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APIとは、Application Programming Interfaceの略語でソフトウェアの一部機能やデータを外部から利用できるようにしたインターフェースの仕様を指します。例えば、サイトで特定のデータを共有する場合、どのような方法で情報を要求すべきか、そしてどのようなデータが提供されるかに対する規格です。
ソフトウェアの一部を公開(APIを公開)することで外部との窓口ができ、機能連携が簡単に行えるようになります。最近ではAPIを公開しているソフトウェアも多くみられ、アプリケーション同士の連携が容易になりました。
APIを活用してアプリケーション同士の機能を連携することをAPI連携といいます。API連携を利用すると他のサービスの機能を自らのサービスで活用することができるので、ゼロからプログラムを組むことなく他のサービスと連携し、サービスを拡張することができます。
例えば、ニュース、天気、ファイナンス情報などが掲載されているポータルサイトでは、気象庁などのオープンデータとAPI連携することで、データ取得・活用していると言えます。
API連携のプロセスは、リクエスト(要求)とレスポンス(応答)で構成されます。
決められたルールに従ってリクエスト(要求)すると、APIを提供するサービスやソフトウェアが処理し、その結果をレスポンス(応答)します。
たとえば、飲食店で料理を注文してから提供されるまでの流れをイメージしてみましょう。
この場合、店員は「API」、料理を注文してから提供するまでの動作が「API連携」となります。
全てのサービスを一から開発する必要がないため、開発リソースの負荷を減らせます。例えば、天気情報を利用して天気予報サイトなど何らかのサービスを提供しようとする場合、気象庁のデータなどを活用すれば、新たなサービスを効率的に開発することができます。
アプリケーションの開発は、完成までに時間と費用がかかりますし、運用時にもエラーやバグなどによる改修作業やバージョンアップ作業も必要となります。これはアプリケーションの処理が高度になればなるほど開発にかかるコストは高くなります。
APIの多くは無料で公開されているため、APIを利用すると自社で開発する必要がないので、開発にかかる時間や費用を大幅に削減することができます。
自社のサービスで会員登録やログイン機能を使う場合、Facebook等のSNS認証など、既存のセキュリティレベルが高いシステムを利用することで、自社で会員登録やログイン機能を作るよりも高度なセキュリティを確保でき、ユーザーの安心感や信頼度にもつながります。
多様なサービスが備わった他社コンテンツとAPI連携することで、様々なサービスを低価でお客様へ提供することができ、顧客満足度を向上することができます。
APIを提供する企業が何らかの理由でサービスの提供を停止すると関連した自社のサービスにも影響が生じるリスクがあります。自社のサービスがAPIの提供企業のサービスに依存しすぎるとユーザーに適切なサービスが提供出来なくなります。
APIを提供する企業のサーバーに何らかの障害が発生した場合、自社のサービスにも不具合が発生する可能性があります。この場合、自社では障害の対応ができないため、様々な状態の想定と対応策を検討しておく必要があります。
以下では、API連携の一般的な流れを解説します。
最初に取り組むべきは「APIを使って何をしたいのか」を明確にすることです。
目的があいまいなまま進めると、どのAPIを選べばいいのか分からなくなったり仕様書を読んでもピンと来なかったりと、作業が迷走しやすくなります。
例えば、「外部の天気情報を自動で取得したい」や「アンケート結果を社内システムに取り込みたい」といった具体的なイメージを持つことが大切です。
自社の業務フローを整理し、「いつ・どこで・どんなデータを扱うか」といった観点で必要な機能をリストアップしていくと、API選定や設計もスムーズに進みます。
API提供会社の公式サイトや開発者向けポータルにアクセスし、アカウントを作成します。
多くの場合、登録後すぐにアカウントが発行されますが、審査が行われることもあります。1〜2週間かかるケースもあるため、スケジュールに余裕を持って進めましょう。
APIを利用するためには「APIキー」や「シークレットキー」が必要です。これらはログインIDやパスワードのような役割を果たし、どのユーザーがいつ・どのようにAPIを使っているかを識別・管理するために使われます。
外部に漏れると不正利用される恐れがあるため、厳重に管理しましょう。
なお、取得手順はAPIの提供元によって異なるため、各公式のドキュメントやサポートガイドを事前に確認する必要があります。
API仕様書には、リクエストやレスポンスの形式などが詳しく記載されています。仕様を確認しながら、自社のシステムや利用するツールに合わせてプログラムを組みましょう。
いきなり本番環境に反映せず、テスト環境で動作確認を行うのが基本です。データが正しく連携できているか、エラーが出ないかをチェックし、必要があれば修正したうえで本番環境に移すようにしましょう。
メール、スプレッドシート、クラウドストレージ、連絡先、カレンダー、地図など、様々なクラウドサービスを提供しており、他社アプリからも利用できるようAPIを提供しています。
Microsoft Graph APIを提供しており、タスク、チャット、チーム、カレンダー、ファイル等のクラウドサービスとの連携が可能です。
kintone、Garoon、サイボウズOffice、メールワイズ等の製品でAPIを提供しています。
名刺管理サービスであるSansanもAPIを提供しており、他のアプリで顧客データを連携することができます。
他にも多くのサービスが自社の製品とサービスが連携できるようAPIを提供しています。
API連携でどのようなことができるのか、もう少し具体的な連携イメージを紹介してみましょう。
マーケティング活動として行われたイベント、セミナーの終了後に参加者へアンケートをお願いすることがあるかと思います。記入して頂いたアンケート結果は集計し、その結果をチーム内で共有する必要があるかと思います。API連携を利用するとこのような一連の処理を自動化することができます。
ここでは、Googleフォームから作成されたアンケートに対し、それぞれのサービスが提供しているAPIを利用して
などの処理をアンケートの集計アプリで組み込んで自動化しています。
API連携時によくある3つの課題を紹介します。
APIを利用するには、自社の業務に必要なサービスが持つAPIを探し出し、提供されているドキュメントからその機能を読み解いていくことが必要になります。サービス提供者が公開しているこのドキュメントが英語版のみの場合、さらに難解になる点もAPIを利用する際の課題と言えます。
相手サービスの認証に合わせた形での認証手順や証明書などの準備が必要なケースも多く、使い始めるまでに手間と時間がかかることもあります。NDAや契約書を締結したりといった手続き上の準備が必要になるケースもあるため、利用したいAPIについて事前に必要なことを確認し、整理しておく必要があります。
連携先サービスと接続するためのプログラムを作成する必要があります。連携先サービスのアプリケーションを一から開発するよりも接続プログラムの開発は大きくコストとしては抑えられますが、ある程度発生することを理解し、計画しておく必要があります。また、連携先サービスのアップデートに合わせて接続プログラムも改修しなければならないことがあるため、メンテナンスの工数もかかることは理解しておきましょう。
API連携をより簡単に組み込むことができるデータ連携ツールを使うことで、前述のAPI連携における課題を解消することが可能です。
例えば、1万社が導入する国内シェアNo.1のASTERIA Warpは、簡単に接続する豊富な”アダプター”と連携フロー作成を効率化する豊富な”テンプレート”を用意した簡単データ連携ツールです。
ここからは、ASTERIA Warpと連携できるサービスをいくつかご紹介していきます。
ChatGPTは、公開からわずか2ヶ月でユーザー数が1億人を越え、いまや多くのビジネスシーンにおいて活用されているAIアシスタントです。ASTERIA Warpからは、現在エクスペリメンタルビルド(実験版)のアダプターとして「生成AIアダプター for ChatGPT」が公開されています。アダプターを活用することにより、さまざまな社内システムやクラウドサービスとChatGPTとの連携がノーコードで実装できます。
詳細はこちらの記事からご覧ください。
「kintoneアダプター」を利用することで、サイボウズ社のビジネスアプリ作成プラットフォームである「kintone」とのシームレスな連携が、ノーコードで実現できます。専用画面に表示される連携項目を選ぶだけで、kintoneからのデータ取得やkintoneへのデータ登録を簡単に行うことができます。
こちらの記事では、サイボウズ社から提供されているグループウェアであるGaroonのパッケージ版と、kintoneの連携を、フローを交えながら詳しく解説しています。
人脈を有効活用するための名刺管理の他、顧客との接点管理やマーケティング機能などでビジネスをサポートするサービスであるSansan。ASTERIA Warpの「Sansanアダプター」(信興テクノミスト社製)を使うことで、既存のシステムやデータとの連携を簡単に実行できます。また、新規登録された名刺情報の自動送信や分析など、貴重な名刺データの幅広い活用もノーコードで簡単に実行できます。
こちらの記事では、Sansanに取り込んだ名刺情報をASTERIA WarpでCSVファイルに出力する方法についてご紹介しています。
ASTERIA Warpを使って、他社のクラウドサービスとの連携処理を実現した事例をいくつかご紹介します。
またデータ連携について詳しく知りたい方は「データ連携とは?データ連携の定義からメリット、課題、実現方法をご紹介」の記事をご確認ください。
本記事では、APIの基本から連携手順、導入事例までをご紹介しました。
API連携をうまく活用することで、アプリケーションの開発負担を大きく減らし、よりスピーディかつ柔軟なシステム運用を実現できます。ただし、手組みで連携するためは、一定の知識や実装の手間が伴います。
そこでおすすめなのが、100種類以上のデータソースとノーコードでつながるデータ連携ツール「ASTERIA Warp」です。高度なプログラミングの知識がなくても直観的に利用できる開発手法により、技術的なハードルを下げ、データ連携の設計から運用までをシンプルに行えるため、柔軟なAPI連携をスピーディに実現します。
全ての機能をお試しいただける無料体験版をご用意しておりますので、API連携を導入する際は、ASTERIA Warpの 活用を検討してみてはいかがでしょうか。
PM・SE・マーケティングなど多彩なバックグラウンドを持つ「データ連携」のプロフェッショナルが、専門領域を超えたチームワークで「データ活用」や「業務の自動化・効率化」をテーマにノウハウやWarp活用法などのお役立ち情報を発信していきます。
ASTERIA Warp製品の技術情報やTips、また情報交換の場として「ADNフォーラム」をご用意しています。
アステリア製品デベロッパー同士をつなげ、技術情報の共有やちょっとしたの疑問解決の場とすることを目的としたコミュニティです。