2020年5月11日

【ウイルス対策×ブロックチェーン 7事例】 ウイルス対策にブロックチェーンは使えるのか? 世界の事例と効果を解説

世界的に大変な被害をもたらしている「ウイルス感染」に対して、ブロックチェーンがどのように活用されているのかを解説します。ブロックチェーンの効果やどのようなメリットが受けられるのか? 世界の7事例を分かりやすく紹介します。


in.LIVE 読者の皆さんこんにちは!
現在世界に甚大な被害をもたらしている新型コロナウイルス。実はその裏で、いま話題のブロックチェーンが効果的に活用されているのをご存知でしょうか?

日本における活用はまだあまり進んでいませんが、海外においてはすでにウイルス拡散の追跡や予防などの情報管理にブロックチェーンが利用されています。今回の記事では、一般の方でも分かりやすいよう解説を加えながら、世界の7つの事例をご紹介します。

著者プロフィール
奥 達男(おく・たつお)
アステリア株式会社 ブロックチェーンエバンジェリスト、コンサルタント

ブロックチェーン技術の啓蒙及び技術適用された事業モデルの創生・推進、コンサルティング、提案、POC、技術の講義、サービス構築や他社主催セミナーへの登壇などを担う。一般社団法人ブロックチェーン推進協会(BCCC)にて、トークンエコノミー部会 部会長、ブロックチェーンエバンジェリストを務める。


①寄附金追跡プラットフォーム(中国)

最初にご紹介するのは、寄附金の管理にブロックチェーンが活用された事例です。
中国では、新型コロナウイルスに関する寄附金が数多く集まっている中、その寄附金が不正に使われる事件が発生しています。そうした事態を回避しようと、今までブラックボックスだった寄附金の流れをブロックチェーン上で管理することにより寄附金の流れを透明化し、誰もが寄附金の状況を追える環境が構築されています。

中国のスタートアップ企業であるHyperChainは、「Shanzong」と呼ばれるブロックチェーンベースの寄附金追跡プラットフォームを開発。また、中国のComplex Beautyは、ブロックチェーンを適用した慈善寄附プラットフォームを立ち上げました。

こちらのプラットフォームには、すでに多くの企業や個人からの寄付情報が書き込まれており、寄附金を不正に使われることを抑制しています。

②教育機関でのウイルス感染拡大対策(中国)

中国の教育機関及び大学は、学校でのウイルス感染拡大の防止と制御にブロックチェーンを活用しています。

Youyi Dataは、複数の大学と協力して、公的に入手可能な様々なレベルの流行情報、対応策情報、世論情報、さらに患者データを収集することにより、流行統計や対応情報のブロックチェーンプラットフォームを開発しました。このプラットフォームではデータ追跡やトレーサビリティ、ライフサイクル管理を行い、政府や大学での感染症拡大の防止と管理をサポートしています。

また、他大学によって開発された「ブロックチェーン感染症予防制御システム」は、主に学校内で使用され、学校の生徒と教員の健康状態データ、外出状況、感染症の予防、管理情報などを収集しています。

ブロックチェーンを活用することで、情報収集の効率性と統計的な正確性を担保し、教師や生徒の感染状況をリアルタイムで把握することができます。

③ウイルスパンデミックス追跡プラットフォーム(WHO)

世界保健機関(WHO)は、今年3月末にコロナウイルスのパンデミックに関するデータを共有するための分散型台帳技術(DLT)ベースのプラットフォームを立ち上げました。

主要なブロックチェーンおよびテクノロジー企業と提携して開発されたプラットフォームは「Hyperledger Fabric」というブロックチェーンの上に構築されており、COVID-19キャリアと感染ホットスポットの早期検出を可能にすること、そして個人や州当局、医療機関の間で完全にプライベートな情報共有を促進することを目的としています。

④医療サプライチェーンプラットフォーム(オランダ)

オランダを拠点としている企業であるTymlezは、ブロックチェーンを基盤とした医薬品のエコシステムをモデル化するプラットフォームを提供しています。

医薬品のサプライチェーン全体をブロックチェーンで管理することにより透明性を確保し、コロナウイルスのパンデミックの中で、医薬品の不安定な価格や流通を防いでいます。

⑤グローバルコロナウイルス調査(アメリカ)

アメリカ発のAlgorandは、新型コロナウイルスの蔓延状況をリアルタイムで提供するブロックチェーンをベースとした、データベースを構築します。

各個人はアプリを通じて、ウイルスの感染状況を更新、その情報の統計をAlgorandブロックチェーンに公開し、永続的なデータアクセスを可能とします。この情報をコロナウイルスパンデミック抑制に役立てます。

⑥新型コロナウイルスのスクリーニングツール(カナダ)

カナダのIT企業であるVitalHubCorpは、新型コロナウイルスの監視ツールの開発をブロックチェーンベースで行うことを発表しています。このツールは介護施設で使用されます。

居住者の呼吸器疾患、発熱、頭痛などの症状をブロックチェーンに記録し、リアルタイムで情報共有します。国、州、または地域の保健当局から求められている報告項目を満たすように作成されるツールです。

⑦コロナウイルス追跡アプリケーション(アメリカ)

アメリカのスタートアップであるEmergeは、コロナウイルスの拡散を追跡及び防止するために、地元住民の政府ID番号をブロックチェーンの記録に関連づけて、各住民のコロナウイルス症状を当局が管理する仕組みを実現しています。

各個人のアイデンティティを管理するためのブロックチェーン活用は、年々増えています。

ウイルス対策×ブロックチェーン活用7事例 まとめ

以上、世界の7事例をご紹介してきました。
現在ウイルス対策としてブロックチェーンが活用されるケースは、以下の9つの切り口にまとめることができます。

①チャリティ
②流行状況の早期警告
③旅行監視
④公共安全監視
⑤医薬品の追跡可能性
⑥公共流行データの公開
⑦世論の監督
⑧医療データの共有化
⑨保険及び分散コラボレーション

いずれの切り口においても、ブロックチェーンが活用されるのは「情報共有」「トレーサビリティ」「プラットフォーム」といった用途です。

ブロックチェーンは改ざんされにくい特性があることから、不特定多数の人たちの間で「情報共有」することに適しています。また、医薬品の追跡や人の動きなどの「トレーサビリティ」データを耐改ざん性があるブロックチェーンに入れることにより、データの信憑性を高めています。

さらにブロックチェーンには、プログラムを載せることができるという特性があります。ブロックチェーンに載せたプログラムは変更することができません。これはスマートコントラクトと呼ばれている技術ですが、プログラムの処理内容を公開することにより、そこで行われている処理を誰もが確認できる状況となります。

ブロックチェーンを活用することで、プログラムの信頼度を高め、情報共有という目的と合わせて、多様な場面に対応しうる「プラットフォーム」を実現することができるのです。

かつては仮想通貨関連の技術、というイメージが強かったブロックチェーンですが、すでに世界ではさまざまな社会問題に対するソリューションを支える技術として活用されています。今後もこうした事例についてご紹介してまいりますので、どうぞご期待ください!

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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この記事を書いた人
奥 達男
奥 達男 アステリア株式会社 ブロックチェーンエバンジェリスト、コンサルタント。ブロックチェーン技術の啓蒙及び技術適用された事業モデルの創生・推進、コンサルティング、提案、POC、技術の講義、サービス構築や他社主催セミナーへの登壇などを担う。一般社団法人ブロックチェーン推進協会(BCCC)にて、トークンエコノミー部会 部会長、ブロックチェーンエバンジェリストを務める。