2018年4月26日
Fenox VCが主催する「スタートアップワールドカップ」。2018年5月にシリコンバレーで行われる決勝大会を直前に控え、記者発表が行われました。会場の様子や、今年の日本代表となったセブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズ 代表の阪根氏を中心に行われたパネルディスカッションの様子をレポートします!
アステリアの社外取締役でもあるアニス・ウッザマン氏がCEOを務めるテガサス・テック・ベンチャーズが主催となる、スタートアップ・ワールドカップ。
昨年から始まったばかりの本イベントですが、2018年はさらに規模を拡大して世界規模で開催。全世界27ヶ国28地域で予選が行われており、各地域ごとに選出された優勝1組だけが2018年5月11日にシリコンバレーで開催される決勝大会に進むことができるという、世界最大級のスタートアップ・ピッチコンテストイベントです。
出場スタートアップには、世界中の投資家からの資金調達、マーケット拡大、世界規模で展開する企業や著名人とのネットワーク構築の可能性等、 様々なベネフィットが見込まれています。
4月20日に開催された決勝大会直前の壮行会には、主催のアニス氏をはじめ、経済産業省の石井芳明氏、昨年大会で日本代表として選出されたユニファ株式会社 代表取締役の土岐泰之氏、今年の日本代表として選出されたセブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズ株式会社の代表取締役 阪根信一氏、また日本予選の審査員長を務めたアステリア株式会社 代表取締役の平野洋一郎氏が集結。
「日本のスタートアップが世界で活躍するには」といったテーマでのパネルディスカッションも行われました。
多くのメディアが訪れ大注目のイベントとなった本壮行会。イベントの様子をレポート形式でお届けします。
今回の壮行会の会場となったのは、セブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズ社が運営する展示スペース、ランドロイド・ギャラリー(渋谷区神宮前)。こちらでは1階に同社が運営するカフェがあり(現在リニューアル中)、地下1階に展示スペースがあるショールームとなっています。
会場に集まったのは、テレビなどを始めとする多くのメディア陣。世界的に注目されたビジネスコンテストということもあり、多くのメディアがその勝敗の行方を追っていました。
まずは大会チェアマンのアニス氏による本イベントの紹介から。全世界27ヶ国(28地域)から代表企業が選出され、シリコンバレーでの決勝大会で優勝したチームには賞金100万ドルが贈られるこの大会ですが、出場する企業にとっての価値はこの賞金ではないと強調しました。
というのも、昨年の決勝大会にスペシャルスピーカーとして参加していたのはアップル共同創業者の一人である、スティーブ・ウォズニアック氏。さらに世界有数の起業家や投資家が勢揃いし、各国の代表企業たちはそうそうたるメンバーを前にプレゼンテーションを行うことになります。
2018年大会でのスペシャルスピーカーは、LinkedInの創業者であるリード・ホフマン氏。
その他、CISCO社の元CEOであるジョン・チェンバース氏や、iPhoneに搭載された「Siri」でおなじみのSiri社の共同創業者であるアダム・チェイヤー氏、さらにはNETFLIX社の創業者であるマーク・ランドルフ氏など。
こうした起業家を前にビジネスのプレゼンテーションができることはとても貴重で、その後の事業提携などにも影響を及ぼすもの。グローバルでの展開を見据えているスタートアップ企業にとってはまたとない機会なのです。アニス氏も”大会の場を、起業家として次のステップを踏むきっかけにしてほしい”と話を締めくくりました。
そんな大舞台で見事、初代優勝企業となったのが、日本代表として出場したユニファ株式会社。昨年の壮行会や優勝後の記者会見の様子は、in.LIVEでも以前ご紹介していました。
・《対談》世界のスタートアップワールドカップ主催者に聞く、日本のスタートアップが世界で活躍するには?
・初代優勝を勝ち取ったのは、日本代表のユニファ株式会社!スタートアップワールドカップ優勝記者会見をレポート
今年の壮行会では、土岐社長が改めて昨年の決勝大会の裏側を話したり、優勝してからの一年での事業成長などについて発表がありました。
昨年の優勝をきっかけに進んだ事業拡大があったことや、現在開発中のサービスなどについても紹介。 今年の決勝に挑むセブン・ドリーマーズラボラトリーズの阪根社長へも応援メッセージを贈りました。
セブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズの阪根社長によるプレゼンでは、主力製品である全自動衣類折りたたみロボット「ランドロイド」の紹介やその開発秘話について語られました。
世界のマーケットを圧巻してきたSONY社の製品に憧れた原体験から、研究開発型の製造業を目指したこと、初期投資は大きく時間もかかるが最もスケールするものを、と創業当時から世界市場を見据えてきたことなどを語りました。
“Technology in life” をテーマとして掲げているセブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズ社。 洗濯物を畳むまでのすべての行程において、人工知能(AI)やディープラーニングが駆使されており、畳まれた衣類の様々なデータもクラウド上に集め、精度をあげているのだとか。
「人は生涯を通してトータル375日をランドリー行為に費やしている」というデータには、私個人的にも驚き。これをテクノロジーで置き換えられるのであれば、これからもっと人は生産性の高い仕事に集中することができるはずですよね。
さらにそのスタイリッシュな見た目にも注目。
デザイン企業である株式会社ライゾマティクス(Rhizomatiks)が製品デザインを手がけており、インテリアとしても非常にスタイリッシュで、一般的な家電と聞いて想像するイメージとは少し違う印象を受けました。
こちらの壮行会では、実際にランドロイドが洗濯物を畳むデモも行われましたが、作動中もとても静かで操作方法もとってもスマート!畳まれた洗濯物が登場するシーンでは皆カメラを構えて、「おお〜!」と歓声も。テレビなどで見たことはあっても、やはり実際に動いているところを目にするとまだまだ感動してしまいます。
これからさらに小型化、低価格化が進んでいけば、各家庭に当たり前のように置かれる日も近いのかもしれません。
回の後半では「日本のスタートアップが世界で活躍するには?」ということをテーマに意見を交わすパネルディスカッションも行われました。
グローバルで戦う上で必要なことは何か?というテーマに対して、ユニファの土岐社長は「グローバルな視野で事業が目指す先を想像すること、またそうしたイメージをチームとして理解し、目指していくこと」だと語りました。
セブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズ社はすでにシリコンバレーやフランスにもオフィスを構え、世界規模での展開をしていますが、まだまだ世界的なブランドになるには努力が必要だと補足しました。
一方で、今回日本大会での審査委員長を務めていたアステリアの平野社長は、2017年にイギリスのデザイン会社であるThis Place社を買収し、グローバルでの展開にも力を入れていたばかり。
日本のレギュレーションが世界的に見ても非常に厳しいもので、会計の問題をクリアすることの大変さなどを振り返り、相手企業の協力なしでは実現できなかったと話しました。
日本のスタートアップが世界で活躍するにはまだ壁が‥ と語られることも多いですが、世界で当たり前のように活躍する企業がもっと増え、「日本のスタートアップが世界を驚かすことはできる!」と示していくことができれば、最初からグローバルでの展開を見据えたスタートアップはもっと増えるはずと強調。
1996年に日本人のメジャーリーガーとして先陣を切った野茂英雄選手を例に出しながら、世界で勝負しようとするスタートアップ企業へメッセージを贈りました。
△審査員長のアステリア平野社長と、決勝へ挑むセブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズ阪根社長
以上、いかがでしたか?
今回の壮行会の様子は、テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」をはじめ、多くのメディアに取り上げていただきました。5月11日に開催予定のシリコンバレーでの決勝大会含め、in.LIVEでは今後もこのスタートアップワールドカップを追いかけていく予定です!
どうぞご期待ください。
・スタートアップワールドカップ
・フェノックスベンチャーキャピタル