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データプレパレーションとは、データ分析の事前準備に関する用語です。こちらでは、データプレパレーションの概要や混同されやすい類似用語である「ETL」との違いについて解説します。
IoT、AI技術、SNSなどの普及によって、企業でのデータ活用の重要性が高まっています。しかし、データの中には表記ゆれやフォーマットのズレなどが含まれているケースも数多くあり、データを活用するためには、データの加工や整形が必要となります。
「データプレパレーション」とは、データを活用・分析するために「データの収集」「データフォーマットの統一」「データクレンジング」「データの結合」などの事前準備を行い、データ活用を迅速かつ効率化する手法です。
データプレパレーションと混同されやすい言葉に「ETL」があります。ETLとは、データ抽出・変換・書き出しのプロセスを効率化する手法です。データプレパレーションとETLは近い意味を持ちますが、それぞれ対象者が異なります。
データプレパレーションは、ビジネス部門の担当者が主な対象です。それに対しETLは、IT部門担当者やシステム開発者などを想定した手法となります。
データプレパレーションはビジネス部門を対象としているため、ノーコードで操作可能なものが多いのが特徴です。
ETLはシステム開発者などのIT部門担当者が対象のため、プログラミングなどの専門知識が必要となる事も多く、ツールによって差はありますが、ETLはコーディングが求められることがあります。
ETLについてはこちらのページでも詳しく紹介しています。
近年データプレパレーションは、多くの企業に注目されています。データプレパレーションが求められる理由について解説します。
データ活用・分析の作業の中でも、データ準備にかかる人的コストは最も大きいと言われています。そのため、人的コストを低減できるデータプレパレーションは、多くの企業で必要とされています。
近年、企業が持つさまざまなデータを「分析・見える化」し、経営や業務に役立てるソフトウェア「BIツール」が普及しています。BIツールによって、ビジネス部門の担当者でも、自らデータ分析を行う機会が増えているのです。しかし、データ分析を行うための準備に多くのリソースをかけるわけにはいきません。そのため、ビジネス部門の担当者でもデータ準備を簡単に行えるデータプレパレーションが必要とされます。
データプレパレーションが必要とされている背景として、急激なビッグデータ化が進んでいることが挙げられます。IoT、AI技術、SNSなどが普及したことで、企業が収集・蓄積すべきデータ量も膨大になりました。そのため、分析のための準備が追いついていないケースも増えています。
近年では、企業が取り扱うデータの種類も多様化しています。半構造化データや非構造化データを扱うことも珍しくありません。データ形式が異なると、データ分析の障壁となってしまうこともあるでしょう。形式が異なるデータを集約・加工し、効果的に分析を行うためにも、データプレパレーションは必要です。
データプレパレーションを行うことで、人的コストを削減できるだけでなく、以下のようなメリットも得ることができます。
従来では、専門知識を有するシステム部門などがデータ管理を行っていました。データプレパレーションを用いることで、データを加工・変換が可能となり、ビジネス部門でもデータ準備に時間を取られずデータを活用できるようになります。そのため、今までは知識を持った人材がいる部門でしかデータの活用を行うことができなかったものが、現場においてもデータに基づいた分析業務などを行うことが可能となり、より社内のデータ活用が促進されます。
収集されるデータには、非構造化データのように、そのままでは利用が難しいものも含まれます。構造化・非構造化を問わずにデータ活用できるデータプレパレーションによって、正しくスピーディーにデータ分析が可能になります。
誰もがデータを扱えることにより、データ活用が促進されます。さらに、多くの人がデータプレパレーションを行うことで、データ品質の問題点に気づけたり、属人化している業務が発見できたりします。また、システム開発者のリソースが、本来優先すべきタスクに集中できるようになる点もメリットです。企業にとって、データ活用やDXを大きく推進させる基盤が整うでしょう。
データプレパレーションは、一般的に以下のような方法で行います。それぞれの特徴について解説します。
Excelによるデータ加工は、多くの企業で日常的に行われています。しかし、扱うデータが膨大だと処理しきれず、複雑な加工を行うことが難しいことがデメリットでもあります。手作業で行われるため、データ準備に時間がかかってしまう点も問題だといえるでしょう。
SQLを利用すると、さまざまな業務データに対応できるため、柔軟性のある対応ができます。しかし、データベース言語に精通していなければ、使いこなすのは難しいでしょう。SQLを習得するには、トレーニングが必要です。教育の時間や投資が必要になる点もデメリットとなります。
ExcelやSQLは人の手による作業ですが、データプレパレーションツールを使うことで、IT知識を持たない人でも、ツールによって高速かつ正確にデータ準備が行えます。データ準備にかかる時間や手間は減らせますが、ツールの導入にはコストがかかる点がデメリットです。しかし、ツールの導入によって、コストやリソースの低減、生産性の向上は得られるでしょう。
データ連携ツールは、社内の様々なシステムにある形式の違うデータを連携することが可能です。
中でも「ASTERIA Warp」はコードを書く必要がないノーコードによりシステム連携が可能なデータ連携ツールで、IT人材や情シスが不足している中で、ノーコードによる連携を行うことができることで 現場メンバーでも簡単に連携を行うことができるようになります。
データ連携についてはこちらをご覧ください。
データプレパレーションの手順は、業界や組織、ニーズによって異なります。しかし、フレームワークはほぼ同じで、以下の手順で行います。
目的にあわせ様々なデータソースから適切なデータを見つけて収集。
データの品質を向上するために、データの誤記や未入力・重複などの不備を修正。
「全半角統一」「表記ルールと統一」「欠損値補完」「無関係データの除去」「異常値補正」などを行う。
複数のデータソースから収集した各データを組み合わせて結合。
BIツールやデータベースなどにデータを格納し、必要に応じて利用できるようにします。
データプレパレーションは、実際にどのようなシーンで活用できるのか、具体的な活用事例をご紹介します。
VOC活動とは、VOC(お客様の声)を収集し、分析して戦略を立案する活動です。製品開発や営業、マーケティングなどの業務効率化につながる重要なプロセスと言っても過言ではありません。テキストで収集したVOCをデータプレパレーションすれば、クレンジングや名寄せ、表記ゆれ修正、グルーピング、カテゴリ分類などが容易になります。
データプレパレーションは、特定の製品・サービスを利用する顧客の行動を理解したり、CX向上に役立てたりすることも可能です。例えば、顧客IDやメールアドレスをキーに、データ結合やフィルタリングを行えば、ターゲットを絞り込んだり、セグメントの設定をしたりできます。
データ分析の機会が増加している現代において、扱うデータ量の増加や種類も多様化しています。そのため、多くの企業でデータプレパレーションが求められるようになりました。今回は、データプレパレーションのメリットを始め、方法や手順、活用事例について詳しく解説しました。社内に点在するデータを全て活用できる形にし、もったいないデータを無くしていきましょう。
データの活用やDX化を促進したい方はこちらの資料もおすすめです。
PM・SE・マーケティングなど多彩なバックグラウンドを持つ「データ連携」のプロフェッショナルが、専門領域を超えたチームワークで「データ活用」や「業務の自動化・効率化」をテーマにノウハウやWarp活用法などのお役立ち情報を発信していきます。
ASTERIA Warp製品の技術情報やTips、また情報交換の場として「ADNフォーラム」をご用意しています。
アステリア製品デベロッパー同士をつなげ、技術情報の共有やちょっとしたの疑問解決の場とすることを目的としたコミュニティです。