2023年2月20日

クリプト界のニューヒロインたぬきち氏に聞く! 今Web3・NFTの世界で起きていることとは? <後編>

2021年の秋からSNSを中心にWeb3・NFT関連の情報を発信し続ける、たぬきち氏。2022年には一般社団法人ブロックチェーン推進協会(BCCC)のエバンジェリストに就任するなど、その活動の場を広げています。そんなたぬきちさんが、今肌で感じているWeb3、NFTの世界はどのようなものか。国内外のNFTの最新情報について伺ってみました。


2021年の秋からSNSを中心にWeb3・NFT関連の情報を発信し続ける、たぬきち氏。2022年には一般社団法人ブロックチェーン推進協会(BCCC)のエバンジェリストに就任するなど、その活動の場を広げています。インタビュー後編では、たぬきちさんが今注目するブロックチェーンサービスやNFTについてお話を伺いました。

HONEYCON創業者|たぬきち氏(@web3_honey)

2021年秋よりTwitterを中心にWeb3・NFT・ブロックチェーン関連の情報発信を開始。BlueChip NFTホルダー限定イベントや音楽NFTイベントの主催を始め、Web3業界で働きたい女性を支援するためのWeb3Girlsを発足し、Web3Girlsイベントの主催、登壇をしながら、コミュニティでも幅広く活動する。IVS Crypto公式アンバサダー。BlueChipParty共同創業者。2022年10月、一般社団法人ブロックチェーン推進協会(BCCC)エバンジェリスト就任。

<聞き手・アステリア株式会社 ブロックチェーンエバンジェリスト 奥達男>
※ 本インタビューは<前・後編>にて掲載されております。前編はこちらよりご覧ください。

今後、ブロックチェーンゲームはどう変わっていくのか

インタビュー前編では、たぬきちさんの日頃の活動や、Web3Girls立ち上げの背景などについて伺いました。ここからは一歩踏み込んで、今たぬきちさんが注目されているブロックチェーンプロジェクトを始めとする、Web3界隈の動向についてお話を伺えたらと思います。

例えば、ブロックチェーンゲーム(注釈1)。2021年は爆発的に流行りましたよね。なんとなく今は少しブームも落ち着いたかなと思うんですが、今後はどうなっていくと思われますか?

(注釈1)ブロックチェーンゲーム
暗号資産を稼げたり、NFTを受け取ることができるゲームのこと
そうですね。特に流行っていたゲームとして、皆さんの印象に残っているのは「Axie Infinity」や「STEPN」でしょうか。改めて振り返ると「Axie Infinity」は、かつては一日に1時間程度プレイすると8000円ぐらい稼ぐことができて、毎日プレイすることでどんどん額が増えて… というものだったと思うのですが。

途中から遊び方等が少しずつ変わってきて、現状は、1カ月から1カ月半ぐらいのスパンで行われているイベントの賞金を稼ぐようなイメージになってきています。
日々プレイして稼ぐというよりは、シーズンごとの賞金を狙うスタイルに変わってきているんですね。
そうなんです。また「STEPN」は、スニーカーのNFTを購入して、アプリ内で歩いたり走ったりすることでゲーム内のトークンを稼ぐという仕組みでした。全盛期には1日30万円を稼ぐ方もいらっしゃって、有名になったと思うんですけど、現状はすっかり落ち着いた印象ですね。

ただ「STEPN」のすごかったところは、非常に多くの新規ユーザーをこのゲームに流入させたことだと考えています。今までブロックチェーンゲームは、ウォレットで取引所からクリプト(※注釈1)を購入したり、NFTを購入したりしていました。さらにクリプトをゲーム内のトークンに変える等、全て別の場所で行うことが一つのハードルでした。

(※注釈1)クリプト: クリプト・カレンシーの略称。ここでは暗号資産のことを指している

「STEPN」の場合は、これらがひとつのアプリに全部入っていて、アプリの中でNFTも購入できるし、売れる。さらにスワップと言われるようなこともできるし、すべてがアプリで完結できました。その結果、ブロックチェーンゲームどころか、クリプトを触ったことない方たちがたくさん流入してきたのは大きな貢献だと考えています。

「Axie Infinity」や「STEPN」はまさに ”Play to Earn“ と言われるブロックチェーンゲームの先駆けになっていましたよね。最近では、一時ほどの勢いがなくなり、個人的には残念に感じています。
そうですね…。でも、最近は ”Play to Earn(稼ぐために遊ぶ)” というよりは、”Play and Earn(遊んでいたら稼げる)” という思考に、世の中が変わってきていると言われています。

「Axie Infinity」も現在の遊び方を見ていると、コミュニティが主導して動いていることを感じますし、ゲームの仕組み自体が少しずつ変わってきているなと…。もちろん「STEPN」も少しずつ中身を変えながら、色々と試行錯誤していると思うんですが、ブロックチェーンゲーム自体も少しずつ変化しているところです。

例えば、ガバナンストークン(※注釈2)とユーティリティトークン(※注釈3)の関わり方みたいなものも、こうしたブロックチェーンゲームの成功例と失敗例を見ながら、調整を重ねているような感じだなと思っています。

ブロックチェーンゲーム自体は、今もどんどん新しいものが出ていますし、新しい仕組みやNFTの仕組みもどんどん出てきている。ひとつのゲームで稼げる金額は一時期よりは少ないかもしれないけれど、遊びながら少しずつ稼げるというゲームが増えている実感はあります。まだまだこれから発展していくんじゃないかなと個人的には思っています。

(※注釈2)ガバナンストークン
発行元のプロダクトもしくはサービスの運営に参加できる権利が付与されているトークン。例えば、サービスの方向性を決める投票に参加できる投票権など。
(※注釈3)ユーティリティトークン
何らかの実用性があるトークンのこと。例えば、何かの利用料としての用途や、コミュニティに参加できる権利など。

特定のNFTを所有する人のための「BlueChip NFT」の活動とは

ありがとうございます。続いて、たぬきちさんは「BlueChip NFT(ブルーチップNFT)」の活動もされているとお聞きしました。そもそも「BlueChip NFT」について、また具体的にどのような活動をされているのかも教えてください。
はい。「BlueChip」は証券用語で ”優良株“ という意味を持つ言葉です。つまり「BlueChip NFT」とは、NFTの中でもすごく有名なもの、値段が下がらないものや優良であると言われているようなものをそう呼んでいます。

「Bored Ape Yacht Club(ボアード・エイプ・ヨット・クラブ、略称:BAYC)」という猿のイラストをモチーフにしたNFTは、数千万円〜数億円という高価格がついています。

現在はそうした特定のNFTを持っている方たちだけが参加できるイベントや、持っている方たち同士で交流できるイベントをコミュニティ主体で行うことはよくあります。私自身「BlueChipParty」というグループを運営しており、そういった有名どころのNFTの日本コミュニティを主導しているんです。
特定のNFT所有者だけが参加できる活動、NFTの付加価値のひとつですね。具体的にどのようなイベントだったのでしょうか?
例えば「BAYC(Bored Ape Yacht Club)」には、「MAYC(Mutant Ape Yacht Club)」という金額的に少し安めのNFTがグループとしてあるのですが、この「BAYC」「MAYC」を持っている方だけが入れるイベントを日本で行いました。

海外でも「BAYC」の名前にちなんだ船をテーマにしたイベントがよくあるので、日本で開催したこちらのイベントでも、船上パーティーを開催しました。私自身、海外のカンファレンスにもよく行くので、「BAYC」の海外支部と提携したりしながら、海外と同じようなイベントを、日本で年に2〜3回ぐらいのスパンで主催しています。

BCCCエバンジェリスト就任への想い

本日は色々とお話を聞かせていただきありがとうございました。
現在は幅広く活動をされているたぬきちさんですが、今後はどういった活動をしていきたいと考えられていますか?
そうですね。やはりインタビュー前編でもお話ししたとおり、Web3という領域にもっとたくさんの方に入ってきてほしいという想いがあります。そのためにも「Web3Girls」で女性の活躍を応援しつつ、海外ともしっかり提携しながら、業界のことを知ってもらえるような活動や発信を増やしていきたいです。

2022年10月には、一般社団法人ブロックチェーン推進協会(BCCC)のエバンジェリストに就任されましたよね。こちらについては、なにか意気込みのようなものはありますか。
ブロックチェーンに興味のある企業や団体の方が集まる団体で、このような役職をいただけることは非常に光栄です。

今まで個人で活動してきましたが、どうしても限界を感じることはありました。BCCCでの活動を通して、業界を横断して、今以上に沢山の方にブロックチェーンやWeb3の魅力を知っていただけたらと思っています。
今後のご活躍、楽しみにしております! 本日はどうもありがとうございました。

取材後記

この目まぐるしく動く暗号資産やブロックチェーン業界を、世代や国境を横断して盛り上げているたぬきちさん。海外イベントへの登壇、Web3Girlsの立ち上げや運営、HONEYCON、ブルーチップNFT、そして直近のBCCC エバンジェリストへの就任と、活躍の場を着実に広げられており、業界のアイコンとして大注目の存在です。

インタビューを通して、特に印象に残ったのは「”Play to Earn(稼ぐために遊ぶ)” から”Play and Earn(遊んでいたら稼げる)”への変化」というお話です。ブロックチェーンゲームは革新的な仕組みではありますが、投機色が強くなることは否めず、ゲーム業界でも賛否が割れています。

今後、ブロックチェーンゲームが他のDAppsと繋がり、且つ、そこに誰でも新しいサービスをローンチすることができること。さらにその仕組みが高い透明性で、一般の方々もさまざまなかたちでプロジェクトに関与できる、という仕組みこそが、これまでのweb2にはなく、web3ならではの特性だとも感じています。

これから世界を大きく牽引していくであろうweb3業界を、一緒に盛り上げていけたらと強く感じるインタビューでした。たぬきちさん、インタビューへのご協力をいただきありがとうございました!

<聞き手・アステリア株式会社 ブロックチェーンエバンジェリスト 奥達男>
※ 本インタビューは<前・後編>にて掲載されております。前編はこちらよりご覧ください。

関連リンク

・インタビュー前編
クリプト界のニューヒロインたぬきち氏に聞く! 今Web3・NFTの世界で起きていることとは? <前編>

たぬきちさんも出演!2022年の Web3|ブロックチェーン総まとめトーク! 今年話題になった業界ニュースを初心者向けに解説、2023年のトレンド予測は?

NFTはなぜ売れる? 一歩踏み込んで知りたいNFTの最新トレンド

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この記事を書いた人
高橋ピョン太 ゲーム開発者から、アスキー(現・アスキードワンゴ)のパソコンゲーム総合雑誌『LOGiN(ログイン)』編集者・ライターに転向。『ログイン』6代目編集長を経て、ネットワークコンテンツ事業を立ち上げ、以来、PC、コンシューマ向けのネットワークコンテンツ開発、運営に携わる。ドワンゴに転職後、モバイル中心のコミュニケーションサービス、Webメデイア事業に従事。現在は、フリーライターとして、ゲーム、VR、IT系分野、近年は暗号資産メディアを中心にブロックチェーン・仮想通貨関連のライターとして執筆活動中。