2021年7月15日

アステリアの投資専門子会社「Asteria Venture Fund」ってどんなことをしているの? 米国赴任中のマネージングディレクターにその全貌を聞いてみた!

こんにちは。in.LIVE編集長の田中伶です。 アステリア株式会社が世界的な視野でM&Aを行うことをミッションに、「 Asteria Venture Fund(AVF)」と呼ばれる投資専門子会社を設立発表したのは2 …


こんにちは。in.LIVE編集長の田中伶です。
アステリア株式会社が世界的な視野でM&Aを行うことをミッションに、「 Asteria Venture Fund(AVF)」と呼ばれる投資専門子会社を設立発表したのは2019年4月。同年3月には熊本県の肥後銀行からの200万米ドルの出資を発表し、その後、2021年6月に至るまでの約2年間で国内外の4つの企業への出資を発表しています。

企業向けのソフトウェアを手掛けるアステリア株式会社が、海外で投資専門の子会社を立ち上げたのはなぜ? 「AVF」って具体的にどんなことをしているの? そんな素朴な疑問を、AVFの代表を務める吉田さんにぶつけてみました。アステリアの投資活動について興味のある方はぜひご覧ください!

※この取材はオンラインを通じて行われました

吉田さんこんにちは〜! お久しぶりです、お元気ですか?
ご無沙汰してます。なかなかコロナの猛威が治まらず、アメリカから日本にはしばらく帰れていないですが… こちらはコロナのワクチンも家族みんな打って、ようやく落ち着いてきたところですよ。
そうなんですね! 今いらっしゃるのはテキサス州ダラス郊外のプレイノですよね?
そうです。AVFは周囲の環境などさまざまな情勢を踏まえて、2020年にプレイノに拠点を開設しこちらで活動しています。プレイノは今とても盛り上がっているエリアで、2017年にはトヨタの米国の本社機能がこちらに移ったことも大きな話題となりました。比較的治安が良く物価も安く、日本人も含めたさまざまな人々が集まってきている活気溢れる地域なんですよ。
吉田さんが2017年にアメリカに赴任されてからは、もう4年ほど経つのですよね。当時アステリアの社長室で仕事されていた吉田さんのアメリカ赴任が突然発表されて、正直とても驚いたのを覚えています…!
そうですよね(笑)。私自身のキャリアとしては、一社目はIBM、そのあとはファイナンス系のコンサルティング、新日本監査法人を経て、自動車系金融会社、そしてアステリアというキャリアなのですが、IBMで働いていた頃に、USCPA(U.S. Certified Public Accountant、米国公認会計士)の資格も取得していまして。

自動車系金融会社では海外子会社の対応などもしていて、そこで出資などの業務に携わることもありました。アステリアに入社したときから、積極的にM&Aや出資などの業務に挑戦していきたい、グローバルを視野に働きたいいう話はしていたので、今こうしてその夢も掴みながら、企業として新しいことに挑戦できているので非常にやりがいがあります。
そんな背景があったのですね…! そうした背景がある中で、なぜ吉田さんがアステリアに入社されたのかも聞いてみたいところです。今日はどうぞ宜しくお願いします。

AVF(Asteria Vision Fund)の取り組みとこれまで

2019年4月に設立されたAVFですが、今日に至るまで、どのような投資をされているのでしょうか?
2019年5月に肥後銀行から出資いただいた200万米ドルに加え、当社が出資している2,000万ドル、合計で2,200万ドルを現在運用しています。最初に発表したAVFからの大きな出資は、同年10月に発表した台湾のAI技術最大手企業である Gorilla Technology Inc.(※以下、Gorilla社)の株式取得ですね。この出資により、アステリアはゴリラグループの筆頭株主となりました。

Gorilla社はリアルタイム動画AIやサイバーセキュリティAIなどで先進的な技術開発を行う企業です。現在は台湾を始め東南アジア、中東諸国の警察、高速道路、鉄道、空港、店舗・公共スペース等などグローバル規模でサービスが利用されているます。アステリアのIoT統合エッジウェア「Gravio」との業務提携も発表し、Gorilla社のAI機能を搭載した「Gravio」も販売しています。

翌年の9月には、アステリア社長の平野がGorilla社の社外取締役となるなど、密な連携を深めています。

その後は、2020年2月にオーストラリアに本社を置く炭素新素材「グラフェン」開発企業のImagine Intelligent Materials Limited(※以下 イマジン社)への出資、さらに、2021年1月にアメリカの仮想デスクトップサービスを手掛ける WorkSpot への出資を発表しています。

一番最近の案件としては、2021年3月に日本企業であるJPYC株式会社(旧社名:日本暗号資産市場株式会社)への出資ですね。日本円連動ステーブルコイン「JPYC」の発行が非常に注目されていることもあり、この出資はブロックチェーン業界を中心に、とても話題になりました。
基本的には海外の企業への出資が多いのですね。
これまではそうでしたね。ただ今は新型コロナウイルスの影響も大きく海外企業との取引きもしづらい状態になってきているので、コロナの影響が落ち着くまでは、日本とアメリカの企業を中心とした出資がメインになることが予想されます。今年行った米国のWorkSpot社への出資や、日本のJPYC株式会社への出資はまさにその方針に基づいたものですね。
出資する会社はどのように選定されているのでしょうか?
基本的なポイントは「将来的にリターンが見込めるか」ということと「アステリアの製品とシナジーがあるか」という2点です。リターンが望めるというのはもちろんのこと、アステリアで展開している事業とのシナジーが期待できることも重要な要素ですね。

具体的にはアステリアの重点投資領域である「4D」を軸に出資先を検討しています。「4D」とは Data, Design, Decentralized, Device の頭文字を取ったもので、アステリアの事業とも親和性の高いビジネスに出資することが多いです。

投資される会社はどのように探しているのでしょうか?
アジアやアメリカ、ヨーロッパのFA(ファイナンシャルアドバイザー)やベンチャーキャピタルから、出資を募っている企業の情報をもらったり、他にはアステリアの社外取締役であるアニス・ウッザマン氏による協力も大きいです。

アニス氏はシリコンバレーに本社を置くベンチャーキャピタル、ペガサステックベンチャーズの代表でもあるので、専門的なアドバイスや出資を募っている企業の情報などをもらうことは多いですね。AVFの投資委員会のメンバーでもあるので、定期的にコミュニケーションを取っています。
投資委員会というのは、AVFの社内の組織なのでしょうか?
そうですね。現在は、平野(アステリア CEO)、北原(アステリア CTO)、アニス・ウッザマン氏、Dusan Hamlin氏(アステリアの子会社である This Place 共同創業者兼 CEO )の4名がメンバーとなっています。そこで承認をもらった後、AVF社の取締役会がその承認に従って決議する、というフローですね。

製品との連携を後押し。出資した企業との関係について

実際に出資している会社との、出資後の関係性について教えていただけますか。
基本的にはこちらから定期的に連絡を取って、面談、報告を受ける形ですね。ただGorilla社などは出資額も大きく、平野が取締役にも就任しているので、先方のCEO、CFOと密にコミュニケーションを取っています。

出資している会社によってはアステリアの製品との協業の話が出てくることも多いので、そういったタイミングに応じて頻繁にミーティングを設けています。
ファイナンス面でのサポートだけではなく、アステリアの製品との連携について後押しをすることも多いのですね!
そうですね。短期的な成果を求めるだけではなく、アステリアのビジネスラインとしっかり連携できるように間に入り、アステリアの製品チームから提案をもらうことも多いです。もちろんファイナンス面で大変なときに相談に乗るというケースも想定していますし、良きビジネスパートナーとして支え合っていければと常に考えながら連携を強化しています。

どうすれば一番お互いが狙っている市場に入れるか? というのを大事にサポートしていますね。お互いにシナジーを感じながら一緒に頑張っていこうという気持ちで、投資先の経営者と関係性を築けるのがAVFの良いところだと思っています。

これまでのキャリアと米国での働き方

2017年に突然アメリカ赴任となって大変なことも多いかと思いますが、赴任前からM&Aなどアステリアのさまざまな仕事をされていましたよね。AVFはもちろんですが、吉田さんのこれまでのキャリアも気になります。
僕はもともとIBM時代に米国公認会計士の資格を取得していて、その後は、新日本監査法人や自動車系金融子会社で働いていました。アステリアにジョインしたのは2014年でしたが、やはり事業を持っている親会社で働くのが面白いなあという気持ちがあったんですよね。
なるほど。そしてAVF設立前もさまざまな企業のM&Aをアステリアの社長室として担当されていたんですよね。
そうですね。2017年の4月に英国のデザイン会社「This Place」のM&A、さらに英国AI企業「Kortical」、日本国内のAI企業「ウタゴエ」への出資を行ってきました。

現在の業務において、正直大変なことは多いですが、IBM時代にはMBAを取得するためにオーストラリアに留学していたこともあったので、今こうしてアステリアで海外で働くというキャリアが拓けたことは有り難いですね。
現在は米国での現地採用もされているんですよね。
はい。こちらで採用したメンバーが一人います。
主にGravioの仕事をメインにやってもらっているのですが、もともと顔認証の技術に関する会社を自身で立ち上げて売却するなど、バックグラウンドが面白いメンバーなので、彼のつながりでスタートアップ企業を紹介してもらうこともありますよ。
グループ子会社とはいえ、アメリカにもアステリアの拠点があることで、アステリアとしては今後のグローバルな活動もしやすいですよね。AVFとしての今後のビジョンについて教えていただけますか?
はい。引き続き、アステリアの重点投資領域「4D」の軸ともなる、AI,IoT,ブロックチェーン,さらにロボットなどの分野に注目しつつ、当社製品のGravioといかにシナジーがありそうな企業や可能性を探っていきたいです。

AVFの投資会社としての強みはやはり事業を持っていることですので、その強みをしっかり活かしつつ、ファンド一号にとどまらず、二号、三号とビジネスを広げていきたい。そして最終的にはアステリアの事業にしっかり貢献していきたいと考えています。
本日は有難うございました!

米国赴任中のマネージングディレクターにAVFの全貌を聞いてみた! まとめ

世界的な視野でM&Aを行うことをミッションに立ち上げられたアステリア株式会社の投資専門子会社「AVF(Asteria Venture Fund)」。米国現地でマネージングディレクターを務める吉田さんにお話を伺いました。AVFの取り組みについて、少しでも理解が深まっていれば幸いです。

今後もさまざまな投資活動や投資先企業との連携を通じて、社会に貢献してまいります。最後まで読んでいただきありがとうございました。

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この記事を書いた人
田中 伶 アステリア株式会社 コミュニケーション本部・メディアプランナー。 教育系のスタートアップでPRや法人向けの新規事業立ち上げを経験。話題のビジネス書や経営学書を初心者向けにやさしく紹介するオンラインサロンを約5年運営するなど、難しいことをやわらかく、平たく解説するのが得意。台湾情報ウェブメディア編集長も務める。