ブロックチェーン特集:対談 Vol.03『インターネットのインフラを支える、 さくらインターネットにおけるブロックチェーン、先端技術への取り組み』
【番外編】さくらインターネットはこれまでも、これからも「インターネット的」であり続ける
田中邦裕氏 × 平野 洋一郎

さくらインターネット株式会社 代表取締役社長 田中邦裕氏 × インフォテリアCEO平野

3回に渡ってお届けしたさくらインターネット田中社長とインフォテリア代表平野の対談。その本編中ではお伝えできなかったさくらインターネットの創業経緯や社名に関する想いなどについて、番外編として本記事にまとめてみました。さくらインターネットという会社がどのように生まれ、成長を遂げてきたのか、そしてインフラという事業に賭ける想いなどに話は及びました。ぜひ、ご一読ください。

創業の根底にあった、インターネットの可能性をサポートする、という使命感

平野 本編中、第2回目の話で「想い、使命感」が大切であるというお話が出ていましたが、田中さんがどういう想いで創業したのかという点について少しお話を聞かせて頂けますか。

田中氏 私の創業の経緯はこちらの「さくらインターネット創業日記」に詳しく書いていますが、私が高専時代に運用していたサーバを友人や知人に貸し出していたのがベースとなります。運用していく中でどんどん学校以外の方々にもご利用頂くようになりました。利用者の皆さんが情報発信を楽しみ、そのコンテンツを閲覧する方も同様に楽しむ、そうした場所を維持していきたい、という気持ちが漠然ながら芽生えていた折に、諸事情でそのサーバを撤去しなければならない、という事態に見舞われました。

その状況に直面した時に強く痛感しました。私はこの状況を維持したいし、もっと多くの人がこうした情報発信を気軽にできるような場を提供していきたい、と思っていることを。 ちょうどインターネットが日本に普及し始めて間もないこともあったと思いますが、このインターネットという誰でもオープンに参加、発信をおこなうことができ、これまでのメディアの在り方をブレイクスルーする可能性を途絶えさせてはならない、もっと広めていかなければならない、という使命感が根底にあったように思います。

弊社CEO平野写真

平野 改めて当時を振り返ってみると、サーバ事業はインフラということもあってか、どうしても参入する事業者は大手中心でサービス利用の値段も高い、という状況だったように記憶しています。そうした中でさくらインターネットのような会社のサービスは重宝されたのではないですか。

田中氏 おかげさまでさまざまなスタートアップの会社に弊社のインフラをご利用頂きました。グリーさんの本社に行くと、弊社がプレゼントした第1号サーバが飾ってあります。いまやグリーさんも大きな会社になっていますが、その立ち上げのタイミングで貢献できたというのは私たちの存在意義を改めて実感します。これからもそうしたスタートアップをサポートする立場であり続けたいという想い、使命感がありますね。

平野 とても素敵な話ですね。今でこそクラウドが普及したことでインフラ関連の初期投資はだいぶ下がりましたが、2000年代はインフラ関連の支出がサービス成長の足かせになっていたようなケースもあるので、さくらインターネットの貢献は大きかったのではないでしょうか。インフラ関連はどうしても過去の電話回線などのビジネスの系譜で大手の企業が提供していることが多かったですよね。

田中氏 インフラ関連は初期投資がかさむこともあり、スタートアップが手掛けにくいビジネスではあります。資本、ヒト、モノ全てに関して立ち上げのタイミングからある程度必要で、サービス自体も一定の質を担保せねばそもそも利用すらしてくれません。さくらインターネットは私個人が小さく立ち上げたものではありますが、当時はインターネットの黎明期だったこともあり、今と比較するとサービスの品質に対するハードルが高くありませんでした。接続する回線も当時はダイヤルアップで転送量も今より少なく、日本全体での利用者も1000万人を超えたくらい。まだまだインターネットが「おもちゃ」と言われていたような時代です。

当時はベンチャーブームということもあり出資が集まりやすかったので、集まった資金を設備投資やサービス品質の強化に充てることができ、利用者の拡大につながりました。

 

「安定と挑戦」の両輪を使い分け、サービス品質を強化へとつなげていく

平野 その後、2004年に個人向けサービスをリニューアルしたうえで価格を大幅に下げていますよね。多少の値引きであればよくある話ですが、当時田中さんが決断したのが1/8という価格設定でした。真っ当な考え方からすればこれは「狂気の沙汰」とも言えるほど大胆なように思えるのですが、この決断を下した背景を教えて頂けますか。

さくらインターネット 田中氏

田中氏 私は、安定と挑戦の両輪を使い分けることが重要だと考えています。たとえば、サービスの品質とか設備などは安定を堅持すべきですが、取り組む手法については時に大胆であるべきです。どちらか一方だけだと会社はおかしくなり、ひいてはお客さまからの支持も失うことになる。第2回目にお話をした、さくらのIoT Platformの新規サービスの立ち上げリーダーに新卒2年目の社員を登用したのも挑戦の一環です。ほかにも新卒の社員がリーダーとしてプロジェクトを進めるようなケースもあります。話が尽きないほど、さまざまな社員の活躍ストーリーが日々生まれており、それらがサービスの品質強化にもつながるという好循環を作り出しています。

平野 挑戦をする若い社員がたくさんいらっしゃるということですね。昨今の若者を「さとり世代」と括って熱い心を持っていないと断じる声もありますが、田中さんのお話を聞くと、実は会社側が熱い心を引き出せていない、出すための環境づくりをしていないというのが実態なのかもしれませんね。ところで、その熱い挑戦の会社のスピリットと反し、「さくらインターネット」という社名はとても穏和な印象を受けます。安定と挑戦を使い分けるさくらインターネット、その社名の由来について教えて頂けますか。

田中氏 実はさくらインターネットという社名は「sakura.ne.jp」というドメイン名に由来しています。通常だと会社名が先で、その社名に合わせたドメインを取得するという順番となると思いますが、弊社は逆のアプローチです。その理由は当時のメインの事業である、ホームページ向けのレンタルサーバ事業のビジネス形態と関係があります。当時は、個人の利用者がホームページを開設する際、独自ドメインはほとんど使われておらず、サーバ会社のドメイン傘下にドキュメントルートが配置される形でした。その配置フォルダの名称を利用者の方が利用開始時に設定します。たとえば仮にインフォテリアさんがフォルダ名を「infoteria」と設定すると、「sakura.ne.jp/infoteria/」となるわけです。

すなわち、弊社のドメイン部分も含めてお客さまの顔となりますので、奇抜な名称はふさわしくありません。また、当時は検索エンジンの性能もまだまだ低かったので、アドレスバーにキーボードから直打ちするケースもあり、入力しやすいことも重要でした。これらの点を強く意識しながら最終的に選定したのが「sakura.ne.jp」でした。そしてドメインに合わせてサービスの名称も「さくらウェブ」とし、その後社名も「さくらインターネット」となりました。

創業から20周年を期に、みんなの「さくら」として新しいステージへ

平野 とても「インターネット的な文化」を持つ会社らしい命名エピソードですね。「さくら」は私が住んでいるシンガポールでも知っている人が多く、世界展開を考慮するとブランディングしやすい社名のように感じています。

田中氏 実は創業からまもなく20年を迎えるにあたり、弊社内のブランド委員会で「さくらインターネット」という社名の変更について議論を重ねました。結果は社名を変えないことになったのですが、社員のみんな、そしてご利用頂いている方々の愛着があるから社名を変えないという判断は私にとって、とても感慨深いものでした。もともと私が命名した社名ではありますが、20周年を期に社員、そしてご利用頂いている方々みんなの「さくら」として新しいステージへと羽ばたいたと実感しています。

 

田中氏と平野、さくらインターネット会社ロゴ前で握手

平野 ブロックチェーン、IoT、AIといった先端技術への取り組みなどを通じて新たなステージへと羽ばたいていくさくらインターネットの今後の動向には引き続き、注目していきたいですね。今後も両社で進めていくようなこともいろいろとありそうで、楽しみでなりません。いろいろと貴重なお話をありがとうございました。



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