
WebサービスやSaaSの開発・連携でよく登場する「REST API」。多くのクラウドサービスがこの形式でAPIを提供しており、システム連携を考えるうえで避けて通れない言葉になっています。とはいえ「RESTとは何か」「ふつうのAPIと何が違うのか」は、いざ説明しようとすると難しいものです。本記事では、REST APIとは何かという基礎から、RESTの考え方、仕組み、SOAPとの違い、メリット、そして使う際の注意点までを、これから学ぶ方にもわかるように、具体例を交えて解説します。
目次
REST APIとは、「REST(Representational State Transfer)」という設計の考え方に沿って作られたWeb APIのことです。HTTPという、Webページの閲覧にも使われる標準的な通信の仕組みを素直に利用し、データを「リソース(資源)」として扱うのが特徴です。
少し整理すると、RESTは「APIをどう設計するか」という考え方・ルールの集まりであり、REST APIはその考え方に従って実際に作られたAPIを指します。RESTに則ったAPIは「RESTful API(レストフルAPI)」とも呼ばれます。現在、Web上で公開されているAPIの多くがこのREST APIであり、API連携を行ううえで最も一般的な形式になっています。
なお、前提となる「API」とは、ソフトウェアの機能やデータを別のソフトウェアから呼び出すための窓口のことです。その中でも、インターネット経由でやり取りするものを「Web API」と呼び、Web APIを設計する代表的なスタイルがRESTだ、という関係になります。
RESTにはいくつかの原則がありますが、初学者がまず押さえたいのは次の3つです。
RESTでは、扱うデータを「リソース」と捉え、それぞれにURL(住所のようなもの)を割り当てます。たとえば「顧客一覧」「特定の注文」といったデータに、それぞれ固有のURLが対応します。「どのデータか」をURLで示すのが基本です。
「そのデータをどうしたいか」は、HTTPの標準的な命令(メソッド)で表します。取得・登録・更新・削除といった操作を、決まったメソッドに対応させることで、誰が見ても動作を予測しやすくなります。
RESTでは、1回ごとのやり取りが独立しています。前回の状態をサーバー側が覚えていることを前提とせず、必要な情報は毎回のリクエストに含めます。これを「ステートレス」と呼び、仕組みをシンプルに保ち、規模の拡大にも対応しやすくしています。
RESTには、上記のほかにもいくつかの原則があり、あわせて「6つの原則」として整理されます。残りは次のとおりです。
これら6つの原則をバランスよく満たすことで、REST APIは拡張しやすく、壊れにくい設計になります。すべてを完璧に満たす必要はありませんが、考え方を知っておくと、APIの良し悪しを見極めやすくなります。
これら3つの考え方が組み合わさることで、REST APIは「どのデータに、どんな操作をするのか」が一目で読み取れる、見通しのよい設計になります。利用する側は、相手のサービスごとに独自のルールを覚え直す必要が少なく、共通の作法で多くのAPIを扱えます。この一貫性こそが、REST APIが広く普及した大きな理由のひとつです。
RESTの原則に忠実に沿って設計されたAPIを「RESTful(レストフル)API」と呼びます。「RESTful」は「RESTらしい」という意味の形容詞で、リソースをURLで表し、操作をHTTPメソッドで表現するといったRESTの考え方をきちんと守っているAPIを指します。
実務では「REST API」と「RESTful API」はほぼ同じ意味で使われることが多く、厳密に区別しない場面も少なくありません。ただし本来は、RESTの原則をどこまで満たしているかには程度の差があり、すべての原則を理想的に満たすAPIばかりではない、という点は知っておくとよいでしょう。大切なのは名前ではなく、「URLとHTTPメソッドで直感的に扱える、見通しのよい設計になっているか」です。
REST APIでは、「どのデータ(URL)」に「どんな操作(HTTPメソッド)」を行うかを組み合わせてリクエストを送ります。代表的なHTTPメソッドと操作の対応は次のとおりです。
| HTTPメソッド | 操作 | 例 |
|---|---|---|
| GET | 取得する | 顧客一覧を取得する |
| POST | 新規登録する | 新しい注文を登録する |
| PUT/PATCH | 更新する | 顧客情報を書き換える |
| DELETE | 削除する | 指定した注文を削除する |
たとえば「顧客一覧を取得したい」場合は、顧客リソースのURLに対してGETを送ります。「新しい注文を登録したい」場合は、注文リソースのURLにPOSTでデータを送ります。やり取りされるデータの形式には、軽量で扱いやすい「JSON」が広く使われています。
リクエストに対してサーバーは、結果のデータとあわせて「ステータスコード」を返します。たとえば成功なら200番台、リクエストの誤りなら400番台、サーバー側の問題なら500番台、といった具合に、3桁の数字で結果の状態を伝えます。利用する側はこのコードを見て、成功したのか、何が問題だったのかを判断できます。
一連の流れを具体的にイメージしてみましょう。たとえば、あるSaaSから当日の受注データを取得する場合、まず認証用のトークンを添えて、受注リソースのURLにGETリクエストを送ります。サーバーは条件に合う受注データをJSON形式で返し、あわせて「200(成功)」のステータスコードを返します。受け取ったデータを自社システムの項目に合わせて変換し、書き込めば連携は完了です。もしトークンが切れていれば「401(認証エラー)」、呼び出し回数が上限を超えていれば「429(制限超過)」といったコードが返るため、利用する側はそれに応じた対処を行います。
REST以前から使われてきた代表的な方式に「SOAP」があります。両者の違いを整理します。
| 項目 | REST API | SOAP API |
|---|---|---|
| 設計の考え方 | HTTPを素直に使う設計様式 | 厳格な仕様に基づくプロトコル |
| データ形式 | 主にJSON(軽量) | XML(やや重い) |
| 特徴 | シンプルで扱いやすい | 高度なセキュリティ・トランザクション制御 |
| 主な用途 | Web・モバイル・SaaS連携 | 金融など厳格さが求められる領域 |
RESTはシンプルで軽く、Webやモバイル、SaaS連携と相性がよいため、現在の主流になっています。一方SOAPは仕様が厳格で、高度なセキュリティやトランザクション制御が求められる領域で使われ続けています。どちらが優れているということではなく、用途によって使い分けられているのが実情です。新しく登場するクラウドサービスの多くはREST APIで提供されるため、これから連携を検討する場面では、REST APIに触れる機会が圧倒的に多くなるでしょう。
REST APIが広く使われているのには、いくつかの理由があります。
こうした扱いやすさから、新しく公開されるWeb APIの多くはREST形式を採用しています。連携を検討する際も、まずREST APIに対応しているかを確認するのが一般的です。とくに、複数のSaaSや社内システムをまたいでデータをやり取りしたい場合、各サービスがREST APIを備えていれば、共通の作法でまとめて連携を組み立てやすくなります。
REST APIは、私たちが普段触れているさまざまなサービスの裏側で使われています。具体的な場面をいくつか挙げてみましょう。
ひとつは、Webサービスやスマートフォンアプリと、その裏側のサーバーとのやり取りです。アプリ画面に表示される情報の多くは、REST APIを通じてサーバーから取得されています。ふたつめは、SaaS同士の連携です。多くのクラウドサービスがREST APIを公開しており、これを使って顧客情報や受発注データを別のサービスへ自動で連携できます。みっつめは、社内システムと外部サービスの橋渡しです。基幹システムのデータをクラウドのBIツールへ送る、外部の地図や決済サービスを自社サービスに組み込む、といった用途で使われます。
いずれの場面でも、「URLでデータを指定し、HTTPメソッドで操作する」という共通の作法が使えるため、開発者は一度仕組みを覚えれば多くのサービスに応用できます。この汎用性の高さが、REST APIが業務システムの連携でも選ばれる理由です。
REST APIは扱いやすい一方で、業務システムの連携に使う際には注意したい点があります。
これらを個別開発ですべて自前で作り込むのは大きな負担です。継続的に連携するなら、こうした仕組みがあらかじめ備わった手段を選ぶと安定します。
REST APIを使ってシステムを連携する方法は、大きく2つあります。ひとつは、APIを直接扱って自前でプログラムを実装する「個別開発」。もうひとつは、ノーコードで連携を構築できるデータ連携ツールを使う方法です。
個別開発は自由度が高い反面、認証やレート制限の制御、仕様変更への対応をすべて自前で行う必要があり、連携先が増えるほど保守の負担が膨らみます。一方、データ連携ツールを使えば、REST APIへの接続や認証、エラー時の再実行といった仕組みが用意されており、ノーコードで安定した連携を構築できます。
たとえばアステリア株式会社は、生成AIアプリ「Dify」とOpenAIのAPIをASTERIA Warpと連携させ、ユーザー向けコミュニティサイト「Asteria Park」への質問に自動で回答する仕組みを構築しました。質問の検知からAIへの送信、回答の投稿までをノーコードで自動化し、24時間対応と運営工数の大幅削減を実現しています(アステリア株式会社の事例)。また、クラウドサービス連携の内製化を実現した株式会社FiNC Technologiesのように、外注に頼らず自社でAPIを活用したデータ連携を高速開発する例も増えています。(株式会社FiNC Technologiesの事例)。
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Q. REST APIとAPIは違うものですか?
A. APIはソフトウェアの機能を呼び出す窓口の総称です。REST APIはその中で、RESTという設計様式に沿って作られたWeb APIを指します。
Q. RESTful APIとREST APIは同じ意味ですか?
A. ほぼ同じ意味で使われます。RESTの考え方に沿って作られたAPIを「RESTful API」と呼び、それを略して、あるいは同義として「REST API」と呼ぶことが一般的です。
Q. REST APIではどんなデータ形式が使われますか?
A. 軽量で扱いやすい「JSON」が広く使われています。以前はXMLも使われていましたが、現在はJSONが主流です。
Q. プログラミングができなくてもREST APIで連携できますか?
A. 個別開発にはプログラミングの知識が必要ですが、ノーコードのデータ連携ツールを使えば、専門知識がなくてもREST APIを使った連携を構築できます。接続や認証の設定を画面上で行えるため、現場の担当者でも連携を組み立てられます。
REST APIとは、RESTという設計の考え方に沿って作られたWeb APIです。データをリソースとしてURLで表し、操作をHTTPメソッドで表す直感的な仕組みと、軽量なJSON、対応サービスの多さから、現在のWeb API・SaaS連携の主流になっています。業務システムの連携に使う際は、認証やレート制限、仕様変更への対応が鍵となり、これらを安定して扱えるかが成否を分けます。個別開発で抱え込まず、ノーコードのデータ連携ツールを活用すれば、REST APIを使った連携を素早く・確実に仕組み化できます。
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