ESBとは?メリット・デメリット、ETL・EAIとの違いを解説

2023/05/31  | ASTERIA Warp チーム

ESB

企業のITインフラの重要な要素として、異なるシステム・アプリケーション間のデータ連携があります。そのようなデータ連携における統合技術の1つとして「ESB」があります。本記事ではESBの特徴や、EAI・ETLとの違い、導入におけるメリットなどをご紹介します。

ESB(エンタープライズ・サービス・バス)とは?

ESB とは「Enterprise Service Bus」の略であり、企業内のアプリケーションやシステム間におけるデータ交換やサービス提供を するために設計するアーキテクチャ・統合技術のことです。

ESBは、異なるプラットフォームの アプリケーション間でデータ・モデルの変換、コネクティビティーの処理などの統合管理が行え、後述する「SOA」を実現します。

以下では、ESBの特徴やSOAとの関係性をご紹介します。

ESBの特徴

異なるシステム間でのデータのやりとりを実現できるESBには、以下3つの特徴があります。

データ形式の対応

ESBは、さまざまな形式のデータを扱うことが可能です。受信したデータを内部で統一的なデータ形式に変換し、異なるシステム間でデータのやりとりを行います。

また、データのバリデーションやエラー処理などを行うことで、システム間でのデータの整合性を保証することも可能です。

プロトコルの対応

ESBは、異なるシステム間での通信を中継するために、各種プロトコルに対応することができます。例えば、要求されたサービスがCORBAであればIIOP(Internet Inter-ORB Protocol)、WebサービスであればSOAPなど適宜プロトコルを使い分けることができます。

データ変換

ESBは、受信したデータを内部で変換することができ、また、異なるシステム間でのデータの変換も行うことができます。例えば、ERPシステムからCRMシステムにデータを送信する場合、ERPシステムで使われるデータ形式をCRMシステムで使われる形式に変換することができます。

この他、ESBには、連携させるシステムの情報を一元管理するリポジトリ機能や、システム間でメッセージを受け渡すルーティング機能などがあります。

SOAとの関連性

SOAとは「Service Oriented Architecture」の略語であり、日本語では「サービス指向アーキテクチャ」と訳されます。これは大規模なシステムを構築する際の設計思想や開発手法のことを指し、このSOAを実現するための技術の1つとして、ESBというシステム同士をつなぐ連携基盤があるのです。

SOAについては以下の記事でご紹介しています。ご興味のある方はこちらもぜひご覧ください。

ESBはEAIやETLとどう違うのか

ESBと似た用語として、EAI、ETLなどがあります。以降ではそれらとの違いをご紹介します。

ESBとEAIの違い

EAIは「Enterprise Application Integration」の略語であり、アプリケーションやシステムを連携させ、データやプロセスの効率的な統合を行う仕組みのことです。異なるアプリケーションやシステムを連携させるものとしてESBと同意になりますが、違いとしてはその処理方法があります。

例えば、ESBは、システムのスケーラビリティに対応するために、分散処理の構築が行え、システムの高い可用性を実現します。一方、EAIは、データの集中処理を採用しているため、パフォーマンスが低下しやすいという特徴があります。

EAIについては以下の記事でご紹介しています。ご興味のある方はこちらもぜひご覧ください。

ESBとETLの違い

ETLは「Extract Transform Load」の略語であり、企業で使っている各種システムのデータを分析するために、変換・加工し、フォーマットを整理したうえで、DWHなどに書き出すプロセスを指します。

ESBとの違いとしては、その目的があり、ESBは異なるアプリケーションやシステム間のデータ連携のためにデータの抽出や変換 を行いますが、ETLはあくまでデータソースからデータを抽出・変換し、格納する手段と言えます。

ETLについては以下の記事でご紹介しています。ご興味のある方はこちらもぜひご覧ください。

ESB導入のメリット

ESB導入による、アプリケーション統合にはさまざまなメリットがあります。以下ではそのメリットを3つご紹介します。

要求や仕様変更に容易に対応できる柔軟性

ESBは、さまざまなアプリケーション・システムの標準仕様に基づいているため、既存システムをそのまま 利用でき、要求仕様が変わっても容易に対応できる柔軟性があります。そのため、システム連携のために 既存システムを再構築する必要がなく、開発のコストを削減できます。

一部門から始めて全体に広げやすい拡張性

従来、新しいシステムを一定の部門で導入し、その後拡張していく場合、都度システムを停止する必要がありました。一方で、ESBによるアプリケーション統合では、中心となるサーバーなどが不要となるため、システムを稼働したまま追加ができ、高い拡張性を実現できます。

システム間を一元管理できる運用のしやすさ

ESBは、システム間の中央に配置されたバスを通じて接続するため、システムの一元管理が可能です。システムの変更や追加が発生した場合でも、中央にて一元管理しているESBを利用することで、影響を受けるシステムを特定できるため、保守・運用も容易になります。

ESB導入における課題

ESB導入は、さまざまなメリットを享受できますが、その導入においては課題があります。以降ではESB導入におけるよくある課題をご紹介します。

コストがかかる

1つ目はESB導入におけるソフトウェアやハードウェアの購入費用です。

ESBは複数のシステムを接続するための様々な機能が備わっており、また、大量のデータを処理するための大容量のメモリやストレージが必要になるため比較的高価になります。

また、ESBのソフトウェアにはライセンス料金もかかるため、注意が必要です。

開発の属人性

ESBの実装は、アーキテクチャに関する専門知識やスキルを保有した人でないと対応ができない属人性の高い作業となります。そのため導入の 際には、ベンダーにサポートしてもらいながら進めるのが一般的です。

またESBの特徴として、さまざまなプロトコルに対応していると説明していましたが、企業独自の仕様を採用している サービスには対応できないケースもあります。

ESBツールの選定ポイントとおすすめの製品サービス

ご紹介したような導入における課題を解消するためには、ESBツールの選定の際に以下5つのポイントを確認することが重要です。

ポイント1:連携先の豊富さ

まずは、導入するESBが、自社の連携対象であるシステム、アプリケーションに対応しているのかを確認する必要があります。
また、導入後 システムの追加・変更などの可能性がある場合 、できる限り連携先が豊富かつ、連携できるシステムが常にアップデートされているベンダーを選定することが大切です。

ポイント2:開発のしやすさ

先述したようにESB導入・開発には専門的な知識が必要となります。
そのため、ベンダーにて導入・開発を支援する体制が整っているか、専門的スキルがいらずに誰でも直感的に開発ができるノーコード開発環境が提供されているかなどを確認しておくことが重要です。

ポイント3:運用/保守のしやすいさ

ESB導入後の運用・保守に関しても確認しておきましょう。

例えば、想定するスケジュールにてシステム連携を組めるか、要件・使用変更などの修正に柔軟に対応できるか、メンテナンスや引継ぎはしやすいかなどがポイントです。

ポイント4:導入実績

ESB導入における課題は、業界業種関係なく似た課題を持っているケースが多いです。

自社に似たケースの実績などを確認しておくと、今後の導入がスムーズに進めることができます。

ポイント5:価格

ESBツールはサブスクリプション型などさまざまプランで展開されています。ツールそれぞれの費用対効果を比較・検討し、自社に合った適切なツールを選定しましょう。

ご紹介したようなポイントを踏まえ、おすすめのEAI/ESBツールとして、アステリア株式会社が提供している「ASTERIA Warp」があります。本ツールは、ノーコードのGUI操作で作成するフローによって既存のデータベース、ファイルシステム、各種業務システム、各種クラウドサービスと簡単に接続、連携することのできる、国内シェアNo.1のデータ連携ミドルウェアです。

専門的な技術者向けではなく、より多くの人に使って頂くことを念頭に置いて設計されているため、多くの企業様に導入され、高い評価をいただいています。

ESB ツール、ASTERIA Warpについてご興味のある方は以下をご覧ください。

ESBツールの導入事例

ASTERIA Warpは、あらゆる業種、あらゆるシーンにて導入されています。

以降では大規模業務システムのデータ連携基盤を刷新した伊藤忠テクノソリューションズ株式会社様の事例をご紹介します。

伊藤忠テクノソリューションズ株式会社 様

大手システムインテグレーターである伊藤忠テクノソリューションズでは、約12,000人のグループ社員が使う大規模業務システムをSOA(サービス指向アーキテクチャ)のアプローチで構築・運用しており、そのデータ連携基盤は海外製データ統合ミドルウェアを中核に据えていました。

ある時、従来のデータ統合ミドルウェアのライセンスを追加しようとしたところ、製品がすでに旧バージョンになっており、ライセンス追加には高額な更新費用がかかるという課題が発生しました。また、この課題発生に伴い、データ連携基盤の運用実態を改めて確認したところ、コスト面以外にも、システム開発自体の属人性や工数肥大などの課題 が見つかりました。

このような課題を整理した結果、SOA基盤におけるデータ連携の仕組みの刷新が必要となり、将来の連携先システムの多様化を想定した対応データ形式やプロトコルの豊富さから「ASTERIA Warp」を採用しています。

ASTERIA Warp導入後、実際にFTPベースのデータ連携20本を旧環境から移行したところ、移行期間は従来の半分程度となり、担当者の作業負荷も大幅に削減しています。また属人性も解消し、情報システム部の誰もが開発に携われるような環境を実現しています。

伊藤忠テクノソリューションズでは、既存の連携フロー約100本をASTERIA Warpに移行しており、今後は、社内システムのクラウド化におけるデータ連携も検討しているとのことです。

ASTERIA Warp 事例集のご紹介

以下では、ご紹介した事例の他にも、ASTERIA Warpを活用したさまざまな業界業種の事例をご紹介しています。ご興味のある方はぜひご覧ください。



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