[ ブロックチェーン特集:インタビューVol.01 ]
ASTERIA Warpが連携する「ブロックチェーン」技術
その概要と可能性とは!?~インフォテリア代表平野に聞く~

01インフォテリア代表平野へのインタビュー

インフォテリアは2015年12月4日、国内唯一のプライベート・ブロックチェーンを実装した製品を有するフィンテック企業テックビューロと事業提携し、両社のソフトウェアを組み合わせるための専用接続アダプターを共同開発、実証実験を開始することを発表しました。

このブロックチェーン技術は、大きな可能性を秘めた技術でありながらも、どういった技術なのか、どのように応用できるのか、まだまだIT業界での認知度は高くありません。そこでインフォテリアではブロックチェーン技術について、その概要とメリット、可能性などについて4回に渡り特集をおこないます。

今回は、インフォテリアのデータ連携製品(EAI/ESB製品)であるASTERIA Warpとプライベート・ブロックチェーンプラットフォームの「mijin」を組み合わせることで実現できることについてインフォテリア代表取締役社長の平野にインタビューをおこないました 。

そもそもブロックチェーン技術を使うと何ができるのでしょうか?

現実の世界においては、重要な帳簿や証書を盗んだり書き換えたりされないようにするためには銀行の金庫のような「外部から開けることが困難な箱」に入れておくことが通常です。そして、「外部から開けることが困難」という状態を作り出す、つまり強固にすればするほどコストは上がります。このコスト構造はITにおいても同じで、銀行の預金残高といった重要な情報を外部から盗んだり改ざんされないようにするためには、高価なハードウェアやソフトウェア導入が必要となり、突き詰めるほどコストが膨らみます。

一方でブロックチェーン技術は、データを隔離せずに誰もが見て触れる場に置いていてもデータを改ざんできない仕組みです。具体的には、取引データを署名付きのブロックで管理し、そのブロックがチェーン(鎖)となってデータの履歴を管理するため、どこかで不正な変更があれば、その変更を容易に把握することができます。

取引情報がブロックに格納され、そのブロックがチェーンのように連なっていく

そしてブロックチェーン技術のもう一つのメリットは、ピアツーピア(PtoP)の技術で分散して各ノード(端末)で管理しているため 、ブロックチェーン上に記録されたデータは、すべての端末がダウンしないかぎり、消えることがないことです。また、各端末で管理していることにより、仮にひとつのノードがダウンしていても他のノードが補完する、という関係性になっているため、ダウンタイムが発生しません。

ピアツーピアで分析してブロック(取引台帳)を管理する

まとめると、「安価で改ざんを防止する」ことに加え、「ダウンタイムをゼロ」にし、「データが消失しない」という特徴があります。もともとブロックチェーンは仮想通貨であるビットコイン上のインフラとして登場し、利用されてきた技術ではありますが、それを企業などが管理するネットワーク上で許可されたメンバーだけが参加できるように応用したのが「プライベート・ブロックチェーン」であり、近年注目を浴びてきています。
今回の弊社とテックビューロ社との連携もこの「プライベート・ブロックチェーン」技術に関するものです。

プライベート・ブロックチェーン技術の導入のメリットは?

プライベート・ブロックチェーン技術の導入メリットで大きいのはコスト削減です。これまでのシステム開発のやり方だと「データの改ざんを防ぐ」、「ダウンタイムをゼロにする」、「データ消失を防ぐ」ためには多額の投資が必要でした。しかも専用のハードウェアやソフトウェアなどになるため、メンテナンスコストも大きなものとなります。 一方、プライベート・ブロックチェーン技術の場合は要件にはよるものの、導入コストでも運用コストでも従来システムに比べて大きなメリットを享受することができます。

プライベート・ブロックチェーン技術の利用用途について教えてください

プライベート・ブロックチェーン技術の具体的な用途として考えられる筆頭に上がるのは金融機関です。金融機関が扱っている情報は金融機関により異なりますが、銀行でのケースだと預金残高や取引履歴から顧客情報などさまざまな情報をやり取りしています。これらの情報は大変重要なものであり、第三者によって勝手に改ざんされてはならないものです。一方で金融機関では、パブリック・ブロックチェーンのような管理統制者がいないシステムでは運用できないため、管理統制を行いながらもブロックチェーンのメリットを活かしたプライベート・ブロックチェーンに注目が集まるのです。

海外でも実証実験が進んでおり、2015年には米国のナスダック証券取引所が「NASDAQ Linq」という未公開株式市場での導入を発表するなど世界中の金融機関での投資もしくは導入の検討をしています。
国内ではブロックチェーンをはじめとするフィンテックへの投資は遅れていますが、大手金融機関がR3コンソーシアムに参加するなど、動きが活発化してきています。

プライベート・ブロックチェーンとASTERIA Warpをどのように連携するのでしょうか?

ASTERIA Warpを使ったmijinブロックチェーン活用のイメージ

今回提携したテックビューロ社が提供する、ブロックチェーン技術を実現するプラットフォームmijinには、mijin APIとしてブロックチェーン技術を利用する機能が提供されています。もちろん、こうしたAPIを利用することでブロックチェーンを利用することができますが、実用的な利用のためにはプログラミングが必要となります。ASTERIA Warpの場合はプログラミングが不要かつ操作も直感的におこなえるため、プログラミング部分の工数を劇的に削減し、メンテナンス効率を格段に上げることができます。

ASTERIA Warpは13年以上にわたり、データ連携におけるパイオニアとして数多くの実績があります。今回は、こうした実績をもとにテックビューロ社が提供するmijinとの接続アダプターを共同開発し提供することで既存のシステムとプライベート・ブロックチェーンでのシステムとを接続する、いわば、ゲートウェイの役割を果たします。

このように接続部分でも大きなコスト削減が見込めることで、ブロックチェーン技術を導入した場合、従来のコストの10分の1以上のコスト削減が期待できます。

今後のプライベート・ブロックチェーンとASTERIA Warpとの展開について教えてください

平野写真

プライベート・ブロックチェーンという技術は金融の世界だけでなく、ポイント情報のやり取りや契約システム、公的な手続き情報などにも応用可能性があるなど、さまざまな分野で今後の世界を大きく変える可能性のある革新的なテクノロジーです。だからこそ、フィンテックの中心技術とし注目を浴び、海外では多くの投資が始まっているわけです。新しいテクノロジーは普及までに多くの時間を必要とします。今や生活の一部となった「インターネット」の黎明期である90年代初頭に今の状況を予測できた人は多くないはずです。

インフォテリアの主力製品であるASTERIA Warpの基礎となるXML技術も生まれた当初は、今のブロックチェーン技術と同様に世間ではほとんど知られておらず、将来性について懐疑的な風潮であったのは否めません。しかし、今や9年連続市場シェアNo.1のデータ連携ツールの基幹技術として5000社超の導入実績を誇るなど、市場では高い評価を受けています。

日本国内におけるブロックチェーン技術についてはようやく日が当たり始めたタイミングであり、インフォテリアとしてもブロックチェーン技術の普及に貢献できるよう、2016年2月からセミナー等の実施をはじめ、積極的な取り組みを予定しています。これからのASTERIA Warpとプライベート・ブロックチェーン「mijin」が開く世界にご期待ください。

関連リンク
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