IBMやOracleなども参入したパブリッククラウド、圧倒的なシェアを誇るAWSの頻繁なメディア露出もあり、プライベートクラウドよりもその市場規模は大きく、勢いのありそうな印象ですが、実際はどうなのでしょうか。
企業・団体が自ら閉域のクラウドシステムを保有し運用するオンプレミス型、サービス事業者がシステム一式を丸抱えするホスト型や、業界に特化したコミュニティクラウドを「プライベートクラウド」と定義したMM総研は、国内市場において’13年度、1,869億円対4,388億円でプライベートクラウドが勝っており、同市場は’17年に1兆円を越える規模になると予測しています。
そのタイトルにもなっている『プライベートクラウドのシェアトップはNTTコム』は、ITProがベストクラウドサービス1位と発表した調査結果と一致しているので、違和感はありませんね。
しかし、市場規模を見て、イメージを新たにする人も居たのではないでしょうか。
プライベートクラウド市場を支えるユーザは、「量的緩和」の追加策を打ち出して株式市場を沸かしている日銀が意識している企業群です。
それに対して、パブリッククラウドは、円安の悪影響などを指摘した記者の質問に日銀総裁が「大企業の業績が上向けば(いずれその恩恵を受ける)」としたSMB。
奇しくも、日銀はITベンダの進むべき道を示唆しているようです。
NTTコムの躍進は同社の努力(投資と事業革新)によるもので、固定通信キャリア最大手――すでに張り巡らされている通信網とクラウドサービスの相性が極めて良いことや、NTTブランドの影響力によるものも大きいでしょう。
ITベンダやリセラにとってもそれは魅力的であり、実績の乏しい仕組みでもNTTの冠が付けば、『NTTスマートコネクト、クラウドサービスにVMware NSXを導入』のように、説得力が強くなります。
スマートコネクト社については、同じ日に『Nutanixのインフラストラクチャー、NTTスマートコネクトが採用』というベンダのニュースリリースもあり、同社の仮想化基盤は一体どんな風になっているのだろう、と興味を感じます。
また、意外にもNTT東西との取引が多い日商エレは、『ソリューションパッケージ「Nissho-Blocks」を強化』の中で、上記Nutanixをリブランドのための製品に挙げており、もしかしたら、この発表はスマートコネクト社からの受注がきっかけなのだろうかと想像させられます。
飽和状態のストレージサービス市場で、『マイクロソフトとドロップボックスが提携、クラウド保管・共有で』との発表がありました。穿った見方をすれば、MSはDropboxのユーザにモバイル用Office製品を売ることができ、あまり儲からない、あるいはまったく儲からないストレージサービス部分をDropboxに負担させることができる。
一方、Dropboxにとっては――これは日本国内での話ですが、『マイクロソフトとパートナー28社が「SMBのテレワーク導入」支援』というように――モバイル市場開拓を加速するMSのユーザに、ストレージサービスを売り込むチャンスが生まれた、Win-Winの構図となります。
飛躍が期待されるOpenStackにおいても、『ドコモ、OpenStack Neutronの商用導入に向けた大規模実証実験に成功』と「NTT」のブランドが踊ります。けれど、このケースではドコモがOpenStackに引き寄せられたのかもしれません。
ソフトウェアストレージで、『500ペタバイトの事例も!Scalityストレージが日本に本格参入』と報じられた新興ベンダが、「特にOpenStackとのインテグレーションに注力している」といっているほどですから。
PM・SE・マーケティングなど多彩なバックグラウンドを持つ「データ連携」のプロフェッショナルが、専門領域を超えたチームワークで「データ活用」や「業務の自動化・効率化」をテーマにノウハウやWarp活用法などのお役立ち情報を発信していきます。
Related Posts
ASTERIA Warp製品の技術情報やTips、また情報交換の場として「ADNフォーラム」をご用意しています。
アステリア製品デベロッパー同士をつなげ、技術情報の共有やちょっとしたの疑問解決の場とすることを目的としたコミュニティです。