2019年12月25日

世界最大級のスタートアップコンテスト「STARTUP WORLD CUP2020」東京予選イベントレポート

ペガサス・テック・ベンチャーズ主催の世界最大級のスタートアップコンテスト「STARTUP WORLD CUP」。2020年5月にシリコンバレーで開催される決勝大会に向けて、11月28日に東京予選が行われました。熱気に溢れたコンテストの様子をレポートします!


アステリア株式会社の社外取締役でもあるアニス・ウッザマン氏がCEOを務めるベンチャーキャピタル「ペガサス・テック・ベンチャーズ」主催となる『STARTUP WORLD CUP』。

2016年からはじまった本大会は全世界60カ国で予選が行われており、各地域ごとに選出された優勝1組だけが、2020年5月22日にシリコンバレーで開催される決勝大会に進むことができる世界最大級のスタートアップのプレゼンコンテストです。決勝大会では、各地域の代表チームが約1億円の投資賞金を争います

この大会では、世界トップクラスのスタートアップ、VC、業界著名人、大手企業、大手メディアを含む2500名以上の関係者と交流することができるため、アメリカをはじめとする海外市場へ事業を拡大する大きなチャンスにも繋がります。

決勝大会で注目すべきはスペシャルスピーカーとして参加する有名な起業家たち。2020年大会では、テスラ共同創業者、元CTOであるJ・B・ストローベル氏や、 ファイル共有サービス「box」を運営するボックスCPOのジートゥ・パテル氏、さらにはDropboxのCCOであるヤミニ・ランゲン氏などが、スペシャルスピーカーとしての登壇を予定しています。

栄えある第一回目の世界大会の優勝企業が日本代表として勝ち進んだユニファだったこともあり、その後も日本企業の活躍が期待されている大会でもあります。

<対談>世界のワールドカップ主催者に聞く、日本のスタートアップが世界で活躍するには?
・初代優勝を勝ち取ったのは、日本代表のユニファ株式会社!スタートアップワールドカップ優勝記者会見をレポート

今年は世界60カ国から約5万社のスタートアップ企業が応募しました。日本エリアでの応募数も105社にのぼり、東京予選では、厳しい予選を勝ち抜いた10組のファイナリストたちが英語でプレゼンテーションを行いました。

本大会では、アステリア代表の平野が審査員長を務めていることもあり、私たち編集部も実際に東京予選会場へ応援に駆けつけてきました。今回の記事では、当日のピッチ大会の様子や同会場にて開催された特別対談などのコンテンツをイベントレポート形式でお届けします。

特別対談「大企業のイノベーション、スタートアップとの協業の必要性」

スタートアップワールドカップ東京予選2020

予選出場スタートアップ企業によるプレゼンテーションの前には、日本を代表する経営者と「大企業のイノベーション、スタートアップとの協業の必要性」についてパネルディスカッションが行われました。

株式会社クレディセゾンの代表取締役会長CEO林野宏氏はベンチャー投資していることに対して「私たちの良さは3700万人の顧客がいること。ベンチャーにはないものを持っていると思うので、それを必要としているベンチャーと組んでシナジーが起こり、いろんなことが実現できている」と話しました。

スタートアップとはどんな協業が可能なのかについて、株式会社資生堂の代表取締役副社長チーフイノベーションオフィサー島谷庸一氏は「デジタル系のスタートアップと組み、アメリカに開発拠点をおいた。とにかく一番進んでいるところと組む、というのを積極的に行っている。いち早く実現できるのはスタートアップのジョイントによって実現でき、成果として出てきている。」と主張。

さらにトークの最後には、世界で勝負しようとするスタートアップ企業へメッセージとして、アリババ代表取締役社長CEO兼アリペイジャパン株式会社代表執行役員CEO香山氏から「諦めずに最後までやる。キャッシュフローが厳しくなってきてからがアイディアが出てくる。最初のアイディアが金鉱脈になることはない。死ぬ思いでやってチャンスを掴めば、それが金鉱脈になることがある。諦めずに面白いビジネスをやってほしい。」という言葉が贈られました。

スタートアップ企業によるピッチ大会! 世界大会へのチケットを手にしたのは?

アステリア株式会社平野が壇上で説明

審査員を務めるアステリア代表平野が審査の説明をしているところ

本大会の優勝企業は、スタートアップのプロ8名とオーディエンス審査によって決められます。

予選に出場した10社は以下のとおりです。
株式会社サウンドファン
難聴であっても言葉が明瞭に聴こえる「ミライスピーカー」
株式会社シナモン
企業向けに独自開発の人工知能エンジンを提供。
株式会社ムスカ
イエバエを活用した、畜産糞尿を有機肥料や飼料に100%リサイクルする循環システム
株式会社ハチたま
AIを活用しカメラで猫の顔や状態判定、自動餌やりも可能なスマート猫用トイレ「toletta」
株式会社ノルミー
非接触型の静脈・掌紋認証システムを使った個人認証プラットフォーム
トイメディカル株式会社
食前に服用するだけで食品塩分の吸収を抑制できるサプリメント
アップセルテクノロジーズ株式会社
AIを用いた顧客データの自動解析とトークスクリプトの自動生成サービス
株式会社Lily MedTech
超音波を使用した乳房用画像診断装置
株式会社フローディア
電源を切ってもデータが消えない不揮発性メモリのIPライセンス
株式会社Looop
ソーラー発電所の設置と太陽光発電システム機器

プレゼンスピーチは、英語で3分間。会場となった東京国際フォーラムには1200人もの観客が集まり、会場も固唾をのんで見守ります。
スタートアップ10社とも今後伸びていきそうなサービスやソーシャルグッドな事業も多く、聞いていてワクワク!さすが厳しい予選を勝ち抜いたファイナリストたち。全編英語のプレゼンテーションでしたが、どの企業が優勝しても納得の内容だと感じました。

しかしながら、限られた時間でなんとかプレゼンを終えなければと焦って、英語のスピーチでつまずいたスピーカーが何名かいたこともあり、各企業の代表の緊張感が会場中に伝わってきました。

優勝者が決まるまで例年に比べ混戦を極め、発表されるまでも時間がかかりました。


そして発表された、栄えある東京予選優勝者は…

Looopが東京予選優勝

「株式会社Looop」です!

3.11東北大震災後のボランティア活動が創業のきっかけになった株式会社Looopは、太陽光発電など再生可能エネルギー供給事業を手がけています。再生可能エネルギーをクラウド上に保有することで電気代を安くするビジネスモデルを説明。売上げは540億円で、営業利益は8億円とのことでした。

英語のスピーチのなかでは「何が最も大事か。事業成長なのか、それとも上場することか。そのどちらでもなく、世界中の全ての人たちが再生エネルギーを使えるようになることだ。」と熱のこもったスピーチをされていたのが印象的でした。

海外展開についてはどう考えているのかという厳しい質問も審査員から寄せられましたが、「as soon as possibleで」と笑いを誘い、具体的にはいろんな国に現地法人を置き情報収集している段階と答えました。

スタートアップワールドカップでは、世界大会に勝ち進む優勝のほか、スポンサー特別賞として、セガサミーホールディングス株式会社より5000万円の投資賞金を得られる「セガサミーグループ賞」、Microsoft Azure無償利用枠、Technical Mentoringとともに、日本マイクロソフト社との事業提携相談の機会を得られる「日本マイクロソフト賞」、サントリー社との事業提携に関する面談・交渉の機会を得られる「サントリー賞」があります。

「セガサミーグループ賞」は株式会社シナモン。「日本マイクロソフト賞」は株式会社ノルミー、「サントリー賞」は株式会社ムスカが受賞しました。

記者の質問に答えるアニス・ウッザマン

すべての企業のプレゼンテーションが終了したあと、ペガサス・テック・ベンチャーズのCEOアニス・ウッザマンは記者からの質問に対して、
「第4回目となる本年度はこれまで以上にスタートアップのエントリー数も多く、内容もレベルアップしています。応援してくださる大企業の方々も大変増えました。グローバル・エコシステムの活性化に寄与する本大会が、日本で盛大に開催されたことを大変嬉しく思います。来年5月に開催される決勝大会では、多くの投資家が集まります。100万ドルの投資を獲得できるよう日本を代表するLooopにも頑張ってほしいです。」とコメントを残しました。

緊張感溢れるスタートアップワールドカップ、東京予選大会!
今年のスタートアップワールドカップ日本予選では、東京予選で優勝した株式会社Looopと、今回初開催となる大阪予選で優勝する1社の合計2社が日本代表として選出されます。
2020年5月にシリコンバレーで開催予定の決勝大会にもぜひご注目ください。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

関連リンク

・スタートアップワールドカップ 2020
・ペガサス・テック・ベンチャーズ

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この記事を書いた人
in.LIVE 編集部 アステリア株式会社が運営するオウンドメディア「in.LIVE(インライブ)」の編集部です。”人を感じるテクノロジー”をテーマに、最新の技術の裏側を様々な切り口でご紹介します。