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リスキリングは、2022年のユーキャン新語・流行語大賞にもノミネートされるなど、最近話題に上ることが多いキーワードです。リスキリングとは、経済産業省サイトに掲載の情報によると、以下のような意味を持っています。
「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること」
経営課題を解決するための施策として、国内の多くの企業でリスキリングのための取り組みが始まっています。どのような形式で行われているのかを見てみましょう。
オンライン研修は、ZoomなどのWeb会議ツールを用いて、ライブ配信で行われる研修です。集合研修は、長距離の移動や業務時間の調整が負担となりがちですが、オンライン研修は自宅や拠点オフィスからでも受講できる利点があります。
eラーニングは、主に学習管理システムなどを用いて、インターネットを利用し受講する講座や研修です。オンライン研修とは異なり、録画された動画の視聴がメインとなるため、好きな時間に研修を受けられます。
企業内大学または社内大学とは、企業が社内に研修の場を設置する研修制度のひとつです。社内に大学のような機能を持たせた専門部署を設立して、社員が自主的に学べる場を提供します。外部講師だけでなく自社の優秀な社員が講師として起用されるケースも多く、現場社員の体験やノウハウを体系化して共有できる利点があります。
ワークショップは、直接講師と対面するため、ロールプレイや演習を交えた実践的な授業を受けやすい特徴があります。グループワーク形式で課題の洗い出しや解決策の立案、プレゼンテーションなどを行なうケースも多く、社員間のコミュニケーションが活性化します。他の受講生が居る場で学ぶため、モチベーションも持続しやすいといえます。
リスキリング導入の手順やポイントについては下記の記事にも詳しく掲載していますので、導入を検討されている方はぜひご覧ください。
リスキリングは、既存のスキルセットとは別の新しいスキルセットを獲得し、能力向上を目指すものです。リスキリングによってどのような人材を育成していくべきか、2つの観点で見てみましょう。
1点目はDX人材の育成です。IT技術は日々進歩するため、デジタルスキルを身につけた人材の育成は急務です。情報システム部だけではなく、製造部門やマーケティング部門などにもDX人材を配置することで、業務効率化や新しい事業の創出につながることが期待できます。
2点目はグローバル人材の育成です。国内だけではなく海外も視野に入れたビジネス展開を図るためには、世界をリードできるようなグローバル人材の育成が不可欠です。日本の生産年齢人口の減少に伴い、海外人材との協業の機会も増えてきます。将来的には、英語を含む語学はもちろん、「グローバル企業でどのようにチームを率いるか」といったリーダーシップも重要になります。
国内の大手企業では、数年前からリスキリングのための施策を行ない始めています。国内企業で実際に行われているリスキリングの事例をご紹介します。
日本マイクロソフト株式会社は、パーソルイノベーション株式会社や技術系人材サービス会社のModisと協業し、2025年までにデジタル人材を20万人育成する目標を掲げています。スキル開発支援や人財育成支援、就労支援だけでなく、マイクロソフトテクノロジーの学習機会の提供なども行なっています。
株式会社日立製作所は、全従業員16万人を対象としたDX研修を実施しています。同グループの日立アカデミーと連携し、独自の研修プログラムの開発も行なっています。また、「学習体験プラットフォーム(LXP)」と呼ぶ新システムを導入し、約1万6,000に及ぶ講座などを受講できるようにしています。
富士通株式会社は、グループ企業を含む約8万人の社員を対象としたDX人材育成を行う方針を示しています。教育投資を約4割増やし、教育プログラムの開発やオンラインでの提供、DX専門の子会社の設立など、社内外でDX推進を行うための環境を整備しています。
トラスコ中山株式会社は、機械工具などの工業用副資材の卸売企業として、サプライチェーン全体のDXに取り組む企業です。SAP社の中途社員を交えて次世代リーダー候補に研修を行ない、デジタルを活用した新規ビジネス創出などのプログラムを展開しています。同社の取り組みは高く評価され、経済産業省と東京証券取引所が共同で選定する「DX銘柄」に、2020年、2021年と2期連続で選出されています。
キヤノン株式会社は、ソフトウェア技術者育成機関である「Canon Institute of Software Technology(CIST)」を設立し、職種転換を希望する従業員への教育を実施しています。入社後3年が経過した社員を対象に3ヶ月から6ヶ月間の研修を行い、実務に必要な知識を習得した状態で、新部署への社内転職を行っています。
株式会社クレディセゾンは、非IT人材のリスキリング計画の発表やDX戦略の策定など、デジタル人材育成を柱とするDX戦略を推進しています。また、デジタル人材を3階層に分けて定義し、組織体制の変革や研修制度の拡充を進めています。
ダイキン工業株式会社は、企業内大学の「ダイキン情報技術大学」を解説し、AI活用を行える人材の育成を進めています。2023年度までに、AIを中心としたデジタルスキルを保有する従業員を1,500人まで増やすことを目標に掲げています。
ヤフー株式会社は、2021年に全社員8,000人を対象としたリスキリングを実施しました。全従業員がAI(人工知能)を業務で活用できることを目標に掲げています。また、同じく2021年にはヤフーの親会社であるZホールディングス株式会社が主催する、「Z AIアカデミア」の発足も発表されています。研修プログラムには、同グループ企業であるLINE株式会社、株式会社一休、アスクル株式会社、ZOZOグループも参加しています。
リスキリングや人材育成を進めるためには、デジタルツールの導入が欠かせません。抵抗なく使えるデジタルツールを導入することで、今までITに不慣れだった社員も含め、全社横断的なDX推進を押し進めていくことが可能になります。
人材育成と同時に、誰でも使えるシステムツールの導入などを行ない、全社的なDX推進環境を作り上げた事例をご紹介します。
株式会社高田工業所は、製鉄・化学プラントなど産業設備の設計、調達、製作、建設、メンテナンスを担う会社です。ICTを取り入れ、デジタル化が行き届いていなかった業務のシステム化・効率化を進めています。これまでは情報システム部門や外部委託業者がシステム開発を担ってきましたが、ノウハウの蓄積やデジタル人材育成も視野に入れ、現在は内製化を推進しています。プログラミング未経験者でも開発可能とするため、ノーコードデータ連携ツール「ASTERIA Warp Core+」を導入したことで、対応可能な業務範囲も大幅に拡大しました。
社内の人材はITリテラシーやスキルに差がある状態のため、全社的にDX推進を行なうのは難しいといった声も聞かれます。特にプログラミングなどのITスキルは内容が非常に高度なため、リスキリングのハードルが高いと考えられがちです。
近年人気が高まっているノーコードツールは、プログラミング知識がなくても、アプリ開発やWebサイト構築、データ連携などが行なえるツールです。非エンジニアでも直感的に学習しやすいため、DX人材の育成を後押ししてくれます。
ノーコードツールを学習できるサイトは製品別ではいくつかありますが、NoCode Gateは様々なノーコードツールを体系的にが学習することができます。また学習動画が無料で視聴できるので、学習の進捗状況も確認しやすいためおすすめです。メールアドレスだけでアカウント登録ができるので、ノーコードツールの学習に興味のある方はぜひご覧ください。
リスキリングの重要性は日々高まってきており、既に国内の各企業で取り組みが始まっています。企業によって研修実施や企業内大学の設置など形態は異なりますが、DX人材の育成を目標に掲げて推進する例が多いようです。
本記事では、リスキリングを実際に行った企業の例をご紹介しました。また、リスキリングやDX人材の育成を後押しするツールとして、プログラミングの知識がないユーザーでも開発を行うことができるノーコードのデータ連携ツール「ASTERIA Warp」や、誰でもノーコードツールを学習できるポータルサイト「NoCode Gate」をご紹介しました。
リスキリングについてや推進上の課題、ノーコードツールの活かし方については、こちらの資料でも詳しくご紹介しています。DX人材育成を効果的に行いたいとお考えの方は、ぜひ読んでみてはいかがでしょう。
PM・SE・マーケティングなど多彩なバックグラウンドを持つ「データ連携」のプロフェッショナルが、専門領域を超えたチームワークで「データ活用」や「業務の自動化・効率化」をテーマにノウハウやWarp活用法などのお役立ち情報を発信していきます。
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