某大学がBCP強化のためにコンテナ型データセンタを導入し、プライベートクラウド基盤としても利用しているとしたニュースがありました。予算の制約もあったのでしょう。
しかし、サーバ室の機器をコンテナ内に移行しただけで本当にBCPを実現したと言えるのか、疑問です。古い建屋にあったものを、ITシステム用に作られた最新型コンテナに移せば「強化」になる。その理屈はわかるけれど、一箇所のみに情報と機器を集めて想定外のことが起こったらどうするのだろう。
壊れることを前提にした多重化(ソフト)よりも、単一の強固さ(ハード)を好む、いかにも日本人らしい発想だなあとも。
大学同士、あるいは官学の連携によって、低コストでもっと有効なBCPが実現できそうなものです。
世界では、あのAWSの2倍、Googleの6倍の規模だといって、『米MS、企業向けクラウド拡充 豪にデータセンター』と発表。オーストラリアのAzure DCを日本企業が使うケースは稀でしょうから、新たな提携により、Azure用のDellサーバを販売し、ビッグデータの分散処理ソフトをAzureに取り込むことは注目に値します。とはいえ、大学で利用するには個人情報保護の観点から……と躊躇するなら、『データ拠点の面積世界一』となったNTTグループの施設、サービスを使う手もあります。
茨城といえば日立、日立といえば巨大企業グループ。
グループ内でITシステムの開発・販売をしているために、子会社、孫会社と言えども日立製品を使うことが鉄則です。他にどれだけ魅力的な製品があっても、鶴の一声で、その購入を断念せざるを得ません。それなのに、『日立金属、グローバル対応のプライベートクラウド環境整備で「Oracle Exadata」を導入』。Oracleのソフトウェアを使っていたにしても、日立製作所がOracle(ソフト)のリセラーであるにしても、ハードウェアまでOracleにする商談がよくまとまったものだと思います。しかも、事例にまで――。
もしかしてグループの体質が変わりつつある? と想像させられます。
エンタープライズ市場においては、『明治フレッシュネットワーク、オンプレミスの業務システムをクラウドへ移行開始』と、基幹システムまでクラウド化する事例や、『ヤマトシステム開発、インフォマート/食品規格書システムのデータ連携』と、業界内での共通アプリケーションサービス基盤(クラウド)が始動したり、「次世代」と言われていた仕組みがどんどん普及しています。が、パブリックセクタではどうでしょう――
『愛知県東海市がVMwareの共通仮想基盤導入、5年間で1億4000万円削減見込む』と、一世代あるいは二世代前に感じられる仕組みがニュースになっています。大型汎用機(メインフレーム)をようやく廃止。メインフレームは信頼性の高いシステムのため、安心感がある。にしても、本当は要らなかったはず。振り返れば、業務用コンピュータといえばそれしか選択肢がなかった時代と違い、随分前からほどほどの処理能力を備えた安価なシステムはたくさんある、と官公庁にあるメインフレームを見る度に思っていました。そして今は、メインフレームがクラウド利用の足枷だと。
ただし、メインフレーム自体の必要性は否定しません。銀行や、証券取引所や、クレジットカード会社やエアライン、鉄道など、その能力の欠かせない利用場所はいまでも多く、『モバイルやクラウドの普及が内部脅威対策市場をけん引』というような話から距離を置くこともできます。
しかし、それらのようにミッションクリティカルではないシステムは、産官学問わず、プライベートでもパブリックでも良いけれど「クラウドファースト」で考えるべきであり、『ソニー、端末と安全管理一体 法人向けタブレット』や、『シャープと日本標準、タブレット向けデジタル教材開発』といったモバイルの仕組みを活用すべき時が来ていると、私は思います。
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