプラットフォームを開発
https://airx.co.jp/

・OniGO株式会社
アプリから欲しい商品を注文すると、最短10分で当日中に食料品や日用品などの品物を届けてくれるモバイルオーダー・即時配送サービス「OniGO」を展開
https://onigo.co.jp/

・SHE株式会社
WEBデザイン・マーケティングなどクリエイティブスキルレッスンやコーチングプログラム、仕事の機会を提供するミレニアル世代の女性向けキャリアスクール「SHElikes」を運営
https://she-inc.co.jp/

・株式会社T2
AI開発を手がけるPreferred Networksの技術提供を受け、自動運転システムやレベル4自動運転トラックによる自動運転トラック幹線輸送サービスを開発
https://t2.auto/

・株式会社バイオマスレジンホールディングス
食用に適さない古米や破砕米などを原料とした植物由来のバイオマスプラスチック「ライスレジン」や生分解性プラスチック「ネオリザ」といった環境配慮型プラスチックを開発
https://www.biomass-resin.com/

・株式会社Buzzreach
新薬開発のプロセスを効率化し、1日も早く新たな治療の選択肢を患者へ届けるため、治験に関わるステークホルダーの業務管理をワンストップで管理するクラウド型治験業務管理システム「Study Works」などを提供
https://www.buzzreach.co.jp/

・パナリット株式会社
人的資本をあらわす約100種類の人事指標を人事や給与などのあらゆる既存の人事システムに連携するだけで簡単にノーコードで可視化できる分析ツール「パナリット」を提供
https://panalyt.jp/

・株式会社PETOKOTO
国産食材をメインに使用した保存料無添加のペットフードのサブスクサービス「PETOKOTO FOODS」や保護犬猫のマッチングサイト「OMUSUBI」を運営
https://corp.petokoto.com/

緊張感のある雰囲気の中でのピッチでしたが、各社のピッチ終了後には、審査員による質疑応答も行われました。「経営陣にはどのようなメンバーがいるのか」「他社に対しての優位性は」「グローバル展開した際に生かせる強みは」など、核心をついた質問が多く、審査員も各社の可能性について非常にシビアに見ていることが伝わりました。

短い時間の中で、どの企業も全力で自社のアピールをしていました。

いよいよ開幕! 10社による白熱のピッチ大会!

休憩を挟み、ついに結果発表の時間…!
約4時間にわたるスタートアップワールドカップ 東京予選でしたが、開幕時の熱気はそのままに、会場が一気に緊張感に包まれます。

まず最初に発表されたのは、協賛であるジャパネットグループから贈呈される「ジャパネットグループ賞」。受賞したのは、女性向けキャリアスクール「SHElikes」を運営する、SHE株式会社でした!

さらに、セガサミーホールディングス賞はWAmazing 株式会社。WAmazing株式会社は、スタートアップワールドカップの京都地区予選に登壇していた、訪日旅行者向けプラットフォームサービスを提供するスタートアップ企業です。こちらにも投資賞金5,000万円が贈呈されました!

ここまでが協賛スポンサーによる表彰。続いては、いよいよアメリカで行われるグランドフィナーレ出場権を巡るスタートアップワールドカップ東京地区予選の結果発表です!

審査員による厳正な審査の結果、第三位に輝いたのは、またまたSHE株式会社!
今回のSWC2023の選考結果には、SNSなどでの投票も大きく寄与していました。Xではファンや受講生からの熱い応援を集めていたSHE株式会社。その熱量が審査結果にも響いたのではないでしょうか。

続いて、第二位に輝いたのは、人事のDX化を目指す分析ツール「パナリット」を提供するパナリット株式会社! 惜しくもグランドフィナーレ出場権は逃しましたが、多くのスタートアップ関係者に祝福され、これからますます注目を浴びることになる結果となったはず。

そして堂々の第一位に選ばれ、サンフランシスコでのグランドフィナーレ出場権を獲得したのは…!

インフルエンザの診断の補助ができるAI搭載の咽頭内視鏡システム「nodoca」を開発する、アイリス株式会社でした!

アイリスが掲げるミッション「みんなで共創できる、ひらかれた医療をつくる。」というもの。代表を務める沖山さんは、もともとは救急医として活躍されてきた現場のプロフェッショナル。幼少期を海外で過ごされていて英語も堪能ということもあり、グランドフィナーレでも堂々のプレゼンテーションを見せてくれそうです。

さて、今年も素晴らしい盛り上がりを見せてくれたスタートアップワールドカップ2023 東京予選。12月に行われるグランドフィナーレの結果や、来年度の開催予定など、スタートアップワールドカップに関する続報は、ぜひペガサスの公式サイトなどからチェックしてみてくださいね!

出場企業の皆さま、本当にお疲れさまでした!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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この記事を書いた人
in.LIVE 編集部 アステリア株式会社が運営するオウンドメディア「in.LIVE(インライブ)」の編集部です。”人を感じるテクノロジー”をテーマに、最新の技術の裏側を様々な切り口でご紹介します。