2015年3月10日、政府はビッグデータ活用を図るために、個人の特定ができない形に加工すれば第三者へ情報提供を認めることを含めた「改正個人情報保護法案」を閣議決定した。ますます加速しそうなビッグデータ活用の流れ。
ここでは、特に中堅企業がどのような姿勢で向き合うべきかについて考えてみたい。
ビッグデータの活用と聞いて、どんなシーンが思い浮かぶだろうか。レコメンド精度向上に役立てるAmazonや、在庫予測などに活用するウォルマート、PontaカードやTポイントカード、Suicaなどで消費者の購買行動を分析する大企業の姿だろうか。全社を横断して「ビッグデータグループ」を組織する、リクルートの例を思い描く人もいるかもしれない。ICタグを導入して仕入れなどの最適化を図る、回転すしチェーンの事例もよく知られるところだ。
さまざまな特性を持つ膨大なデータを収集、分析してビジネスに活用する、という漠然としたイメージはあっても、業種や分野によって目的や手法が大きく異なるため、ビッグデータを明確に定義することは難しい。しかし、従来一企業が扱ってきた情報と比べて、情報量、更新速度、種類の上でもはるかに大規模に、高度な分析力が必要とされていることは間違いない。
従来は設備や運用環境、システム開発などに億単位の費用を要したため、ビッグデータ分析を導入できるのはほぼ大企業に限られていた。それがここ数年、クラウドサービスの普及により、低コストで大容量を蓄え、柔軟にシステムを開発、運用できる環境が整ってきたことから、中堅企業も導入に踏み切る動きが加速化している。
「ビッグデータを活用しないと時流に乗り遅れて、競合に遅れをとるのでは?」
そんな危機感から検討する企業もあるだろう。しかし、中堅企業にとって大切なのは、波に乗り遅れないことなのだろうか?
ビッグデータに最も敏感になっている経営者層の本音は、要は「それを使うことで売上が上がるのか、市場で競争優位に立てるのか」だろう。中堅企業の場合は特に、「高度なデータ分析による、長期的なビジネス価値の創出」よりも「直近の成果につながる施策」の方がはるかに重要なはずだ。
巷で騒がれるビッグデータの前に、そもそも自社が日々運用しているシステムや現場で更新されるデータに、あらためて目を向けてみよう。顧客、商品、売上、日報…。支社、支店、部門が独自に作るデータベースやレポートが統括的に共有されて、営業戦略に活かされているだろうか。
もちろん「そんなことはとっくに対応している」企業もあると思う。しかし、営業戦略のための「分析」という観点から、元データの量や質について、俯瞰して見てほしい。対象を広げ「社内ビッグデータ」を分析することで、もっと成果が上がる可能性がある。
例えば部門ごと、半期ごとなどでサマライズされた少量データから分析、導かれる戦略はかなり心もとない。客観的な分析をするための元情報は、できるだけ多種多彩かつ、リアルでフレッシュでありたい。現場でやりとりされている生データの中には、分析対象として使えるものがさまざまな形で使われており、洗い出せば、どれだけの情報資産が眠っていたか驚くはずだ。
社内のあらゆる情報を集め分析し、現場レベルで即実行できる課題解決に注力する、これこそ中堅企業が目指すべき「結果を出すためのデータ分析」といえよう。
では、ローカルに使われている多種多様な形式と定義付けの情報を、どのように集め、分析すればよいのだろうか。その解決手段としてお勧めしたいのが、データ連携ミドルウエア「ASTERIA Warp」だ。
異なるデータ同士の連携が直観的にできるうえ、変換プログラムの作成や、分析のためのシステム開発もノーコード環境で実現する。つまり、今、現場で行っていることを変えることなく、分析に必要なデータを引き出し変換、連携して、分析システムを構築できるのだ。
また、分析されたデータを見える化するだけでは意味はなく、導き出された仮説に対する実践と検証を何度も何度も繰り返して精度を上げていく仕組みを、現場レベルに落とし込む必要がある。そのためにはデータウエアハウスの活用も必要となる時が来るだろう。そんな時は、低コストでペタバイト級のデータウェアハウスをクラウドで提供する、Amazon Redshiftなどを利用するのもよいだろう。
以下も参考に、自社に必要なビッグデータ活用とは何か、中堅企業にとっての現実的な解とは何かを、冷静に検討してみてはいかがだろうか。
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