2018年11月15日

マンガでわかるブロックチェーン【第6回】IT後進国の日本!? 海外と日本の温度差

主人公・仲元サラが派遣会社を通じてやってきたのはブロックチェーンを主な事業とする会社。ITにも疎く、ブロックチェーンの「ぶ」の字も分からないサラは、果たしてこの会社で生き残れるのか!?話題のブロックチェーン技術を漫画で解説します。


(企画・原作:森一弥 作画:佐倉イサミ

◀ 一つ前のお話「マンガでわかるブロックチェーン【第5回】問おう、貴方が私のマスターか?〜マスターとトランザクション」はこちら




まず一番に、ブロックチェーンを使って新しいビジネスを興そうという機運が広がっておる。仮想通貨の値上がりを目論んで投資している者もおるが、技術者をはじめ、新しいビジネスアイデアを考えているものが多い。
日本でもビジネスでの応用を考えている人もいるよね?
まだまだ少ない。日本はいろいろなシステムがすでに出来上がっているから、システムが全く無い国よりも、新しいものを導入するにはハードルが高いという面もあるのぉ。しかし、企業のITに対する考え方が多くの国々とは少し違うようじゃ。
ITに対する考え方? どこが違うの?
日本の企業は自社で使うシステムをシステムインテグレーターに任せて作ってもらうところが多いようじゃ。そうなると、企業のシステム部門の大きな仕事は、システムを委託した企業との交渉などいわゆる「外注管理」になることも多い。
セミナーに来られるシステム部門の方でも、プログラムは何年もやってないって方、少なくないですよね。
対して海外の企業は、パッケージ製品やクラウドサービスを使い、自社向けのカスタマイズは自分たちで行う。その方がノウハウも貯まるしの。新しい技術にも積極的に取り入れる力もついてくるじゃろう。
じゃぁ日本でブロックチェーンのシステムを使おうと思うと、まずシステムインテグレーターさんでブロックチェーンも使える人を探さないといけないんだね。
今までどおりのやり方を踏襲するならそうじゃな。しかしそう簡単でもないんじゃ。既存のシステムインテグレーターの中には新規でシステムを作る技術者よりも、既存のシステムを刷新するのが得意な技術者の方が多いからかの。ブロックチェーンを積極的に勉強するものもまだまだ少ない。
ええ!?ブロックチェーンに関するセミナーはいつも満席ですよ―?
そうじゃな。しかしセミナーに出るのと自社で活用・検討するのはまた別の話じゃ。セミナーでの参加者からの質問内容を覚えておるか?
うん。セキュリティとかパフォーマンスについて聞いている人が多い気がするね。あとは他社での事例とか。
おそらく既存の仕組みを置き換える際のコストパフォーマンスを考えておるのじゃろう。事例を聞くのも周りの企業を気にしておるということじゃ。海外のセミナーではこういう事はできるのか?という質問が中心だな。内容もより詳細なものが多い。新しいことを始めるのにブロックチェーンが使えるのかどうかを考えてのことじゃろう。
なんだか海外の方が前向きな気はするね。
あとはスマートコントラクトDAppsが日本以上に注目されておるの。
すま!? だっぷす!?
スマートコントラクトは、契約書を自動的に処理するようなものとして考えられておったんじゃ。いろいろな契約があるが、ここでの契約はプログラムに置き換えられるようなものじゃな。多くの契約はある条件が揃ったときに支払いを行うものじゃから、プログラムでも実現できるというわけじゃ。
なんだか硬そうな話だね。
例えば海外では、同じブロックチェーン上のシステムを利用して、自分で作ったコインを発行したり、無人の交換所を作ったり、もっと親しみやすいものでは、ゲームを作ったりする者も出てきておるようじゃな。
へぇー、ゲームなら私でもできるのかなぁ!
有名なのはデジタルの猫を育てたりトレードするもののようじゃ。
ブロックチェーンって契約書からゲームまで、幅広く使えるんだね!
海外ではビジネスとして、すでに実用化しているものも出始めておるからの。
そうなんだ!例えばどんなことやってるの?
たとえばダイヤモンドの鑑定・所有情報や、土地の登記簿をブロックチェーンで管理する会社などかの。国全体でブロックチェーンに取り組んでおるエストニアも有名じゃの。
国全体で!すごい!
エストニアの話は、確かももりさんからも聞いたことあったような…
ふむ。アヤツの話によると、ハッシュをブロックチェーンに保存することが活用の鍵の一つのようじゃな。工夫とアイデアでいろいろできそうじゃ。もちろん他にもポイントはあるようじゃったが。
今まで無いものを考えるのって難しいもんね。
現状に満足しないで好奇心旺盛に調べたり、自分自身でやってみることが必要じゃな。日本人は勤勉じゃが、自分で手を動かしてやってみようとするものが少なく思うぞ。
私もなにかやってみようかな?
そうじゃな。プログラムをつくるのは難しそうじゃが、エストニアの電子国民になってみるのであれば、お主にもできよう。何に使うかはともかく、体験したことが今後の糧にもなるじゃろう。
うん!ももりさんに詳しく聞いてみるね!

次回「モノとつながるブロックチェーン!?〜IoTとの相乗効果」につづく!

今回の補習授業|ポイントと用語解説

漫画の原作者である、アステリア株式会社 ブロックチェーン推進室長の森が、今回のお話の概要や会話に登場したキーワードについて簡単に解説します!

キャッシュレス
ここでは電子決済のこと。必ずしもブロックチェーンが使われているわけではない。広い意味でクレジットカード決済も範囲に含まれる。今後出てくるであろうキャッシュレス決済の仕組みの多くは、コスト面、運用面などが優位になるためブロックチェーン技術が基盤として採用されたものになる可能性が大いにある。

エストニアの電子国民
海外に在住のまま、エストニアで銀行口座を持てたり、会社を作ったりできる「e-residency」という制度。EU加盟国であるエストニアに会社が持てるということであり、ビジネス拡大のチャンスにもなり得る。エストニアの方では税収が見込める他、世界中に制度の先進性をアピールしたり、他の国からの圧力に対して強い国にもなり得るので、世界から注目されている。

詳しくはこちらの記事を参照。

ブロックチェーン活用の鍵
ハッシュの活用方法を例に挙げたが、トークンの設計やアカウントの設計などもポイントとなる。DAppsやスマートコントラクトに目が行きがちだが、既存システムの設計や構築からちょっとした発想の転換が必要となる事が多い。

スマートコントラクト
契約書管理をブロックチェーンで行うこと。契約書の管理と言っても、紙の文書を管理するわけではなく、契約書と同等の処理を自動的に行うことのできる仕組み。狭義の意味ではそのプログラムのこと(下記DApps参照)。いくつかの条件が揃ったときに事前に決めていた金額を自動的に送金することをプログラムとして実現し、契約書と同等に扱う。プログラムはブロックチェーン上にて実現される。

DApps(ダップス / ディーアップス)
Decentralized Applications (非中央集権型アプリケーション)。スマートコントラクトもDAppsの1つと考えられる。契約書のようなものだけに限らず、様々なプログラムをブロックチェーン上で実現するための仕組み。例えば「Crypto Kitties」はEthereum上で実現された猫の交配やトレードを行うゲーム。

おまけ

マンガの舞台となっているアステリア株式会社ではブロックチェーンの技術職を募集中です!
ブロックチェーンの経験がなくてもOK、JavaScriptなどの開発経験とプレゼンを作れる能力が重視されるそうじゃの。
詳細はこちらから。よろしくおねがいします!
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この記事を書いた人
森 一弥
森 一弥 アステリア(旧インフォテリア)株式会社 ブロックチェーン事業推進室 室長 ストラテジスト。2012年よりインフォテリア勤務。2017年3月までは主力製品「ASTERIA WARP」のシニアプロダクトマネージャーとしてデータ連携製品の普及に務め、特に新技術との連携に力を入れる。 2017年4月より新設されたブロックチェーン事業推進室にて実証実験やコンサルティングなどを実施。またブロックチェーン推進協会(BCCC)では技術応用部会を立ち上げ、技術者へブロックチェーンアプリケーションの作り方を啓蒙している。