目次
2017年11月14日、ASTERIA Warpユーザー様限定イベント「AUG FESTA TOKYO 2017」が品川で開催されました。ご登壇いただいた5人のユーザー様には「ASTERIA Warp」や「情報システム部のあるべき姿」「内製化」などについて本音で語っていただき、過去最高の230名を超える参加者の皆様は、その熱い講演、パネルディスカッションに釘付けとなりました。そんなユーザー必見のコンテンツが盛り沢山となった「AUG FESTA TOKYO 2017」をレポートいたします。
株式会社エクサウィザーズ 代表取締役社長 石山 洸 氏
基調講演は株式会社エクサウィザーズ 代表取締役社長 石山 洸氏に「企業内でやりたいことを実現させる5つのセオリー」と題してご講演いただきました。
物事を実現するには、まずフィクションを作り、そのフィクションをノンフィクションにする力が必要と自らの体験をもとに語られました。
日本人はフィクションを作るのが比較的苦手と言われますが、フィクションを作るには
またフィクションをノンフィクションにするには
が必要に。さらにこの4つのSを加速するのは「自分」「会社」「社会」のいずれにも役立つ共通のテーマを見出すことが重要であるというのが5つ目のセオリーとのことでした。この4S+1が揃うことでやりたいことが本当に実現できると石山氏は語られました。
介護AIという大きな社会課題に挑む石山氏ならではの5つのセオリーに、参加者からは「社会と自身の価値、課題を1つにすること、現実的な自己実現をユニークに語られ面白かった。」「考え方の意識が変わりました。」「マインドセットへの良い刺激になりました。」などのポジティブなアンケートコメントが寄せられました。
株式会社サカタのタネ 情報システム部 嶺澤 健一 様
続いては「システム内製化による効果と情報システム部門の役割」と題して株式会社サカタのタネ 情報システム部 嶺澤 健一 様にご登壇いただきました。
3年前に同社に入社された嶺澤様は、約200システムに及ぶ 主にAccessで作られた部門システムが乱立している状況に危機感を感じられたと言います。これだけ乱立しているとデータの品質、ガバナンス(統制)の面で問題が生じるため、正しいデータをつないでどこかに貯めるのが第一歩と考えASTERIA Warpを導入され内製化に舵を切られました。
嶺澤様は「日本企業の特性のひとつとして人材の流動性が低いことが挙げられ、同じ人物がずっと同一の業務を実施している。また、過度のレイオフやリストラは実施しない傾向にある。それ故、現場主義や属人性が高まるが、業務面では 特にそれが悪いことだとは考えていない。」とのことですが、ガバナンスが効いていない状況では、どれが正しいデータかがわからず、本来宝の山であるはずのデータがくず鉄になってしまうため、正しいデータを1箇所(SQL Server)に集約し、社内から簡単に参照できる仕組みを開発されました。1フローの開発に最短10分間という高速開発を実現したこともあり、このプロジェクトは社内より高く評価されたと言います。
また、嶺澤様が考える内製化の3つのポイントについても伝授いただきました。
参加者からは、「内製化というより情報システム部門のあり方が身につまされた。」「情シスのあり方のモデルにできるかと思います。」「数少ない社内SEのリソースで、どれだけ会社に役立てられるか参考になった。」「要素要点は押さえつつ楽しいお話でした。」など多数の「役だつ話だった」「楽しかった」という内容のメッセージをいただきました。
当日のプレゼン資料はこちらでご覧いただけます。
東洋製罐グループホールディングス株式会社 情報システム部 伊藤 啓介 様
続いて東洋製罐グループホールディングス株式会社 情報システム部 伊藤 啓介 様に内製化でフロー開発をする際の社内標準・規約についてお話をいただきました。同社はASTERIA Warp導入後内製化を進めましたが、フローが増えるにつれフローの管理が厳しくなってきた状況をリアルにお話しいただきました。
これらを解決するために様々な社内規約を作られていかれたそうです。具体的にはフロー間の連携や親子関係がわかりやすいように命名規則を定められたり、また、共通サブフローを作り、同じ処理が違う手順で開発されたり、エラー処理がまちまちとなることなどを防止できるようにしたと言います。さらにリリースルールも制定し、開発サーバー上で開発したフローをステージングサーバー・本番サーバー上にリリースするリリース手順も定めました。その他フロー実行スケジュールなどのドキュメントの整備も行われました。
参加者からは「似たようなことは行っていたが、改めて説明頂き、参考になりました。」「似たような立場からのお話を聞けて良かったです。」「社内規制を作ろうとしている私にとってタイムリーな話題で非常に参考になった。」など実務上、大変参考になったというコメントを多数いただきました。
(注)お客様社内の規約のため、講演資料の公開は控えさせていただいております。
クラリオン株式会社 情報システム部 中村 公一 様
続いて、クラリオン株式会社 情報システム部 中村 公⼀ 様よりASTERIA Warpを約10年管理・運用してきた経験を踏まえ「ベーシックなところこそが勘所!」と題して3つのTips をご紹介いただきました。
外部から投入されたファイルをトリガーとして処理をする場合で、特に短間隔で定期処理する際にはエラー発生時の対応を容易にするために
などのことを考慮する必要があります。
それぞれジョブ管理ツールを併用するなどの対処法もありますが、ASTERIA単体でシンプルに対応する方法として、「監視フォルダー上は対象ファイルを直接処理せず、⼀旦『処理中』フォルダーにファイルを移動してから処理する」⽅法を紹介いただきました。また、この⽅法を実装したフローを提⽰いただき、その作り⽅も解説いただきました。
プロパティにホスト名やIP アドレスといった変更可能性のある定数を直接設定してしまうと、それらの変更時に検索漏れや変更漏れのリスクを抱えてしまうので、『直接ではなく、外部変数セットの「定数」に定義しそちらをプロパティ式を使って呼び出す形をとることで、変更時は外部変数セット側の変更のみとなるので安全です。』というアドバイスをいただきました。こちらも実際の外部定数セットのセット⽅法まで解説いただきました。
最後にASTERIA 開発者を社内で増やそうとした際に気をつけたほうが良いことを実体験に基づきアドバイスいただきました。
たとえばASTERIA WarpでRDBMSを利用した処理を実装する場合、パフォーマンスなどの観点からデータの抽出などRDBMS 側が得意な処理をRDBMSに寄せるよう実装するなどのポイントがあり、それは一般的なRDBMSとアプリケーションとの役割分担に共通するものですが、新規開発者がデータへの直接アクセスやDB・APが一体となっている基盤を前提とした⽂化が異なるエンジニアの場合単にフローデザイナーを習得しただけではそういった考慮点が意識されない実装となり、処理のパフォーマンス劣化やASTERIA Warpに対するネガティブな誤解につながってしまう恐れがあります。
単にASTERIA Warpの使い⽅を学習してもらうだけでなく、そういった「ASTERIA Warpが前提としている⽂化」の理解にも時間をかけることが重要であり、先⾏経験者がいる場合はしばらくは助⾛期間としてペアでサポートしながら経験をしてもらうことが望ましい。とのことでした。
参加者からは「⾃分の業務に近い内容でしたので、参考になりました。ありがとうございました。」「実践的なフロー実装の⼿法を学習することが出来ました。明⽇から活⽤してみます。」「共感できる内容でした。」「⽂化の共有は⼤事という点は⾮常に同意しました。」など役⽴った、共感できたというコメントを多数いただきました。
(注)お客様の実運用フローが含まれるため、講演資料の公開は控えさせていただいております。
最後に株式会社サカタのタネ 嶺澤 健一 様、株式会社フォーバルテレコム 内海 義朗 様、株式会社 日立ハイテクフィールディング 太田 満 様にパネラーとしてご登壇いただきパネルディスカッションを行いました。
Q. ASTERIA Warpは「企業力向上」にどのように役立っていますでしょうか。
「高速開発によりビジネスのスピード力を高めることができた。」「社内に点在するデータ、外からのデータをつなぎ、データの価値を向上できた。」という実績が語られる一方で「ASTERIA Warpを入れただけでは企業力向上にはならない。それを使って、業務部門にいかに正確な情報を伝えられるかが肝だ。」との意見もありました。
Q. ASTERIA Warpで高速かつ簡単に開発できることは、社内プログラマーから反発を買うことはないでしょうか?
「プログラマーでも自分が得意なもの不得意なものがあり、自分たちができなかったことが簡単にできると反応が良い。」
「そもそも事業会社の情シスにスペシャリストは要らないのではないか。事業継続性を考えた時に、いかに属人性と専門性を排除し、安定した高品質なプログラムを作れるかという観点でASTERIA Warpのような高速開発ツールをもっと推進すべき。」との意見をいただきました。
Q.「高速」というときに、そのスピードメーターのようなものはありますか?
この質問に対しては「1ヶ月を超える長い開発サイクルはユーザーさんを飽きさせる。」という意見が出ました。会場の参加者にも賛同の挙手をいただいたところ、参加者の約半数の方の手が上がりました。他のパネラーからも「ライフサイクルが長くなるとユーザーさんが依頼事項を忘れている。」「予算時に聞いたリクエストと着手時のリクエストは異なることが多い。」「時間がかからないように仕様はこちらで決めてまずは作ってしまってますね。」という意見が出ました。『ユーザーに飽きられない開発期間』というのが「高速」のスピードメーターのようです。
Q. 情報システム部門が今、最優先で取り組むべき課題は何だと考えられますでしょうか。
これに対しては「情報系(参照系)システムを充実してユーザーの信頼を得る」「高速開発スキームの構築」「内製化」とそれぞれの企業の課題が回答されました。
Q.「内製化」が課題とのことですが、100%内製化を目指されますか?
「理想はそうだが、自分たちができるところ、できないところを線引きしたい。」「経理、資産管理などはJSOXに絡むと内部統制の対象になるため、高速開発は厳しい。JSOXに絡まない部分を内製化していきたい。」などの意見をいただきました。
(会場からの質問)
Q. 高速開発を推進しているため、ASTERIA Warpへの依存度が高くなっています。24時間365日止めない仕組みの実現方法について教えてください。
「弊社もクリティカルな業務に利用しているが、何かあれば逆に止まってほしい。重要なのはリカバリをいかに早くできるかではないか。」「システムは止まることを前提に設計した方が良い。ダウンタイムをいかに小さくするかだ。」という回答の一方「実は弊社も同じ課題に直面している。一緒に考えたい。」というパネラーからの回答もありました。
(会場からの質問)
Q. ASTERIA Warpは作りやすいので、どんどんリクエストに応じて作っていくと徐々にメンテナンス性が悪くなります。何か回避策はないでしょうか。
これに対してはパネラーより「弊社ではASTERIA Warpで開発するものとプログラム開発するものを切り分けることでASTERIA Warpのメンテナンス性を維持している。」という回答がありました。
第1部の最後には、これまでのAUGのユーザー発表の中で最もアンケート評価の高かった株式会社フォーバルテレコムの内海義朗様、鈴木智仁様にAUG Best Presenter Award 2017を、最も「Thanksメッセージ」の多かった株式会社ゴルフダイジェスト・オンラインの清水正朗様にAUG Thanks Award 2017をお贈りいたしました。
清水様からは「発表をする際には良いことだけではなく、悪いことも話すよう心がけている。このことがThanksメッセージをいただくことにつながったのだろう」とのコメントを閉会のご挨拶の中でいただきました。
セミナー終了後には、第2部として会場横のスペースで情報交流会が開催されました。今回、各テーブルに「業務自動化」「ASTERIA企画・開発」「ASTERIA運用管理」などのテーブルテーマを設け、これらを話しのきっかけとしていただきました。皆様大変熱心に情報交流されており、閉会後も残って話を続けられている方が大勢いらっしゃるほどでした。特に当日のご登壇者には次々と人が訪れ、様々な質問や会話が続き、遅くまで人だかりが途切れない状況でした。
今回、ご登壇いただいたユーザー企業5社様より大変有用なお話を伺うことができました。ご登壇いただいた皆様、本当にありがとうございました。また、ご多用の中ご参加いただきました皆様にも感謝申し上げます。またのご参加をお待ちしております!
これまでのAUG勉強会でいただいた発表ユーザー様への「Thanksメッセージ」を入り口に掲示
休憩時間は、各社で開発されたASTERIAアダプターの展示やデモをご覧いただきました。
情報交流会の乾杯のご発声をいただいた
株式会社ベネフィット・ワンの河端圭介様。
ASTERIA Warpで業務自動化を実現されていらっしゃいます。
情報交流会で弊社の田中と一緒に司会を務めていただいた
さくらインターネット株式会社の松下貴美様(写真右)。
AUG女性のための勉強会の発起人としてAUGの企画にも参画いただいています。
AUG FESTA OSAKA 2017開催レポートはこちら。
“ASTERIA Warpユーザーの皆様をもっとハッピーに!”をモットーに日々AUGを運営しています。
Related Posts
ASTERIA Warp製品の技術情報やTips、また情報交換の場として「ADNフォーラム」をご用意しています。
アステリア製品デベロッパー同士をつなげ、技術情報の共有やちょっとしたの疑問解決の場とすることを目的としたコミュニティです。