2025年度末に迫る、ガバメントクラウド移行への努力義務。目前に迫る大きな変化に対し、「何から手をつければいいのか分からない」「本当にメリットがあるのか不安だ」といった悩みを抱える方は多いのではないでしょうか。
本記事では、ガバメントクラウドの基本的な仕組みから、コスト削減やセキュリティ強化といった具体的なメリット、そして見落としがちなデメリットまでを解説。さらに、失敗しないための移行ステップや、複雑なデータ連携を解決するツールもご紹介します。
目次
ここでは、ガバメントクラウドの定義や仕組みをご紹介します。
ガバメントクラウドとは、政府が整備したクラウド基盤で、自治体や中央省庁が共通仕様に基づいて行政システムを運用できるようにするクラウド環境です。
従来は、自治体ごとに異なるインフラやシステムを導入していましたが、今後は政府が選定したクラウド事業者の環境を活用し、全国で統一されたシステムを導入・運用する形に変わっていきます。
この統一により、自治体間の情報連携がしやすくなるだけでなく、システムの保守・管理も効率化される見込みです。
なお、2021年9月に施行された「地方公共団体情報システムの標準化に関する法律」により、すべての自治体は2025年度末までに20の基幹業務でガバメントクラウド利用を検討することが努力義務とされています。
自治体DXとは、行政サービスの利便性を高め、業務の効率化を図るためにデジタル技術を活用する取り組み全体を指します。具体例としては、オンラインでの申請手続き、AIチャットボットによる住民対応、RPA(作業自動化ツール)による自動処理が挙げられます。
ガバメントクラウドは、こうしたDX施策を支えるための共通インフラです。全国の自治体が同じ仕様のクラウド基盤上で業務システムを運用することで、技術導入のスピードが上がり、先進的なデジタルサービスを展開しやすくなります。
政府が選定した民間のクラウド事業者(AWS、Google Cloud、さくらのクラウドなど)とデジタル庁が契約を締結します。その後、各自治体や省庁は、デジタル庁から払い出されるクラウド環境を活用してシステムの構築や設定を行います。
2025年6月現在、ガバメントクラウドに採用されているクラウドサービスは以下の5社です。
これらのクラウド基盤上に、開発事業者が行政向けのアプリケーションを構築し、自治体は業務内容や必要な機能に応じてアプリケーションを選び導入します。
「地方公共団体情報システムの標準化に関する法律」では、以下の20業務について、2025年度末までにシステムを移行することが義務づけられています。
ガバメントクラウドの導入により、自治体の業務はより円滑に進み、住民にとっても各種手続きがスピーディに完了するといった効果が期待されます。
以下では、ガバメントクラウドの具体的なメリットを解説します。
ガバメントクラウドでは、全国の自治体が共通仕様に基づいたシステムを使うため、データのやり取りが格段にスムーズになります。例えば、住民の引っ越し情報が異なる自治体間で即時に共有され、転出・転入時の手続きにかかる手間や待ち時間を大幅に減らすことが可能です。
さらに、防災情報の広域連携や福祉サービスの一元管理といった、部門や地域をまたぐ業務でも無駄が削減されます。これまで時間や労力がかかっていた情報共有のプロセスが効率化され、よりスピーディかつ正確な行政対応が実現しやすくなります。
自治体がシステムを新たに開発・変更しようとする場合は、調達や構築に多くの時間と手間がかかり、着手から本番稼働までに数カ月〜年単位の期間を要することも珍しくありませんでした。
ガバメントクラウドを導入することで、自治体ごとに独自のシステムを構築する必要がなくなるため、クラウド環境への移行も比較的スムーズに行えます。さらに、クラウドの持つスケーラビリティや自動化機能を活用することでシステムの開発や変更にも柔軟に対応でき、スピード感のある運用が可能になります。
ガバメントクラウドに採用されているクラウド事業者は厳格なセキュリティ基準に準拠しており、常に高度な対策が講じられています。これにより、サイバー攻撃や情報漏えいといった最新の脅威にも強く、個人情報や行政データの安全性が確保される仕組みです。
さらに、災害やシステム障害が発生した際にも、業務を速やかに復旧できるようバックアップ体制が整えられています。事業継続計画(BCP)の観点でも、信頼性が高いといえるでしょう。
ガバメントクラウドには多くの利点がある一方で、導入にあたっては課題も見逃せません。ここでは、移行をスムーズに進めるために押さえておきたいデメリットについて解説します。
自治体の業務システムは、地域ごとの業務フローやニーズに合わせて、長年かけて独自に構築・カスタマイズされてきました。そのため、ガバメントクラウドへ移行するには、既存の設計や運用を大幅に見直す必要があります。
たとえば、各種システムとの連携方法の調整や、これまで使用していたツールの変更などのさまざまな作業が発生します。こうした対応には時間と労力がかかり、あわせてベンダーや自治体職員との綿密な調整も求められるため、慎重な準備が欠かせません。
ガバメントクラウドでは、利便性や安全性を高めることを目的に、仕様の見直しや機能の改善が定期的に実施されています。その分、仕様変更の頻度も高く、自治体側ではその都度、対応を求められる場面もあるでしょう。
例えば、設定変更や動作確認、マニュアルの更新、職員への再周知が必要になるため、人員やITリソースが限られる中小規模の自治体では大きな負担につながります。
こうした背景を踏まえると、変更に柔軟に対応できる体制をあらかじめ整えておくこと、そして最新情報を正確かつスピーディに把握できる仕組みを確立することが不可欠です。
ガバメントクラウドではインフラの調達や構築が不要になる一方で、運用負担が拡大するケースも少なくありません。
デジタル庁の資料によれば、費用が増大する要因として、「仕様書の度重なる改定に伴う開発対応」「接続回線費や運用管理補助委託経費の発生」「資格保有者の確保・育成負担」などが挙げられています。
また、移行しないシステムが一部残る場合は基盤やネットワークを二重で管理する必要が生じ、結果として余計な費用が発生してしまうことも移行後の運用経費が増加する要因として挙げられています。
導入にあたっては、初期費用だけに目を向けるのではなく、導入後の運用経費も踏まえた予算設計を行うことが重要です。
クラウド基盤やアプリケーションの選定を通じて、特定のベンダーに依存しやすい構造、いわゆるベンダーロックインに陥る可能性が見られます。ベンダーロックインに陥った場合のリスクとして、例えば、クラウド導入後に価格が引き上げられても、高額な費用を払い続けることになりかねません。
さらに、ベンダー独自の仕様で構築されたシステムは他サービスへの切り替えを難しくし、将来的な柔軟性を損なうリスクも生じます。
こうした課題を回避する手段として有効なのが、ノーコードツールの活用です。庁内の職員やパートナー企業がシステムの構築や調整に関われるため、移行後の運用や変更にも柔軟に対応しやすくなります。
ガバメントクラウドは、システム全体の移行を伴う大規模な取り組みです。準備が十分でないまま進めると、現場に混乱が生じたり、運用トラブルを招いたりする恐れがあります。
だからこそ、あらかじめ段階的な計画を立て、着実に進めていくことが非常に重要です。
以下に、総務省が示している移行ステップを簡単にまとめました。
ガバメントクラウドへ移行する際は、ベンダーロックインの回避、既存環境との整合性の確保といった作業が大きな課題になります。そこで注目されているのが、ノーコードでデータ連携を実現できるツール「ASTERIA Warp(アステリア ワープ)」です。
ASTERIA Warpは専門的なプログラミング知識がなくても、GUI操作で連携処理を簡単に構築できるのが特長です。接続先は100種以上にのぼり、AWSやさくらのクラウドなど、ガバメントクラウドで採用されているクラウドサービスにも対応しています。
例えば、住民情報や税務データなど異なるシステム間でやり取りされる情報を変換・統合しながら、正確かつ効率的に移行を進めることが可能です。これにより、自治体がこれまで蓄積してきた大切なデータ資産を無駄にせず、計画的かつ無理のない形で移行作業を進められます。
料金は月額3万円から、初期費用は0円と、導入のハードルが低いのも大きな魅力であり、迅速かつ低コストなガバメントクラウド移行を実現します。
ガバメントクラウドは、全国の自治体が共通仕様に基づいて業務システムを統一するための取り組みです。これにより、開発・運用コストの削減や、災害時も含めた安定的なシステム運用が期待されています。
一方で、既存システムとの整合性や頻繁に行われる仕様変更など、課題も少なくありません。準備が不十分なまま進めてしまうと、業務に支障をきたすリスクも考えられます。
そのため、複雑なデータ連携をいかにスムーズに行うかが、成功のカギを握ります。
ASTERIA Warpは、ノーコードでシステム連携を実現できるツールです。専門知識がなくても直感的に操作でき、現場の混乱を最小限に抑えながら、ガバメントクラウドへの移行を着実に進めることが可能です。
PM・SE・マーケティングなど多彩なバックグラウンドを持つ「データ連携」のプロフェッショナルが、専門領域を超えたチームワークで「データ活用」や「業務の自動化・効率化」をテーマにノウハウやWarp活用法などのお役立ち情報を発信していきます。
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