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デジタル技術とデータを活用した、ビジネスモデルや働き方の変革であるDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進は、企業規模にかかわらず大きなテーマとなっています。
DX推進について、独立行政法人 中小企業基盤整備機構(中小機構)が2022年5月に発表した「中小企業のDX推進に関する調査」によると、DXに「既に取り組んでいる」「今後取り組みを検討している」と答えた企業は、合計で24.8%と、中小企業では十分に取り組みが進んでいない現状があることがわかりました。
DXの取組状況(n=1,000)
出典:独立行政法人 中小企業基盤整備機構「中小企業のDX推進に関する調査」
また、すでにDXを推進・検討していると回答した中小企業のうち、DXの具体的な取り組みや検討内容について聞いたところ、「ホームページの作成」「営業活動・会議のオンライン化」「顧客データの一元管理」の順に高い結果となりました。
DXの具体的な取組内容(複数回答 n=248)
出典:独立行政法人 中小企業基盤整備機構「中小企業のDX推進に関する調査」
この結果から、中小企業においては、インターネットを通じた情報発信や、社内業務の電子化・オンライン化などには着手できているものの、IoTやAIといったテクノロジーやデータを活用したビジネス変革には至っていない現状が浮き彫りになっています。
また、同調査で「DX推進に当たっての課題」を尋ねたところ、最も多かった回答は「DXに関わる人材が足りない」(31.1%)で、「ITに関わる人材が足りない」(24.9%)がこれに続き、DX・IT関連人材不足を課題に挙げる企業が多いことがわかりました。
DXに取り組むに当たっての課題(複数回答 n=1,000)
出典:独立行政法人 中小企業基盤整備機構「中小企業のDX推進に関する調査」
こうした中小企業のDX推進を妨げる「人材不足」の課題解決に重要なポイントとなるのが、「業務と課題を熟知した担当者によるDXの推進」です。従来のような、外部のITパートナーにシステムやアプリケーション開発を委託する体制では、頻繁に運用コストが発生するだけでなく、刻々と変化する消費者ニーズや環境変化に即応していくことが難しいでしょう。
また、社内の各システムに蓄積されたデータを活用し、業務改善を進めながら、経営判断を促すことができるような仕組みを構築していくには、非IT人材であっても負荷なくデータ活用を内製化できることがポイントとなります。
しかし、非IT人材である業務部門のメンバーを、デジタル技術を使いこなすDX人材に転換することは、なかなかすぐには実現しません。そこで、非IT人材をDX人材に転換するのに役立つソリューションが、ノーコードツールの活用です。
従来はプログラミング言語を駆使してアプリケーション開発を行うことが一般的でしたが、直感的に分かりやすいビジュアル開発環境を提供するノーコードツールを活用すれば、プログラミングの経験のない人材であっても容易にアプリケーション開発が可能になります。
このノーコードツールについて、キーマンズネットが2022年7月に実施した「ノーコード/ローコード開発ツールの利用状況」に関するアンケート結果によると、ノーコード・ローコード開発ツールについて、普及していると「とても感じる」(8.9%)、「やや感じる」(36.5%)を合わせて、45.4%が普及を実感していると回答。また、実際の導入率は、「導入している」とした回答者は27.6%と、全体の約3割を占めています。
ノーコード/ローコード開発ツールの普及率
出典:キーマンズネット2022年7月21日掲載記事「ノーコード/ローコード開発ツールの利用状況(2022 年)/前編」
※キーマンズネットより許諾を得ております。
また、ノークリサーチが年商500億円未満の中堅・中小企業1300社を対象に、2022年7月~8月にかけて実施した調査(「2022年版中堅・中小企業におけるRPAおよびノーコード/ローコード開発ツールの活用実態レポート」)によれば、ノーコード・ローコード開発ツールのうち、「PaaSとして提供されているもの」および「カジュアルデータベース」の2つの分野における導入予定の割合が最も高かったものは、「kintone(キントーン)」で15.5%、2位は「Microsoft Power Apps」(9.8%)、3位は「Lightning Platform」(6.1%)と続いていることがわかりました。
導入済み/導入予定のノーコード/ローコード開発ツール
出典:2022年版 中堅・中小企業におけるRPAおよびノーコード/ローコード開発ツールの活用実態レポート(ノークリサーチ)
このように、中堅・中小企業で導入率が最も高いkintoneについて、実際の業務改善のユースケースを紹介しましょう。kintoneは、サイボウズが提供するノーコードツールで、クラウド上で提供され、データ共有や業務プロセス管理、データに紐づいたコミュニケーションなどが行なえます。
そして、kintoneのユースケースの一つに、Excel業務との連携が挙げられます。Microsoft Excelは、帳票作成やデータ分析、プロセス管理など、その活用方法は多岐にわたり、業種業界、企業規模を問わず、多くの企業で多様な業務に活用されています。
一方で、「データ収集・集計作業に時間がかかる」「マクロで作成された処理が属人化してしまう」「手作業での転記作業が発生する」などの非効率な課題も指摘されます。
kintoneは、こうした課題を解決することが期待されます。
kintoneでExcelファイルを読み込めば、Webブラウザ上で編集・共有・管理ができるので、Excelで作成、管理している帳票データをkintoneに移行することができます。また、kintoneで編集したファイルをExcelで出力する使い方も可能です。
さらに、他の業務システムや社内DBと連携することにより、データを活用したさらなる業務改善、DXに繋げていくことが可能となります。このデータ連携をノーコードで行うことができるツールが「ASTERIA Warp」です。
「ASTERIA Warp」は、異なるシステムやサービス間のデータ連携をノーコードで行うことができるツール。GUI上でアイコンを並べるだけで、日常業務で使い慣れたExcelを用いた自動処理やメールやファイルの送受信処理などが容易に行えるだけでなく、データの抽出や変換、クレンジングなどの処理も可能になります。
基幹業務システムや、各種業務アプリケーション、クラウドサービスなど、100種類以上のデータソース間の複雑な連携やデータ変換を実現することができます。
また、ノーコードなので、プログラミングの専門知識がなくてもデータ抽出、加工、集計、システムへの登録などを自動化できます。業務部門の担当者自らが柔軟に開発可能で、処理が可視化されて理解しやすいため、処理のブラックボックス化・属人化を防ぐ効果も期待できます。
そして、kintoneアダプターを利用すれば、データ連携の一連の流れをGUIベースの専用画面から簡単に行えるため、kintoneで入力されたデータを、既存の業務システムやデータベースに簡単につなぐことも可能です。
<参考記事>
実際に「ASTERIA Warp」を活用したデータ連携事例としては、まず、一般社団法人日本自動車販売協会連合会 東京都支部の事例が挙げられます。
同支部では長年メインフレームの基幹システムを使ってきたものの、老朽化や部品供給の終了などの理由からパッケージソフトに移行することになりました。その際に、統計データ生成に使用していたExcelマクロ(VBA)も刷新、属人化を解消し、より簡単で柔軟に操作可能なシステムとして「ASTERIA Warp」を導入しました。
さらにkintoneと連携し、1ステップで簡単に統計データを自動生成する仕組みを構築した結果、転記が不要になり、作業時間やトラブル対応時間など年間200時間の工数削減を実現しました。また、属人化が解消され、条件変更もkintoneから誰でも設定可能なため、より柔軟に統計データを生成できるようになる効果を得ました。
2つめは、保育・育児関連の社会課題解決に取り組むスタートアップ、ユニファの事例です。同社は、商談管理に「Salesforce」を導入しましたが、顧客ごとに異なる業務プロセスが発生することが多く、一部業務は「kintone」を併用することになりました。また、契約アカウントを管理する自社サービス「ルクミー」と合わせて顧客情報の3重管理が必要でした。
そこで、「ASTERIA Warp」を導入。自社サービス拡大による業務プロセスの変化にも迅速に対応可能なデータ連携基盤を構築しました。
これにより、システム間のデータ連携をシームレスに行うことで、手作業に比べて10倍の業務効率を実現するとともに、コーディングによる開発に比べ、開発工数を7割削減。難易度の高い開発でも10日以内には実装でき、自動化処理の新規開発や改善にも迅速に対応することができるようになる効果を得ています。
中小企業の業務変革、社内DX実現には、ノーコードツールの活用が有効です。さらに、データ連携ツール「ASTERIA Warp」を活用することで、kintoneやExcelなどとの連携を容易に、内製化で行うことが可能になります。
ASTERIA Warpとkintoneを活用しながら、スピーディにDXを一歩先に進めてみてはいかがでしょうか。
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