ASTERIA Cloud Conference 2015 レポート(2)「エンタープライズ・クラウドにおけるデータ活用の実態」(前編)

2015年2月18日、インフォテリアでは「ASTERIA Cloud Conference 2015」と題し、恵比寿act*squareでASTERIA Warpに関するプライベートイベントを開催いたしました。レポート(1)「『クラウド活用』と『データ連携』でつなぐ情報システム改革」に続き、今回はパネルディスカッションの内容をレポートいたします。

クラウド活用におけるデータ連携の重要性

イベントの最後に行われたパネルディスカッションでは「アルファブロガーアワード2010」も受賞した人気サイト「publickey」の新野淳一編集長にモデレータを務めていただき、基調講演にも登壇いただいた小島英輝氏(アマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社マーケティング本部 本部長)と、伊佐政隆氏(サイボウズ株式会社 ビジネスマーケティング本部 kintone プロダクトマネージャー)、インフォテリアからは営業本部本部長代理の熊谷晋がパネラーとして登壇しパネルディスカッションが行われた。

パネルディスカッション写真

新野 今日は4つのアジェンダを用意しています。1つ目は、「クラウド活用におけるデータ連携の重要性」です。クラウドの段階で大変便利なサービスであると思いますが、そこにデータ連携が加わることでさらにどんな価値が見出せるのかというところをお話伺っていこうと思います。 2つ目は、そういうクラウドとデータ連携の価値があるとすると成功例、あるいは必勝パターン、あるいはNGパターンというものがあるのであれば教えていただきたい、というお話をお伺いしていきます。(3つ目として)その中でデータ連携、おそらく手段はたくさんあると思います。そういった中で本当に価値のある手段というのはどういうものなのか、本当に必要なのかどうか問うて、最後に(4つ目として)そういったクラウドとデータ連携のこれからの展望についてお伺いしたいと思っています。

まず1つ目のアジェンダです。アマゾンクラウドってそれ単体で例えば仮想マシーンだったりストレージだったりデータベース、豊富な機能がありますよね。ですから単体で使っても価値があるサービスだと思いますが、これと、データ連携を加えるとさらにどういう価値が生まれるという風に思われますか。

小島 クラウドはデータを集積する場所として非常に合理的です。そこにたくさん集めるから、新たなデータ活用方法がいろいろと出てくる。そこに集めるデータそのものも、kintoneのようなクラウドアプリケーションや社内業務アプリケーションに入力したデータとか、昨今のIoTだとセンサーから取ったデータ、ソーシャルのデータなど、データが生成される場所がいろんなところにあるので、これをどうやって一か所に集積するか、「How」の部分がすごく課題になる。やりたいことはデータを集積することであってつなぎ方に悩むことではないので、つなぎ方が簡単なツールが揃うということはデータの集積が進み、そのまわりに更にアプリケーションが集まってくるという流れを加速するのではないかと思う。
クラウドストレージがいかに強固でお安くても、そこに入れられなければ意味がない。入れ方が難しければ意味がなくて、データ連携ツールがこれからのクラウド時代のキーになるのではないかと思う。

新野 次は伊佐さんにお聞きします。kintoneって単体で非常に有効なサービスだと思います。イベントで(インフォテリアの)森さんがデモされていましたが画面フォームを作って入力するとそれが非常に簡単に集計できたり、管理できたりというサービス。これは単体でもいいサービスですね。それとデータ連携ツールが加わることによる価値の上昇をどう考えていますか?

パネルディスカッション写真

伊佐 デモでご覧いただいたようにひとつの画面だけを見ると、kintoneは一つの入力インターフェースとしてしか見られないのですが、実際の業務をkintone上で設計していくと、必ず人をまたいだり、部門をまたいだり、会社をまたいだり、というデータの動き方をしていく。それをkintone一つでやってしまうのか、既存のシステムとのデータ連携を意識して作るのかというと、既存のシステムは無視できないので必ずデータ連携のニーズにつながっていく。僕らの中ではデータ連携という要件はデフォルトに近い状態に見えています。
kintoneでいうと、現在(データ連携などカスタマイズのできる)スタンダード版の比率が非常に高まっていて、現在新規の契約の50%がスタンダード版です。申し込む時点でデータ連携を考えている企業が50%近くいるとも言えます。連携先はオンプレミスにあるデータが圧倒的に多い。CSV to kintoneというのが最もデータ連携のニーズとして多く、次にデータベースto kintoneというのがくる。

新野 繋げて、kintoneで何を見るんでしょう?

伊佐 やはり基幹システムのデータをみるパターンが多い。営業活動をしていると受注確定の数字とか顧客情報とか外から見れたほうが業務はスピーディーになるし、お客様へのサービス品質も上がる。さらに、情報を見るインターフェースがあるというだけではなく、kintone上でデータを見ながら業務をまわせるプロセスの機能がついているのもお客様から選択される大きなポイントかと思う。

熊谷 クラウドがテーマになっていますが、実際のニーズというのはまだまだローカルシステム間の連携というのが多くある。しかしながらこれからクラウドが普及期に入ってきている中、自社でデータを持っている、データを自由にコントロールできるということが非常に重要になってくる。なぜならばそのデータ自身を連携せずにそれぞれの(クラウド)サービスで使っていたりすると、今企業のオンプレの世界で起きているようなサイロ化という問題が起こる。現在はこの問題を解決をするためにASTERIA Warpを導入されるお客様が多い。

クラウドとデータ連携の必勝パターン、NGパターン

新野 2番目のアジェンダにいきたいと思います。データ転送ツールとクラウドを組み合わせていく上で、どういうところから手を付けるといいか、あるいはどういう戦略やプランだと成功しそうかということを教えていただけますか?

小島 絶対失敗しないパターンでいくと、実はディザスタリカバリーとかバックアップ系です。ディザスタリカバリーとかみなさん必要だと思っている方が多いと思うが実際やってらっしゃる方はすごく少ない。オンプレなら全く同じシステムをもう一系統持てればいいんですけど、アーキテクチャは簡単だけどそのコストに耐えられない。その分をいかに圧縮するかというと、普段使わない待機系のシステムをクラウドに持つ。データ部分をクラウド側にも同期しておいて、そのデータを使うバックアップ側のアプリケーションもクラウド上に構築しておく。そしてここからがクラウドならではのポイントなんですけど、このクラウド側のアプリケーションは普段は落としておいていいので、ほとんどお金がかからない。そうするとこれはあるお客様の例ですが、月に4万円か5万円というコストでSAPのディザスタリカバリー環境が維持できる。何かあったら時に初めて待機系のアプリケーションが立ち上がる。今までのようにフルに2セット分システムを持っている必要がない。これが簡単な、間違いないやり方。もう一つ、最近増えてきているのがBI、ビッグデータ、とにかくデータを集積してそれをなめてみる(分析してみる)というところ。これもストレージが高かったらデータを集積して、分析もハードも高かったらとりあえず試すというところができないと思うが、クラウドのコストならできる。そういうのが最近非常に多い。

新野 BIで試そうとすると高価なデータベースマシーンを基本的には買わざるを得ないですよね。

小島 データウェアの製品もどうしてもハードに依存すると結構なお値段すると思うんで、おそらくビッグデータソリューションを入れた方はわかると思うが、非常に稟議が書きにくい、なぜかというとデータを一回まわしてみないと結果がでない。導入効果をある程度書けるERP等と違って、回してみないと結果がわからないものには稟議が通しづらい。クラウドだったら処理を一回数千円とか数万円で回せて、結果を見ながら次にいけるので稟議なしでするするっと入れる。これが大きい。

新野 伊佐さんの場合kintoneでデータ連携をする場合にどういう導入方法だとうまくいきそうですか?

伊佐 成功パターンと比較しやすい、明らかな失敗パターンを先に説明させてください。システムを導入すること、データ連携をすることが目的に来て、業務部門における効果にフォーカスが当たっていないプロジェクトはうまくいかないです。逆に人を巻き込めるような大きなビジョンがあると成功しやすい。データ連携をする場合、全社最適を考えて設計していくので、部分最適の視点から一段上がった所に関係者が共感できるビジョンを持ってくると部門をまたいで共感が得られやすい、これが明らかな成功パターン。

新野 単純に技術的な使いやすさだけではなくて、そこに存在する組織の壁をやぶっていかないと、ということ?

伊佐 ある部門で業務が自動化されて便利な点は、ある部門に負担を強いるかもしれない。それを一つ一つつぶしていかないといけない。全社最適で見ると絶対に良くなる、この視点を関連部門に共感してもらうことが重要です。

新野 同じようにASTERIA Warpを使ったクラウド連携でこうしたらうまくいくというパターンを教えてください。

パネルディスカッション写真

熊谷 たとえばASTERIA Warpにはなんでもできるというある種「魔法のようなツール」という言われ方をお客様からされるケースがあるが、やはり接続先のシステムに関して全てわからなくていいわけではない。たとえばRDBなど従来の仕組みであればそれほど意識せずにつなぐことはできるが、特にクラウドとつなぐことになったときにはほとんどAPIを経由して連携するという形になる。その時にパブリッククラウドの場合は必ずと言っていいほどAPIの制限というものがあるので、そういったものを含めて理解したうえでシステムを構築する必要がある。

たとえばAPIによっては一日のコール数が決まっているということがある。他にも何件ずつじゃないといけない、インサートだけじゃなくてアップデートがあればそれは別々にやらなきゃいけないとか。だから全体の設計というのは非常に重要になる。あと、クラウドサービスは非常に進化が早い。「自分が最適だ」と思っていたものが数日後にはそれよりももっと便利な方法がうまれていたりすることもある。その為に情報のキャッチアップというのは今まで以上にかかせないのではないか。

後編に続く

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