SAP 2027年問題とは?影響と3つの対策(移行/延命/刷新)を比較

SAP 2027年問題とは?影響と3つの対策(移行/延命/刷新)を比較

SAP 2027年問題とは、多くの企業が利用するSAP社の基幹システム「SAP ERP 6.0」の標準保守が2027年末に終了することに起因する問題です。

保守期限を過ぎるとシステムへのアップデートが提供されなくなるため、法改正が発生した際の対応が困難になります。また、延長サポートも終了するとセキュリティパッチも受けられなくなり、事業継続に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
対策には最新版への移行、現行システムの延命、他社製品への刷新という3つの選択肢があり、自社に合った方針をできるだけ早く決めることが重要です。

目次

SAP 2027年問題の概要をわかりやすく解説

SAP 2027年問題は、SAP ERP 6.0を利用している企業にとって、コンプライアンス・事業継続性、そして将来的なセキュリティにも直結する経営課題です。対応には大規模な投資と長期間のプロジェクトが伴うため、早めに動き出すことが重要です。

SAP ERP 6.0のメインストリームサポートが2027年末で終了する問題

SAP 2027年問題の核心は、SAP社の主力ERP製品である「SAP ERP 6.0」に対するメインストリームサポート(標準保守)が、2027年12月31日をもって終了することです。
メインストリームサポートは、システムを安定的かつ安全に運用するための根幹をなすサービスです。このサポートが終了すると、システム運用上のリスクが一気に高まります。

2025年から延長された経緯と現在の正確な保守期限

この問題は当初「2025年問題」として知られていましたが、多くのユーザー企業で移行準備が難航している状況などを踏まえ、2020年にSAP社が保守期限の延長を発表しました。
これにより、SAP ERP 6.0のメインストリームサポート期限は2027年末まで延長されました。
さらに、EhP(拡張パッケージ)6以上を適用しているユーザーは、2028年からは保守基準料金に2%を上乗せする延長保守サービス(2030年末まで)を選択できます。一方、EhP5以下のユーザーは延長対象外であり、2025年12月末にサポートはすでに終了しています。

保守サポートが切れると具体的に何が提供されなくなるのか

メインストリームサポートが終了すると、SAP社から提供されていた複数の重要なサービスが停止します。
具体的には、「法改正・税制変更への対応プログラムの提供」「新機能・仕様変更への対応」「技術的な問い合わせやトラブルシューティングへの公式サポート」が停止します。なお、セキュリティパッチは延長サポート終了(2030年末)まで提供が継続されます。
セキュリティリスクおよび法改正・公式サポートに関するリスクについては次のセクションで詳しく解説します。

SAP 2027年問題を放置することで発生する3つの経営リスク

SAP ERP 6.0の保守期限切れを「まだ先のこと」と捉えて対策を講じない場合、法改正への未対応によるコンプライアンス違反やサイバー攻撃による情報漏洩など、事業の根幹を揺るがす深刻な経営リスクに直面します。

保守終了が進むほどセキュリティリスクが高まる仕組み

メインストリームサポートが終了すると、新機能のリクエストや仕様変更への対応が受けられなくなります。さらに延長サポートも終了すると、セキュリティパッチの提供も止まります。
新たな脆弱性が発見されても対処されないため、システムは不正アクセスやマルウェア感染、機密情報の漏洩といった脅威に晒されるリスクが高まります。一度インシデントが発生すれば、事業停止だけでなく、企業の社会的信用にも深刻な影響を及ぼす可能性があります。

法改正や新制度への対応が困難になる

企業の経理・会計業務に深く関わるERPシステムは、消費税率の変更やインボイス制度、電子帳簿保存法といった法改正・新制度へ対応する必要があります。
保守期間中であれば、SAP社から対応プログラムが提供されますが、保守が終了すると自社で対応しなければなりません。
ただ、複雑なSAPシステムを自社だけで改修するのは極めて困難であり、法改正や新制度への対応が遅れたり不備が生じたりした場合、追徴課税などのペナルティを受けるコンプライアンス違反のリスクが生じます。

システム障害発生時に公式サポートを受けられない

保守期限切れのシステムで重大な障害が起きた場合、SAP社からの公式サポートはゼロです。
原因究明や復旧作業をすべて自社、あるいは保守を請け負うITベンダーの限られた知見の中で行わなければならず、問題解決が長期化する可能性が高まります。基幹システムであるERPの停止は、生産、販売、会計などすべての業務に影響を及ぼし、その期間が長引けば長引くほど、ビジネス機会の損失は甚大になります。

企業が取るべき3つの対策とそれぞれのメリット・デメリット

SAP 2027年問題に直面する企業には、大きく分けて3つの対策が考えられます。
SAP社が推奨する後継製品「SAP S/4HANA」へ移行する方法、現在のシステムの保守形態を変えて使い続ける延命策、そしてSAP ERP 6.0から他社システムへ乗り換える刷新です。
それぞれにメリット・デメリットがあるため、自社の経営戦略やIT予算、現場の実態を踏まえて選択することが重要です。

対策1:最新版のSAP S/4HANAへ移行する

SAP社が推奨する最も一般的な対策は、後継製品であるSAP S/4HANAへの移行です。
メリットは、超高速データベース「SAP HANA」によるリアルタイムなデータ処理や分析が可能になり、経営の意思決定を迅速化できる点です。
最新のUI/UXも提供され、業務効率の向上が期待できます。

一方、デメリットとして、移行には多額のコストと長い期間を要する点が挙げられます。
また、現行の業務プロセスを大幅に見直す必要が生じる場合も多く、社内の負担が大きいプロジェクトとなります。

対策2:現在のSAP ERP 6.0を延長保守・第三者保守で延命する

二つ目の選択肢は、現行のSAP ERP 6.0を継続利用する延命策です。
SAP社が提供する有償の延長保守(EhP6以上が対象・2030年まで)を利用するか、独立系のベンダーが提供する第三者保守に切り替える方法があります。
メリットは、システム移行に伴う大規模な投資や業務変更を先送りにし、短期的なコストを抑制できる点です。

デメリットは、あくまで一時的な措置であるため、システムの老朽化は解決されない点です。最新技術の恩恵を受けられないため、DX推進の足かせとなりかねません。

対策3:他社ERPシステムへ刷新する

三つ目の選択肢は、SAP ERP 6.0から離れ、Microsoft Dynamics 365や国産ERPなど、他社のERPシステムへ完全に刷新する方法です。
メリットは、自社の業態や規模、予算に最も適した製品を自由に選定できる点です。SAPに比べてライセンスや保守費用を抑えられる可能性もあります。

デメリットは、ゼロからシステムを再構築するため、場合によってはS/4HANAへの移行以上にコストや時間がかさむリスクがあることです。また、SAPで長年蓄積してきた業務ノウハウやデータ資産の移行が困難になる場合もあります。

SAP S/4HANAへの移行を進めるための3つの視点

SAP S/4HANAへの移行は、単なるバージョンアップではなく企業のDX推進に向けた一大プロジェクトです。移行方式の選定、既存資産の整理、体制構築、この3点を意識しておくと、プロジェクトが格段に進めやすくなります。

移行方式(グリーンフィールド/ブラウンフィールド)の選定方法

S/4HANAへの移行方式には、主に2つのアプローチがあります。
「グリーンフィールド」は、業務プロセスを全面的に見直し、システムを新規に構築する方式で、DX推進など、ビジネス変革を目的とする場合に適しています。
一方、「ブラウンフィールド」は、既存のSAP ERP 6.0のデータや設定を引き継ぎながら移行する方式で、現行業務への影響を最小限に抑えたい場合に有効です。

既存アドオン資産の整理とクリーンコアアプローチの重要性

長年SAP ERP 6.0を運用してきた企業では、業務に合わせて独自開発した機能(アドオン)が多数存在します。
ただし、これらのアドオンはS/4HANAへの移行後もそのまま使えるとは限りません。動作しなくなるものもあれば、S/4HANAの標準機能で代替できるものも多くあります。移行を機に不要なアドオンを廃棄・整理し、可能な限りS/4HANAの標準機能を活用する「クリーンコア」という考え方が重要です。これにより、システム構造がシンプルになり、将来のアップデート対応や保守運用コストの削減につながります。

移行プロジェクトのスケジュールと体制構築の進め方

S/4HANAへの移行は、最低でも1年以上の期間を要する大規模プロジェクトです。
まずは現状のシステム環境やアドオン資産を評価するアセスメントから着手し、実現可能な要件定義と、余裕を持ったスケジュール策定が不可欠です。
また、プロジェクトはIT部門だけでなく、業務部門や経営層を巻き込んだ全社的な推進体制で進めることが大切です。明確な役割分担と強いリーダーシップが、プロジェクトの明暗を分けます。

SAP周辺システムのデータ連携を効率化するASTERIA Warp

SAPの移行プロジェクトでは、SAP本体だけでなく、販売管理・生産管理・人事給与システムなど、多岐にわたる周辺システムの見直しも同時に発生します。新旧システムが混在する移行期間中、これらのシステム間のデータ連携をいかに効率よく実現するかが、プロジェクト全体のスピードと品質を大きく左右します。

そこで活躍するのが、データ連携ツール「ASTERIA Warp」です。

19年連続国内シェアNo.1の実績と信頼性

ASTERIA Warpは、株式会社テクノ・システム・リサーチの調査において、19年連続で国内EAI/ESB市場のシェアNo.1を獲得しているデータ連携ツールです。これまでに10,000社以上の企業に導入されており、その高い信頼性と安定性で多くの企業のデータ活用を支えてきました。

専門知識が不要なノーコード開発で内製化を促進

ASTERIA Warpの大きな特長は、プログラミングの専門知識を必要としないノーコード開発環境です。
画面上でアイコンをドラッグ&ドロップし、線でつなぐ直感的な操作でデータ連携の処理を作成できます。これにより、情報システム部門の担当者だけでなく、業務を熟知した現場の担当者自身が開発に携わることも可能です。開発を内製化することで、外部ベンダーに依存することなく、迅速かつ柔軟な対応とコスト削減を実現します。

100種類以上の接続先で既存システムと迅速に連携可能

SAPをはじめとした基幹システム、各種データベース、Excelなどのファイル、さらにはSalesforceやkintoneといった多様なクラウドサービスまで、100種類以上のシステムやサービスに接続するためのアダプターを標準で用意しています。
これにより、SAP移行プロジェクトで発生する様々な新旧システム間のデータ連携要件に、個別開発を行うことなく迅速かつ柔軟に対応できます。
複雑な連携処理も短期間で実装し、プロジェクト全体の効率化に貢献します。

ASTERIA Warpを活用したSAP連携・データ連携基盤の構築事例

ASTERIA Warpは、SAPシステムと周辺システムの連携基盤として、またSAP S/4HANAへの移行プロジェクトを支えるデータ連携ツールとして、幅広い企業で活用されています。

【i-PRO株式会社】2年以内のシステム独立のため、200本を超えるデータ連携を4か月で構築

i-PRO株式会社では、パナソニックからの独立に伴い、2年以内に自社システムへの完全移行が求められていました。独立後の事業継続を支えるシステム基盤を、いかに短期間・高品質で立ち上げるかが問われるプロジェクトでした。

課題 パナソニックからの独立に伴い、23の新規システム立ち上げと、それらをつなぐデータ連携基盤の構築を短期間で完了する必要があった。世界各国の拠点への対応も求められていた。
取り組み ASTERIA Warpを導入し、SAP S/4HANA・Salesforce・PLM・MESなど多様なシステム間の連携基盤を構築。SharePointアダプターによる通関書類(PDF)送付の自動化なども実現した。
成果 214本の連携インターフェースを4か月で構築し、システム移行を遅延なく完了。汎用処理のテンプレート化により開発コストを10分の1に削減した。

詳しくはこちらで紹介しています。

【株式会社日清製粉グループ本社】COBOLからの脱却を目指し、データ連携をモダナイゼーション

日清製粉グループ本社では、EAI/EDIサーバー上で稼働するCOBOLプログラムの開発・メンテナンス工数の増大と、将来的な技術者不足への懸念が課題となっており、同社はデータ連携基盤のモダナイゼーションに取り組みました。

課題 SAP R/3との連携処理をCOBOLで開発・メンテナンスする工数が増大し、将来的な技術者不足も懸念されていた。
取り組み ノーコードで開発可能なASTERIA Warpを導入し、GUI環境で試行を繰り返しながら連携処理を構築。SAP R/3やPower Platform、SharePoint、kintoneなど、オンプレミス・クラウドを問わず周辺システムとの連携基盤を新たに構築した。
成果 開発・テスト工数を半分以下に削減し、連携処理の可視化によりメンテナンス工数の削減にも貢献。現在はCOBOLで行っている基幹連携のASTERIA Warpへの移行も検討中で、開発・メンテナンスの工数削減や、COBOL技術者減少などのリスク回避に貢献すると期待。

詳しくはこちらで紹介しています。

【三井不動産株式会社】決裁・会計システムを中心に10システムと疎結合するデータ連携基盤を構築

三井不動産株式会社では、決裁システムと会計システムを全面刷新するプロジェクトにあたり、新システムと周辺の既存システムとのデータ連携をいかに効率化するかが大きな課題となっていました。こうした課題を解消するため、ノーコードで柔軟な接続が可能なASTERIA Warpを採用しました。

課題 決裁・会計システムの全面刷新に伴い、複数箇所に分散するデータを統一的に扱い、変更内容を各システムに速やかに反映させながら、1年6か月という限られた開発期間内でシステム連携を実現する必要があった。
取り組み ASTERIA Warpを共通のデータ連携基盤として導入し、10システムを互いに直接依存しない形で連携・統合した。
成果 連携処理の開発をわずか4か月の工期で完了。ASTERIA Warpからわかりやすい仕様書を出力できるため、詳細設計書の作成が不要になり、ドキュメント管理が容易に。1日2千回以上の処理実行も障害なく安定稼働している。

詳しくはこちらで紹介しています。

SAP 2027年問題 よくあるご質問

SAP 2027年問題についてよくある質問をまとめました。自社の状況と照らし合わせながらご参照ください。

自社がEhP5以下の場合、いつまでにシステムを移行すればよいですか?

EhP5以下のユーザーは、2025年12月末でサポートがすでに終了しています。延長保守の対象外となるため、早急な対応が必要です。SAP S/4HANAへの移行は最低でも1年以上を要するため、まずは自社環境のアセスメント実施をお勧めします。

2027年末の保守期限を過ぎても現在のSAP ERP 6.0を使い続けられますか?

技術的には利用可能ですが、公式サポートが停止するため推奨されません。法改正への未対応、障害発生時に復旧が困難になるリスクに加え、延長サポートも終了するとセキュリティパッチの提供も止まります。
対策として、有償の延長保守や第三者保守を利用する方法もあります。

SAP S/4HANAへの移行にかかる費用や期間の目安はありますか?

費用や期間は企業の規模、データ量、アドオンの数、移行方式、プロジェクトの複雑性によって大きく変動します。一般的には、数千万円から数億円規模の費用と、1年半から数年単位の期間を要することが多いとされています。自社の状況を正確に把握するためにも、まずは詳細なアセスメントの実施をご検討ください。

まとめ

SAP 2027年問題とは、SAP ERP 6.0のメインストリームサポートが2027年末に終了することによって起きる問題です。もともと「2025年問題」と呼ばれていた課題が、期限延長を経て現在の名称になっています。放置すれば、コンプライアンスやセキュリティ面で深刻なリスクを抱えます。

対策としてはSAP S/4HANAへの移行、延長保守による延命、他社ERPへの刷新という3つの道筋が考えられます。いずれの選択をするにせよ、早めに現状を把握して動き出すほど、対応の選択肢が広がります。

いずれの対策を選んだ場合も、SAP周辺システムとのデータ連携は共通の課題となります。SAP周辺システムとのデータ連携にお困りの場合は、ぜひASTERIA Warpをご検討ください。



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執筆者:ASTERIA Warp チーム

執筆者:
ASTERIA Warp チーム

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