2017年2月13日

<テレワーク制度>成功のカギはマネージャーの意識改革にあり!アステリアが全社テレワークを実現できるようになるまで

場所を問わずに仕事ができる「リモートワーク」という働き方が注目を集めていますが、上場企業において制度を全社で定着させるのはなかなか難しいもの。そこで今回は、積極的にテレワーク制度などを導入しているアステリア株式会社の平野社長に、制度定着のカギにについて直接インタビューをしてきました!


こんにちは!in.LIVE編集部の田中です。
アステリア株式会社には猛暑テレワーク、降雪テレワークを始めとしたユニークなテレワーク制度があり、2015年の「日本テレワーク推進賞」にて奨励賞を受賞するなど、以前より積極的にこの取組みを推進しています。

>アステリアの「猛暑テレワーク」の取り組みが「第16回テレワーク推進賞」で「テレワーク実践部門 奨励賞」を受賞!https://youtu.be/NririWCX9AA

最近は場所を問わずに仕事ができる「リモートワーク」という働き方なども注目を集めていますが、上場企業において、このテレワークの制度を全社で定着させるのはなかなか難しいもの。

そこで今回は、こうした制度が始まった経緯から実際の浸透に至るまでのエピソードについて、アステリア社長の平野に直接インタビューをしてきました!

きっかけは東日本大震災、全社で「テレワークの練習」を開始

アステリアの「テレワーク」制度はいつからスタートしたのですか?
もともと創業の1998年より、エンジニアに関しては在宅勤務を認めていました。人によってはオフィスでの作業よりも自宅に開発環境を用意して仕事をした方が生産性が上がるという人もいます。ただ、営業や管理部門も含めて、全社でテレワークに取り組み始めたのは、2011年の東日本大震災がきっかけです。

交通機関が止まり、原子力発電所の動向も目が離せない状況において、震災から1週間原則として出社禁止のテレワークを実施したのです。 タブレットを全員に配布し、自社サービスでもある「Handbook」を活用した情報共有を行いました。
とはいえ、いきなり全員が出社せずに仕事をするって大変そう…
全社員の皆さんが、すぐに対応できたのでしょうか?
震災翌日の土曜日に開催した経営会議でHandbookとSkypeを使うと決めたために、比較的早く、通常の営業に戻ったと思います。
しかし実際に全社員でテレワークをするとなると、なかなかスムーズにいかないこともありました。例えば、小さなことですが「Skype」を使ってテレビ会議をしようとなっても、なかなか一人だけつながらない、よく見たら法人ではなく個人のアカウントでログインしていた、だとか。(笑)

これではダメだ!ということで、震災が落ち着いて通常営業となったあと、6ヶ月間、毎月「強制テレワークの日」を定めてテレワークの練習を始めたんですよ。
すごい!テレワークの練習ですか!
なんだか避難訓練みたいですね。
はい。多くの人数を巻き込んで定常的に運用するには、検証が必要でしたから。
今後もこうした災害などで、テレワークがどうしても必要ということもあるでしょうし、家庭の事情などで働き方が変わることもあります。

月に一度の強制テレワーク日で、インフラなどの環境整備をしながら、いかに全員離れた場所にいながらにして生産性を向上させるか?という問題に取り組んできましたね。

予想気温35度超えでリモートワークを推奨!「猛暑テレワーク」

そうした取組みを通して「猛暑テレワーク(※その日の予想最高気温が35度を超えると、全社員にテレワークが推奨される制度)」も生まれたのでしょうか?
そうです。実は私は今シンガポールに住んでいるのですが、熱帯地方と言われるシンガポールですら、夏場も35度を超えるようなことってないんですよ。日本のような超満員電車も無いので、出勤することがストレスになるということも少ない。

しかし日本の場合は、猛暑の中、スーツで家から駅まで歩き、満員電車に乗って、また駅から歩いて会社へ.. と。東京に居るときは普通の風景でしたが、海外から見ていると、社員たちが「出勤」することであまりにもエネルギーを浪費していると感じたんです。こうした出勤のストレス自体を無くして、自分にとって快適な環境で、もっと生産性の高い仕事をしてもらおうと考えたのがキッカケです。
見るものによって予想最高気温が違ったりということもあると思うのですが、具体的にルールがあるのでしょうか?
はい。気象庁が毎朝5時に発表する予報で、その日の予想気温が35度を超えるようであれば「猛暑日」としています。

具体的には、気象庁のウェブサイトに朝5時の予報が掲載され、その日の気温が35度以上になると朝発表されると、システムから全社員宛に自動的にテレワーク推奨のメールが飛ぶようになっています。それを見て、テレワークをすると判断したら上司に連絡を入れます。

これには当社の製品である「ASTERIA WARP」が、気象庁のウェブサイトの特定の情報を参照して、その値に応じて自動でメール配信をしてくれるシステムを活用しているんです。何か申請書が必要とか、そういったことはありません。

実際に社員たちに自動で送信されるメール

自動でメールが飛ぶのはすごいですね!
確かに「私が見た時間帯の天気予報は違った」といったこともありそう。「暑い」ということ自体、個人の感覚のことなので難しいし…
「暑くてしんどいと思ったら自宅勤務でいいよ」と言ったって、自己判断するのは難しいし、交通機関の麻痺などとは違って「猛暑なので休みます」とは言いにくい。そこでこうしたシステムを活用して制度として掲げることで、積極的にテレワークを活用してもらっています。

外部へ持ち出しできない資料なども、自社製品のHandbookを通じてセキュリティを担保しながらアクセスすることもできますから、実際の生産性も、オフィスで作業をする時となんら変わりないですよ。

制度定着のカギは、本人よりもマネージャーの意識改革にあり

実際にテレワークの制度を社内で定着させる上で、苦労されたことはありますか?
そうですね、苦労したというか、かなり強く意識していたのは「マネージャーの意識改革」です。会社に長時間いることを良しとしたり、出社していないことを怠けていると見なしたりといったことがないよう、とにかくマネジメントの切り口を〈働く時間〉ではなく〈アウトプット〉志向とすることを、経営陣が率先して発信し、各部門のマネージャー に意識付けしましたね。

例えば、「◯◯君、最近顔を見ないね」という一言だけで、制度の促進と真逆の方向に進むこともありますから。実はこれ、現場で本当にあったことなんです。マネージャーの意識改革なしに、テレワークを定着させようと思っても表面的に終わってしまうことを感じたエピソードです。
なるほど.. ちなみに現場では職種によってテレワークが困難なケースもありますが、そうしたことによる不公平感みたいなものってないのでしょうか?
不公平感というのは難しいですね。というのも、そもそもこのテレワークの話にかぎらず、営業職にはインセンティブがあるとか、エンジニアには服装規定がないとか、色々ありますから。全員の勤務条件を一律にするというのは、そもそも難しいですよね。

ただテレワークを通じて、どの職種の社員も無駄なエネルギー消費やストレスを軽減できるというのは事実です。

営業職でお客様先に行かなければならないとしても、一旦オフィスに来る必要もありません。また会社が全面的にこの制度を掲げていることで、営業職の社員もお客様から「今日はテレワークじゃないんですか?」なんて声を掛けられることもあるみたいです。(笑)
現場の本人からではなく、会社として制度を外部に掲げることで、お客様からの理解も得やすいと考えています。

お客さんから「テレワークじゃないんですか?」と聞かれるなんて凄い!(笑)
ちなみに私は、家だとどうしても遊んじゃうんですけど… 
お子さんがいるとか、家庭環境によっては難しいケースもあると思います。
〈テレワーク=在宅勤務〉ではないので、近所のカフェでも図書館でも、自分が効率的に仕事ができると感じた場所であればどこでも良いんですよ。

予報周知サービスを他社へも展開、日本の生産性向上を目指す

こうした働き方や会社としての取組みをいち早く実践されているアステリアですが、今後ほかの業界などにも拡がっていくと思いますか?
そうですね、もっと当たり前に拡がってほしいと考えています。

アステリアでは、猛暑だけではなく雪が降った日にテレワークを推奨する降雪テレワークの事例もあります。東京にある多くの会社が実施すれば、どれだけ全体の生産性が上がるだろう?と感じるばかりです。

実は私たちは自社での実践を活かして、先ほどのASTERIAで作った「予報周知システム」を他社にも無償で提供しているんですよ。こうしたテレワークの制度で他社と差別化を図りたいというよりは、今後はこの制度を、社外に対しても活用していただきたいという思いがあります。

アステリアが実践する「テレワーク制度」まとめ

今回実際にアステリアの社長の考え方や制度定着に至った経緯などを聞いて、新しい働き方や制度を全社で実施しようとなると、目先の「環境整備」以上に重要なことがあるのだと考えさせられました。

また個人的には、こうした制度を自社の差別化として活かす以上に、もっとほかの会社に広まって欲しい(そのためにも予報周知サービスとして他社へも展開)といった社長の姿勢が、まさに ”つなぐ” ということをサービスの根幹としてきたアステリアらしさなのだと納得。

実際にテレワーク関連の記事がネット上で公開される度に、NewsPicksなどでは、

・こういう働き方の選択肢を出せる企業が今後は魅力的な企業になっていく
・外出だけで体力を消耗する季節に、強制ではなく選択肢があることは大事
・暑い中ストレスを感じながら出社するよりも、よほど生産性が高い気がする

等といった肯定的なコメントが寄せられていました。

今後もこうした取り組みがアステリア発信で業界を超えて広まっていくように、またそうした取り組みを通じて、日本全体の生産性をも向上させていくお手伝いができるように。自社製品など様々な手法を通じて取り組まれるのを楽しみにしております!

お話を聞かせていただいた平野社長、ありがとうございました。


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この記事を書いた人
田中 伶
田中 伶 アステリア株式会社 広報・IR室。メディアプランナー。 大学在学中に人材育成会社を立ち上げ、その後はスタートアップでPRや法人向けの新規事業立ち上げなどを経験。話題のビジネス書や経営学書の解説をするオンラインサロンを約5年間運営。難しいことをやわらかく、平たく解説するのが得意。