ASTERIA Warp の新バージョン「2012」が12/25にリリースされました。
今回のバージョンは1年ぶりのリリースとなり、アップデート内容が盛りだくさんですが、 その最新バージョンのコンセプトや、新機能のポイントを製品担当の東出と、開発責任者の一刀が語ります。
東出 昨今は新型コロナの影響で、社会や企業はこれまで以上のスピードでデジタルトランスフォーメーション(DX)を加速することが求められていますし、ここ最近では国をあげてDXの普及が叫ばれています。正直何がDXなのか?がよく分からなくなってきていますが、最終的にITを活用したビジネスの変革が目標なのははっきりしています。
しかしDXを進めるといっても、現状ほとんどの企業が既存システムを最新環境にモダナイズしていくことは、早々には難しいですし、昨今のクラウドサービスの普及で、企業で取り扱うシステムがサイロ化し、そのままデータ活用を行うのも難しい環境です。
そこで、とくに重要となってくるのが「データ連携ツール」です。
新バージョン「2012」では、ASTERIA Warpを利用いただく企業が「安全・安心・迅速・柔軟」にDXを進めていただくための機能を中心にアップデートしています。
ASTERIA Warp製品担当 東出
まず安心・安全面で、もともとASTERIA WarpはEAI/ESB/ETLといった領域で多く利用されいて、データ連携基盤としてご利用いただいていますが、昨今のセンサーやAIといった新たなデータ活用により、企業で取り扱うデータ量が増大し、より一層のデータ処理能力が必要となってきています。
そこで今回、データ連携として扱うデータ量が膨大でも確実な処理を行うための大容量データ処理機能「High Capacity Stream(HCS)機能」を搭載しました。ちょっとカッコ良さげな名前じゃないですか(笑)
このHCS機能を使用するとASTERIA Warp上で処理するためのデータを一時的にファイルに保持することでメモリ消費を大幅に削減することができます。
以前までは取り扱うデータ量により、あらかじめメモリ利用量のサイジングが必要でしたが、この機能を使用することでそのサイジングなしに「安心・安全」に処理を行うことが可能です。
また「迅速・柔軟」面では、近年はとくにUIを改善しユーザーの開発生産性を向上するための機能を追加しています。今回は、Mapperコンポーネント機能のUI改善ということで、とてもシンプルですがMapperのマッピング項目の非表示機能を実装しました。
ユーザーによってはマッピング項目が何百何千もあり、画面上でスクロールをしながらマッピング設定するのが非常に大変で煩雑な作業になっていました。しかし、ほとんどの場合、表示されている項目の中にマッピングしない項目が数多くあります。これらを非表示設定することで、必要な項目のみが表示されるようになり視認性や操作性がぐんと向上します。これだけでもかなり開発生産性があがるはずです!
他には、もともと連携可能だったのですがGoogle社側のセキュリティ面強化の問題でREST経由での専用のGmailアダプターを追加したり、サイボウズさんのGaroonオンプレ環境との連携機能を追加したりと、クラウド・オンプレ問わず連携先もさらに拡張しています。
大容量データ処理対応 | ・High Capacity Stream(HCS)機能の追加 処理中のデータを一時的にファイルに保持することで、メモリー消費を抑制することができます。これにより安全安心なデータ連携基盤が容易に構築可能になります。 |
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UX改善 | ・MapperコンポーネントUI拡張 マッピング画面での項目非表示機能を追加。多項目でのマッピング作業を容易にし、開発者の生産性を向上します。 |
アダプター/コンポーネントの追加拡張 | ・Gmailアダプターの追加 ・Garoonアダプターのオンプレ対応 ・Google Cloud Strage コンポーネントの追加 ・RESTコンポーネントファイルアプロード機能の追加 ・POP3/IMAP4コンポーネント添付ファイル自動保存機能の追加 |
Core機能拡張 | ・Core+:MIME処理機能の追加 |
対応環境 | ・データベース:Dr.Sum 5.5、SAP HANA ・OS:CentOS 8 |
テンプレート追加 | ・Gmailアダプター/REST版 メール送受信 |
ASTERIA Warp開発責任者 一刀
データベースやCSVなどのレコードデータを処理する際に、大きな効果が期待できます。
今までレコードデータは、取得したデータ分を一旦メモリに保持し処理していましたが、 これだとそのデータ分のメモリ領域の確保が必要になり、大容量のデータの場合はメモリ領域が切迫してしまうことが危惧されていました。
このHCS機能を使うと、取得したデータをメモリではなく、一旦ファイルに保持しながら処理をしますので、データ容量を意識することなく処理することが可能になります。
単純にCSVファイルから取得したデータをデータベースに登録する処理では、1,000件処理する場合も、1億件処理する場合もメモリの利用量はほぼ同じになります。
ただし、レコードデータ、テキストデータ、バイナリデータ以外(例えばXML)や、一旦データをまとめて内部的に処理するような場合は、今まで同様にメモリ上にすべてのデータが展開されるので、メモリの削減効果はあまり見込めないのでご注意ください。
一刀 パフォーマンスです。
これはどうしようもないのですが、処理データを逐次ファイルに書いたり、逐次ファイルから読んだりしますので、その分ディスクとのI/Oが発生します。メモリ上での処理に比べるともちろん時間がかかるので、全体の処理時間もかかってしまいます。
トレードオフという言葉がありますが、メモリ使用量の削減を取るか、パフォーマンスを取るか、何を重視するかによってHCS機能を使い分けていただく必要があります。
ただHCS機能は、フロー単位で設定できるので、処理要件によって簡単に設定を切り替えることができます。初期設定でHCS機能はオンになっていますが、例えばこのフローはそれほどデータ量が多くないのでHCS機能をオフにするといったことも簡単ですよ。
まずはお試しを!
一刀 やはりユーザーの皆様によく使っていただいている機能のUI改善です。
今回改善したMapperコンポーネントは、おそらく一番利用されている機能です。1つのフローに必ず1つ以上は使われている機能ではないかと思いますので、このMapperコンポーネントを改善することが、開発生産性を大きく向上させると考えています。
それと大事なのが、「直観的に使える」ということです。
こういったツールはヘルプを読み込まないとなかなか操作手順が理解できないことが多いのですが、初期のバージョンからデザイン性や操作性を重視し機能を提供しています。
バージョンアップの度に、細かいところでも随時改善していくことで、開発生産性の向上につながるのではないかと考えています。
一刀 機能の追加ではなく、Javaの対応です(笑)
ASTERIA WarpはJavaVM上で動作しているので、Javaの環境が必須です。 Javaは現状、メーカーが3カ月毎にバージョンアップしているので、その都度動作検証が必要になってきます。大体いつもはそのまま正常に動作するのですが、今回のバージョンアップのタイミングでの最新のJavaではいくつかの問題が発生しました。
そのためJavaにあわせてASTERIA Warp側のソースコードを書き換える必要があったのですが、リリースまでに時間がなく間に合うかどうかヒヤヒヤしました(汗)
東出 ASTERIA Warpはノーコードでデータ連携を実現できる開発ツールですが、 今後ももっと多くのユーザーに利用いただくための機能を拡充していきたいと思っています。
RPAもそうですがデータ連携はDXを加速する重要な要素です。そのためにはシステム開発を行うITエンジニアが必要になりますが、過去も現在も、ITエンジニアはいつも不足していますね。(笑)
私たちは、ITエンジニア以外の業務ユーザーでも、さらには、”誰でも”ASTRIA Warpを使って開発者になれるような機能を提供していきたいと考えています。これにより、企業システムの内製化を促進し、昨今の市場やユーザーニーズに求められるスピーディーな対応をすることができるようになります。
是非、ASTERIA Warpをご活用ください!
一刀 昨今では、オンプレミス環境だけでなくクラウド環境など様々な環境でASTERIA Warpをご利用いただいていますが、今後はユーザーの皆様が環境を問わずASTERIA Warpを利用いただけるようにしていきたいと考えています。
まずはセキュリティ面です。
新型コロナの影響でリモートワークでの作業が増えていますので、自宅で作業し各メンバーで開発環境を共有することも多いと思います。
ASTERIA Warpは今までローカル環境での開発を前提としていましたが、社内外含め柔軟な開発ができるようにしていきたいと考えています。
是非、今後のASTERIA Warpにご期待ください!
機能詳細はこちらの記事でご紹介しています。
ASTERIA Warp 2012新バージョンのプレスリリースは、こちらをご覧ください。
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