2017年5月31日

〈イベントレポート〉AI・IoT時代のエンジニアの資質とは?
PASONATECH CONFERENCE 2017に行ってきました!【前編】

各種テクノロジーを活用したプロダクトやサービスに関わるキーマン達に、エンジニアとして今後のAI・IoT等の時代の流れをどう読み、どうキャリアに活かすべきか?どんなスキルが必要なのか?といったお話をお伺いしました!


こんにちは! in.LIVE編集部の石川です。
2017年5月13日に開催された「PASONATECH CONFERENCE 2017/ AI・IoTの流れをキャリアに活かしたいエンジニアに送る2days」。こちらのイベントは、各種テクノロジーを活用したプロダクトやサービスに関わるキーマン達に、今後のAI・IoT等の時代の流れをどう読み、どうキャリアに活かすのか?といったお話をお伺いできるエンジニア向けのイベント。


当社(アステリア株式会社)の開発するIoTプラットフォーム「Platio」事業部の松村部長も登壇していたこともあり、私も実際に参加してきました。

このイベントの中でも、ひときわ盛り上がっていたパネルディスカッション「AI/IoT時代におけるエンジニアの資質」。豪華なパネリストが勢揃いした本セッションの様子をレポート形式でお伝えします。


◆モデレーター


馮 富久 氏
株式会社技術評論社 クロスメディア事業部電子出版推進室室長

1999年4月株式会社技術評論社に入社。入社後から『Software Design』編集部に配属され,2004年1月に編集長へ就任。同2004年9月に『Web Site Expert』を立ち上げ,同誌編集長に就任,現在に至る。その後,2008年9月に設立したクロスメディア事業部に配属。現在,電子書籍を考える出版社の会の事務局長やWebSig 24/7のモデレーターを務める。過去にIPAオープンソースデータベースワーキンググループ委員やアックゼロヨン・アワード他各賞審査員などの経験を持つ。

◆パネリスト


松野 徳大 氏
LINE株式会社 サービス開発1室

LINEマンガ、LINEクリエイターズマーケット等の初期のサーバーサイド開発を担当。LINEボットSDKの開発のとりまとめ、LINE Ads Platform の開発に関わっている。

畠山 大有 氏
日本マイクロソフト株式会社 デベロッパーエバンジェリズム統括本部
テクニカル エバンジェリスト

独立系ソフトウェアベンダーにて、Windows/UNIXなどで業務システム設計・開発。2002年よりマイクロソフト入社。MSNの広告、ログトラッキングシステムのアジア地域のシステム運用のエンジニア。ITILの実装も行う。その後大手メディア企業担当のプリセールスSEとして、ソリューション開発、アライアンスに関わる。2013年よりエバンジェリストに。クラウドプラットフォームであるMicrosoft Azure を中心としてイベント・セミナー登壇も行う傍ら、映像関連、機械学習など各種プロジェクトにも参画中。

水引 孝至 氏
株式会社Cerevo アプリケーションエンジニア

2004年からヤマハ株式会社にて、電子楽器のファームウェア開発、および、スマートフォン/タブレットアプリの開発に携わる。2015年から株式会社 Cerevo にて、『DOMINATOR』『うごく、しゃべる、並列化する。 1/8タチコマ』の開発に従事。主に、製品ファームウェアおよび連携スマートフォンアプリの開発を担当。

松村 宗和 氏
アステリア株式会社  Platio事業部 部長

東京大学を中退し20代をフリーランスのウェブ開発者やウェブマーケターとして過ごす。2009年に金融情報サービスのスタートアップに参画して取締役COOに就任し、翌年のGMOクリック証券による同社の子会社化に際して代表取締役CEOに就任。2012年、アステリアに入社しモバイルクラウド製品のマーケティングと海外展開に携わり、2017年4月より現職。


パネルディスカッション「AI/IoT時代におけるエンジニアの資質」


それでは、よろしくお願いいします!
本日のテーマは「AI・IoT時代のエンジニアの資質」ということで、様々な技術が進化していく中で、エンジニアとしてどのようにスキルアップやキャリアアップをすれば良いのかなど、お伺いできればと思います。

エンジニアに必要なスキルはこれだ!
「AI・IoT・VR」実際のところどうなの?


最近は「AI・IoT・VR」 だったり、様々なバズワードが増えていますが、実際にどういったスキルが必要になるのでしょうか?LINEの開発者として活躍されています松野さん、求められるスキルや持っておいた方が良い知識などありますでしょうか。
そうですね、弊社が提供しているLINEボットのフレームワーク(そのルールに沿って使用することで高度な知識や技術がなくても、うまくいくように考えられた道具)は、httpの知識やサーバーの運用、様々なストレージを活用できるところが最低限のベースになりますね。

それから今、AIのトレンドでどのようなことができるのか、あるいはできないのかを的確に判断できる知識を入手して、自分のものにしていくことがこれからのエンジニアとして、重要ではないかと思います。
開発の言語は何でもいいと思うのですが、アプリケーションを開発し、設計する知識があったほうが良いかなと思っています。

それから、AIのエンジンを作るには、ベースとして統計学の知識が必須になるので、数学もわかっていないといけないですね。どこまで踏み込むかによっては、高校時代の微積分の教科書を見返したりしないと厳しいかもしれませんよね。
やっぱりご自身でプログラミングをする際に、ブラウザの仕組みであったり、数学などベーシックな学問の知識は必要であると思われますか?

AIそのものを理解するにも知識が必要になりますが、一方で便利なAPI(ソフトウェアの機能を共有できる仕組み)もありますので、AIそのものの仕組みを知るというよりは、それらのポテンシャルを見極め、「AIを使いこなす」という能力も必要になってくると思います。
お客様のニーズを的確に汲み上げて、それに対してどれが適切なのか、API自体のフレームワーク化が進んでいるので、その辺を見極めるところかな、というふうに考えています。
そのあたりは会社によって、エンジニアが全部まかなうケースもあれば、プランニングする人と、エンジニアと、デザイナーが分業するケースもあると思うんですが、これからのエンジニアは、企画やデザインよりの知識も必要になってくるということでしょうか。
そうですね、今まさにそのようなエンジニアが求められていますね。AIを活用したいという話がきたときに、結局ビジネスサイドのことがわかるエンジニアが呼ばれるのが現状なので、そこまで対応できる人材はすごく求められていますよ。
ありがとうございます。 続いてIoTに関してですが、こちらはどういったスキルが求められると思いますか?

今一番求められているポイントとしては、やはりセンサーとエッジコンピューターをどう繋ぐかという処理ができるかが重要です。あとは、エッジコンピューティングをどのようにするかという話ですね。

エッジコンピューティングっていうのは、センサーと繋げて、読み取ったデータをクラウドにあげる処理をするための場所だと思ってください。

先ほどの話と似ているんですが、エンジニアの方が通信とエッジコンピューティング、両方の話ができるとかなり強みになります。今現場で求められていることは、センサーがどういうもので、どこに設置するか、そこからどうエッジに持っていくか、エッジからどうやってクラウドにあげるか、ということが説明できるスキルですね。これができるという人が非常に少ないですから。
まさにエッジなどそのあたりを実際にやられています、水引さんはどうお考えでしょうか。

私自身は、実際にそのものがインターネットに繋がったときに、「開発者自身がユーザーとして体験し試してみる」ということが必要ではないかと思いますね。机上のアイデアだけではなく、実際に「これ本当に便利なの?」と試してみることで、のちの開発の段階でハードルになりそうな部分に、早い段階で気づくことができるので、とても重要ではないかと思っています。
そうですね、あとは全体を見てあげる人が不足しているのかな、といった印象を受けます。あがってきたデータをどう見て、どう自動化したらいいのかがないまま終わってしまうことも多いですね。

ハードでの分断、通信での分断、エッジでの分断、IoT/ビックデータの分断、それぞれが分かれているイメージがあるので、横串で見ることのできる方が技術者の中から出てくると、お客様が思い浮かばないようなアイデアがでてくると思うんですよね。
松野さん、LINEでもIoTに関わっていると思うのですがどうでしょう。
やはり普段からIoTに触れたり、ちょっとしたセンサーを買って(それこそ秋葉原に行けば買えますよ!)、実際に自分で繋げて触ってみるといったことを、普段からやられているエンジニアの方ができることの幅は広いのかなと思いますね。
なるほど、実体験を持っていた方がよいということですね。
では、次のテーマに移りましょう。

AI・IoTをはじめとした技術に向けて
エンジニアが知るべきこと、学ぶべきことは?

みなさんが手軽にデバイスやIoT・AIを試せる具体的なものは何かありますでしょうか?例えば、「Raspberry Pi(ラズベリーパイ)(IoT開発を手軽に体験できるツール)などが有名ですよね…。
あとは…ソニーの「MESH(メッシュ)」とかですかね。
ちなみに、ソニーの「MESH(メッシュ)」ご存知の方はいらっしゃいますか…?
う〜ん、1割2割ですね。たしかに、扱いやすいですよね。実際に触られてみたりしましたか?
この前のITweekでも展示をしましたし、あとは、Cerevoさんの「BlueNinja(ブルー・ニンジャ)」も大変使いやすいですね。そこにC言語で書いたハードウェアを入れておいて、Bluetoothで通信をして、なにかやるっていうのはすぐにできますので、おすすめですね。
Cerevoという話も出ましたので、水引さんどうでしょう。

宣伝していただいてありがとうございます(笑)!

そうですね、やはりみなさんおっしゃられてます「Raspberry Pi(ラズベリーパイ)」などがおすすめですが、それは理由として、周辺回路がパッケージになっているので手軽に始められる!というのがあります。情報を調べていると意外と簡単にできそうなんですが、実際にやってみるとわりと本格的な仕組みになっているので、すごく楽しめると思います。
お話を伺っていると、実際のハードウェアと通信の仕組みを体験するのが肝なのかなというふうに感じますね。
面白いことに、例えばドローンって数年前は数百万円とか数千万円していて、当時は買うなんて論外でしたが、今は数万円で買えますよね。今高くて使えない!と言っているものが、実は数年後には買えるような値段になっていることもありえます。

なので、基盤となるものを試してみることも必要ですし、テクノロジーは常にウォッチした方がいいと思いますね。その方が視野も広がると思っています。
IoT的な面でいうと、やはり「Raspberry Pi(ラズベリーパイ)」が入りやすく、おすすめですね。AI的な面でいうと、AmazonやGoogleが出しているAPIをたたいて、実際にどういうことができるのかということを体感として知っておくということが大事だと思ってます。
ウェブのフロント側しかやっていない方からして、これからの時代で活躍するためには、そこ気をつけた方がいいよ!というのは、みなさんの体験からなにかありますでしょうか。

データを結構扱うので、データの保存や加工をする方法など、データを扱えるようになってほしいですね。
取得したデータをどう扱うのかってことですね。それはやっぱりデータベースの知識は持っていた方がいいのでしょうか。
そうですね。もしわからなかったら、50代くらいのおじさんが詳しいので、聞いたら教えてくれると思いますよ(笑)!20代はスマホの人、50代はWindowsの人なんですよ。データの保存の知識ってやっぱり昔から関わっている人が持っているので、お互いの知識を交換しながら交流をしてみると面白いかもしれませんね。


▶︎後編に続く

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この記事を書いた人
石川妙子 アステリア株式会社 広報・IR室。in.Live編集部。 大学卒業後、大手銀行にて勤務。その後、自由大学の運営を経て、2015年より世界一周の新婚旅行へ。帰国後は、編集者として活動。インバウンドや農業メディアにも所属。2018年より長野を拠点に移し、東京との二拠点生活中。