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EAIはこれまでにどんな役割を果たし、これからどこに向かうのか?

 運用中の業務システムやアプリケーションを統合してデータやプロセスを柔軟に連携できるようにすることで、情報資産の有効活用やシステムの即応性向上などを実現する――このような説明とともにEAI(Enterprise Application Integration)のアプローチが登場し注目を集めたのは1990年代後半のことだ。

 当時は、メインフレーム時代から続いた中央集中型アーキテクチャから、1990年代以降本格化したUNIX/Windowsのオープンシステムによる分散型アーキテクチャへの急速なシフトという流れの中で、社内には各種の業務システムやファイルサーバが事業部や部門ごとに次々と構築されていった。その際、OSプラットフォームもデータのフォーマットもシステムごとに個別バラバラの状態だった。

 この頃は標準化という意識も薄かった。OSやデータが個別バラバラでは当然、部門間のシステムは互いにつながらない。例えば「CRM(顧客関係管理)システムとSFA(営業支援)システムを連携させて、効果的な販売促進を図る」といった施策をとろうにも、手作業で一からデータを突き合わせるはめになる。そうした状況に即効性のある解決策をもたらしたのがEAIだ。非同期型のメッセージキューイングに代表されるシンプルなメッセージ連携の仕組みを備えた初期のEAIツールは、システムとシステムをつなぐ糊のような役割を果たすことで、企業のIT活用を次のステップへと導いた。

■“部門間の壁”を切り崩せなかった旧来のEAI

 1990年代後半から2000年代前半にかけて、EAIツールはソフトウェアベンダー各社の努力で機能強化が重ねられ、テクノロジーとしての発展期にさしかかる。どの企業にも導入されるタイプの製品ではないが、システムやアプリケーションの連携・統合を必要とする企業のニーズの“大部分”を満たすこととなる。  “大部分”と書いたのは、発展期のEAIツールが満たせなかったニーズが存在するからだ。それはズバリ「部門間の壁」だ。2000年代に入って、業務のIT化はさらに進み、数年前まで「業務では使えない」と評されたインターネットのビジネス活用も多くの企業で試みられるようになった。しかしここで情報システム部門の前には、数年来、部分最適型で業務システムを構築してきた結果築かれた部門間の壁が、文字どおり立ちはだかっていたのだ。  部門間の壁とはどのようなものか。経済産業省の公表資料「IT経営ロードマップ 改訂版」(2010年3月発行)には、ITを活用した経営の達成度合いを示す4段階のステージが説明されており、そのステージ2とステージ3にある壁がまさにそれだ。

図:IT経営力指標における各ステージの定義 EAIはこれまでにどんな役割を果たし、これからどこに向かうのか?

出典:経済産業省の公表資料「IT経営ロードマップ 改訂版」(2010年3月発行)  

各ステージを簡単に説明すると、第1ステージ1の「IT導入段階企業群」は、ITを導入したばかり、もしくはITを導入したものの十分に活用ができていない状態を示す。ステージ2の「部門内最適化企業群」は、業務におけるITの活用は進んだが、ITの活用が部門ごとに完結されている部分最適の状態を示す。そしてステージ3の「組織全体最適化企業群」になると、部門間の壁を越えて、ITが組織全体で最適に活用されている状態となる。最終のステージ4「企業・産業横断的最適化企業群」は、自社の組織全体における最適な活用だけにとどまらず、取引先や顧客などを含めた企業間・産業横断的にITの活用が進んでいる状態に達した段階ということになる。

■進化を続けるEAIに今後も注目

 初期~発展期のEAIツールが部門間の壁を越えるためのツールになりえなかった答えは単純で、当時のEAIツールの力不足によるものだ。部門間の壁を越える、すなわち部門内最適化から組織全体最適化にステージを上げるということは、単なるアプリケーションやシステムの連携・統合を行えばよいといった簡単な話ではない。そこでは、アプリケーション/システム・レイヤからサービス・レイヤ、ビジネス・プロセス・レイヤに至るマルチレイヤでの連携・統合が求められることになる。したがって、解決策としてEAIを用いようとしても、当時の製品の大半は基本的に1対1のアプリケーション/システム連携を提供するのにとどまり、組織全体最適化を果たすことができなかったわけだ。

 こうしてEAIの限界が露呈した頃、EAIに代わるアプローチがいくつか台頭する。新しいアプローチとは、SOA(Service Oriented Architecture)と、SOAの概念に基づいたESB(enterprise Service Bus)のことであり、加えてBPM(Business Process Management)もここに含まれるだろう。

 SOAやESB、BPMの技術的な説明は省くが、国内外の多くの企業が、上述した部門内最適化から組織全体最適化へとステージを上げるために、これらのアプローチを採用し成果を上げている。ここで重要なのは、SOAやESB、BPMは、EAIツールのような短期間で局所的な問題解決を図るITソリューションではなく、中長期的な計画に沿って3年から5年、場合によっては10年の歳月をかけて地道に取り組んでいくIT戦略であるということだ。

 ITソリューションとしてのEAIと、IT戦略としてSOA、ESB、BPM――。この立ち位置の違いが意味するところはよく考える必要があるだろう。この分野に限ったことではないが、壮大なIT戦略だけでは、企業のビジネスの現場で実際に起こっている、アプリケーションやデータ、ビジネスプロセスなどにまつわる種々の問題解決を図ることは不可能だ。

 クラウドコンピューティングやビッグデータ、あるいはスマートデバイスなど、今日の企業IT環境インフラを見渡せば、5年前には考慮されなかったテクノロジーの利用が広がり、アプリケーションやシステムの連携・統合にあたって情報システム部門が解決すべき問題はより複雑化、高度化している。EAIツールの中にも、容易に問題解決を図れる局所的なソリューションとしての性格を踏襲しながらも、そうした新しい環境への対応に積極的なスタンスを取る製品が存在し市場で脚光を浴びている。

 今、そしてこれから問題を解決するために進化を続けるEAIツール――。ITマネジャーにおかれては、この動きには今後も注意を払っていく必要があるだろう。
【ASTERIA Warp 事例集】業務自動化/RPA、EAI、マスターデータ管理、クラウド連携・・・業務効率化・データ活用事例をまとめ読み

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