昨今では、各企業が競争力を高めるためにデータ管理~利活用を高度化する必要性が再認識され、マスターデータマネジメント(MDM)の検討を本格的にはじめる企業が増加してきています。
MDMの実装手段はさまざまですが、マスターデータを統合するにあたって見落としてはいけないポイントや課題が存在します。これらを整理・解消せずにプロジェクトを進めると、導入方針やツール選択を誤ってしまう可能性が高くなります。また、マスターデータにもさまざまな種類があり、データの性質にあわせてツールを使い分けることが必要です。
そこで今回開催した「MDMプロジェクト実践セミナー」では、MDMプロジェクトを成功させるために重要な要素であるマスターデータの定義とMDMツールの選定ポイントについて徹底解説しました。株式会社JSOLからは、マスターデータ統合プロジェクトを成功させる2つのポイントやMDMを実現するためのツール比較の秘訣を解説。また、アステリア株式会社からは、シームレスなシステム間連携でマスターデータ管理を強化する手法をご紹介しました。
本レポートでは、講演でお話した概要とポイントについてご紹介します。
目次
タイトル | MDMプロジェクト実践セミナー ―マスターデータ統合に向けた課題とツール選定/活用時のポイントとは― |
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開催日 | 2023年12月07日 14:00-15:00 |
共催 | 株式会社JSOL、アステリア株式会社 |
第一部 (株式会社JSOL) |
MDMプロジェクトを成功させる2つのポイント! 〜マスターデータモデルの検討ポイントからMDM&PIMの導入効果を最大化する手法とは?ツール比較までの秘訣を徹底解説〜 |
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第二部 (アステリア株式会社) |
シームレスなシステム間連携でマスターデータ管理を強化する手法とは |
MDMプロジェクトにおいて、手戻り少なく進めていくうえでは、Phase1:構想策定、Phase2:要件定義/基本設計が重要です。本講演では、このPhase1-2についてMDMシステムを導入する際にお客様が検討すべきポイントを解説します。
マスターデータの一元管理における目的はさまざま考えられますが、いずれの場合もMDMシステムを中心に、周辺システムがMDMシステムで管理されたデータを利用/閲覧できるという形が目指すべき姿ではないかと考えています。
前述の目指すべき姿を実現する方法はいくつかあります。「MDMプロジェクト実践ガイド(Ver.2.0)」の中でMDMのモデルとして3つ紹介していますが、最近、お客様側で検討するモデルが大きく2つに分かれると実感しています。
まず「集約型・集権型」(上部スライド 左図)と呼ばれるものです。マスターにデータを統合するため、マスター管理業務の改善が必要となります。また、今まで周辺システムごとに扱っていたデータのうち7-8割はMDMシステムへ統合していく必要があるため、従来の業務(ビジネスプロセス)を変えていく必要があります。
もう一方で、「HUB型」と呼ばれるMDMモデルがあります。周辺システムとマスターHUB間でデータの同期を目的としながら、データの抜き差しを行っていく方法です。HUB型のポイントは、データの標準化です。具体的にはコード体系やデータ整理が必須となり、周辺システムのデータ品質を標準化していく必要があります。
データ品質を担保していきたい場合は、「集約型・集権型」。とにかくデータの同期をとれるようにしていきたいという場合は、「HUB型」と考えると良いでしょう。
データモデルの構築は、概念モデル→論理モデル→物理モデルの順序で構築していきます。
ここで大きなポイントとなるのが、概念モデル、論理モデルをシンプルにつくることです。シンプルがどの程度かというと、誰もがみてわかるものを構築することを推奨しています。ここが複雑であると、物理モデルに落とし込む際、実現方法を改めて考えなければならない点が出てきてしまい、手戻りや時間を余分にかけてしまう恐れがあるためです。
いくつかポイントはありますが、今回はデータ集計と分析を意識したポイントに絞ってご紹介します。
集計・分析しやすいデータモデルを構築するうえで意識するポイントは以下です。
マスターという意味も部門によって定義が異なる場合もあるため、認識を合わせておく必要があります。
システム利用に向けたポイントとしては、「データ種」が挙げられます。
MDMシステムで管理すべきなのか、他の上流システムで管理を任せるべきなのかという点です。それぞれの特性を理解し、ご検討いただく必要があります。
MDMの選定ポイントについて、課題別におすすめのモデルを整理しました。
自社の解決したい課題や目的に沿って選定することが大切です。
JSOLではグループ会社またはMDMパートナーと、MDMの構想策定フェーズ、構築・実装フェーズ、運用・定着化フェーズとトータルでサポートが可能です。
特にMDM構想策定フェーズでは、豊富な経験からメニュー化をしているため、より詳しいことを知りたい場合は、お気軽にお問い合わせください。
JSOL株式会社へのお問い合わせはこちらへ
マスターデータ管理の領域でなぜデータ管理が必要になるのかについて、以下4点の課題が挙げられます。
これらの課題の原因として以下が考えられます。
このように課題の原因をみていくと、対象システムの数が多ければ多いほど、その影響範囲が多岐に渡ります。その場合、人手を使った作業やスクラッチ開発では対応が追いつかず、マスターの管理が難しくなることがわかります。
データ連携ツールを用いたマスターHUB型の管理を行うことで、以下のようなメリットがあります。
ASTERIA Warpとは、多様なシステムとの連携処理を、ノーコードで対応可能なデータ連携ツールです。
営業管理システムや販売管理システムなどの社内システムとの連携インターフェースを1本1本スクラッチ開発すると、どうしても工数がかかってきます。ASTERIA Warpを用いることで、インターフェースを一元管理して、それぞれのシステム間の連携処理をコーディングをせずともノーコードで開発が可能です。
一般企業で広く使われているシステムやサービス間との連携を可能にしています。
「フローデザイナー」というGUI操作で開発ができる仕組みを提供しているため、誰でも連携処理を作成したり、更新したりすることができます。
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