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平野:これね、最初は覚えてないですね。
北原:俺も覚えてないですよ。
もともとはロータスですか?
平野:最初はロータスですね。僕は先に入ってたので、北さんが後から入ってきて、開発の部長をやってたんですね。だから第一印象は覚えてないですが、その後の印象としては、チャレンジャーな人だなと思ってました。
北原:最初はPinaの方から誘ってくれて二人で話をした時は、もう会社をやろうかっていう話の時だったので、その前はやっぱりそんなに意識しては会ってなかったんですよね、きっと。
平野:僕がマーケティングで、北さんが開発でしょ。だからプロダクトをどうやっていくってなったんですけど、 北さんのチャレンジャーな印象は、本社から言われないようなことをどんどんやってるわけですよね。欧米のソフトウェア企業の日本法人って基本的にはローカライズという、日本語化だとか、あと日本市場で必要な仕様を入れたりするんです。しかし北さんはそれだけじゃなくて、開発だからコーディングできちゃうんで、色々作るんですね(笑)。色々作るんで、珍しい人でしたね。で、機能だけじゃなくてある時、インターネットが流行ってきた時に、ノーツをインターネット化すると言って、「Domino Workspace」っていうのを作って。これは本社から何も言われないのに日本で作って、それが本社でも採用された。こういうこともあって、まあ珍しいチャレンジャーでしたよね、外資系ソフトウェアエンジニアとしては。
北原:やっぱり自分たちで使いたいものを何か作っていく。で、それをやっぱり説明していかなきゃ誰も分かってもらえないじゃないですか。そういう意味ではPinaは説明することにものすごく長けてたし、誰でも説得するタイプだったので、これはすげえなとは思ってましたよ、はっきり言って。
チャレンジする人と説得する人ですね。
平野&北原:(笑)。
北原:今でもそれは変わらないですけど、やっぱり人に知ってもらわない限りはいくら作っても何の役にも立たないですし、そこが全てだと僕は思っていたので、知ってもらうにはどうしたらいいか。でも、それをできる人がいないとやっぱり世の中にものが動いていかないなと思ってたので、そこではもうすごくこう…何ですかね。ロータスの時は特に、なかなかやっぱりアメリカの力、本社の力って強いので、そのアメリカのマーケティングなりプロダクトデベロップメントのマネージメントの気持ちを変えさせなきゃいけないんですけど、彼はそういうプレゼンをすごくやってたので、それがやっぱり僕にはすごく印象に残ってますね。
北原:僕は本当に作りたいからやる、みたいな。そしてどうやったら作れるものに手を出せられるかっていうことしか考えてないですね。
平野:そうですね、20世紀終わりだったので、21世紀を代表する会社になりたいっていうことですね。僕自身は小学生の頃にSONYの技術者になりたかったんですよね。親父がSONYのラジカセを持ってきて力説するんですよ。「SONYの技術はすごいんだ、トランジスタっていうのがあってな」って。まだ家に真空管のテレビがあった時代で、力説してたんですよ。それで、SONYの技術者になりたいなと思ってて、まあSONYみたいな会社に入りたいというイメージは 持ってましたね。
創業時に僕が確信してたのは、世界中で作って使ってもらえる、つまり貢献できるソフトウェアを自分たちが作れるんじゃないかと。これ、10年間ロータスにいて、彼らのやり方とかものの作り方や売り方など10年間見てきたので、これ自分でもできそうだという、まあ根拠のない自信があって(笑)。で、世界中で使って欲しいっていうのはすごくあったんですよね。最初のミッションステートメントにもそれは書いてましたね。
北原:まあ、意気込みしかなかったですね(笑)。最初は本当に何か作れるだろうって思ったんですけど、やっぱりテーマを決めるのがもすごく難しかったし、そのテーマを見つけなきゃいけないっていうところが一番ハードルが 高かったですね。まずは販売できる製品を作っていかなきゃいけなかったので、そのためにはとにかく何が何でもテーマを見つけなきゃいけないかったんです。それがある意味で力になっていて、何かを見つけさえすれば絶対うまくいくっていう感じがその頃はすごくあったので、そこが本当に最初の気持ちでしたね。起業するっていうことで言うと、会社勤めでは、決められたルールの中でやらなきゃいけないっていうところから飛び出せるっていうところのワクワク感みたいな方が強かったので、そこも原動力になったのかなと思います。
チャレンジということですね
北原:そうですね、チャレンジっちゃチャレンジですよね(笑)。
平野:テーマっていうのはずっとね、もう20年間、今でも多分これからも言い続けてきたし言い続けるんだろうなと思うんですけど。つまり私たちはプロダクトを提供しているので、どこからも注文書が来ないのに作る。その時に テーマって本当にそれの拠りどころなんですね。
北原:それができたらいいなっていうのがあることが、逆にそれを作りたいっていうのが意気込みなってる世界だったと思います、その意味では。今も全くそうですけど。
平野:この数字だけ見ると長いんですよね。20年って長いなと思うんですけど、でも感覚からするとアパートの一室でやっていたのがついこの間って感じもあって(笑)。こうやって過去の歴史を並べるとやっぱり長かったかなと思うけど、感覚はそんなに長くない。ああもう20年、気が付いたら20年というところですね、私は。
北原:まあでも20年は、ある時期はすごく長く感じたのもあったと僕は思います。20年経って、今から見れば20年ってわりともう過ぎ去ってるんで短くは感じるんですけど、その中では製品を理解してもらうのにすごく時間がかかってた時期っていうのもあったので、その時はやっぱり長く感じはしましたね。いつになったら、今みたいにノーコードとかっていう流行り言葉になるんだろう?みたいな(笑)。
平野:色々言い換えたりしましたね(笑)。「グラフィカルランゲージ」だったり、「ノンプログラミング」って言ったり「ノン・コーディング」って言ったり。
北原:散々言い換えてやっとここになって(笑)。本当にそういう意味では逆にこの3年ぐらいのノーコードっていう単語が出てきた時の方が早く感じますね、そういう意味では。それまでが長くて、最近の3年がすごく短く感じる感じがします。
平野:今ASTERIA Warpは15年連続ナンバーワンなんですけど(※テクノ・システム・リサーチ「2021年ソフトウェアマーケティング総覧 EAI/ESB 市場編」)、やっぱり最初にナンバーワン取った時は、その領域のナンバーワンなのでうれしかったですし、この「認められた」っていう感覚がありましたよね。
平野:これがね、何だろうなって思うんですけど…20年だからアステリアR2以降だよね。
そうですね。開発の時みたいに何かあったと思うんですけれども。
平野:いや、このWarpが出る直前に倒産の危機ってあったんですけど、WarpっていうかR2が出た後ですね。
北原:ハプニングじゃないですけどイベントは覚えてるのがあって、ステージ上でショートコントじゃないけど何かやったのが1回あって。
平野:あれはR1なんだよ。
北原:ああ、あれR1なんだ。
平野:ロゼッタネット版。あの、あそこでしょ?ウェスティンでやったやつじゃん。
北原:いや、そうじゃなくて…。
平野:あっ、Warpの発表の時だ!ああ、やったやった。
北原:そう、Warpの発表の時。
平野:あの、白衣着て(笑)。
北原:白衣着てやったっていうのがあって。
平野:それはWarpです。2006年ですね。
お二人で?
平野:いや、僕じゃなくて北さんと当時の営業部長とね。
Warpの発表で?
平野:コントやりましたね。
北原:ハプニングじゃないですけど、今までの発表イベントとしてはあれがすごく印象が強くて、わりと。
平野:寸劇ですね。
北原:寸劇みたいなやつですよね。本来やらないような開発の人間がやるっていうところで、すごく自分的には印象に残ってるんですけど(笑)。
平野:(笑)。
社史に入れておかないといけないですね。
北原:でも、わりと順調にWarp自身が販売できたのかって言われると、やっぱりなかなかたくさんのパートナーさんに認めてもらうっていうのがすごく大変だったので…。それぞれのパートナーさんに最初に使っていただくというよりは、推していただいて利用していただくっていうことを本当にお願いするために回っていたっていう時期がしばらくあったので、それが一番自分としては印象には残ってますね。
ハプニングと言うかそういう色々な大変さの積み重ね?
北原:製品のトラブルなんていうのは普通に今までも何度か経験はしてますけど。
平野:(笑)。
北原:それはね、もうやっぱりシステムをやるとクリティカルな世界っていうのがあるので。夜中までずっと調べてて、問題の原因がつかめたっていうようなのは何度か。もう朝までに直さなきゃいけないとか、そういうのも何度かありましたし、そういうところはやっぱり大変だったなとは思いますけど、いわゆるハプニングっていうのはあ まりないですね。
平野:ビフォアWarpの方が多いですよね。
北原:そう、ビフォアWarpは、うん。
平野:そう、DeNA事件とかもビフォアWarpだね(笑)。
平野:これはですね、ギャグ的に答えると漢字には「廿(20)」っていう文字があるので「廿」ですが、まともに答えるならやっぱり「繋」という字ですね。
一番軸にあるということですね。
平野:うん、「繋」。もう20年前から「繋」ですかね。それが一文字ですね。
平野:これは、北原をとことん信じられるっていうのがあって、信頼できる。だから何かこう、自分のやることに集中できるんですよ。製品のことは、北原がとことん考えて、できることを出してきてもらえるので、そこですね。共にということは。
北原:私の方は20年ってやっぱりそういう意味では本当に長くて、その中で製品に対して作ってる側っていうのは常にこれができてない、あれができてないっていうのが先に立つんですけど、でもそれがあってもやっぱり製品を出していかなきゃならない。でも、彼はどんな時でも「できる」と。 諦めないんですよ。本当に諦めないんで、それが多分、継続が力じゃないですけど、諦めない力がもう全てだと思います。その諦めないおかげでここまでやってこられたんだと思ってます。
平野:何でしょうね?いや、歳取ったんですよ(笑)。
北原:まあ歳取ったんですけど(笑)。
平野:歳取ったんですけど、中身はあまり成長してないなっていうのがあって…。何ですかね。何だろう。
北原:なんか変わったところある?
平野:いやあんまり変わってないんだよね、不思議と。
北原:あまり変わってない気がする。
見た目は年をとっても、気持ちは変わらずという。
平野:まあね、気持ちは変わらず。大して、ですよね。
北原:なんか、あまりに変わってなさ過ぎるのが、本当にこれでいいのかなと思うぐらいですね(笑)。
平野:うん、それはありますね。
北原:変わってないですね。
それも一つの答えですね。
平野:そうですね。本当そうなんですよね。だって環境とか技術がどんどん変わっているのに、変わってないのはやっぱりまずいんじゃないかっていう心配はありますね、自分自身が。
北原:そうですね、僕も。
常にテーマを探されているとか、当時の勢いを変えてないというところはすごいですね。
平野:新しいものは好きだし、どんどん新しいことをやっていきたいのは変わってないんだけど、どうかなあ…。例えばSNSとかだとTikTokがすごい流行ってて…あっ、そうだ!思い出しました。息子が「Facecbookやってるともうオヤジだよ」って言うわけですよ。で、TikTokとかで動画をアップしたりしているけど、自分じゃ動画アップできんなあっていう。そういうところでやっぱり感じることはありますね。
北原:(笑)。
平野:そういうのも変わりたいと思いつつ、ついていけるところといけないところと出てきてる気はしますね。余談でした(笑)。
平野:これも難しいんだよなあ…。後悔したこととかこうやっておけば良かった、みたいなのがあれば多分この答えになるんですけど、あまりないんですよね。何かある?
北原:「もうちょっと早く気づけよ、色んな事に」っていうのはあります。
平野:(笑)。
北原:テーマを決めるのに時間がかかりすぎてることが何度かあったと自分では思っていて、今思えば何で気付かなかったんだろう?って思うようなのが結構あるので、そこは教えたいですよね。
平野:ああ、後からね、なるほどね。
北原:後から教えたいですよね。
平野:でも、この気が付くことが、すごいことなんですよ。そうそう人は気が付かないので。しかもそれを製品にしてサービスにして、人に使ってもらうなんてね、そうそう気が付かないですよ。そこを、いくつもやってきてるので、これはやっぱりすごいことだと思いますね。
平野:これはね、もう感謝しかないですね。本当に使っていただいて、そしてご愛顧いただいて、ご支援をいただいて、ありがとうございます、ということですね。
北原:私も20年の中でここまでできたのは、やっぱり販売されてる方とか、あと使っていただいた方のご評価だと思っていて、そこが本当に今までも色々指摘されて、修正してきたことがたくさんあって、その指摘だとかそういうものがないと、本当に良くならなかったと思うんですね。やっぱりカスタマーの方とかパートナーの方が言ってくれたっていうことが、本当に我々の力になったと思っているので、そこに関して本当に感謝申し上げたいと思ってますね。
平野:特に初期の頃のお客さんですね。
北原:そうですね。本当に…。
平野:京セラさんとか、共同通信さんとかですね、もう毎月のように行って…(笑)。
北原:だから、厳しい指摘をされるのは技術的には非常に大変で心苦しい世界もあって、もちろんバグもあるんですけど、でもそれを言っても使ってくれる方向に動いていただいてるっていうのがすごく嬉しいわけですよね。もし駄目だったら、もう何も言わないで去っていくっていうこともできるわけじゃないですか。それをわざわざ指摘していただいて、直ったら使うよって言われているっていうことは、本当にそこに信頼関係を築くチャンスをいただいていると思ってたので、それができたことが結果ここまで繋がってるんだろうなという風に思っています。
その時のお客さんとのつながりということですね。
北原:そうですね。
平野:はい。
どうもありがとうございました。
平野&北原:ありがとうございました。
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