2023年1月30日

クリプト界のニューヒロインたぬきち氏に聞く! 今Web3・NFTの世界で起きていることとは? <前編>

2021年の秋からSNSを中心にWeb3・NFT関連の情報を発信し続ける、たぬきち氏。2022年には一般社団法人ブロックチェーン推進協会(BCCC)のエバンジェリストに就任するなど、その活動の場を広げています。そんなたぬきちさんが、今肌で感じているWeb3、NFTの世界はどのようなものか。国内外のNFTの最新情報について伺ってみました。


2021年の秋からSNSを中心にWeb3・NFT関連の情報を発信し続ける、たぬきち氏。
Twitterフォロワー数は1万8000人を超え(2023年1月現在)、2022年には一般社団法人ブロックチェーン推進協会(BCCC)のエバンジェリストに就任するなど、その活動の場を広げている。

さらに、国内外のさまざまなイベントに参加しながら、自らも数多くのイベントを主催。Web3業界で働きたい女性を支援するための「Web3Girls」を発足するなど活躍ぶりは留まるところを知らない。そんな彼女が、今肌で感じているWeb3、NFTの世界はどのようなものか。海外事情も含めてNFTの最新情報について伺ってみました。

HONEYCON創業者|たぬきち氏(@web3_honey)

2021年秋よりTwitterを中心にWeb3・NFT・ブロックチェーン関連の情報発信を開始。BlueChip NFTホルダー限定イベントや音楽NFTイベントの主催を始め、Web3業界で働きたい女性を支援するためのWeb3Girlsを発足し、Web3Girlsイベントの主催、登壇をしながら、コミュニティでも幅広く活動する。IVS Crypto公式アンバサダー。BlueChipParty共同創業者。2022年10月、一般社団法人ブロックチェーン推進協会(BCCC)エバンジェリスト就任。

<聞き手・アステリア株式会社 ブロックチェーンエバンジェリスト 奥達男>

NFT海外イベント事情にも精通するソーシャルメディアインフルエンサー

奥達男
さっそくですが、今日の服装は、ニューヨークの「NFT.NYC」のイベントTシャツですよね?
たぬきち
そうです、6月にニューヨークで開催された「NFT.NYC」のときに「Cool Cats」というNFTのホルダーが行けるイベントがあったんですけど、それに行ったときに購入しました。
奥達男
「Cool Cats」を持ってないと買えないっていうわけじゃなくて、誰でも買えるんですか?
たぬきち
「Cool Cats」のホルダーしか入れないイベントで、プラスひとりを連れて行けるので、ホルダーともうひとりプラスワンとして参加された方も購入できました。ホルダーしか買えないグッズもありますが、これはイベントに参加した方が購入できました。
奥達男
たぬきちさんは、海外のイベントにも積極的に参加されているそうですね。
たぬきち
そうですね。このイベントのためにニューヨークにも行きましたし、ついこの前も「NFT.NYC」のロンドン開催があって、ロンドンにも行ってきました。実は昨日も、その報告会みたいなイベントでお話をしていたんですけど、ロンドンめちゃくちゃ楽しかったですね。
奥達男
ロンドンもニューヨークも、すごい盛り上がりだったみたいですね。SNSやメディアでも記事をよく目にしました。
たぬきち
ロンドンでのイベント自体は2日間だったんですが、サイドイベントがたくさんあるので、結局5日間ぐらいはロンドンにいました。ニューヨークのときは、イベントが3日間で1週間以上サイドイベントがあるような感じ。公式が発表しているだけでも450個ぐらいサイドイベントがあったのですが、実際にはもっとありましたね。タイムズスクエア全体がNFTに染まっていて、すごい勢いでした。

日本でももちろんNFTの熱量は感じますが、ニューヨークはレベルが違ったので、本当に自分が実際に現地で体験できてよかったなと思っています。
奥達男
NFTに関しては、やはり今ニューヨークが一番盛り上がっているんでしょうか。
たぬきち
そうですね、ニューヨークに比べるとロンドンは、正直NFTがまだまだだなという感じはしていました。世界で一番大きいNFTカンファレンスとして知られている「NFT.NYC」が、ニューヨーク以外の場所で初めて開催したのがロンドンだったんですね。

現地の雰囲気はどうだったかというと、規模で言うとニューヨークの10分の1ぐらい。「NFT.NYC」の来場者数は1万5000人以上でしたが、ロンドンは2000人ぐらい。スポンサーもニューヨークだと数百社ありましたが、ロンドンは30社ぐらいでしょうか。やっぱりロンドンはまだまだクリプト寄りで、NFTはそこまで浸透していないという印象でした。
奥達男
ロンドンでは知名度がないのが理由なんですかね。それとももっと文化的な差があったり…。

たぬきち
そうですね。ヨーロッパではまだ知名度がないというのもありますが、例えばブロックチェーンゲームプロジェクトや、有名IPがNFTを発表したときに、意外にもアンチコメントがたくさんついている印象があります。

すでにあるゲームがNFTを絡ませてブロックチェーンゲームになるというときに、「なんでわざわざNFTにするんだ」という声はどうしても出てくるんですけど、そういった批判の声はヨーロッパの方が多いというのは、もともと言われていました。

ブロックチェーンゲーム関係の企業さんは、まだあまりヨーロッパを市場にしていないというのは関係者からも聞いていましたが、実際にロンドンのイベントへ足を運んでみて、まだまだ市場規模的にはそこまで大きくなっていない、アジア圏やアメリカに比べるとだいぶ小さいなという感想でしたね。
奥達男
ちなみに、現在ご自身でもNFTやクリプト関係のイベントを運営されているたぬきちさんですが、具体的にどういった内容の活動が多いんでしょうか?
たぬきち
最近は「Web3Girls」という女性たちの団体を立ち上げまして、団体のイベントは月に1回は必ずやるようにしています。内容は時期によってそれぞれですが、誰でも参加できるオープンなものから、NFTのホルダーさんだけが入れるようなクローズドなイベントも行っています。
奥達男
コロナ禍ということもあってオンラインのイベントが多い印象でしたが、たぬきちさんが開催されているイベントはリアルなものが多いですよね。
たぬきち
そうですね、私がやっているものは都内の会場で行うオフラインイベントがほとんどです。もちろんオンラインでイベントをやることもあります。

毎回、一から自分たちで企画していて、2022年10月末に行った「HONEYCON 2022」というカンファレンスは、私ともうひとり一緒にやっているメンバーとで、クリプトとNFT系のカンファレンスという形でビル1棟を渋谷で借りて、1階から5階まで使って開催しました。

2022年10月に東京で行われた「HONEYCON 2022」の様子

2022年10月に東京で行われた「HONEYCON 2022」の様子

奥達男
ビルの1階から5階までを使ったクリプトとNFT系のカンファレンス! たった二人で進められたとは驚きです。NFTの発行者の方や企業の出展者も集めてこられたんですよね。
たぬきち
そうですね。日本の企業さんから海外の企業さんまで、スポンサーとして40社ぐらい入っていただきました。日本であまり見かけないところではLEDGER(注釈1)さんとか、PancakeSwap(注釈2)さんとか、そういったところも入ってくださいました。珍しいですよね。 “シェフ” と呼ばれているPancakeSwapの中の方が登壇してくださったり、トークセッションをやってくださったりして、楽しかったです。

(注釈1)LEDGER(レジャー):​​ フランスに本社がある暗号資産関連サービス提供企業。Ledger Nano Xなどのハードウェアウォレットを提供している。
(注釈2)PancakeSwap(パンケーキスワップ): 暗号資産と暗号資産を交換できる分散型暗号資産取引所。

女性が気軽に参加できて、Web3業界の情報交換ができる場がほしかった。「Web3Girls」発足のきっかけと活動について

奥達男
先ほどお話しにあった「Web3Girls」という団体、こちらはどのような活動をされているんでしょうか。
たぬきち
「Web3Girls」は、Web3業界で働く女性や、これから働いてみたい女性、興味がある人たちを応援できるような団体を作りたいと思いたって立ち上げました。

私がもともと一人でこの業界で活動していく中で難しかったことだったり、相談したいと思うこと、いろいろつまずくところがあって…。業界の中でも、女性同士で助け合えるようなグループや場所をいつか作りたいなという気持ちがすごく大きかったんです。

日本はまだまだWeb3業界では女性が少ないので、男性ばかりのイベントには行きづらいという方も結構いました。参加することにも勇気がいるのに、そこで意見を言ったり、聞いたりするのはもっと難しい。女性たちだけで集まれる場所にしてあげれば、みんなもっと話しやすいし、その中で交流したり、お仕事の話をしたりもできるだろうなあと。

最初はいわゆる女子会みたいな形で立ち上げて、来てみませんかと誘ったら、初回で70人ぐらいの応募がありました。そこから、今のイベントや勉強会に発展しています。

「クリプトやNFTが大好き!」という方もいますが、勤めている会社で新しく立ち上がった “Web3事業部” みたいなところに入ることになって、情報収集をされているという方も何人もいます。そうした中で「NFTだったら私得意だよ」とか、「ブロックチェーンゲームを私やっているよ」とか、そうやってみんなで協力し合いながら、お話をしているところも見かけたりして。それがすごく嬉しくて、この活動を続けています。

奥達男
「Web3Girls」ではSHIBUYA109さんと一緒にイベントも開催していましたよね。
たぬきち
はい。10月11日が国際ガールズ・デーという記念日だったので、そこに合わせてその直前の10月8日から10日までの3連休にSHIBUYA109と「Web3Girls」と合同でWeb3をテーマにしたコラボイベント「WEB3 GIRLS COLLECTION 2022」を行いました。

イベントには、109の代表の方にいらしていただいてトークセッションを行ったり、NFTの展示だったりを行い、Web3の分野には女性がこんなにいっぱいいて、こうやって活動しているんだよというのをみなさんにお伝えするイベントになったかと思います。
奥達男
現在「Web3Girls」には何人ぐらい所属していらっしゃるんですか。
たぬきち
今、Discordでは400人ぐらい入っているんですけど、イベント等にいらしていただいた女性は100〜200人ぐらいじゃないかなと思います。

今は日本の方が多いですが、海外でも業界の女性を支援してる団体や、NFTグループがあるので、今後はそういったところとの提携を含めて、世界的に協力していけたらいいなと思っています。
奥達男
イベントの告知は主にSNSでしょうか?
たぬきち
はい。 私のTwitterアカウント(https://twitter.com/web3_honey)だったり、「Web3Girls」(https://twitter.com/Web3Girls_)のTwitterアカウントがあるので、そこで告知をしていますので、そこに登録してイベントに来ていただくというのが、一番いいかなと思います。

女性は誰でも「Web3Girls」なので(笑)
入会手続きが必要なものではないですし、これを必ずやらなきゃいけないというものはありません。一応、今現在は「Web3Girls」の月1のイベントにいらしていただくと、Discordのロール(役職のようなもの)をあげているんですよ。そのロールがついている人が見られるチャンネルみたいなものがDiscordにあるので、そこで交流もできるようになっています。まずは、気軽にイベントなどに遊びに来ていただけたらと思っています。おひとりで来てくださる方が圧倒的に多いので、安心して来てもらえたらと。
奥達男
女性の団体だからこそ、という特徴はあるのでしょうか。
たぬきち
これは私のイメージですが、これまで主流だった男性中心の勉強会は、なんとなく「そんなの自分で調べなよ」というような空気というか、印象があったんですね。ただ自分で調べてもわからないことだったり、人に聞きたいなと思うことってやっぱりあって。

それが女性同士だとなおさら、すごく簡単なことでも聞きやすいし、みんなが手を挙げて聞きやすい雰囲気をすごく大事にしています。誰かが発表したり、教えたりしている最中にも「それって何ですか?」とパッと手を挙げて聞けるような雰囲気。これは私がすごく意識していることですね。

DeFiというワードをきっかけに、PancakeSwapから魔界入り

奥達男
そもそもたぬきちさんが、We3業界に関わるようになったきっかけはなんだったのでしょうか?
たぬきち
私はFXのような普通の投資をしている中で、「DeFi(注釈3)」という言葉をふとインターネットで見かけて。「DeFiって何だろう?」というところから、はじめにPancakeSwapに出会いました。PancakeSwapのあのかわいいキャラクターとDeFiっていう言葉のミスマッチさと、DeFiの仕組みを知ったときに、これは革命的だと思って興味を持ち、この業界に入ってきました。

当時はずっとユーザーとしてちょっと暗号資産(仮想通貨)を持っていたりするぐらいで、クリプトの仕組みもそれほど知らなかったんですけど、DeFiから入ってきて、魔界(注釈4)って呼ばれるようなところ遊びに行ったり、ブロックチェーンゲームやNFTといったところに触れるように徐々になっていきました。

(注釈3)DeFi(ディーファイ):​​Decentralized Financeの略で、ブロックチェーン上で稼働する金融サービスの総称を指す。提供されている金融サービスは様々で、暗号資産の貸し借り、運用ができる。DeFiに預けられている暗号資産の合計は増え続けており、世界各国の金融機関などからも注目を集めている。

(注釈4)魔界:DeFiに存在する高利回りの銘柄のことをよく魔界DeFiと言います(年間利回り1,000%以上)
正直なところ、始めはこの業界で働いている方や、この業界にすべてをかけている方たちに興味を持ったんです。この業界って、まだすごく新しいものだと思うんですよ。
もちろん私もこれからの未来を確信しているのでこの場にいますけれど、すごく早い段階からこの業界に身をおいて、それを仕事としてやっている方たちがたくさんいて。そういう方たちは、どんなことを考えているんだろう? お話してみたいな、と。

ブロックチェーンという技術自体にも惹かれていたんですけど、この日本で最前線にいる人たちと一緒に何かをしたいと徐々に思うようになって、今この場にいます。その方たちと一緒に何かをしたり、その方たちのプロジェクトを応援したりできるような立場になりたいというのが自分の中の大きな原動力ですね。
奥達男
この業界に入るというと、Web3のビジネスをやっている会社で働いてみるということがわかりやすい選択肢だと思うんですけど、そこを選ばずにこられたのは、業界を横断的に盛り上げたいという気持ちがあったからなんですね。

以上、インタビュー前編では、たぬきちさんがWeb3業界に関わるようになったきっかけや「Web3Girls」の活動について伺ってきました。

後編(2月上旬公開予定)では、たぬきちさんが見る現在のブロックチェーン業界の動向、また現在力を入れている「BlueChip NFT」の活動などについて迫ります。どうぞお楽しみに!

<聞き手・アステリア株式会社 ブロックチェーンエバンジェリスト 奥達男>

関連リンク

・たぬきちさんも出演!2022年の Web3|ブロックチェーン総まとめトーク! 今年話題になった業界ニュースを初心者向けに解説、2023年のトレンド予測は?


・NFTはなぜ売れる? 一歩踏み込んで知りたいNFTの最新トレンド

https://www.asteria.com/jp/inlive/social/5002/
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この記事を書いた人
高橋ピョン太 ゲーム開発者から、アスキー(現・アスキードワンゴ)のパソコンゲーム総合雑誌『LOGiN(ログイン)』編集者・ライターに転向。『ログイン』6代目編集長を経て、ネットワークコンテンツ事業を立ち上げ、以来、PC、コンシューマ向けのネットワークコンテンツ開発、運営に携わる。ドワンゴに転職後、モバイル中心のコミュニケーションサービス、Webメデイア事業に従事。現在は、フリーライターとして、ゲーム、VR、IT系分野、近年は暗号資産メディアを中心にブロックチェーン・仮想通貨関連のライターとして執筆活動中。