複数の業務プロセスを統一的に自動化する「ハイパーオートメーション」が注目されています。ハイパーオートメーションには省人化や生産性向上、業務プロセスの可視化など様々なメリットがある一方、活用するうえで課題もあります。本記事では、ハイパーオートメーションの概要や自動化プロセスの1つであるRPAとの違い、メリット・課題などをご紹介します。
目次
ハイパーオートメーションとは、機械学習やAI(人工知能)、RPA、iPaaSなどの高度なテクノロジーを駆使して、組織内の広範かつ複雑な業務を自動化することです。複数のアプリ・システムをまたがって実行でき、社内の一連の業務プロセスを自動化する点に特徴があります。たとえば、営業部門の見積業務、その後の購買部門の発注依頼業務、総務部門の請求業務など、複数の部門にまたがる業務を横断的に自動化し、人の介入する必要性を最小化します。
また、PCの画面上だけではなく、画面を超えサーバ、センサー、カメラなどのIoTデバイスと連携した自動化が可能です。
ハイパーオートメーションが注目される背景には、DX推進の機運が高まっていることや労働人口の減少があります。
コロナ禍を背景にリモートワークが普及したことやIT関連の技術進歩もあり、多くの業界でDX推進が重要テーマとして位置付けられていますが、推進できていないという課題も存在します。業務プロセスの自動化を大きく進めるハイパーオートメーションもDXの一種であり、少子高齢化に伴う労働人口の減少・人手不足も相まって注目度が高まってきました。
DXにおける課題は以下の記事で解説しています。
また、ガートナージャパン株式会社が毎年発表している戦略的テクノロジーに関するトップ・トレンドにおいても、ハイパーオートメーションは2022年のトップ・トレンドにランクインしており、このことからも業界での注目度が高いことがうかがえます。
RPA(ロボティクス・プロセス・オートメーション)は、PCの画面上で人が行う作業を自動で実行するソフトウェアロボット技術のことです。業務自動化の一種であり、PC上で単純な事務作業を高速でミスなく自動で処理でき、業務効率や業務品質の向上を期待できます。
RPAについては、以下の記事で詳しく解説していますのであわせてご覧ください。
RPAは、ハイパーオートメーションを構成する技術の1つという位置付けであり、両者には以下のような違いがあります。
それぞれの違いや構成する技術については以下の記事でより詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
情報通信や自動車関連、環境・エネルギー、医療ヘルスケアなどの分野でグローバルにビジネスを展開している電子部品メーカーである京セラ株式会社では、従来、設計・製造データをExcelやAccessを活用した各拠点独自のシステムで管理・運用しており、拠点間での情報管理やデータ統合がスムーズにできないという課題を抱えていました。こうした課題を解決するため、設計・製造データを集約する「拠点横断情報集約データベース」の構築・運用を検討し、その中で、様々なシステム連携やデータ統合ができる「統合データベース」やスケジュール実行機能、RPAツールと連携したデータ自動連携基盤を開発・導入しました。
導入後は、年間約1,400時間相当の業務工数の削減に成功し、従来の情報管理体制から脱却できました。
以下では、ハイパーオートメーション導入のメリットについて、RPAと対比しながら4つご紹介します。
業務プロセスを自動化することで、必要な人員を削減でき省人化につながるため、人手不足に悩む企業にとって大きなメリットです。
また、人手に比べ作業スピードが速く、24時間休みなく稼働することや、人手が介在する余地を最小化できるためヒューマンエラーもなくなることから、業務効率がアップします。さらに、これまで人手で行っていたルーティン的業務を自動化することで、より生産性や重要性の高い業務に人員を配置できるようにもなります。
こうしたことから業務プロセス全体の生産性向上を期待でき、人的リソースの有効活用や人件費削減にもつながります。
ハイパーオートメーションでは複数のツールを組み合わせることで、RPAでは自動化が難しかったようなあらゆる業務プロセスについて、自動化が可能か可視化・判断できるようになります。プロセス全体を見直すことで、無駄が生じている作業を洗い出すこともでき、より効率的な業務プロセスを構築可能です。
また、業務プロセスが可視化されることに加え、プロセスが記録されることで不正の防止にもつながります。
RPAやAIなど単一のツールを連携させずに利用しているだけでは、自動化可能な業務範囲に限界があります。しかし、ハイパーオートメーションにより、これら複数のツールを組み合わせることで異なる部門間の業務プロセスをトータルで自動化できるようになるなど、自動化できる対象領域が大きく拡大します。
専門性が求められる業務プロセスをハイパーオートメーションにより自動化することで、これまで一部の専門スキル・知識を持つ人材しか行うことのできなかった業務が標準化されます。
たとえば、機械学習の利用やローコード・ノーコードによるアプリ開発、高度な統計的分析などを自動化することで、専門性を持たない人でも大きな成果を手に入れられます。業務が標準化されることで、属人化の問題も解消可能です。
こうした効果は「専門性の民主化」と呼ばれます。
ハイパーオートメーションにはご紹介したようなメリットがありますが、一方で活用する際の課題もあります。主な課題としては以下の3つが挙げられます。
ハイパーオートメーションでは各プロセスに個別のツールを導入しても、なかなか思うような効果が現れません。複数の業務プロセスを連動させて自動化を実現するべく、最適なプロセスになるよう全体のフローを見直し、場合によっては要件の再定義や組織体制の変更などを視野に入れる必要もあります。
ハイパーオートメーションによって多くのシステムを連携させる過程では、インターネット環境を通じて連携を行うことも増え、外部から攻撃を受けるリスクも高まります。そのため、サイバー攻撃などリスクに対する対策を万全にする必要があります。
業務データを連携するために一元化したり、各システムを連携したりする際には要件を統一的なものにする必要があり、そのためのカスタマイズの費用がかかります。ハイパーオートメーションの導入により得られる金銭的、時間的メリットとシステム連携に必要な費用を比較し、費用対効果を踏まえたうえで導入を検討すべきです。
システム連携のコスト面の課題を解消するには、ノーコードで設計・開発を行うことが有効です。ノーコードであれば簡単な操作で様々なシステムやクラウドサービスとの連携処理ができ、時間的・金銭的コストをかけずにハイパーオートメーションの実現に近づけます。以下では、ハイパーオートメーションを実現するデータ連携ツール「ASTERIA Warp」をご紹介します。
ハイパーオートメーションのような高度な自動化を実現するためには、“⼈から考える⾃動化”(=RPA)と“情報システムから考える⾃動化”(=データ連携)の両⾯が必要です。
ASTERIA Warp は、ノーコードで設計開発を行うことで、様々なシステムやサービスと連携し、業務の⾃動化や効率化、データの活⽤を実現するデータ連携ツールです。100種類以上のシステムやクラウドサービスなどとの連携処理を、ドラッグ&ドロップなどの簡単な操作で開発できます。
⼈による画⾯操作を⾃動化するRPAツールに対して、ASTERIA Warpはシステム間の業務プロセス・データ連携を⾃動化します。データ連携によりシームレスなデータ活⽤基盤を構築することで、人手による業務プロセスの自動化では難しい「業務プロセスの根本からの見直し」も可能です。
ハイパーオートメーションを実現するデータ連携ツールにご関心のある方は、以下の事例集をご覧ください。
また、データ連携に関して基礎から学びたい方は、以下の資料をご覧ください。
PM・SE・マーケティングなど多彩なバックグラウンドを持つ「データ連携」のプロフェッショナルが、専門領域を超えたチームワークで「データ活用」や「業務の自動化・効率化」をテーマにノウハウやWarp活用法などのお役立ち情報を発信していきます。
ASTERIA Warp製品の技術情報やTips、また情報交換の場として「ADNフォーラム」をご用意しています。
アステリア製品デベロッパー同士をつなげ、技術情報の共有やちょっとしたの疑問解決の場とすることを目的としたコミュニティです。