RPAとは?~RPAの仕組みや種類、RPAツールの選び方まで、RPAが丸わかり~

2023/06/08

RPA vs Manual Labor

目次

RPAとは?

RPAとはRobotic Process Automationの略で、ロボットによる業務プロセスの自動化を指します。ロボットと聞くと工場などで使われる機械を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、RPAのロボットはパソコン上で動作するソフトウェアロボットです。このソフトウェアロボットは、人が行うパソコン操作(クリックやキーボード入力など)を代行する機能を持ち、デジタルな労働者という意味で「デジタルレイバー(※)」と呼ぶこともあります。
※レイバーは英語で労働者という意味です。

デジタルレイバーは休みなく働くことができ、人より高速でミスなく処理ができるため日本だけでなく世界中の企業で注目されています。

RPAが注目される背景

RPAはなぜ多くの企業に注目されているのでしょうか。

人手不足

まず、大きな理由のひとつに人手不足があげられます。とくに日本では少子化による生産年齢人口の減少が大きな問題になっています。従業員を増やすことが難しい昨今、事業の成長を支える人材として「デジタルレイバー」の存在が注目されていることが挙げられます。

生産性・業務品質向上

人による作業では、長時間労働での集中力低下、同じ業務を繰り返すことによる仕事へのモチベーション低下、体調不良などによる業務品質の低下が少なからず起きます。そのため、人に負荷がかかりすぎないよう定型的な業務は自動化・効率化することが求められています。

DX推進

近年、DXを推進する企業が増えています。DXとは「デジタル・トランスフォーメーション」の略で、デジタル技術を活用して事業を根本から見直し、改革することを指します。

DXには3つのフェーズがあり、その第2フェーズを実現する手段としてRPAなどによる業務自動化があります。

DXの段階

DXの3つのフェーズについては、こちらの記事でフェーズごとに詳しく解説しています。

RPA導入のメリット

RPAを導入するとどのようなメリットがあるか紹介します。

定型業務の自動化

生産人口が減少している日本において、従業員を増やすことは容易ではありません。しかしソフトウェアロボットであれば容易に導入することができます。とくに繰り返し行う単純な定型業務はソフトウェアロボットで自動化してしまえば、人より高速で高品質な処理が可能となります。

業務品質向上

RPAツールはソフトウェアロボットなので、同じ業務を長時間繰り返しても、高い業務品質を維持したまま作業を続けることができます。単純な定型業務をロボットに任せることができると、人は残業時間を減らし十分な休息とることができます。結果、従来より高い集中力で仕事に取り組めるようになり、人の業務の品質向上にもつながります。

人は高度な業務に集中できる

人が従来行っていた単純な定型業務の作業時間を別の業務にシフトすることができます。製品・サービスの売上を伸ばすための新しい施策を考えて実行したり、新しい製品・サービスのアイデアを考えたり、コアな業務に集中してもらうことができます。

RPAの仕組み

RPAツールではシナリオと呼ばれる業務フローを設定し自動化を行います。シナリオはノーコードで作成でき、プログラム経験のない業務担当者でも作成することができます。

一般的なRPAツールのシナリオでは、「業務システムのログイン画面を開く」「ID&パスワードを入力してログインボタンをクリック」…などひとつひとつの画面操作を記録していきます。記録方法には以下の3つがあります。

  1. 座標方式
    …クリックや文字入力の座標(場所)を記録。設定は簡単だが、ボタンや入力欄の位置がずれると処理が止まってしまう。
  2. 画像方式
    …クリックするボタンやアイコンの画像を記録。ボタンの位置が変わっても処理できるが認識ミスやデザイン変更などで処理が止まってしまう。
  3. オブジェクト方式
    …アプリケーションの構造を解析して操作対象の要素を記録。座標や画像記録より動作精度が高いが、設定が高度。

RPAの種類と特徴

デスクトップ型

特徴
ロボットは個人のPC内で動作する。
メリット
比較的安価で導入しやすく、部門や個人単位でスモールスタートできる。ロボットの開発が簡単で初心者でも使いやすいツールが多い。
デメリット
ロボット実行中に他の作業ができない。複数台のPCに導入する場合、ロボットの集中管理ができない。
代表的なツール
WinActor

サーバー型

特徴
ロボットはサーバー上で動作する。個人PCのデスクトップアプリの操作が必要な場合は、サーバーとPCを接続し操作する。
メリット
ロボット実行中でも他の作業ができる。 ロボットを一元管理できる。
デメリット
導入コストが高い。ロボットの開発難易度がやや高いツールが多い。
代表的なツール
BizRobo!Basic、UiPath

クラウド型

特徴
RPAの機能を提供するクラウドサービス。
メリット
ロボットをインストールするサーバーやPCの準備が不要。低コストで導入できる。
デメリット
個人PCのデスクトップ上の操作はできない。
代表的なツール
Robotic Crowd

RPAツールの選び方

全社的な利用を予定しており十分な予算がとれ、かつ、情報システム部門など専門でロボットの管理をする体制が整うのであればサーバー型がオススメです。もし操作対象がクラウドサービスのみであればクラウド型がコスパもよくオススメですが、“クラウド”という性質上、ベンダーの管理するクラウドサーバーへのアップロードが必要になるので、セキュリティ面で要件にマッチするか注意が必要です。

一方、まずは部門や個人単位でスモールスタートしたいということであれば操作も簡単なツールが多いデスクトップ型がオススメです。もちろん、操作対象がクラウドサービスのみであればクラウド型も検討するとよいでしょう。

RPAツールの一覧

RPAが得意な業務

得意:定型業務の自動化

RPAはシナリオがないと動作しません。そのため、シナリオを作ることができる定型業務を自動化することが得意です。しかし、定型業務であっても処理が複雑になるとシナリオの開発難易度もあがりロボット化が難しい場合もあります。

得意:PCのみで完結する業務

クリックや入力など人が行うPC操作であれば大抵のことはRPAで自動化できます。紙からPCへの転記などPC操作以外の作業は自動化することができないので、その場合は「デジタル化」から始める必要があります。

RPAが苦手な業務

苦手:非定型業務

作業手順が決まっていない、人の判断が必要、などの非定型業務ではシナリオを作成することが難しく、現在のRPAでは対応できないことがほとんどです。

苦手:大量データ処理

~千件レベルのデータ量であればRPAでも十分対応できますが、数千件、数万件を超えるようなデータ量を扱うと処理が完了するまで数日かかる場合もあり、RPAだけで対応することが難しくなります。

苦手:UIが頻繁に変わるシステムの操作

RPAの仕組みで説明しましたが、基本的にUI(アプリケーションの見た目や操作手順)が変わるとRPAが止まってしまいます。クラウドサービスなど、操作画面・デザインが頻繁にアップデートされる場合、その都度RPAのシナリオを修正する必要がありメンテナンスコストがかかります。

RPAのクラス

総務省が定める3つのクラスが存在します。このクラスは、RPAを活用した三段階の自動化レベルを指しています。

クラス1:RPA(Robotic Process Automation)

クラス1のRPA(Robotic Process Automation)というレベルは、”定型業務の自動化”です。具体的には、情報を取得したり、入力・検収作業といった定型的な作業の自動化を行うレベルです。

クラス2:EPA(Enhanced Process Automation)

クラス2のEPA(Enhanced Process Automation)というレベルは、”一部非定型業務の自動化”です。具体的には、RPAやAI技術を用いて非定型業務を自動化して行える状態です。自然言語解析だけではなく、画像解析、音声解析、マシーンラーニング技術の搭載、非構造データの読み取りなどが可能なレベルとなります。

クラス3:CA(Cognitive Automation)

クラス3のCA(Cognitive Automation)というレベルは、”高度な自律化”です。具体的には、ディープラーニングや自然言語処理などを用いて、プロセスの分析や改善、意思決定までを自動化して行える状態です。

RPAとAIの違い

AIはArtificial Intelligenceの略で人工知能という意味です。つまり人と同じような知能をソフトウェアで人工的につくるということです。一方、RPAはソフトウェアロボットによってPC操作を自動化することやそれを実現するツールを指します。AI機能を組み込んだRPAも存在しており、人の判断が必要な業務をAIによって自動判断させることで非定型業務の自動化を実現することができます。

RPAとデータ連携(API)の違い

RPAは画面操作をそのまま自動化するのに対し、データ連携は画面操作を介さずにシステムと直接連携を行います。連携方法はさまざまで、APIやファイルなどを介してデータのやりとりを行うため、UIに依存せず安定した動作を実現できます。

RPAとVBA/マクロの違い

VBAやマクロは、ExcelやWordといったMicrosoftが提供するアプリケーションの操作を自動化する機能です。一方、Microsoftのアプリケーション以外の作業を自動化することはできません。RPAは、アプリケーションを問わず、作業の自動化を実現できます。

DX実現につながるRPA活用

DXを実現するIT基盤を構築するには、適切な業務システムの導入とともに、業務自動化も重要です。自動化の実現手段としてRPAはとても有効なので「RPAで定型業務はすべて自動化しよう!」と考える方も多くいらっしゃいますが、RPAには苦手な業務も存在するためすべてを自動化することは困難です。

そこで、もう一つの自動化実現手段として注目されているのが「データ連携」です。RPAの苦手な定型業務はデータ連携することで簡単に自動化できるケースは多くあります。

そのため、DX基盤として業務自動化を進めていく場合、RPAだけでなく、データ連携も組み合わせて使うと、より広範囲の業務を自動化することができます。

RPAツールの課題を克服したRPA&データ連携の業務自動化術については以下の資料で詳しく解説しています。

業務自動化の事例

エイベックス株式会社様では膨大な数のコンテンツ関連データを手作業で加工処理することが多く、作業工数増大や人的ミスなどの問題が発生していました。それら問題を効率的に解決すべく、システム部共通の開発ツールとしてデータ連携ツール「ASTERIA Warp」を活用しています。

エイベックス株式会社様 自動化処理概要図(一部)

 

株式会社テレビ朝日サービスではRPAツール「BizRobo!」を使った業務自動化に積極的に取り組んでいます。勤務入力チェック業務では、1000件超のデータの複雑なデータ加工やメール送付処理を含むためRPAだけでは処理時間が膨大に。そこで、データ加工処理を高速で行うデータ連携ツール「ASTERIA Warp Core」を導入し、処理速度の改善、及び開発生産性、自動化処理の管理のしやすさを検証しました。

株式会社テレビ朝日サービス様 連携概要

 

こちらは業務自動化事例がまとめられた事例集です。RPAの活用シーンがまとめられているので、利用イメージを持つのにおすすめです。

 

まとめ

RPAの定義や仕組みを元にRPAの得意な業務・苦手な業務、さらに、今後の企業成長に欠かせないDXとの関連性についてご紹介しました。

RPAは今やっている人の業務をそのまま自動化することができて便利ですが、すべての業務を自動化できるわけではありません。まずは業務を根本から見直し、適切なツールを選んで業務の自動化を進めてみてはいかがでしょう。

関連記事

DXにつながる業務自動化事例を紹介した「事例で学ぶ!RPA実践ガイド」を公開中です。ぜひご覧ください。



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