「磁気テープにデータ保存していた企業」はDXと業務効率化をどう実現したのか 従業員のITリテラシー向上も トヨタ北海道の改革に迫る

転載元:ITmedia NEWS
ITmedia NEWS 2024年3月29日掲載記事より転載
本記事はITmedia NEWSより許諾を得て掲載しています

 「データ管理をきちんとすれば、DXもBCP施策も電帳法対応も成功する」――こう聞いたらどう思うだろうか。「そんなうまい話はない」と考える人が多いだろう。しかし実際にデータ管理の改革によって、多くの企業が悩むこれらの課題を解決した事例がある。それがトヨタ自動車北海道だ。

 同社は数年前まで社内データをオンプレミスのファイルサーバや磁気テープに保存しているような“レガシーな会社”だった。それがDX先進企業に生まれ変わったのだ。今では従業員の誰もが使いやすいデータの管理を実現し、改正電子帳簿保存法(電帳法)対応やBCP施策、DR(災害復旧)などさまざまな業務の自動化を実現している。従業員のITリテラシーの向上にもつながった。

 一体何が起こったのか。改革をリードしたトヨタ自動車北海道の担当者に話を聞いた。

「100年に一度の大変革時代」 トヨタ自動車が取り組んだ改革は

 トヨタ自動車北海道は1991年に創業した、北海道で唯一のトヨタのものづくりの拠点だ。工業都市である苫小牧市に約103万平方メートルの広大な敷地を有し、オフィスと5つの工場を構える。トヨタ車に搭載するハイブリッドトランスアクスルやオートマチックトランスミッション(AT)といった駆動系部品を生産している。

トヨタ自動車北海道の外観トヨタ自動車北海道の外観

 同社は2023年の組織改編に伴って既存のDX部門を独立させ、新たに「DX企画推進室」を立ち上げた。情報システムやサイバーセキュリティの企画、運用管理、DX推進プロジェクトの企画や人材育成、生産現場におけるビッグデータの収集、解析などに取り組んでいる。

 「自動車業界が『100年に一度の大変革の時代』を迎える中で、トヨタグループではトヨタ生産方式のさらなるデジタル化や、サプライチェーンを含めたサイバーBCP対応の強化が求められています。

 当社もトヨタ自動車本社の大号令を受けてさまざまな業務改廃を行い、DXを積極的に推進しています。例えば近年ではペーパーレス化に取り組み、帳票の電子化を一気に進めました」とDX企画推進室 IS-G グループ長の阿部太氏は説明する。

磁気テープに保存、容量不足、数百人分の権限変更――オンプレファイルサーバの課題

 こうした取り組みの一環として情報基盤も刷新した。これまでExcelやWord、PowerPoint、PDF、写真、動画などの非構造化データの取り扱いにはオンプレミスのファイルサーバを利用していたが、運用管理の負担が課題だった。

 ファイルサーバは日頃のメンテナンスはもちろん、6~7年ごとの老朽化更新のたびに設備やデータ移行の費用が発生する上、移行方法の検討やスケジュール調整、予算の確保や稟議(りんぎ)書の作成などさまざまな手間が発生していた。

 「脆弱性対策のためにパッチを適用する作業も負担でした。また作業中はファイルサーバを停止するため、その間も作業ができるようにローカルにデータを保存する従業員もおり、セキュリティリスクも生じていたのです」と同グループ 主任の千葉俊則氏は振り返る。

 ファイルサーバの慢性的な容量不足にも悩まされていた。従業員が日々作成、更新するファイルに加えて、“カイゼン”を図るために工場内の作業監視動画も保存するようになったからだ。

 「高精細かつ長時間の映像なのでデータ量は膨大になります。容量不足になるたびにストレージを整理してからデータを保存していました。しかしどうしても空きができなくなり、最終的に別途用意したNASに保存しました。NASは約30TB用意しましたが、それも約3~4年で枯渇しそうなペースでデータが増えていました」(千葉氏)

 アクセス権の設定も課題だった。人事異動が毎月発生する上に、年度初めには何百人もの従業員が異動する。「設定漏れによってアクセスできない」「引き継ぎのために一時的に権限を付与してほしい」といった問い合わせが殺到するなど、大きな負担になっていた。

 バックアップにも懸念があった。

 「ファイルサーバのデータはLTOテープにバックアップしていました。LTOテープの定期的な交換はもちろん、オートローダー自体のリプレース、メンテナンスにも費用がかかります。またバックアップに失敗することもあります。LTOテープは毎日ローテーションするため耐火金庫に入れて会社の近くに保管していたのですが、それもDRやBCPの観点からは望ましくない状態でした」(千葉氏)

「Box」導入でトヨタ自動車北海道に起きた変化とは?

 トヨタ自動車北海道はデータにまつわるこうした課題を解決するため、クラウドストレージのBoxを導入した。Boxはファイルサーバのようなリプレースやアップデートが不要で、容量を無制限に追加できる。ストレージを圧迫していた作業監視動画は、アップロードでネットワークに負荷を与えないように直近で撮影したものはNAS、頻繁に閲覧しないものはBoxにアーカイブとして保存するようにした。

 Boxはクラウドでレプリケーションしてバージョン履歴も管理できるため、LTOテープを利用するバックアップも廃止した。

 アクセス権管理の負担も軽減した。

 「これまでは、メンテナンス漏れなどがあると本来許可されていない人にまで重要なフォルダへのアクセス権が付与されていることがありました。しかしBoxはブラウザでアクセス権を一目で確認でき、フォルダの共同所有者になっている従業員もアクセス権の管理が可能です。管理者だけでなく従業員でも適切に管理ができるようになりました」(阿部氏)

 「引き続きアクセス権の設定を依頼されることもありますが、その作業も楽になっています。ファイルサーバでは上位階層のフォルダに権限を付与するとその処理が下の階層まで走るため、時間がかかることがありました。Boxはフォルダ単位でアクセス権を設定できるため、短時間で作業が終わります」(千葉氏)

Box + ASTERIA Warp Coreで電帳法にも対応

 効果は非構造化データの管理にとどまらない。トヨタ自動車北海道はその後、Boxを軸にさまざまな範囲の業務効率化を実現している。そのうちの一つが22年1月に改正された電帳法への対応だ。

 改正電帳法では、電子データで受け取った国税に関わる帳簿や書類は、電子データのまま保存しなければならないという内容が盛り込まれた。この対応に当たりトヨタ自動車北海道は専用サービスの利用を検討していたが、システムの整備や運用にかかるコストや作業負担などが課題になった。そこですでに導入していたBoxを電子帳簿の保存先として利用することに決めた。

 一連の作業を効率化するため、併せてアステリアの「ASTERIA Warp Core」も導入した。ノーコードでデータ連携や業務自動化ができるツールだ。100種類以上のシステムと連携可能で、Boxとの連携を容易にするBoxアダプターを利用することで、ファイルの取得、移動、コピーをはじめ、Boxに格納しているファイルの検索やデータの追加・変更などの操作を自動化できる。

「ASTERIA Warp」の接続先「ASTERIA Warp」の接続先

 この2つを組み合わせることで、Boxに月単位でフォルダを作成し、ASTERIA Warp Coreを使って既存の会計システムから請求書ファイルとそれに付随する取引年月日や金額、取引先などの情報を抽出し、そのデータをメタ情報としてファイルに付与してBoxに格納するという一連のフローを自動化した。これにより短期間かつ低コストで電帳法対応を実現した。

自動化した業務のシステム概要図自動化した業務のシステム概要図

 同社はこうした単純なデータの入力、加工、変換作業などをRPAで行っていたが、UIの変更などによってソフトウェアロボットの停止や異常動作が頻発していた。ASTERIA Warp Coreで自動化したことによってUI変更への対応やRPAを手動で起動する手間が不要になり、障害も減り、安定して運用できている。今後もさまざまな業務にASTERIA Warp Coreを適用する考えだ。ノーコードで開発できるため、プログラミングの知識がない従業員も含めた開発体制を構築できると期待している。

従業員のリテラシーも向上 現場からもDXを推進

 ここまで見てきたように、トヨタ自動車北海道はBoxを情報基盤にしてさまざまな業務効率化やDXの取り組み、DRやBCP施策、セキュリティ対策を実現している。

 従業員が日常的にクラウドストレージに触れてアクセス権を管理するようになるなど、ITリテラシーの向上を果たしたことも大きなインパクトといえる。同社はトップダウンだけでなく現場からのDXも推進しており、その実現のために新たに導入するストレージやツールには「従業員の使いやすさ」も重視していた。

 「Boxは従業員がアクセス権をコントロールできます。逆に言えば各自でその責任を負わなければならないということです。DXを推進する上では従業員がデジタルに慣れて活用することが重要です。Boxの導入によってクラウドについての理解を深められたこと、コンテンツを一元化することで社内の情報共有がはかどると社内に浸透できたことは大きな効果でした」(阿部氏)

 今後はさらに、Boxの利用を全社的に広げながらBoxを「使い倒していきたい」と阿部氏は話す。

 「文書を検索、要約できる『Box AI』やセキュアなリアルタイムのドキュメント作成ツール『Box Notes』、仮想化ホワイトボード『Box Canvas』などさまざまな機能を利用し、現在併用している他のサービスからの移行も検討しつつ、管理面でもコスト面でも相乗効果を生み出すBoxへのさらなる統合を検討したいと考えています」(阿部氏)

 全ての従業員にとって使いやすく、管理負担が少ない情報基盤を整備した上でDX推進やBCP施策、業務効率化につなげたい企業は、BoxやASTERIA Warp Coreの導入を検討してみてはいかがだろうか。

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